IMSユーザー・ガイド

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Oracle TMA TCP for IMSの構成

Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for TCP (IMS)(以後TMA TCP for IMSと呼ぶ)では、処理環境を確立するために構成ファイルが使用され、このファイルは実行時に読み込まれて処理されます。構成ファイルは単純な構造のテキスト・ファイルで、システム・プログラマが容易に構成を定義したり変更できるようになっています。

構成の定義の対象は、ローカル(IMS)・ゲートウェイ、1つ以上のリモート・ゲートウェイ(たとえばCICS)、およびTMA TCP for IMSからアクセス可能な各種のリモート・ゲートウェイが提供する1つの以上のリモート・サービスです。OTMAクライアントを使用する場合は、ローカル・サービスも構成する必要があります。

TMA TCP for IMSシステムを停止せずに構成ファイルを変更する場合は、「TMA TCP for IMSの動的な構成」の項を参照してください。

構成ファイルに記述する情報は次のとおりです。

 


システム構成パラメータ

システム構成パラメータはSYSTEM文で定義します。SYSTEM文は、構成ファイルの最初の文として1つだけ定義する必要があります。パラメータの構文は、リスト4-1を参照してください。

SYSTEM文の構文

次のコード・リストに、SYSTEM文のパラメータの構文を示します。

リスト4-1 SYSTEM文の構文
SYSTEM,
SLEEPTIME=(sleep-min,sleep-max,sleep-delta),
OTMACLIENT=TMA-clientname],
OTMAGROUP=XCF-groupname]
[,OTMASECURITY={Yes|No}]
[,MSGLEVEL={msg-level|4}]
[,CLIENTSHUTDOWN={Yes|No}]
[,IDLETIMEOUT={nn|0}]
[,DRUEXIT=exit-name|DFSYDRU0]
[,SPARESOCKETS=nn|0]

SYSTEMパラメータの説明

SYSTEM文で使用するパラメータは次のとおりです。

パラメータ
[Value]
説明
SLEEPTIME
sleep-min
TMA TCP for IMSが処理の発生の有無をチェックし始めるまで待機する時間の最小値(10進数、ミリ秒)を指定します。
デフォルト値: 150
 
sleep-max
TMA TCP for IMSが処理の発生の有無をチェックし始めるまで待機する時間の最大値(10進数、ミリ秒)を指定します。
デフォルト値: 500
 
sleep-delta
スリープ時間の最小値から最大値に至るまでの間に、TMA TCP for IMSが使用する時間の増分(10進数、ミリ秒)を指定します。
TMA TCP for IMSは新しい処理が発生していないかどうか定期的にポーリングします。TMA TCP for IMS製品では、増分式のポーリング間隔が使用されておりこの間隔は、新しい処理を検出するたびに最小スリープ時間に設定されます。その後に、ポーリング間隔は、次のいずれかが発生するまで増分の時間ずつずれていきます。
  • 新しい処理を検出したとき(ポーリング間隔が再度、最小値にリセットされた場合)
  • 最大スリープ時間に達したとき(ポーリング間隔が最大値のまま変わらない場合)
この値があるため、トラフィックの負荷が高くなっても、処理のポーリングのために消費されるCPU時間の長さが制限されます。
ポーリング間隔が極端に短くなるような値(またはゼロ)、または100ミリ秒よりも短い値を指定しないようにしてください。このような値を指定すると、ポーリングの回数が極端に多くなる可能性があります。逆に、ポーリング間隔が極端に長くなるような値(1秒よりも長い値)も指定しないようにしてください。このような値を指定すると、TMA TCP for IMSの応答性が悪くなる可能性があります。スリープ時間を100から500ミリ秒の間に設定し、増分を5ミリ秒に設定することをお薦めします。
デフォルト値: 5
OTMACLIENT
clientname
TMA TCP OTMAのXCFクライアント名を指定します。このパラメータの文字数は1~16です。
OTMAGROUP
groupname
IMSとTMA TCPのXCFグループ名を指定します。このパラメータの文字数は1~8です。
OTMASECURITY
Yes|No
ユーザー認証のセキュリティを有効にするかどうかを指定します。Yesを指定するとセキュリティが有効になり、Noを指定するとセキュリティが無効になります。
デフォルト値: No
MSGLEVEL
msg-level | 4
TMA TCP for IMSによって記録されるときのメッセージの詳細レベルを指定します。
0: メッセージの記録なし
2: エラー・メッセージのみ
3: 情報メッセージとエラー・メッセージ
4: セキュリティ監査メッセージ
メッセージ・レベルの値は累計式です。たとえば、メッセージ・レベルに4を指定した場合、メッセージ・レベル4以下のメッセージ(セキュリティ監査メッセージ、情報メッセージ、エラー・メッセージなど)が記録され、z/OSコンソールにも表示されます。
通常はメッセージ・レベルに4を指定して、セキュリティ監査メッセージ、情報メッセージおよびエラー・メッセージをすべて記録する必要があります。
デフォルト値: 5
CLIENTSHUTDOWN
Yes|No
SHUTDOWNリクエストをリモート・クライアント・リクエストとして発行できるようにするのか、またはリモート・クライアント・リクエストに対するレスポンスとして発行できるようにするのかを指定します。システムの停止の詳細は、「Oracle TMA TCP for IMSの監視」の項を参照してください。
デフォルト値: No
IDLETIMEOUT
nn | 0
ローカル・ゲートウェイがセッションを終了するまでの経過時間(秒数)を指定します。
デフォルト値: 0
DRUEXIT
exit-name
このクライアントが使用する、IMSの宛先解決ユーザー・イグジット・ルーチンの名前を指定します。デフォルトはDFSYDRU0です。DFSYDRU0ユーザー・イグジットのサンプルは、「JCLおよびユーザー・イグジットのサンプル」の項を参照してください。
SPARESOCKETS
nn
動的な構成変更(ゲートウェイを追加したり、ゲートウェイの最大セッション数を大きくするなど)のために確保する予備のソケット記述子の数を指定します。
デフォルト値: 0。

