ナビゲーションリンクをスキップ | |
印刷ビューの終了 | |
Solaris のシステム管理 (IP サービス) Oracle Solaris 10 8/11 Information Library (日本語) |
1. Oracle Solaris TCP/IP プロトコル群 (概要)
5. TCP/IP ネットワークサービスと IPv4 アドレス指定の構成 (作業)
10. TCP/IP と IPv4 の詳細 (リファレンス)
18. DHCP コマンドと DHCP ファイル (リファレンス)
21. IP セキュリティーアーキテクチャー (リファレンス)
25. Oracle Solaris の IP フィルタ (概要)
29. モバイル IP のファイルおよびコマンド (リファレンス)
サービス品質に関する RFC (Request for Comments)
メーター (tokenmt および tswtclmt) の概要
トラフィックが IPQoS モジュールをどのように通過するか
IPQoS には、サービス品質の実装に伴ってネットワークパフォーマンスの効率を向上させるのに役立ついくつかの機能が含まれています。コンピュータネットワークが拡大すると、ユーザーや高機能なプロセッサの数が増加して、生成されるネットワークトラフィックを管理する必要性も増大します。ネットワークを過度に使用すると、データの消失やトラフィックの輻輳などの症状が現れます。どちらの症状も応答時間を遅らせます。
従来、システム管理者は帯域幅を拡張する方法でネットワークトラフィックの問題に対処してきました。しかし同時に、リンクごとのトラフィックのレベルには、大きなばらつきが見られがちでした。IPQoS を使用すると、既存のネットワーク上のトラフィックを管理しながら、ネットワークの拡大が必要かどうか、またどこに必要かを評価できます。
たとえば、企業や法人の場合は、効率的なネットワークを維持して、トラフィックに関する障害の発生を防ぐ必要があります。また、グループやアプリケーションが割り当てられた以上の帯域幅を消費しないようにする必要もあります。ISP や ASP は、顧客が料金分のレベルのネットワークサービスを確実に受けられるようにネットワークパフォーマンスを管理する必要があります。
IPQoS を使用すると、ネットワークの「帯域幅」、つまりネットワークリンクまたはデバイスが完全に使用された場合に転送できるデータの最大量を調整できます。サービス品質を顧客またはユーザーに提供するには、QoS ポリシーで、帯域幅の使用に優先順位を付ける必要があります。IPQoS のメータリングモジュールを使用すると、IPQoS 対応ホスト上の各トラフィッククラスへの帯域幅の割り当て量を測定および管理できます。
ネットワーク上のトラフィックを効果的に管理するには、帯域幅の使用量に関して、次の点を明らかにしておく必要があります。
ローカルネットワークのトラフィック問題の発生箇所はどこか
帯域幅を最適利用するために行うべきことは何か
サイト内で最優先するべき、重要なアプリケーションはどれか
輻輳が発生しやすいアプリケーションはどれか
優先順位を落としてもよい、重要度の低いアプリケーションはどれか
サービス品質を実現するには、ネットワークトラフィックを分析して、トラフィックを分類する大まかなグループ分けを決定します。次に、それぞれ特徴と優先順位を持つサービスクラスに各グループ分けを整理します。これらのクラスが基本的なカテゴリとなり、それに基づいて組織の QoS ポリシーを作成します。サービスクラスは、管理の対象となるトラフィックグループを代表します。
たとえば、プロバイダがプラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズの各レベルのサービスをそれぞれ異なる利用料金で提供するとします。プラチナレベルの SLA では、プロバイダが顧客用に運営している Web サイト宛ての着信トラフィックに対して、もっとも高い優先順位を保証します。このように、ある顧客の Web サイト宛ての着信トラフィックを 1 つのトラフィッククラスとしてまとめることができます。
企業向けには、部門の要求に基づくサービスクラスを作成できます。また、ネットワークトラフィック内の特定のアプリケーションの優位性に基づくクラスを作成することもできます。次に、企業向けのトラフィッククラスの例をいくつか示します。
特定のサーバー宛ての電子メールや発信 FTP などの、よく使われるアプリケーション。アプリケーションごとに 1 つのクラスを構成できます。これらのアプリケーションは従業員によって絶えず使用されるため、QoS ポリシーで、電子メールと発信 FTP には少量の帯域幅と低い優先順位を割り当てます。
一日 24 時間実行の必要がある注文入力データベース。企業にとってのデータベースアプリケーションの重要度に応じて、大量の帯域幅と高い優先順位を割り当てます。
人事部門などの、極めて重要な業務または機密業務を行う部署。組織にとっての部署の重要度に応じて、割り当てる優先順位と帯域幅の大きさを決めます。