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Tuxedo Job Enqueueing Service(TuxJES)の使用

この章の内容は以下のとおりです。

 


概要

バッチ・ジョブ・システムは、重要なメインフレーム・ビジネス・アプリケーション・モデルです。Tuxedo Job Enqueueing Service(TuxJES)エミュレーション・アプリケーションを使用すると、メインフレーム・アプリケーションをオープン・システムへ円滑に移行できます。TuxJESは、メインフレームJES2関数のサブセットを実装しています(ジョブの送信、ジョブの表示、ジョブの保留、ジョブの解放、ジョブの取消しなど)。

TuxJESは、次のバッチ・ジョブ・フェーズに対処しています。

要件

TuxJESはOracle Tuxedoアプリケーションであり、TuxJESを実行するためにはOracle Tuxedoが必要です。

分散環境でTuxJESをデプロイするためには、共有ファイル・システム(NFSなど)が必要です。

TuxJESコンポーネント

TuxJESには、次の主要なコンポーネントが含まれます。

 


TuxJESシステムの構成

Oracle TuxedoアプリケーションとしてのTuxJESの設定

TuxJESは、Oracle Tuxedoアプリケーションです。大部分のTuxJESコンポーネントは、Oracle TuxedoクライアントまたはOracle Tuxedoサーバーです。まずTuxJESをOracle Tuxedoアプリケーションとして構成する必要があります。TuxJESがインストールされたディレクトリを参照する環境変数JESDIRが、正しく構成される必要があります。

Oracle Tuxedo構成ファイル

リスト1に、TuxJESシステムのためのOracle Tuxedo構成ファイル(UBBCONFIG)例の一部を示します。

リスト1 TuxJESシステムのためのOracle Tuxedo UBBCONFIGファイルの例
*GROUPS
QG
                LMID=L1 GRPNO=2 TMSNAME=TMS_QM TMSCOUNT=2
                OPENINFO="TUXEDO/QM:/jes2queue/QUE:JES2QSPACE"
ARTG
                LMID=L1 GRPNO=4
EVTG
                LMID=L1 GRPNO=8
*SERVERS
DEFAULT:
                CLOPT="-A"
TMUSREVT        SRVGRP=EVTG SRVID=1 CLOPT="-A"
TMQUEUE
                SRVGRP = QG  SRVID = 1
                RESTART = Y CONV = N MAXGEN=10
                CLOPT = "-s JES2QSPACE:TMQUEUE -- -t 5 "
ARTJESADM			SRVGRP =ARTG  SRVID = 1 MIN=1 MAX=1
                CLOPT = "-A -- -i jesconfig"
ARTJESCONV			SRVGRP =ARTG  SRVID = 20 MIN=1 MAX=1
                CLOPT = "-A --"
ARTJESINITIATOR			SRVGRP =ARTG  SRVID = 30
                CLOPT = "-A -- -c ABCDEFG
ARTJESPURGE			SRVGRP =ARTG  SRVID = 100
                CLOPT = "-A --"

Oracle Tuxedo構成ファイル(UBBCONFIG)には、次のTuxJESサーバーが含まれている必要があります。

注意: ARTJESADMARTJESCNOVARTJESINITIATORおよびARTJESPURGEの複数のインスタンスを構成できます。

TuxJES管理サーバーARTJESADMの場合、-i オプションを使用してTuxJES構成ファイルを指定する必要があります。ARTJESADMは、Oracle Tuxedo構成ファイル(UBBCONFIG)で、ARTJESCONVARTJESINITIATORまたはARTJESPURGEの各サーバーより前に構成される必要があります。

詳細情報は、『Oracle Tuxedo Application Runtime for Batchリファレンス・ガイド』を参照してください。

TuxJESはOracle Tuxedo /Qコンポーネントを使用するため、UBBCONFIGファイル内に、TMS_QMが構成されたOracle Tuxedoメッセージング・サーバーTMQUEUEを持つOracle Tuxedoグループが必要です。/Qキュー・スペースの名前は、JES2QSPACEと構成する必要があります。

TuxJESはOracle Tuxedo Eventコンポーネントを使用するため、Oracle Tuxedoユーザー・イベント・サーバーTMUSREVTが、UBBCONFIGファイルにある必要があります。

TuxJESシステムは、単一のマシン上で動作するOracle Tuxedo SHMアプリケーション、または複数のマシン上で動作するOracle Tuxedo MPアプリケーションのいずれかです。