 


ローカル・ホストの定義

IMSリクエストに対するサービスを提供するIMSホスト・システムは、HOST TYPE=IMS文を使用して定義します。この文は、TMA TCP for IMSをOTMAクライアントとして実行する場合にのみ使用します。

HOST文の構文

次のコード・リストに、HOST文のパラメータの構文を示します。

リスト4-2 HOST文の構文
HOST,TYPE=IMS,
IMSID=IMS-system-logical-identifier,
OTMANAME=IMS-clientname,
OTMAINPIPE=server-request-name,
OTMAOUTPIPE=client-request-name]
[,NUMTPIPES=(nnnn|1)]
MAXRSPLEN=nnnn

HOSTパラメータの説明

HOST文で使用するパラメータは次のとおりです。

パラメータ
[Value]
説明
IMSID
IMS-system-logical-identifier
IMSのシステム定義を一意に識別するシンボリック名を指定します。
このパラメータは、IMSのsysgenまたはIMSリージョンのJCL文に指定されるIMSIDパラメータとは関係がありません。
OTMANAME
IMS-clientname
IMSシステムのXCFクライアント名を指定します。このパラメータの文字数は1~16です。
OTMAINPIPE
server-request-name
IMSシステム・サーバー・リクエストのトランザクション・パイプ名を指定します。このパラメータの文字数は1~4です。
OTMAOUTPIPE
client-request-name
IMSクライアント・リクエストのトランザクション・パイプ名を指定します。このパラメータの文字数は1~8です。
NUMTPIPES
nnnn|1
IMSサーバー・リクエストのトランザクション・パイプの数を指定します。この値の範囲は1~9,999です。

デフォルト値: 1
MAXRSPLEN
nnnn
IMSサーバー・レスポンスの最大長を指定します。値の範囲は1,024~8,192,000です。

 


ローカル・ゲートウェイの定義

ローカル(IMS)・ゲートウェイの定義には、リモート・ゲートウェイがIMSゲートウェイとの接続に使用できるアクセス・ポイントを定義します。

ローカル・ゲートウェイを定義する際に、物理的なIPアドレスとポート番号を1つずつ付与することも、物理的なIPアドレスとポート番号のどちらか一方、またはその両方を複数付与することもできます。また、物理的な各ポートが、リモート・ゲートウェイから1つ以上の着信TCP/IP接続を同時に受け付けるように定義することもできます。

ローカル・ゲートウェイを定義するGATEWAY TYPE=LOCAL文が構成ファイル内に1つ以上なければなりません。それぞれのGATEWAY TYPE=LOCAL文には、TMA TCP for IMSがリモート・ゲートウェイから着信接続リクエストを受信するための特定のIPアドレスとポート番号を定義します。リモート・ゲートウェイは着信接続を使用して、クライアント・リクエストをIMSゲートウェイに送信し、IMSサーバー・トランザクション側で処理できるようにします。GATEWAY TYPE=LOCAL文に定義する各ローカル・ゲートウェイには、一意の論理マシン識別子(ゲートウェイの識別に使用されるシンボル名)を付与する必要があります。

リモート・システムがローカル・ゲートウェイとの着信セッションを確立しようとするときに、アカウントIDとパスワードのどちらか一方または両方を要求するように設定できます。

