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Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Process Management Business Process Composerユーザーズ・ガイド
11g リリース1(11.1.1.5.0)
B61410-03
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8 ヒューマン・タスクの使用

この章では、Oracle Business Process Composerを使用してヒューマン・タスクを作成および編集する方法について説明します。

この章では、次の項目について説明します。

8.1 ヒューマン・タスクの理解

ヒューマン・ワークフローはOracle SOA SuiteおよびOracle BPM Suiteのコンポーネントであり、ユーザーがビジネス・アプリケーションと相互作用する方法を定義できます。ヒューマン・ワークフローは、この相互作用を管理するための実行時環境を提供します。

ヒューマン・ワークフローは、アプリケーションのユーザー相互作用を定義できるOracle Human Workflowの固有のコンポーネントです。ヒューマン・タスクは、Oracle Business Process Composerで作成および編集できます。


注意:

Oracle Business Process Composerを使用してヒューマン・タスクのすべてのプロパティを作成または編集できるわけではありません。プロパティを作成および編集するには、Oracle JDeveloperを使用する必要があります。詳細は、Oracle BPMモデリングおよび実装ガイドを参照してください。

ヒューマン・タスクでは、次のことを指定できます。

これらのコンポーネントについては、後続の各項で説明します。

8.1.1 ルーティングおよび参加者の概要

ヒューマン・タスクでは、ユーザー・アプリケーションでユーザーが様々なタスクを実行する順序を決定できます。この順序がヒューマン・タスクのルーティングです。参加者とは各タスクの実行を担当するユーザーまたはグループです。ヒューマン・タスク・エディタを使用して、ユーザー・タスクのルーティング・フローおよび参加者を指定できます。

8.1.1.1 参加者タイプ

ヒューマン・タスクでは、次の一般的なルーティング・シナリオのパターンがサポートされます。

  • 単一の承認者

    これは、1人の参加者を単一のユーザー、グループまたはロールにマップする単純なケースです。詳細は、8.1.2項「参加者割当ての概要」を参照してください。

    たとえば、休暇申請がマネージャに割り当てられているとします。マネージャは、休暇が始まる3日前までに申請タスクを操作する必要があります。マネージャが申請を正式に承認または却下すると、その決定が従業員に通知されます。マネージャがタスクを操作しない場合、申請は却下として処理されます。正式な却下の場合と同様に通知アクションが実行されます。

  • パラレル

    この参加者タイプは、一連のユーザーがパラレルで作業する必要があることを示します。このパターンは通常、投票で使用されます。

    たとえば、雇用に関して複数のユーザーが応募者の採否を票決する必要がある場合です。結果が有効になるために必要な得票率(多数決や満場一致など)を指定します。

  • FYI

    この参加者は、単一の承認者と同様に、単一のユーザー、グループまたはロールにマップします。ただし、このパターンでは、参加者は通知タスクを単に受信するのみで、ビジネス・プロセスでは参加者のレスポンスを待機しません。FYIの参加者は、タスクの結果に直接影響を与えることはできませんが、場合によっては、コメントを提供したり、添付ファイルを追加できます。

    たとえば、採用候補者の採用について地域マネージャが承認し、その候補が承認または却下のために州全体の統括マネージャに渡されたことが、地域の営業所に通知される場合です。

  • シリアル

    この参加者タイプは、一連のユーザーが順番に作業する必要があることを示します。ルーティング・ポリシーには、複数の参加者を順番に使用した順番による作業を指定できますが、このパターンは一連のユーザーが動的である場合に有用です。このシリアル・タイプの一般的なシナリオは、管理チェーン・エスカレーションです。このエスカレーションは、このパターンの指定内にある管理チェーンに基づいてリストを指定することで実行されます。