Oracle Tuxedoアプリケーションを設定する方法に関する詳細な情報は、Oracle Tuxedo関連のドキュメントを参照してください。

Oracle Tuxedo /Qキュー・スペースとキューの作成

1つのTuxJESシステムにつき、JES2QSPACEという名前を持つ/Qキュー・スペースが1つ作成される必要があります。また、このキュー・スペースの中に、いくつかの/Qキューが作成される必要があります。TuxJESには、キュー・スペース(JES2QSPACE)とキューを作成するサンプル・シェル・スクリプト(jesqinit)が用意されています。詳細情報は、『Oracle Tuxedo Application Runtime Batchリファレンス・ガイド』を参照してください。

ファイル・システム構成

TuxJESは、ファイル・システムを使用して、バッチ実行エンジンと通信します。TuxJESとバッチ実行エンジンの間の通信のために、ファイル・システム上にディレクトリが作成されます。ディレクトリの名前は、TuxJES構成ファイルで指定されている必要があります。複数のマシン上にTuxJESシステムをデプロイする場合、このディレクトリは共有ファイル・システム(たとえば、NFS)に存在する必要があります。

TuxJES構成ファイル

TuxJES管理サーバーARTJESADMに対して構成ファイルを指定できます。構成ファイルでは、次のパラメータを構成できます。

JESROOT

ジョブ情報を格納するルート・ディレクトリ。必須の属性です。このディレクトリが存在しない場合、ARTJESADMが自動的に作成します。

DEFAULTJOBCLASS

JCLでジョブ・クラスが設定されていない場合のデフォルト・ジョブ・クラス。オプションの属性です。この属性が設定されていない場合、デフォルト・ジョブ・クラスはAです。

DEFAULTJOBPRIORITY

JCLでジョブ優先度が設定されていない場合のデフォルトのジョブ優先度。オプションの属性です。この属性が設定されていない場合、デフォルトのジョブ優先度は0です。

DUPL_JOB=NODELAY

設定されていない場合、あるジョブ名に対して、1つのジョブだけが実行ステータスであることができます。NODELAYは、依存性チェックを削除します。デフォルト値は、遅延実行です。

EVENTPOST=S,C,E,P,A

個別のステージで、ジョブに対してイベントがポストされるかどうかを指定します。
S: ジョブ送信イベント。
C: ジョブ変換完了イベント。
E:ジョブ実行完了イベント。
P: ジョブ・パージ・イベント。
A: サポートされているすべてのイベント
EVENTPOSTが指定されない場合、イベントはポストされません。イベントのポストでのデータ・バッファはFML32タイプで、フィールドはtuxjes/include/jesflds.hで定義されます。

JOBREPOSITORY

ジョブが格納されるジョブ・リポジトリのパス。設定された場合、ジョブ送信で入力されたスクリプト・ファイル・パスに、JOBREPOSITORY内の相対パスを使用できます。

TuxJES セキュリティ構成

TuxJESでは、Oracle Tuxedoセキュリティ・メカニズムを活用して認証を実装します。認証が有効の場合、genapprofileユーティリティを使用してセキュリティ・プロファイルを生成し、それをartjesadminパラメータとして使用して、TuxJESシステムにアクセスしてください。プロファイルで使用されるユーザーは、ジョブ所有者です。ジョブを管理(取消し、パージ、保留および解放)できるのは、所有者だけです。ジョブは、誰でも表示できます。ジョブに所有者がない場合、誰でも操作できます。

Oracle Tuxedoアプリケーションはセキュリティが構成されていない場合でも、genappprofileユーティリティを使用してジョブ所有者権限のチェックを強制し、データベース接続MT_DB_LOGINを格納できます。

 


TuxJESの使用

TuxJESシステムが起動したら、artjesadminユーティリティを使用して、ジョブの送信、保留、解放、取消し、パージ、ジョブ情報の表示、ジョブ・ステータス変更のためのイベントのサブスクライブを行うことができます。

ジョブの送信

artjesadminのサブコマンドsubmitjobを使用して、ジョブを送信することができます。

submitjob(smj) -i scriptfile

scriptfileパラメータは、送信されるジョブ・スクリプトです。ジョブ・スクリプトは、Oracle Tuxedo ART WorkbenchによってJCLから生成されます。絶対パス形式、現在の作業ディレクトリの相対パス、または、設定されている場合は、JOBREPOSITORYの相対パスを使用できます。長さが1023文字に制限されています。

artjesadminは、次の書式を使用する直接ジョブ送信もサポートします。
artjesadmin -i scriptfile

ジョブ情報の表示

artjesadminのサブコマンドprintjobを使用して、単独のジョブまたは一連のジョブの情報を表示することができます。

printjob(ptj) -n jobname | -j jobid | -c job_class |-a [-v]