サンプルの構成は、「構成ファイルの例」の項を参照してください。

GATEWAY TYPE=LOCAL文の構文

リスト4-3に、ローカル・ゲートウェイのパラメータの構文を示します。

リスト4-3 ローカル・ゲートウェイの構文
GATEWAY,TYPE=LOCAL,
LMID=logical-machine-id,
PORT=port-number,
ACCOUNT={account-id|*},
PASSWORD={password|*}
[,HOSTADDR=(ip-address|hostname)]
[,MAXMSGLEN={max-message-length|2048}]
[,SESSIONS={(startup-sessions,max-sessions)|1}]
[,IDLETIMEOUT={nn|0}]
[,MULTIPLEX={nn|1}]

GATEWAY TYPE=LOCALパラメータの説明

GATEWAY TYPE=LOCAL文で使用するパラメータは次のとおりです。

パラメータ
[Value]
説明
LMID
logical-machine-id
このゲートウェイ/ポートを一意に識別するシンボル名(1~16文字)を指定します。

注意: 特殊記号は使用できません

PORT
port-number
リモート・ゲートウェイからの着信接続を受信するポート番号(10進数、1~32,767)を指定します。TCP/IPアプリケーションによる使用のために予約されている一般的なポート番号の範囲に入らないポート番号を選択してください。
アカウント
account-id|*
接続を確立する際にリモート・ゲートウェイから要求するアカウントID(1~8文字)を指定します。アカウントIDを使用しない場合は、ACCOUNT=*という指定にする必要があります。
パスワード
password|*
接続を確立する際にリモート・ゲートウェイから要求するパスワード(1~8文字)を指定します。パスワードを使用しない場合は、PASSWORD=*という指定にする必要があります。
HOSTADDR
ip-address|hostname
リモート・ゲートウェイからの着信接続を指定のポート番号で受信する際に、このマシンの宛先をIPアドレスとホスト名のどちらにするのかを指定します。IPアドレスはドット区切りの10進表記法(たとえば199.203.45.99)で指定します。ホスト名は1~256文字の文字列として指定しますが、DNSのエントリと一致していなければなりません。

注意: "-"のような特殊文字を使用する場合は、その文字を使用したアドレス名の前後に引用符を付ける必要があります。たとえば、HOSTADDR="SIA-COTS"のようになります。

デフォルト値: このパラメータを指定しない場合、接続はネットワーク・インタフェースを介して受信されます。
MAXMSGLEN
max-message-length|2048
接続中に受信するTCP/IPメッセージの最大長を指定します。値の範囲は1~32,767です。
デフォルト値: 2048
SESSIONS
(startup-sessions,max-sessions)|1
このゲートウェイが同時に受信できるアクティブな着信セッションの最大数を指定します。入力フォーマットは(startup-sessions,max-sessions)で、startup-sessionsは起動時に開始するセッションの数を表し、max-sessionsは同時に受信できるアクティブな着信セッションの最大数を表します。max-sessionsの範囲は0~32,767です。
デフォルト値: 1
IDLETIMEOUT
nn|0
ローカル・ゲートウェイがセッションを終了するまでの経過時間(秒数)を指定します。
デフォルト値: 0
MULTIPLEX
nn|1
このゲートウェイがセッションごとに同時に受信できるメッセージの最大数を指定します。
デフォルト値: 1

 


リモート・ゲートウェイの定義

リモート・ゲートウェイとは、1つ以上のTCP/IP接続を介してTMA TCP for IMSから接続可能なもう一方のOracle Tuxedo Mainframe Adapterゲートウェイ(TUX、CICSまたはIMS)のことです。リモート・ゲートウェイの定義には、TMA TCP for IMSがリモート・ゲートウェイとの接続に使用するアクセス・ポイントを定義します。

リモート・ゲートウェイはそのIPアドレスとポート番号で定義します。ローカル(IMS)・ゲートウェイが開始する1つ以上の発信TCP/IP接続を同時に受信するゲートウェイとして、リモート・ゲートウェイを定義できます。IMSゲートウェイは発信接続を使用して、IMSクライアント・リクエストをリモート・ゲートウェイに送信し、リクエスト先のサービスが処理できるようにします。

構成ファイルでは、リモート・ゲートウェイを定義する1つ以上のGATEWAY TYPE=REMOTE文を使用します。それぞれのGATEWAY TYPE=REMOTE文は、TMA TCP for IMSがリモート・ゲートウェイとの発信接続の確立に使用するIPアドレスとポート番号を定義します。また、GATEWAY TYPE=REMOTE文は、一意の論理マシン識別子により、リモート・ゲートウェイの識別も行います。

構成ファイルに複数のGATEWAY TYPE=REMOTE文を記述し、それぞれ別々のリモート・ゲートウェイを定義できます。GATEWAY TYPE=REMOTE文がない場合、TMA TCP for IMSはリモート・ゲートウェイとの発信接続を確立できないため、IMSクライアント・リクエストを処理できません。

