リファレンス・ガイド
Tuxedo Job Enqueueing Service(TuxJES)
この章では、TuxJES機能に含まれるサーバー、コマンドおよびユーティリティについて説明します。
表1に、TuxJESのコマンドと関数を示します。
表1 TuxJESのサーバー、コマンドおよびユーティリティ
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TuxJESシステムのセキュリティ・プロファイルを生成します。
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genappprofile
名前
genappprofile
– TuxJESシステムのセキュリティ・プロファイルを生成します。
概要
説明
このユーティリティは、TuxJESシステムのセキュリティ・プロファイルを生成します。genappprofile
が起動されると、Oracle Tuxedoのアプリケーション・パスワード、ユーザー名、ユーザー・パスワードおよびデータベース接続(MT_DB_LOGIN
)の入力を求められます。出力されるのはセキュリティ・プロファイル・ファイルです。このファイルにはOracle Tuxedoアプリケーション・パスワード、ユーザー名、ユーザー・パスワードおよびデータベース接続が含まれます。
注意: |
生成されたセキュリティ・プロファイル・ファイルは、artjesadmin ツールで、Oracle Tuxedoドメインにログインするために使用できます。 |
パラメータとオプション
genapprofile
では、以下のパラメータとオプションがサポートされます。
[-f <output_file>]
生成されたセキュリティ・プロファイル・ファイルの場所。このオプションを指定しない場合のデフォルト値は
~/.tuxAppProfile
です。
関連項目
artjesadmin
artjesadmin
名前
artjesadmin
– TuxJESコマンド・インタフェース。
概要
説明
artjesadmin
は、TuxJESコマンド・インタフェースです。TuxJESシステムが先に開始されている必要があります。
パラメータとオプション
artjesadminでは、以下のパラメータとオプションがサポートされます。
-f
genappprofile
によって生成されるセキュリティ・プロファイル・ファイル。このプロファイルのユーザー名は、送信されたジョブの所有者です。所有者が指定されていないジョブには、所有者名「*」が割り当てられます。
個別の所有者を持つジョブは、その所有者のみが制御できます。個別の所有者(*)のないジョブは、誰でも制御できます。いかなるユーザーでも、すべてのジョブを出力できます。
artjesadmin
は、次のサブ・コマンドをサポートします。
submitjob(smj ) [-o='xxx'] -i scriptfile
ジョブをTuxJESシステムに送信します。
scriptfile
パラメータは、送信されるジョブ・スクリプトです。
注意: |
artjesadmin は、scriptfileの通知を担当しません。変換と実行が同じマシン上にない場合、共有ファイル・システム上にあるはずです。オプションは次のとおりです。 |
o='xxx'
: EJRに渡されるオプション文字列。
-i =scriptfile
: スクリプト・ファイル。パスは、絶対パスか、現在の作業ディレクトリとの相対パスで指定できます。絶対パスでは、長さが1023文字に制限されています。
正常に呼び出されると、リターン・フォーマット
Job xxx
が正常に送信されます。エラーが発生した場合、エラー・メッセージが出力されます。
artjesadmin
は、
artjesadmin [-o='xxx'] -i scriptfile
のフォーマットを使用してジョブの直接送信もサポートします。
表2でリストされているようなエラーが発生する場合、
artjesadmin
にはゼロ以外のリターン・コードが含まれます。
表2 エラー・コード
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ARTJESADMサーバーによって戻されたartjesadminコマンド自体のエラー
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printjob(ptj) -n jobname | -j jobid | -c job_class |-a [-v]
既存のジョブを表示します。オプションが指定されない場合、すべてのジョブを表示します。オプションは次のとおりです。
-
n jobname
: 指定されたジョブ名を持つジョブを表示します
-c job_class
: 個別のクラス・ジョブ情報を表示します
-
JOBNAME
: ジョブ名。
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JobID
: TuxJESシステムによって生成されたジョブID
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Owner
: ジョブ所有者。
-
Prty
: ジョブ優先度
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C
: ジョブ・クラス。
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Status
: ジョブ・ステータス