-n jobname: 指定されたジョブ名を持つジョブを表示します
-j jobid: 個別のジョブ情報を表示します
-c job_class: 個別のクラス・ジョブ情報を表示します
-a: すべてのジョブを表示します
-v: 冗長モード

printjobサブコマンドの出力には、次の内容が含まれます。

EXECUTING: ジョブは実行中です
CONVING: ジョブは変換を待機しています
WAITING: ジョブは実行を待機しています
DONE: ジョブは、正常に完了しました
FAIL: ジョブは完了しましたが、失敗しました
HOLD_WAITING: ジョブは、変換後、保留状態です
HOLD_CONVING: ジョブは、変換なしの保留状態です
INDOUBT: ジョブは、イニシエータが再起動されたため、インダウト状態です

ジョブの保留

artjesadminのサブコマンドholdjobを使用して、CONVINGまたはWAITINGステータスにあるジョブまたは一連のジョブを保留することができます。

holdjob(hj) -n job name | -j jobid | -c job_class | -a

-n jobname: 指定のジョブ名を持つジョブを保留します
-j jobid: 個別のジョブを保留します
-c job_class: 個別のクラス・ジョブを保留します
-a: すべてのジョブを保留します

ジョブの解放

artjesadminのサブコマンドreleasejobを使用して、HOLD_WAITINGまたはHOLD_CONVINGステータスにあるジョブまたは一連のジョブを解放することができます。

releasejob(rlj) -n job name | -j jobid | -c job_class | -a

-n jobname: 指定されたジョブ名のジョブを解放します
-j jobid: 個別のジョブを解放します
-c job_class: 個別のクラス・ジョブを解放します
-a: すべてのジョブを解放します

ジョブの取消し

artjesadminのサブコマンドcanceljobを使用して、単独のジョブまたは一連のジョブの情報を取り消すことができます。

canceljob(cj) -n job name | -j jobid | -c job_class | -a

-n jobname: 指定されたジョブ名を持つジョブを取り消します
-j jobid: 個別のジョブを取り消します
-c job_class: 個別のクラス・ジョブを取り消します
-a: すべてのジョブを取り消します

ジョブのパージ

artjesadminのサブコマンドpurgejobを使用して、単独のジョブまたは一連のジョブの情報をパージすることができます。

purgejob(pgj) -n job name | -j jobid | -a

-n jobname: 指定されたジョブ名を持つジョブをパージします
-j jobid: 個別のジョブをパージします
-a: すべてのジョブをパージします

DONEまたはFAILステータスの完了されたジョブが、パージ・キューへ移動されます。他のジョブの場合、purgejobが、canceljobと同じ効果を持っています。purgejobコマンドは、ジョブを直接パージしません。ARTJESPURGEサーバーが、TuxJESシステムからジョブを削除します。

ARTJESINITIATOR構成の表示/変更

artjesadmin のサブコマンドprintconcurrentを使用して、ARTJESINITIATORサーバーの最大同時実行ジョブ数を表示することができます。

printconcurrent(pco) -g groupname -i serverid

-g groupname: ARTJESINITIATORサーバーのTuxedoグループ名
-i serverid: ARTJESINITIATORサーバーのTuxedoサーバーID

artjesadmin のサブコマンドchangeconcurrentを使用して、ARTJESINITIATORサーバーの最大同時実行ジョブ数を変更することができます。

changeconcurrent(chco) -g groupname -i serverid -n concurrent_num

-g groupname: ARTJESINITIATORサーバーのTuxedoグループ名
-i serverid: ARTJESINITIATORサーバーのTuxedoサーバーID
-n concurrent_num: 最大同時実行ジョブ数

イベントのサブスクライブ/サブスクライブ解除

artjesadmin のサブコマンドeventを使用して、ジョブ・ステータス変更イベントをサブスクライブまたはサブスクライブ解除することができます。

event (et) [-t S,C,E,P,A] on|off

S: ジョブ送信イベント。
C: ジョブ変換完了イベント。
E:ジョブ実行終了イベント。
P: ジョブ・パージ・イベント。
A: サポートされているすべてのイベント。イベントがonに設定されている場合、Aがデフォルトです。
on |off: 送信がonまたはoffです。on設定は、-tオプションとともに使用できます。

イベントをサブスクライブすると、対応するイベントが生成したときに、artjesadminコンソール上に通知されます。

 


関連項目


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