リモート・ゲートウェイとの発信セッションを確立する際に、有効なアカウントIDとパスワードの指定を要求するようにTMA TCP for IMSソフトウェアを構成することもできます。

GATEWAY TYPE=REMOTEのサンプルは、「構成ファイルの例」の項を参照してください。

GATEWAY TYPE=REMOTE文の構文

リスト4-4に、GATEWAY TYPE=REMOTE文のパラメータの構文を示します。

リスト4-4 リモート・ゲートウェイの構文
GATEWAY,TYPE=(REMOTE,{TUX|IMS|CICS,tran-id|CICSCPT}),
LMID=logical-machine-id,
HOSTADDR=(ip-address|hostname),
PORT=port-number,
ACCOUNT={account-id,*},
PASSWORD={password,*}
[,MAXMSGLEN=max-message-length|2048]
[,SESSIONS=(min-sessions),(max-sessions)]
[,MULTIPLEX={nn|0}]
[,IDLETIMEOUT={nn|0}]

GATEWAY TYPE=REMOTEパラメータの説明

GATEWAY TYPE=REMOTE文で使用するパラメータは次のとおりです。

パラメータ
[Value]
説明
TYPE
(REMOTE,type)
リモート・ゲートウェイのタイプを指定します。次のいずれかを指定する必要があります。
TUX: リモート・ゲートウェイはTMA TCP Gatewayゲートウェイです。
IMS: リモート・ゲートウェイはTMA TCP for IMSゲートウェイです。
CICS, tran-id: リモート・ゲートウェイはTMA TCP for CICSゲートウェイです。tran-idは、TCP/IP TMAからの着信リクエストを処理するようにCICSがスケジュール設定するTMA TCP for CICSトランザクションの1~4文字の名前を示します。詳細は、『Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for TCP CICSユーザー・ガイド』を参照してください。
CICSCPT: リモート・ゲートウェイは、TCP/IPアクセスにInterlink CPT製品を使用するTMA TCP for CICSゲートウェイです。
LMID
logical-machine-id
リモート・ゲートウェイを一意に識別するシンボル名(1~16文字)を指定します。論理マシン識別子は、リモート・サービスと特定のリモート・ゲートウェイとの関連付けに使用されます。
HOSTADDR
ip-address|hostname
リモート・ゲートウェイのIPアドレスを指定します。IPアドレスは、標準的なドット区切りの10進表記法(103.204.79.82)を使用して指定します。ホスト名は1~256文字の文字列として指定し、DNSのエントリと一致していなければなりません。

注意: "-"のような特殊文字を使用する場合は、その文字を使用したアドレス名の前後に引用符を付ける必要があります。たとえば、HOSTADDR="SIA-COTS"のようになります。

PORT
port-number
リモート・ゲートウェイとの接続の確立に使用するポート番号(1~32,767)を指定します。
アカウント
account-id
リモート・ゲートウェイとの接続の確立に使用するアカウントID(1~8文字)を指定します。アカウントIDを使用しない場合は、ACCOUNT=*を指定する必要があります。
パスワード
password
リモート・ゲートウェイとの接続の確立に使用するパスワード(1~8文字)を指定します。パスワードを使用しない場合は、PASSWORD=*を指定する必要があります。
MAXMSGLEN
max-message-length
接続中に送信されるTCP/IPメッセージの最大長(1~32,767)を指定します。
デフォルト値: 2048
SESSIONS
min-sessions
TMA TCP for IMSの初期化中に、このゲートウェイで自動的に開始される発信セッションの最小数(10進数、0~32,767)を指定します。それ以上のセッションは、要求に応じてそれぞれ開始されます(セッション数の上限は指定の最大数まで)。
リモート・ゲートウェイの発信セッションの最小数(0より高い数)を指定しておけば、初期化中にそのゲートウェイとの間で自動的に発信セッションを確立できます。このような処理は、テスト用のトランザクションを使用せずに、発信の接続が確立できたかを検証するときに便利です。
デフォルト値: 0
 
max-sessions
このゲートウェイとの間で同時に確立できるアクティブな発信セッションの最大数(10進数、0~32,767)を指定します。
デフォルト値: 1
MULTIPLEX
nn|0
ゲートウェイがセッションごとに同時に受信できるメッセージの最大数を指定します。
デフォルト値: 1
IDLETIMEOUT
nn|0
リモート・ゲートウェイがセッションを終了するまでの経過時間(秒数)を指定します。セッション数が最小セッション数になるまで、リモート・ゲートウェイはセッションを終了します。
デフォルト値: 0

 


