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Oracle® Application Testing Suiteスタート・ガイド
バージョン9.20
B62629-01
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1 概要

Oracle Application Testing Suiteは、ビジネスで重要な役割を果すアプリケーションのスケーラビリティおよび信頼性を確実にするために必要なあらゆるツールを提供する、統合性の高い総合的なWebアプリケーション・テスト・ソリューションです。

このマニュアルでは、Oracle Application Testing Suiteの概要を紹介し、これらのツールの使用方法を順を追って説明していきます。

1.1 Oracle Application Testing Suite Administratorについて

Oracle Application Testing Suiteシステムの管理者は、Administrator を使用してOracle Load TestingおよびOracle Test Managerのユーザー・アカウントを管理できます。Oracle Load Testingには、ユーザー・アカウントおよび許可するアクセスのタイプを定義します。Oracle Test Managerには、ユーザー・アカウント、ロール、プロジェクトおよびフィールドを定義します。

図1-1 Administrator のメイン・ウィンドウ(テスト・マネージャ・データベース)

図1-1の説明へ
「図1-1 Administratorメイン・ウィンドウ(テスト・マネージャ・データベース)」の説明

1.1.1 Administratorの特長

Oracle Application Testing Suite Administratorには、次のような機能があります。

  • ユーザー・アカウント: Oracle Load TestingまたはOracle Test Managerでユーザー・アカウントを定義し、カスタマイズできます。

  • ロール: 読込み、書込み、削除および実行のアクセス権限を持つロールをOracle Test Managerで定義し、カスタマイズできます。

  • プロジェクト: Oracle Test Managerでプロジェクトを定義およびカスタマイズし、特定のユーザー・アカウントに割り当てることができます。

  • フィールド: Oracle Test Managerで要件、不具合、テストおよびテスト実行のためのフィールドを定義およびカスタマイズできます。

1.2 Oracle OpenScriptについて

OpenScriptは標準ベースのプラットフォームで作成され、OpenScriptモジュールおよびアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)の基礎となります。OpenScriptは、直感的なグラフィカル・インタフェースを堅牢なJava言語と組み合せることで、初心者から経験を積んだQA自動化の専門家まで幅広いニーズに応えます。

図1-2 OpenScriptのツリー・ビュー階層

図1-2の説明へ
「図1-2 OpenScriptのツリー・ビュー階層」の説明

OpenScript APIは、Webアプリケーションをテストするためのスクリプトの作成に使用されます。OpenScript APIは、開発環境内でスクリプトのカスタマイズに使用できる一連のプロシージャで構成されています。APIは、経験のある専門のユーザーが、独自のテストのニーズに応じてスクリプトを拡張するために使用することも可能です。

1.2.1 OpenScriptの特長

OpenScriptは、Webアプリケーション・テスト用のOracle Application Testing Suiteスクリプトを開発するための次世代環境です。OpenScriptには、Webベースのアプリケーションを簡単にテストできるように、次のような機能が用意されています。

  • スクリプト・ワークベンチ: OpenScriptには、自動化されたテスト・スクリプトを生成および実行できるEclipseベースのスクリプト・ワークベンチが用意されています。ユーザーはUIを介して、スクリプトを生成および編集するためのグラフィカルなツリー・ビュー・スクリプト・インタフェースを使用できます。また、Javaコード・ビュー・プログラム・インタフェースに切り替えて、プログラムを使用してスクリプトを生成および編集するための統合されたEclipse IDEを使用することも可能です。

    OpenScriptで作成された機能テスト・スクリプトは、アプリケーション機能をテストおよび検証するために再生できます。OpenScriptで生成された負荷テスト・スクリプトは、アプリケーションの負荷テストを行うOracle Load Testingで実行されます。これにより、多数のユーザーがスクリプトの実行を同時にシミュレーションできます。

  • テスト・モジュール: OpenScriptテスト・モジュールには、アプリケーション固有のテスト自動化機能があります。各テスト・モジュールは、特定のアプリケーションまたはプロトコルをテストするためにカスタム作成されます。OpenScriptには、Webベース・アプリケーションをテストするための、機能および負荷テスト・モジュールが複数含まれています。OpenScriptプラットフォーム用に追加のモジュールを開発できます。

    OpenScriptのテスト・モジュール・インタフェースは完全にオープンで、エンドユーザーによる拡張が可能です。ユーザーはテスト・モジュールAPIを使用して、特定のアプリケーションをテストするための独自のモジュールを作成したり、既存のモジュールを拡張して、カスタム機能を追加したりすることも可能です。

  • グラフィカル/ツリー・ビュー・スクリプト・インタフェース: OpenScriptツリー・ビュー・スクリプト・インタフェースでは、テスト・スクリプトがグラフィカルに表示されます。複数のスクリプト・ウィンドウを同時に開くことができます。各スクリプト・ウィンドウ内では、ツリー・ビューが次の3つの主なスクリプト・セクションに分割されます。

