製品の概要
Oracle TSAMの概要
次の項では、Oracle Tuxedo System and Application Monitor (TSAM)製品の概要について説明します。
Oracle TSAMの理解
Oracle Tuxedoは、ミッション・クリティカルなアプリケーションを開発および使用する企業で広く使用されています。それは、分散コンピューティング環境におけるインフラストラクチャ層として機能します。Oracle Tuxedoおよびその上で実行されるアプリケーションが複雑なため、パフォーマンスの測定作業は非常に複雑になります。
Oracle TSAMは、Oracle Tuxedoのシステムおよびアプリケーションに、包括的なモニタリングおよびレポート機能を提供します。Oracle TSAMには、Oracle TSAMエージェントとOracle TSAMマネージャという2つのコンポーネントが含まれています。
Oracle TSAMエージェントを使用すると、アプリケーションの様々なパフォーマンス・メトリック(呼出しパス、トランザクション、サービス、システム・サーバーなど)を収集できます。Oracle TSAMマネージャは、1つまたは複数のTuxedoドメインから収集されたパフォーマンス・メトリックを、関連付けたり集計したりするためのグラフィカル・ユーザー・インタフェースを提供します。なお、これらの情報はインタラクティブなリアル・タイムで表示されます。
Oracle TSAMを使用する理由
Oracle Tuxedoフレームワークおよびアプリケーションは広くデプロイされているので、包括的なモニタリングおよびレポート機能が重要になります。たとえば、次のような情報を得ることができます。
- ATMIリクエストのエンド・ツー・エンドの実行時間
- 呼出しがハングする箇所
- 一定期間中に失敗したサービスリクエスト数
- 一定期間中にドメイン・ゲートウェイを通過したリクエスト数
- XAトランザクション内のすべてのパーティシパントの現在のステータス
Oracle TSAMはこの情報を提供するので、ボトル・ネックをたやすく検出でき、問題がすみやかに解決できます。Oracle TSAMを使用すると、パフォーマンス・チューニングと容量計画を行うこともできます。
Oracle TSAMにより、イベントのアラートも定義できます。アラートがトリガーされ、適切な処理を行うようにメッセージが表示されると、Oracle TSAMコンソールがイベントを報告します。
Oracle TSAMの機能
次に、Oracle TSAMの機能の一覧を示します。
- Oracle Tuxedoシステムを使用して、呼出しの転送をトラッキングします。監視される呼出しにはそれぞれ一意の識別子が割り当てられ、呼出しパス・ツリーに複製転送されます。Oracle TSAMを使用すると、複数のマシンとドメイン間の呼出しをトラッキングすることができます。
- 監視されるリクエストの呼出しパス・ツリーのトラッキングがリアルタイムで表示され、各段階のパフォーマンス・メトリックを利用できます。
- 履歴呼出しトラッキング・データに基づき、呼出しパターンをまとめます。
- 特定のOracle Tuxedoサービスを監視して、そのレスポンス時間、IPCキューの長さおよび実行ステータスを確認します。最新データや履歴データを使用して、データを照会することができます。
- Oracle TuxedoのGWTDOMAIN、BRIDGEおよびGWWS全体のスループットを収集し、ビジネス・データ・フローの曲線をグラフィカルに表示します。
- XA API仕様のトランザクションをトラッキングします。各XA呼出しに使用される実行ステータスおよび時間を表示します。Oracle TSAMを使用すると、グローバルな分散型トランザクションの診断が容易になります。
- Oracle TSAMマネージャ・コンソールにより、事前定義済みのしきい値に達したときにイベントを生成する「アラート」の定義を作成することができます。イベントをOracle Tuxedoにポストして、Oracle Tuxedoのイベント・ブローカ・サブスクライバで受信することができます。
- 監視される呼出しにパッケージされているメタデータを取得するAPIのプログラミングを行います。開発者側でアプリケーションに関する決定を動的に行うことができます。
- 柔軟なモニタリング制御。サンプリングは、間隔か比率に基づいています。アプリケーションを再起動せずに監視のオンとオフを動的に切り替えることができます。
- プラグイン・メカニズムを使用して、Oracle Tuxedoのインフラストラクチャ・レベルでパフォーマンス・メトリックを収集できます。Oracle TSAMとほかのサード・パーティ製品間の広範な統合の機能を提供します。
- Oracle TSAMマネージャに生のメトリック・データを送信する必要のない、強力なイベント・トリガー。高度なイベント・トリガー条件を得るために柔軟なFMLブール式をサポートしています。イベントは、Oracle Tuxedoイベント・ブローカやOracle TSAMマネージャにポストすることができます。
- Oracle Tuxedo側のスケーラブルなサーバー監視は、小規模、中規模および大規模のOracle Tuxedoランタイム環境に対応できるように設計されています。
- J2Eベースのソリューション。純粋なWebベースのソリューションで、デプロイ、構成および使用が簡単です。Oracle TSAMコンソールは、互換性のあるWebブラウザを使用して、どこからでもアクセスできます。
Oracle TSAMの略歴
リリース1.1
Oracle TSAM 1.1では、次の機能を導入しました。
- 呼出しパスのモニタリングと分析
- サービスのモニタリングと統計
- システム・サーバーのモニタリングと統計
- トランザクションのモニタリング
- イベントのアラート
- Openプラグイン・フレームワーク
- 動的モニタリング・ポリシーの管理
- Webベースの報告と管理
リリース10g リリース3 (10.3)
Oracle TSAM 10g リリース3(10.3)では、以前のOracle TSAMリリースをベースに、次の拡張機能を実現しました。