リモート・サービスの定義

リモート・サービスは、TMA TCP for IMSのアクセス先のリモート・ゲートウェイから提供されるサービスです。IMSクライアント・トランザクションからは、リモート・ゲートウェイで提供されているサービスに対するリクエストを発行できます。

構成ファイルでは、リモート・サービスを定義する1つ以上のSERVICE TYPE=REMOTE文を使用します。それぞれのSERVICE TYPE=REMOTE文には、ローカル・サービス名(サービスをリクエストするためにIMSクライアント・トランザクションが使用)、リモート・サービス名(リモート・システム上のサービスの呼出しに使用)、およびサービスを提供するリモート・ゲートウェイの論理マシン識別子を定義します。指定した論理マシン識別子に対応するGATEWAY TYPE=REMOTE文を構成する必要があります。

構成ファイルには、1つの(ローカルの)サービス名に対して、それぞれ異なる論理マシン識別子(つまりゲートウェイ)を割り当てたSERVICE TYPE=REMOTE文を複数、指定できます。この場合は、TMA TCP for IMSが、使用可能なサービス・プロバイダにサービスのリクエストを分配するため、ビジーになったときにスループットを最小限に抑えることができます。

この文のサンプルは、「構成ファイルの例」の項を参照してください。

SERVICE TYPE=REMOTE文の構文

リスト4-5に、SERVICE TYPE=REMOTE文のパラメータの構文を示します。

リスト4-5 リモート・サービスの構文
SERVICE,TYPE=REMOTE,
NAME=(local-service-name,remote-service-name),
LMID=logical-machine-id
[,TIMEOUT={timeout|30}]

SERVICE TYPE=REMOTEパラメータの説明

SERVICE TYPE=REMOTE文で使用するパラメータは次のとおりです。

パラメータ
[Value]
説明
名前
local-service-name
このマシン上でサービスとして認識される名前(1~16文字)を指定します。これは、IMSクライアントがサービスをリクエストするために使用する名前です。
 
remote-service-name
リモート・マシン上でサービスとして認識される名前(1~16文字)を指定します。この名前は、リモート・マシン上のサービスを呼び出すために使用される名前です。
LMID
logical-machine-id
このサービスを提供するリモート・ゲートウェイの論理マシン識別子(1~16文字)を指定します。この名前は、GATEWAY TYPE=REMOTE文に指定した論理マシン識別子と一致する必要があります。
TIMEOUT
timeout|30
サービスの時間制限(10進数、1~32,767)を秒単位で指定します。指定した時間の間にレスポンスを受信しない場合は、エラー状態になっていると認識されます。
デフォルト値: 30

 


ローカル・サービスの定義

ローカルのIMSホストが提供するサービスは、SERVICE TYPE=LOCAL文を使用して定義します。それぞれの文が別々のローカルのIMSIDを指定するという前提で、複数のSERVICE TYPE=LOCAL文を定義することも、複数の文で同じサービスを定義することもできます。

SERVICE TYPE=LOCAL文の構文

リスト4-6に、SERVICE TYPE=LOCAL文のパラメータの構文を示します。

注意: TMA TCP for IMSをOTMAクライアントとして実行している場合にのみ、SERVICE TYPE=LOCAL文を使用します。
リスト4-6 ローカル・サービスの構文
SERVICE,TYPE=LOCAL,
NAME=(local-service-name,remote-service-name),
IMSID=logical-IMS-id,
[,V21COMPAT={Yes|No}]
[,FASTPATH={Yes|No}]
[,SECURITY={Yes|No}]
[,RESPONSE=remote-service-name]

SERVICESパラメータの説明

LOCAL SERVICES文で使用するパラメータは次のとおりです。

パラメータ
[Value]
説明
名前
local-service-name
このマシン上でサービスとして認識される名前(1~16文字)を指定します。この名前は、IMSにトランザクション名として渡される名前です。
 
remote-service-name
リモート・マシン上でサービスとして認識される名前(1~16文字)を指定します。この名前は、このサービスを呼び出すためにリモート・クライアントから渡される名前です。
IMSID
logical-IMS-id
IMSのシステム定義を一意に識別するシンボル名を指定します。この名前は、HOST, TYPE=IMS文に指定した論理的なIMS ID(IMSID)と一致する必要があります。
FASTPATH
Yes|No
このサービスがFastPathトランザクションかどうかを指定します。Yesを指定するとFastPathトランザクションが有効になり、Noを指定するとFastPathトランザクションが無効になります。
デフォルト値: No
セキュリティ
Yes|No
このサービスのセキュリティを有効にするかどうかを指定します。Yesを指定するとセキュリティが有効になり、Noを指定するとセキュリティが無効になります。
デフォルト値: No
RESPONSE
remote-service-name
レスポンスの送信先のリモート・サービス名をリクエストとして指定します。