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EXECUTING
: ジョブは実行中です
-
CONVING
: ジョブは変換を待機しています
-
WAITING
: ジョブは実行を待機しています。
-
DONE
: ジョブは、正常に完了しました。
-
FAIL
: ジョブは完了しましたが、失敗しました
-
HOLD_WAITING
: JOBは、変換後、保留状態です
-
HOLD_CONVING
: ジョブは、変換なしの保留状態です
-
INDOUBT
: ジョブは、イニシエータが再起動されたため、インダウト状態です
- Submit time: ジョブの送信時刻
- Step: 現在の実行中ジョブ手順。実行中ジョブにのみ適用されます。
- Type Run: ジョブのTYPRUN定義。
- Machine: 実行中/完了/失敗ジョブの場合のみ。ジョブが実行されている/されたマシン名です。
- CPU usage: ジョブ実行のためのユーザーCPU使用率とシステムCPU使用率。
- Result: ジョブ操作の結果で、「OK」またはエラー・メッセージです。
オプションを指定しない場合、
-a
オプションとみなされます。
holdjob(hj) -n job name | -j jobid | -c job_class | -a
CONVING
または
WAITING
ステータスの、指定されたジョブを保留します。オプションは次のとおりです。
-
n jobname
: 指定されたジョブ名を持つジョブを保留します。
-c job_class
: 個別のクラス・ジョブを保留します
オプションを指定しない場合、
-a
オプションとみなされます。
releasejob(rlj) -n job name |-j jobid | -c job_class | -a
ARTJESCONV
による変換、または
ARTJESINITIATOR
による実行の対象として選択できるように、
HOLD_WAITING
または
HOLD_CONVING
ステータスのジョブを解放します。オプションは次のとおりです。
-
n jobname
: 指定されたジョブ名のジョブを解放します
-c job_class
: 個別のクラス・ジョブを解放します
オプションを指定しない場合、
-a
オプションとみなされます。
canceljob(cj) -n job name |-j jobid | -c job_class l -a
ジョブを取り消して出力キューに送ります。実行中のジョブでは、このコマンドは関連する
ARTJESINITIATOR
を通知し、
"-k"
オプションを使用してEJRを呼び出します。その他のジョブは直接出力キューに送られます。TuxJESシステムは、EJRが返されるとジョブが終了したとみなします。オプションは次のとおりです。
-
n jobname
: 指定されたジョブ名を持つジョブを取り消します
-c job_class
: 個別のクラス・ジョブを取り消します
オプションを指定しない場合、
-a
オプションとみなされます。
purgejob(pgj) -n job name | -j jobid | -a
出力キューの完了されたジョブが、パージ・キューへ移動されます。他のジョブの場合、
purgejob
が、
canceljob
と同じ効果を持っています。
purgejob
コマンドは、ジョブを直接パージしません。ARTJESPURGEサーバーが、TuxJESシステムからジョブを削除します。ARTJESPURGEが開始されない場合、ジョブは出力キューに残ります。
-
n jobname
: 指定されたジョブ名を持つジョブをパージします
オプションを指定しない場合、
-a
オプションとみなされます。
changeconcurrent(chco) -g groupname -i serverid -n concurrent_num
-gと-iオプションで指定された
ARTJESINITIATOR
サーバーの最大同時実行ジョブ数を変更します。変更は、
ARTJESINITIATOR
サーバーを再起動しなくても有効になります。
-
g groupname
:
ARTJESINITIATOR
サーバーのTuxedoグループ名
-
i serverid
:
ARTJESINITIATOR
サーバーのTuxedoサーバーID
-n concurrent_num
: 最大同時実行ジョブ数
変更は永続的ではなく、
ARTJESINITIATOR
サーバーが再起動すると、数がリセットされます。
printconcurrent(pco) -g groupname -i serverid
-gと-iオプションで指定された
ARTJESINITIATOR
サーバーの最大同時実行ジョブ数を表示します。
-
g groupname
:
ARTJESINITIATOR
サーバーのTuxedoグループ名
-
i serverid
:
ARTJESINITIATOR
サーバーのTuxedoサーバーID
event (et) [-t S,C,E,P,A] on|off
このコマンドは、個別のジョブ・イベントをサブスクライブするようにartjesadminに指示します。オプションは次のとおりです。
S:
ジョブ送信イベント。イベント名は、
ARTJES_JOBSUBMIT
です
C:
ジョブ変換完了イベント。イベント名は
ARTJES_JOBCVT
です
E:
ジョブ実行終了イベント。イベント名は、
ARTJES_JOBEXEC
です
P:
ジョブ・パージ・イベント。イベント名は
ARTJES_ARTJESPURGE