- Oracle TSAMマネージャによるOracle WebLogic ServerおよびOracle OC4Jのサポート
- Oracle TSAMエージェントはIPv6をサポートします
リリース11g リリース1(11.1.1.1.0)
Oracle TSAM 11g リリース1(11.1.1.1.0)では、以前のOracleリリースをベースに、次の新機能および拡張機能を実現しました。
- Oracle TSAMコンソールの操作性を改善する、Web2.0テクノロジの使用
- 機能的な「組織&オペレーション」モデルの改善
- GUIのルック&フィール改善
- ユーザーとの対話処理およびレスポンスの速度の改善
- モニタリング・ポリシーの拡張
- ポリシー・リポジトリの集中化
- XAトランザクション・ポリシーの伝播
- モニタリング・スコープの粒度(サービス・レベル)のレベル微細化
- Webコンテナおよびデータベースの自動デプロイメント
- パフォーマンスの改良
- ライブ・モニタリング・オーバーヘッドの削減
- Oracle TSAMエージェント・データ収集とコンソール表示間の経過時間の短縮。
- Oracle TSAMアーティファクトのアクセス制御
- パフォーマンス・メトリックの追加
- 呼出しパスのメッセージ・サイズ、総トランスポート時間など
- 呼出しのパターン: 成功vs失敗統計、エンド・ツー・エンドの実行時間など
- サービス: 最大/最小メッセージ・サイズ、CPU消費時間など
- 追加コンポーネントの監視: GWWS
- アラートの拡張
- アラート管理の集中化
- アラートによってトリガーされるアクションの追加。サーバー側の古くなったメッセージが削除されます
- スプレッドシートへのレポートのエクスポート
- 次の新しいメニュー・アイテムがあります
- ポリシー
- Tuxedoモニタリング・ポリシー
- Tuxedo Application Runtimeモニタリング・ポリシー
- Tuxedoメトリック
- 呼出しパス
- 呼出しパターン
- サービス
- XAトランザクション
- ドメイン・ゲートウェイ
- ブリッジ
- GWWS
- Tuxedo Application Runtimeメトリック
- 管理
- ユーザー管理
- データの管理
- グローバル・パラメータ
- アラート
- Tuxedoアラート定義
- Tuxedo Application Runtimeアラート定義
- アラート問合せ
- ヘルプ
リリース11g リリース1(11.1.1.2.0)
Oracle TSAM 11g リリース1(11.1.1.2.0)では、以前のOracle TSAMリリースをベースに、次の新機能および拡張機能を実現しました。
- LDAPベースの認証
- グループ・ベースの認可
- グループ・リスト
- グループの作成、削除および変更
- ユーザー・グループの設定
- Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and BatchのARTJESコンポーネントのモニタリング
- ARTJESシステム・コンポーネント・ツリー
- ジョブ・リストおよびジョブ・ステータスの表示
- ジョブの取消しやパージ
- 次の新しいメニュー・アイテムがあります
- Tuxedo Application Runtimeメトリック
詳細については、Oracle TSAMコンソール・ユーザーズ・ガイドを参照してください。
リリース11g リリース1(11.1.1.2.1)
Oracle TSAM 11g リリース1(11.1.1.2.1)では、以前のOracle TSAMリリースをベースに、次の新機能および拡張機能を実現しました。
- ARTJESモニタリングに対する拡張
- ジョブ・リポジトリのサポート
- ジョブ・リポジトリと送信ジョブのブラウジング
- ジョブの保留と解放
詳細については、Oracle TSAMコンソール・ユーザーズ・ガイドを参照してください。
リリース11g リリース1(11.1.1.2.2)
Oracle TSAM 11g リリース1(11.1.1.2.2)では、以前のOracle TSAMリリースをベースに、次の新機能および拡張機能を実現しました。
- JESサポート拡張
- ジョブ・ログとSysoutの表示
- ジョブ・メトリック
- -ジョブ・アラート
- CICS Runtimeの構成
- 次の新しいメニュー・アイテムがあります
- Tuxedo Application Runtimeメトリック
- アラート
- Tuxedo Application Runtime JESアラート定義
詳細については、Oracle TSAMコンソール・ユーザーズ・ガイドを参照してください。
Oracle TSAMのアーキテクチャ
Oracle TSAMには、次の2つのコンポーネントがあります。
Oracle TSAMエージェント : Tuxedo側のデータを集めます。
Oracle TSAMマネージャ :データの保管、集約、コンピューティングおよび表現を行います。
Oracle TSAMエージェント
Oracle TSAMエージェントは、Tuxedo側のすべてのバック・エンド論理を処理します。それはOracle TSAMマネージャと連携して稼動し、次のサブコンポーネントを含みます:
詳細については、「Oracle TSAMエージェント」を参照してください。
Oracle TSAMマネージャ
Oracle TSAMマネージャは、J2EEの標準技術に基づき構築されています。次のコンポーネントが含まれます:
- TSAMデータ・サーバー: データ・サーバーは、LMSからデータを受け付け、データベースにそのデータを格納します。これは、J2EEアプリケーションです。
- TSAMコンソール : TSAMのプレゼンテーション層です。これはJ2EE Webアプリケーションであり、互換性があるWebブラウザを使用してアクセスできます。Oracle TSAMコンソールにログインすると、Oracle TSAMのすべての機能にアクセスできます。
詳細については、「Oracle TSAMマネージャ」を参照してください。
次の作業
Oracle TSAM製品の概要が理解できたら、Oracle TSAMのインストール、デプロイおよび使用について、次のトピックを参照してください。