注意: このパラメータは、ローカル・サービス・リクエストにNOREPLYレスポンスを指定した場合にのみ有効です。

V21COMPAT
Yes|No
バージョン2.1以前のTMA TCPと連携する仕様に基づいてトランザクションが開発されたかどうかを指定します。Yesを指定すると、バージョン2.1以前のTMA TCP for IMSと連携する仕様で開発されたものとしてトランザクションを実行します。Noを指定すると、バージョン2.1以前ではないTMA TCP for IMSと連携する仕様で開発されたものとしてトランザクションを実行します。
デフォルト値: No

 


TMA TCP for IMSの動的な構成

TMA TCP for IMS製品では、処理環境を確立するために構成ファイルが使用され、このファイルは実行時に読み込まれ処理されます。構成パラメータをゲートウェイの実行中に変更することもできます。TCPの処理待ちのWTORでコマンドを入力して、次に示すように、TMA TCP for IMSゲートウェイの構成を動的に変更できます。

SYSTEMパラメータの変更

MOD SYSTEMコマンドを使用して、次のSYSTEMパラメータを動的に変更できます。

リスト4-7は、MOD SYSTEMコマンドを使用するときの例です。

リスト4-7 MOD SYSTEMコマンドの例
MOD SYSTEM, SLEEPTIME=(150,500,5), MSGLEVEL=4, CLIENTSHUTDOWN=NO

パラメータの説明と構文は、「SYSTEMパラメータの説明」の項を参照してください。

ファイルへの構成の書込み

現在の構成をファイルに書き込むには、完全修飾ファイル名を指定したCHKPT CONFIGコマンドを使用します。リスト4-8は、現在の構成をBEA.TMATCP.CONFIG1という名前のファイルに書き込むときの例です。

リスト4-8 CHKPT CONFIGコマンドの例
CHKPT CONFIG, FILE="BEA.TMATCP.CONFIG1"

ファイルの処理

コマンドが記述されているファイルを処理するには、完全修飾ファイル名を指定したINFILEコマンドを使用します。リスト4-9は、BEA.TMATCP.TESTFILE1ファイルを処理するときの例です。

リスト4-9 INFILEコマンドの例
INFILE BEA.TMATCP.TESTFILE1

ゲートウェイ構成の変更

ゲートウェイ構成を動的に変更でき、新しいゲートウェイの追加、既存のゲートウェイ定義の変更、ゲートウェイの開始、およぴゲートウェイの停止を行うことができます。パラメータの説明と構文は、「GATEWAY TYPE=LOCALパラメータの説明」および「GATEWAY TYPE=REMOTEパラメータの説明」の項を参照してください。

ゲートウェイの追加

現在の構成にゲートウェイを追加するには、ADD GATEWAYコマンドを使用します。このコマンドでは、次のGATEWAY文のパラメータを使用できます。

リスト4-10は、ADD GATEWAYコマンドを使用するときの例です。

リスト4-10 ADD GATEWAYコマンドの例
ADD GATEWAY, TYPE=LOCAL,
LMID=IMS1,
PORT=4500,
ACCOUNT=ACCT101,
PASSWORD=PSWD101,
HOSTADDR=128.0.0.1,
MAXMSGLEN=2048,
SESSIONS=5,
MULTIPLEX=3

ゲートウェイの起動

ゲートウェイを起動するには、LMIDパラメータを指定したSTART GATEWAYコマンドを使用します。リスト4-11は、OS3901ゲートウェイを起動するときの例です。

リスト4-11 START GATEWAYコマンドの例
START GATEWAY, LMID=OS3901

ゲートウェイの停止

ゲートウェイを停止するには、LMIDパラメータを指定したSTOP GATEWAYコマンドを使用します。処理中のリクエストが完了するまで待たずに、すぐにゲートウェイを停止する場合は、IMMED=YESパラメータを使用します。未処理のリクエストはエラーとして送信され、すべてのゲートウェイ接続が閉じます。ゲートウェイのトランザクションの処理が完了してから停止する場合は、IMMED=NOを使用します。待機している間、ゲートウェイは新しいリクエストを受け付けません。IMMED=NOがデフォルトです。リスト4-12は、トランザクションの処理が完了してからOS3901ゲートウェイを停止するときの例です。

リスト4-12 STOP GATEWAYコマンドの例
STOP GATEWAY, LMID=OS3901

既存のゲートウェイの変更

既存のゲートウェイを変更するには、まずゲートウェイを停止します。次に、MOD GATEWAYコマンドを使用して、サポートされているパラメータ定義を変更します。MOD GATEWAYコマンドには必ず既存のLMIDを指定するようにしてください。このコマンドでは、次のGATEWAY文のパラメータを使用できます。