    • Initialize: 最初の反復時に一度のみ実行されるスクリプト・コマンド用

    • Run: すべての反復で実行されるコマンドのスクリプトの本体

    • Finish: 最後の反復時に一度のみ実行されるスクリプト・コマンド用

    各セクションには、スクリプトの記録中に自動で、またはツリー・ビュー・ユーザー・インタフェースを使用して手動で、「ステップ」および「ナビゲーション」スクリプト・ノードを生成できます。追加のスクリプト・コマンドも、テスト・ケース、データ入力、ログ・メッセージなどを含み、ツリー・ビューにノードとして表示されます。各ツリー・ビュー・ノードの表示は、Javaコード・ビューに対応しています。

  • プログラミング/コード・ビュー・スクリプト・インタフェース: OpenScript Javaコード・ビュー・スクリプト・インタフェースには、テスト・スクリプトのJavaコード表示が用意されています。このビューには、スクリプト・コードを生成、編集およびデバッグするためのEclipse IDEへの完全なアクセス権があります。Javaのスクリプト・コマンドは、対応するツリー・ビューの表示にマップされます。ユーザーは、コードまたはツリー・ビューでスクリプトを編集でき、その変更内容は両方のビューに自動的に反映されます。

  • プロパティビューおよび結果ビュー: OpenScriptプロパティ・ビューを使用すると、ユーザーはツリー・ビューで選択したスクリプト・ノードの詳細なプロパティを表示できます。

  • データバンク: OpenScripでは、ユーザーはスクリプト・データ入力をパラメータ化し、データバンクを使用してデータ・ドリブンのテストを実行できます。ユーザーはスクリプトに任意のデータ入力を選択し、再生中に外部ファイルから入力を行う変数を置換できます。単一のスクリプトに複数のデータバンク・ファイルを添付することが可能で、ユーザーはスクリプトの再生中にOpenScriptがデータを割り当てる方法を指定できます。

  • 相関: OpenScript相関インタフェースを使用すると、ユーザーは相関ライブラリを生成して、再生中に動的リクエストを自動的にパラメータ化できます。相関ライブラリには、URL、問合せ文字列および負荷テスト・モジュールのPOSTデータなど、動的リクエストのパラメータを自動的に処理するためのルールが含まれます。

  • OpenScript詳細設定: OpenScript詳細設定インタフェースでは、スクリプトの記録、スクリプトの再生、相関およびOpenScriptワークベンチの一般的な詳細設定を制御する設定をユーザーが指定できます。

  • 複数ユーザーの実行: 複数のOpenScriptインスタンスを別々の名前のWindowsユーザー・アカウントで起動します。複数のスクリプトに対する再生は、次のいずれかを使用してサポートされています。

    • OpenScriptの「再生」ボタン

    • コマンドライン・インタフェース

    • Oracle Load Testing

    • Oracle Test Manager

1.3 Oracle Load Testingについて

Oracle Load Testingでは、E-Businessのアプリケーションのスケーラビリティを簡単に、かつ正確にテストすることができます。Oracle Load Testingは、サイトに同時にアクセスする何千ものユーザーを想定してその行動をエミュレートし、アプリケーション・パフォーマンスへの負荷の影響を測定します。

図1-3 Oracle Load Testingの仮想ユーザー・ビュー

Load Testingの仮想ユーザー・ビューの画像
Oracle Load Testingの仮想ユーザー・ビューの説明

Oracle Application Testing Suite TrueLoadテクノロジーを使用したOracle Load Testingのテスト結果は、実際のユーザー負荷との相関が非常に高くなっています。このため、システム・アーキテクチャ、チューニング、ホスト・コンピュータの選択など、重要な決定を行うための信頼できる判断材料となります。

図1-4 同時オブジェクト要求と順次オブジェクト要求の比較

同時オブジェクト要求と順次オブジェクト要求の比較
図1-4 同時オブジェクト要求と順次オブジェクト要求の比較の説明

1.3.1 Oracle Load Testingの特長

Oracle Load Testingには、Webベース・アプリケーションの負荷テストについて次のような利点があります。

  • TrueLoadテクノロジー: マルチスレッドで発生する、ブラウザからの要求を正確にエミュレートし、自動的にサーバーの応答を検査します。実際のユーザー・テストと非常に高い相関を持つテスト結果が得られます。

  • 再利用可能なスクリプト: Oracle OpenScriptで作成したスクリプトを使用して、何百または何千という数の仮想ユーザーをエミュレートできます。

  • 対話型の想定分析と仮想ユーザーの閲覧画面の表示: ユーザーの数と種類を変更することが随時可能なので、負荷条件やアプリケーションの設定が変化した場合にどうなるかを試してみることができます。仮想ユーザーが閲覧しているページを実際に表示することもでき、デバッグ作業が容易になります。

  • グラフとレポートのリアルタイム表示: レポートとグラフをリアルタイムで見ることができます。応答時間、エラー発生率、ユーザー数、1秒当たりのヒット数、1秒当たりのページ数などが表示されます。