8.1.1.2 ルーティングのタイプ

図8-1は、単一の参加者のみが含まれている基本的なルーティングを示しています。

図8-1 単一の参加者の基本的なルーティング

図8-1の説明が続きます
「図8-1 単一の参加者の基本的なルーティング」の説明

一方、ヒューマン・タスクでは、詳細に制御できる複雑なタイプのルーティングもサポートしています。これらのルーティング・タイプには、次のものがあります。

  • 順次

    順次ルーティングでは、様々な参加者が、タスクを順番に処理します。図8-2は、順次ルーティングの例を示しています。この例では、Participant_1はルーティング・フローの最初の参加者です。Participant_1がタスクの処理を終了した後、タスクはParticpant_2に渡されます。Participant_2がタスクの処理を終了した後、ヒューマン・タスクは完了となります。

    図8-2 タスクの順次ルーティングの例

    図8-2の説明が続きます
    「図8-2 タスクの順次ルーティングの例」の説明

  • パラレル

    パラレル・ルーティングでは、複数の参加者がタスクを同時に処理します。図8-3は、パラレル・ルーティングの例を示しています。この例では、Participant_1とParticipant_2がタスクを同時に処理します。

    パラレル・ルーティングでは、パラレル・ブロックの後、タスク・フローが次の参加者にどのように続くかを決定するルーティングの結果を定義できます。詳細は、8.1.1.3項「結果」を参照してください。

    図8-3 タスクのパラレル・ルーティングの例

    図8-3の説明が続きます
    「図8-3 タスクのパラレル・ルーティングの例」の説明

8.1.1.3 結果

結果には、ヒューマン・タスクについて可能性がある結果引数を指定します。実行時に実行できるタスクとして選択した結果は、Oracle BPM Worklistに表示されます。

デフォルトの結果リストで選択されたデフォルトの結果よりも優先される投票時結果を指定できます。この結果は、必要なパーセンテージに達した場合に有効になります。結果は、表にリストされている順に評価されます。

結果の構成方法については、8.3.4項「パラレル・ルーティングの結果の構成方法」を参照してください。

8.1.2 参加者割当ての概要

参加者割当ては、アプリケーションを使用する組織内のユーザーにヒューマン・タスクをマップするプロセスです。各参加者を次のいずれかにマップして割り当てます。

  • ユーザー

    個々のユーザーをタスクの処理に割り当てることができます。たとえば、ユーザーjlondonまたはjsteinを特定のタスクに割り当てることができます。ユーザーは、SOAインフラストラクチャで構成されるアイデンティティ・ストアに定義されます。これらのユーザーは、Oracle WebLogic Server、Oracle Internet Directoryまたはサード・パーティのLDAPディレクトリの埋込みLDAPにできます。

    ユーザーと同様に、グループはSOAインフラストラクチャのアイデンティティ・ストアに定義されます。

  • グループ

    グループをタスクの処理に割り当てることができます。グループには、タスクの申告と処理を実行できる個々のユーザーが登録されます。たとえば、ユーザーjcooperおよびfkafkaは、タスクの処理に割り当てるLoanAgentGroupというグループのメンバーにできます。

  • アプリケーション・ロール

    タスクの要求と操作に、アプリケーション・ロールのメンバーであるユーザーを割り当てることができます。

ユーザー、グループまたはロールをヒューマン・タスク参加者に割り当てる手順は、8.3.5項「参加者へのユーザー、グループまたはロールの割当て方法」を参照してください。

8.1.3 期間の概要

期間は、別のアクションが実行されるまでヒューマン・タスクがアイドル状態でいる期間を定義します。期間は、ヒューマン・タスク全体または各ヒューマン・タスク参加者に対して定義できます。

ヒューマン・タスク全体に対して期間を定義する方法は、8.3.7項「ヒューマン・タスクに対する期間の定義方法」を参照してください。

ヒューマン・タスク参加者に対して期間を定義する方法は、8.3.6項「参加者に対する期間の定義方法」を参照してください。

8.2 ヒューマン・タスク・エディタの概要

Oracle Business Process Composerには、ヒューマン・タスクを作成および編集できるヒューマン・タスク・エディタがあります。ヒューマン・タスク・エディタは、図8-4に示すようなタブ付きペインで構成されています。