リスト4-13は、MOD GATEWAYコマンドを使用するときの例です。

リスト4-13 MOD GATEWAYコマンドの例
MOD GATEWAY, LMID=SUN2, ACCOUNT=ACCT102, PASSWORD=PSWD102, MAXMSGLEN=2048

IMSホスト構成の変更

IMSホスト構成を動的に変更でき、ホストの新規追加、既存のホスト定義の変更、ホストの起動、およびホストの停止を行うことができます。パラメータの説明と構文は、「GATEWAY TYPE=LOCALパラメータの説明」および「GATEWAY TYPE=REMOTEパラメータの説明」の項を参照してください。

ホストの追加

現在の構成にホストを追加するには、ADD HOSTコマンドを使用します。このコマンドでは、次のHOST TYPE=IMS文のパラメータを使用できます。

リスト4-14は、ADD HOSTコマンドを使用するときの例です。

リスト4-14 ADD HOSTコマンドの例
ADD HOST, TYPE=IMS,
IMSID=IMS3,
OTMANAME=IMS71SYS3,
OTMAINPIPE=SYS3,
OTMAOUTPIPE=SYS3OUT,
NUMTPIPES=5

ホストの起動

ホストを起動するには、IMSIDパラメータを指定したSTART HOSTコマンドを使用します。リスト4-15は、IMS3ホストを起動するときの例です。

リスト4-15 START HOSTコマンドの例
START HOST, IMSID=IMS3

既存ホストの変更

既存のホストを変更する手順は次のとおりです。

  1. まずホストを停止します。
  2. 次にMOD HOSTコマンドを使用して、サポートされているパラメータ定義を変更します。MOD HOSTコマンドにはIMSIDを指定する必要があります。

このコマンドでは、次のHOST文のパラメータを変更できます。

リスト4-16は、MOD HOSTコマンドを使用するときの例です。

コマンド・リスト4-16 MOD HOSTコマンドの例
MOD HOST, IMSID=IMS3, NUMTPIPES=6

ホストの停止

ホストを停止するには、IMSIDパラメータにHOST, TYPE=IMS文のIMSIDの指定と同じ値を指定したSTOP HOSTコマンドを使用します。「ローカル・ゲートウェイの定義」の項を参照してください。処理中のリクエストが完了するまで待たずにホストをすぐに停止する場合は、IMMED=YESパラメータを使用します。未処理のリクエストはエラー・メッセージとして送信されます(エラー・メッセージの説明は、「エラー・メッセージと情報メッセージ」の項を参照してください)。未処理のリクエストの処理が完了してからホストを停止する場合は、IMMED=NOを使用します。待機している間、ホストは新しいリクエストを受け付けません。IMMED=NOがデフォルトです。リスト4-17は、トランザクションの処理が完了してからIMS3ホストを停止するときの例です。

リスト4-17 STOP HOSTコマンドの例
STOP HOST, IMSID=IMS3

リモート・サービス定義の変更

リモート・サービス定義を動的に変更でき、新しいサービスの追加、既存のサービス定義の変更、サービスの開始、およびサービスの停止を行うことができます。現行のサービスを変更する場合は、事前にサービスを停止する必要があります。パラメータの説明と構文は、「SERVICE TYPE=REMOTEパラメータの説明」の項を参照してください。

リモート・サービスの追加

現在の構成にリモート・サービスを追加するには、ADD SERVICEコマンドを使用します。このコマンドでは、次のSERVICE TYPE=REMOTE文のパラメータを使用できます。TYPELMIDおよびNAMEは必須パラメータです。

リスト4-18は、ADD SERVICEコマンドを使用してリモート・サービスを追加するときの例です。

リスト4-18 ADD SERVICEコマンド(リモート・サービス)の例
ADD SERVICE, TYPE=REMOTE,
LMID=TUX1,
NAME=(ECHO,ECHO),
TIMEOUT=60

リモート・サービスの停止

リモート・サービスを停止するには、LMIDパラメータとNAMEパラメータを指定したSTOP SERVICEコマンドを使用します。この場合、NAMEパラメータには、完全修飾(ローカル名, リモート名)の構文ではなく、ローカル名のみを指定します。処理中のリクエストが完了するまで待たずにすぐにサービスを停止する場合は、IMMED=YESパラメータを使用します。未処理のリクエストはエラー・メッセージとして送信されます。リクエストの処理が完了するまで待つ場合は、IMMED=NOを使用します。待機している間、ゲートウェイは新しいリクエストを受け付けません。IMMED=NOがデフォルトです。リスト4-19は、TUX1ゲートウェイのECHOを停止するときの例です。