  • 分散エージェントによる1箇所での制御: 1台のサーバーでも、LANやWANに分散配置された複数台のサーバーでも、複数の仮想ユーザーのシミュレーションが行えます。

  • シナリオ・マネージャとオートパイロット: 負荷の設定を変えたテストをいくつでも定義できます。記録されているスクリプトの名前をクリックし、実行する各種のテストに対して仮想ユーザーの数と、それらをどのように増加させたいかを指定するだけで、シナリオが定義されます。

  • 実行後の分析: テスト結果のデータは、プロファイル、スクリプト、ページ・グループ、それぞれのページ、ページ内のオブジェクトなど、様々なレベルで蓄積できます。Oracle Load Testingは、様々なグラフとレポートを作成します。また、データを、Microsoft Excelのような外部プログラムにエクスポートし、さらに分析することもできます。

  • ServerStatsによるサーバー側の監視: サーバーに置かれている様々なアプリケーション、データベース、システム、Webサーバーの統計情報などについて、サーバーの運用状況を監視できます。サーバーが利用できる様々なホスト・コンピュータやサービスについて、CPU使用率、メモリー使用率、Webサーバーの統計情報など、パフォーマンスに関する統計情報が得られます。これらの数値をリアルタイムで表示するようにServerStatsを設定できます。

1.4 Oracle Test Managerについて

Oracle Test Managerは、テスト・プロセスを総合的に構成および管理できる簡単なツールです。チーム・メンバー間で情報を共有するための単一の統合プラットフォームを提供します。

図1-5 Oracle Test Managerのメイン・ウィンドウ

図1-5の説明へ
「図1-5 Oracle Test Managerのメイン・ウィンドウ」の説明

Oracle Test Managerを使用して、グループ化されたプロジェクトを作成し、テスト・スクリプト、テストが必要な要件、テスト結果からわかる不具合を整理できます。作成後は、これらの項目間の関係をクリックするだけですばやく簡単に特定のテスト・スクリプト、要件または不具合に関するすべての情報にアクセスできます。

1.4.1 Oracle Test Managerの特長

Oracle Test Managerには次のような機能があり、要件管理の統合化、手動および自動テストでの欠陥追跡が簡単にできます。

要件の管理: 特定のプロジェクトの要件を定義および管理できます。それぞれの要件を詳細に指定し、それぞれの状態を追跡したり、また、テスト範囲を拡張するためにテスト・ケースに関連付けたりすることができます。

テストの計画および管理: 手動および自動テスト・ケースを含むテスト・プランを定義および管理できます。Oracle Application Testing Suiteスクリプトをデータベースに格納し、Oracle OpenScriptでテスト・プラン・インタフェースからスクリプトを自動的に実行後、テスト結果を自動的に格納できます。要件をテスト・ケースに関連付けてテスト範囲を拡張し、不具合を再現できるように不具合とテスト・ケースを関連付け、どのように不具合が特定されたかを追跡し続けることもできます。

欠陥追跡: それぞれのプロジェクトで不具合とされる欠陥を作成および管理できます。不具合を再現できるように不具合とテスト・ケースを関連付け、どのように不具合が特定されたかを追跡し続けることができます。

Oracle Application Testing Suiteとの統合: Oracle Application Testing Suiteテスト・ソリューションと完全に統合し、機能テストおよび回帰テスト用のOracle OpenScriptスクリプトを自動で起動および実行でき、さらにその結果を取得および圧縮できます。サード・パーティ製品を起動することもできます。

レポート作成: 標準HTMLフォーマットでテスト・プロセスを総合的に管理するためのレポートを生成します。要件、テストおよび不具合に関するレポートを作成できます。

管理: ユーザー・アカウント、プロジェクト権限および詳細設定を入力および管理するツールを提供します。

カスタム・フィールド: データベースにカスタム・フィールドを追加して、プロジェクト固有のデータを記録できます。

データベース・リポジトリ: テスト・スクリプト、テスト結果、アタッチメント、要件、テスト・プランおよび欠陥が含まれるテスト・アセットを共通のデータベースに格納できます。

1.5 Oracle Application Testing Suiteデータベース設定

Oracle Application Testing Suiteデータベース設定ユーティリティでは、Oracle Load TestingおよびOracle Test Manager用のデータベース接続を追加できます。Oracle Application Testing Suiteのインストールでは、デフォルトでWebLogic WebサーバーとOracle 10g Express Edition Databaseがインストールされます。Oracle Application Testing Suiteデータベース設定ユーティリティは、現在のデータベースを設定する際やデフォルト以外のデータベースへ接続する際に使用できます。

1.5.1 データベース設定機能の特長

データベース設定ユーティリティには、次の機能があります。

  • データベース接続の追加、更新、削除: Oracle Load TestingおよびOracle Test Manager用のデータベース接続を簡単に管理できる機能です。

  • スキームおよびテーブルの作成: 追加のデータベース用に既存のスキームを自動的に使用するか、またはスキームおよびテーブルを作成します。