図8-4 ヒューマン・タスク・エディタ

図8-4の説明が続きます
「図8-4 ヒューマン・タスク・エディタ」の説明

タブ付きペインには、ヒューマン・タスクの様々なプロパティを構成できる3つのタブがあります。

8.3 ヒューマン・タスクの使用

次の各項では、ヒューマン・タスクの作成および編集方法について説明します。

8.3.1 新しいヒューマン・タスクの作成方法

Oracle Business Process Composerでは、新しいヒューマン・タスクを作成できます。作成されたヒューマン・タスクはビジネス・カタログに保存され、ビジネス・プロセスに組み込むことができます。

新しいヒューマン・タスクを作成する手順は、次のとおりです:

  1. 新しいヒューマン・タスクを作成するプロジェクトを開きます。

  2. ヒューマン・タスクを作成するプロセスを開きます。

  3. プロジェクトが編集モードであることを確認します。

  4. プロジェクト・ナビゲータで、ヒューマン・タスクを右クリックし、「新規ヒューマン・タスク」を選択します。

  5. 名前を入力して「OK」をクリックします。

ヒューマン・タスク・エディタにヒューマン・タスクが表示されます。詳細情報を参照してください。

新しいヒューマン・タスクを作成すると、そのヒューマン・タスクはビジネス・カタログに保存されます。ヒューマン・タスクは、ユーザー・タスクに割り当てることで、BPMNプロセス内に組み込むことができます。詳細は、6.3.2項「ユーザー・タスクの概要」を参照してください。