リスト4-19 STOP SERVICEコマンド(リモート・サービス)の例
STOP SERVICE, 
LMID=TUX1,
NAME=ECHO

既存のリモート・サービスの変更

既存のリモート・サービス定義を変更する手順は次のとおりです。

  1. まずサービスを停止します。
  2. 次にMOD SERVICEコマンドを使用してサービス情報を変更します。LMIDパラメータとNAMEパラメータを使用して、変更するサービスを指定します。SERVICE TYPE=REMOTE文のTIMEOUTパラメータは、このコマンドでのみ変更可能なパラメータであり、必須指定のパラメータです。

リスト4-20は、MOD SERVICEコマンドを使用するときの例です。この場合は、NAMEパラメータには完全修飾(ローカル名, リモート名)の構文ではなく、ローカル名のみを指定します。

リスト4-20 MOD SERVICEコマンド(リモート・サービス)の例
MOD SERVICE,
LMID=TUX1,
NAME=ECHO,
TIMEOUT=60

リモート・サービスの開始

サービスを開始するには、LMIDパラメータとNAMEパラメータを指定したSTART SERVICEコマンドを使用します。この場合、NAMEパラメータには完全修飾(ローカル名, リモート名)の構文ではなく、ローカル名のみを指定します。リスト4-21は、TUX1サービスを開始するときの例です。

リスト4-21 START SERVICEコマンド(リモート・サービス)の例
START SERVICE, 
LMID=TUX1,
NAME=ECHO

ローカル・サービス定義の変更

ローカル・サービス定義を動的に変更でき、新しいサービスの追加、既存のサービス定義の変更、サービスの開始およびサービスの停止を行うことができます。既存のサービスを変更する場合は、事前にサービスを停止する必要があります。パラメータの説明と構文は、「ローカル・サービスの定義」の項を参照してください。

ローカル・サービスの追加

現在の構成にローカル・サービスを追加するには、ADD SERVICEコマンドを使用します。ローカル・サービスを追加する場合、TYPEIMSIDおよびNAMEは必須パラメータです。このコマンドでは、次のSERVICE TYPE=LOCAL文のパラメータを使用できます。

リスト4-22は、ADD SERVICEコマンドを使用するときの例です。

リスト4-22 ADD SERVICEコマンド(ローカル・サービス)の例
ADD SERVICE, TYPE=LOCAL,
IMSID=IMS1,
NAME=(BEASVR01,ECHO),
SECURITY=YES,
FASTPATH=NO,
V21COMPAT=NO

ローカル・サービスの停止

ローカル・サービスを停止するには、IMSIDパラメータとNAMEパラメータを指定したSTOP SERVICEコマンドを使用します。この場合、NAMEパラメータには完全修飾(ローカル名, リモート名)の構文ではなく、リモート名のみを指定します。処理中のリクエストが完了するまで待たずに、すぐにサービスを停止する場合は、IMMED=YESを使用します。未処理のリクエストはエラー・メッセージとして送信されます。リクエストの処理が完了するまで待つ場合は、IMMED=NOを使用します。待機している間、ゲートウェイは新しいリクエストを受け付けません。IMMED=NOがデフォルトです。リスト4-23は、IMS1ホストのECHOを停止するときの例です。

リスト4-23 STOP SERVICEコマンド(ローカル・サービス)の例
STOP SERVICE, IMSID=IMS1, NAME=ECHO

既存のローカル・サービスの変更

既存のローカル・サービス定義を変更する手順は次のとおりです。

  1. まずサービスを停止します。
  2. 次にMOD SERVICEコマンドを使用して、サポートされているパラメータを変更します。

このコマンドでは、次のSERVICE TYPE=LOCAL文のパラメータを変更できます。

リスト4-24は、MOD SERVICEコマンドを使用するときの例です。この場合は、NAMEパラメータには完全修飾(ローカル名, リモート名)の構文ではなく、リモート名のみを指定します。

リスト4-24 MOD SERVICEコマンド(ローカル・サービス)の例
MOD SERVICE, IMSID=IMS1, NAME=ECHO, SECURITY=YES

ローカル・サービスの開始

ローカル・サービスを開始するには、LMIDパラメータとNAMEパラメータを指定したSTART SERVICEコマンドを使用します。この場合、NAMEパラメータには完全修飾(ローカル名, リモート名)の構文ではなく、リモート名のみを指定します。リスト4-25は、IMS1ECHOサービスを開始するときの例です。

リスト4-25 START SERVICEコマンド(ローカル・サービス)の例
START SERVICE, IMSID=IMS1, NAME=ECHO

ステータス情報の表示

TMA TCP Gatewayのステータスを表示するには、STATUSコマンドを使用します。コマンドを実行すると、全IMSホストのXCFステータス、処理メッセージの数、受信したXCFメッセージの数、メッセージ制御ブロックの使用状況およびサービス数が表示されます。結果として出力されるIMSホストのステータス・コードは次のとおりです。


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