です
A:
サポートされているすべてのイベント。イベントがonに設定されている場合、Aがデフォルトです。
on |off:
送信がonまたはoffです。on設定は、
-t
オプションとともに使用できます。offにすると、すべてのイベント・サブスクリプションのサブスクライブが解除されます。
サブスクライブされているイベント・タイプがJESCONFIG内に構成されていない場合は、エラーがレポートされます。
関連項目
Oracle Tuxedo Application Runtime for Batchユーザー・ガイド
ARTJESADM
名前
ARTJESADM
– TuxJES管理サーバー。
概要
ARTJESADM
SRVGRP=”
identifier”
SRVID=”number” CLOPT=” [-A][servopts
options] -- -i
JESCONFIG”
説明
ARTJESADM
は、TuxJESによって提供されるOracle Tuxedoアプリケーション・サーバーです。artjesadmin
コマンドは、大部分のタスクでARTJESADM
と通信します。
ARTJESADM
が提供するサービスに他のTuxJESサーバーがアクセスするため、ARTJESADM
は、UBBCONFIGファイル内で他のTuxJESサーバーより前に構成されている必要があります。JESCONFIG
を変更した場合、新しい構成が有効になるには、すべてのTuxJES関連のサーバーを再起動する必要があります。
パラメータとオプション
ARTJESADMでは、以下のパラメータとオプションがサポートされます。
-i JESCONFIG
JESCONFIG
は、TuxJESシステム構成ファイルのフル・パス名を表します。次のパラメータを使用できます。
ジョブ情報を格納するルート・ディレクトリのフル・パス名。必須の属性です。このディレクトリが存在しない場合、ARTJESADMが自動的に作成します。
ジョブに対してジョブ・クラスが設定されていない場合のデフォルト・ジョブ・クラス。オプションの属性です。この属性が設定されていない場合、デフォルト・ジョブ・クラスは
A
です。
DEFAULTJOBCLASS=[A-Z],[0=9]
ジョブに対してジョブ優先度が設定されていない場合のデフォルトのジョブ優先度。オプションの属性です。この属性が設定されていない場合、デフォルトのジョブ優先度は0です。
DEFAULTJOBPRIORITY=[0-15]
設定されていない場合、あるジョブ名に対して、1つのジョブだけが実行ステータスであることができます。
NODELAY
は、依存性チェックを削除します。デフォルト値は、遅延実行です。
個別のステージで、ジョブに対してイベントがポストされるかどうかを指定します。
S:
ジョブ送信イベント。イベント名: ARTJES_JOBSUBMIT
C:
ジョブ変換完了イベント。イベント名: ARTJES_JOBCVT
E:
ジョブ実行終了イベント。イベント名: ARTJES_JOBFINISH
P:
ジョブ・パージ・イベント。イベント名:ARTJES_JOBPURGE
EVENTPOST
が指定されない場合、イベントはポストされません。イベントのポストでのデータ・バッファはFML32タイプで、フィールドはJESDIR/include/jesflds.hで定義されます。
ジョブが格納されるジョブ・リポジトリのパス。設定された場合、ジョブ送信で入力されたスクリプト・ファイル・パスに、JOBREPOSITORY内の相対パスを使用できます。
例
UBBCONFIGの例:
ARTJESADM
SRVID=1 SRVGRP=SYSGRP CLOPT="-A -- -i /nfs/users/jes/jesconfig"
関連項目
Oracle Tuxedo Application Runtime for Batchユーザー・ガイド
ARTJESCONV
名前
ARTJESCONV
– TuxJES変換サーバー。
概要
ARTJESCONV
SRVGRP=”
identifier”
SRVID=”number” CLOPT=” [-A][servopts
options] -- ”
説明
TuxJES変換サーバー。ジョブ変換をするためのEJR起動を担当します。
例
UBBCONFIGの例:
ARTJESCONV
SRVID=2 SRVGRP=SYSGRP CLOPT="-A -- "
関連項目
Oracle Tuxedo Application Runtime for Batchユーザー・ガイド
ARTJESINITIATOR
名前
ARTJESINITIATOR
– ジョブ・イニシエータ
概要
ARTJESINITIATOR
SRVGRP=”
identifier”
SRVID=”number” CLOPT=” [-A][servopts
options] -- -C
jobclasses [-n concurrent_num] [-d]”
説明
ARTJESINITIATOR
は、Oracle Tuxedoアプリケーション・サーバーにより提供されるTuxJESです。ジョブを実行するためのEJR起動を担当します。
実行中のジョブがある間にARTJESINITIATOR
が強制終了またはシャットダウンされると、そのジョブは、再起動時にINDOUBT
状態に入れられます。
パラメータとオプション
ARTJESINITIATOR
では、以下のパラメータとオプションがサポートされます。
-c jobclasses[jobclass]
この
ARTJESINITIATOR
サーバーが関連付けられているジョブ・クラスを指定します。このオプションを指定しない場合、