8.3.2 ヒューマン・タスクを開く方法

既存のヒューマン・タスクは、開いて表示または編集できます。

既存のヒューマン・タスクを開く手順は、次のとおりです。

  1. 表示または編集するヒューマン・タスクがあるプロジェクトを開きます。

  2. ヒューマン・タスクを作成するプロセスを開きます。

  3. プロジェクトが編集モードであることを確認します。

  4. プロジェクト・ナビゲータで、「ヒューマン・タスク」を展開し、開くヒューマン・タスクをダブルクリックします。

ヒューマン・タスクがヒューマン・タスク・エディタで開きます。詳細は、8.2項「ヒューマン・タスク・エディタの概要」を参照してください。

8.3.3 ヒューマン・タスクへの参加者の追加方法

ヒューマン・タスク・エディタを使用して、ヒューマン・タスクに参加者をさらに追加できます。

参加者をヒューマン・タスクに追加する手順は、次のとおりです。

  1. ヒューマン・タスクを開きます。

  2. 「一般」タブを選択します。

  3. 「参加者」エディタで、既存の参加者を選択します。

  4. 「追加」アイコンをクリックし、次のいずれかのルーティング・タイプを選択します。

    • 順次

    • パラレル

    詳細は、8.1.1.2項「ルーティングのタイプ」を参照してください。

  5. 次のいずれかの参加者タイプを選択します。

    • 単一

    • FYI

    • シリアル

    • パラレル

    詳細は、8.1.1.1項「参加者のタイプ」を参照してください。

  6. 右クリックして新しい参加者を追加します。

新しい参加者がヒューマン・タスク・ルーティングに追加されます。

8.3.4 パラレル・ルーティングの結果の構成方法

パラレル・ブロックのルーティング結果を構成できます。

パラレル・ルーティングの結果を構成する手順は、次のとおりです。

  1. ヒューマン・タスクを開きます。

  2. 「一般」タブを選択します。

  3. 「参加者」エディタで、パラレル・ブロックのいずれかの交点をダブルクリックします。

    図8-5に示すような投票結果エディタが表示されます。

    図8-5 投票結果エディタ

    図8-5の説明が続きます
    「図8-5 投票結果エディタ」の説明

  4. 「追加」アイコンをクリックし、次のいずれかの結果を選択します。

    • 承認

    • 却下

  5. 表に、結果の値を入力します。

  6. デフォルトの結果に対応する値をドロップダウン・リストから選択します。

  7. 「OK」をクリックします。

8.3.5 参加者へのユーザー、グループまたはロールの割当て方法

ヒューマン・タスク参加者にユーザー、グループまたはロールを割り当てることができます。割当ての詳細は、8.1.2項「参加者割当ての概要」を参照してください。

ユーザー、グループまたはロールを参加者に割り当てる手順は、次のとおりです。

  1. ヒューマン・タスクを開きます。

  2. 「一般」タブを選択します。

  3. 参加者をダブルクリックします。

  4. 「追加」ドロップダウン・メニューから、次のいずれかを選択します。

    • ユーザーの追加

    • グループの追加

    • アプリケーション・ロールの追加

  5. 「OK」をクリックします。

8.3.6 参加者に対する期間の定義方法

ヒューマン・タスク内の各参加者に対して期間を定義できます。

ヒューマン・タスク全体に対して期間を定義することもできます。詳細は、8.3.7項「ヒューマン・タスクに対する期間の定義方法」を参照してください。

ヒューマン・タスクのタスク・データを作成する手順は、次のとおりです。

  1. ユーザー、グループまたはロールを参加者に割り当てるヒューマン・タスクを開きます。

  2. 「データ」タブを選択します。

  3. 「追加」ボタンをクリックします。

  4. 次のいずれかのオプションを選択します。

    • string

    • int

    • boolean

    • TaskExecutionData

    「タスク・データ」表に、タスク・データが表示されます。

  5. 新しいタスク・データの名前を表に入力します。

8.3.7 ヒューマン・タスクに対する期間の定義方法

ヒューマン・タスク全体に対して期間を定義できます。

ヒューマン・タスク内の各プロセス参加者に対して期間を定義することもできます。詳細は、8.3.6項「参加者に対する期間の定義方法」を参照してください。

ヒューマン・タスクに対して期間を定義する手順は、次のとおりです。

  1. 期間を定義するヒューマン・タスクを開きます。

  2. 「一般」タブを選択します。

  3. 参加者をダブルクリックします。

  4. 「追加」ドロップダウン・メニューから、次のいずれかを選択します。

    • ユーザーの追加

    • グループの追加

    • アプリケーション・ロールの追加

  5. 「OK」をクリックします。

8.3.8 ヒューマン・タスクのタスク・データの作成方法

ヒューマン・タスク・エディタを使用して、ヒューマン・タスク内で使用するデータ型を定義できます。このデータは、ユーザー相互作用で入力される情報を保存する際に使用されます。

ヒューマン・タスクのタスク・データを作成する手順は、次のとおりです。

  1. タスク・データを作成するヒューマン・タスクを開きます。

  2. 「データ」タブを選択します。

  3. 「追加」ボタンをクリックします。

  4. 次のいずれかのオプションを選択します。

    • string

    • int

    • boolean

    • TaskExecutionData

    「タスク・データ」表に、タスク・データが表示されます。

  5. 新しいタスク・データの名前を表に入力します。

8.3.9 ヒューマン・タスクのプレゼンテーションの指定方法

プレゼンテーションは、アプリケーションのユーザー・インタフェースを定義します。Oracle Business Process Composerでは、ヒューマン・タスクのプレゼンテーションを表示または編集できません。ただし、接続性情報は指定できます。この情報は、実行時にプレゼンテーションにアクセスするのに使用されます。


注意:

この情報は、プロセス開発者または管理者が用意してください。

ヒューマン・タスクのプレゼンテーションを指定する手順は、次のとおりです。

  1. プレゼンテーションを指定するヒューマン・タスクを開きます。

  2. 「データ」タブを選択します。

  3. 「プレゼンテーション」を展開します。

  4. 次を入力します。

    • ホスト名: プレゼンテーションのデプロイ先サーバーのホスト名を指定します。

    • HTTPポート: プレゼンテーションのデプロイ先サーバーのポートを指定します。

    • HTTPSポート: プレゼンテーションのデプロイ先サーバーのセキュアなポートを指定します。

    • URI: プレゼンテーションのURIを指定します。

  5. 「OK」をクリックします。