ARTJESINITIATOR
はすべてのジョブ・クラスに関連付けられます。
-n concurrent_num
この
ARTJESINITIATOR
サーバーの最大同時実行ジョブ数を指定します。デフォルト値は1です。
-d
この
ARTJESINITIATOR
サーバーの最大同時実行ジョブ数を指定しますが、artjesadmin changeconcurrentコマンドで変更できます。
例
UBBCONFIGの例:
ARTJESINITIATOR
SRVID=3 SRVGRP=SYSGRP MIN=10 CLOPT="-A -- -c AHZ"
この例では、10のARTJESINITIATOR
インスタンスが構成され、A
、H
およびZ
ジョブ・クラスに関連付けられます。
関連項目
Oracle Tuxedo Application Runtime for Batchユーザー・ガイド
ARTJESPURGE
名前
ARTJESPURGE
– ジョブ・キューをパージします
概要
ARTJESPURGE
SRVGRP=”
identifier”
SRVID=”number” CLOPT=” [-A][servopts
options] -- ”
説明
ARTJESPURGEは、パージ・キューを監視します。パージ・キューにジョブを検出すると、キュー内のジョブを削除し、ディレクトリJESROOT/<JOBID>
を削除します。
関連項目
Oracle Tuxedo Application Runtime for Batchユーザー・ガイド
TuxJESキュー・システム
z/OS JES2システムをエミュレートするために、TuxJESシステムは、キュー機構を使用してバッチ・ジョブのライフサイクルを管理します。すべてのキューは、JES2QSPACE
と呼ばれる1つのキュー・スペースに作成されます。バッチ・ジョブは、表3にリストされたキューにあり、またはそこに転送されるメッセージによって表されます。
表3 TuxJESキュー
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バッチ・ジョブがTuxJESシステムに送信されると、まず変換キューに入れられます。システムには、変換キューは1本だけ存在します。変換されたジョブは、変換キューから実行キューに移動されます。キューのジョブは、FIFO順に処理されます。
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ジョブがHOLD状態(JCLHOLDまたはHOLD)の場合、保留キューに入れられます。解放されると、typrun パラメータに基づいて、変換キューまたは待機キューに移動されます。
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36のジョブ・クラス(A - Zおよび0 - 9)があります。ジョブには、0 - 15の優先度値もあります。ジョブは、ジョブ・クラスと優先度に基づいてスケジュールされます。
1つのジョブ・クラスは、1つの/Qキュー(36のキューをまとめたもの)にマップされます。これらは、ジョブが保留状態で格納され、実行を待機するキューです。ジョブ優先度は、キュー・メッセージ優先度にマップされます。キューはすべて、優先度に基づいて作成されます。
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このキューは、動作中/実行中のジョブを格納します。システムに、実行中のキューは1つだけです。ジョブが実行キューから取り出され、実行中の状態に正常に移行すると、ジョブは実行中キューに移動されます。このキューのジョブは、FIFO順に処理されます。
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完了するか、エラーが発生したジョブは出力キューに送信されます。出力キューは1つのみ存在します。キュー内のジョブは、FIFO順に処理されます。
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パージされる予定のジョブは、パージ・キューへ移動されます。システムに、パージ・キューは1つのみ存在します。
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ART JESも、内部使用のためにJES2QSPACE上にいくつかの内部キューを持っています。
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TuxJESキュー作成スクリプト
キュー・スペース(JES2QSPACE
)と、表3にリストされたキューを作成するために、TuxJESシステムには、サンプル・シェル・スクリプト(jesqinit
)が用意されています。環境に合わせてスクリプトを変更することはできますが、以下を厳守する必要があります。
- キュー順序は、変更できません
- キュー名とキュー・スペース名は固定です
- スクリプトは、キュー・スペース/キュー作成パラメータに合わせてカスタマイズできます
推奨/Q作成値
ページのデバイス・サイズ: 10000
ページのキュー・スペース・サイズ: 5000(ジョブの最大数は10000、各ジョブは2kバイト消費し、ページ・サイズは4kと想定します)
キュー内のメッセージ数: 10000
同時トランザクション数: 1000
キュー内の同時プロセス数: 100
注意: |
これらのパラメータは、固有の環境に合わせてカスタマイズできます。 |