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Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム) Oracle Solaris 10 8/11 Information Library (日本語) |
14. Oracle Solaris iSCSI ターゲットおよびイニシエータの構成 (手順)
UFS ファイルシステムユーティリティー (fsck、mkfs、および newfs) の拡張機能
Oracle Solaris のディスクベースのファイルシステム
UDFS (Universal Disk Format) ファイルシステム
汎用ファイルシステムコマンドと専用ファイルシステムコマンドのマニュアルページ
デフォルトの Oracle Solaris ファイルシステム
22. UFS ファイルシステムのバックアップと復元 (概要)
23. UFS ファイルとファイルシステムのバックアップ (手順)
ファイルシステムは、ファイルを編成して格納するためのディレクトリ構造です。「ファイルシステム」という用語は、次のような場合に使用されます。
特定の種類のファイルシステム (ディスクベース、ネットワークベース、または仮想) を指す場合
ルートディレクトリ (/) から始まるファイルツリー全体を指す場合
ディスクスライスやほかの記憶メディアデバイスのデータ構造を指す場合
ファイルツリー構造のうち、ファイルがアクセスできるように主なファイルツリー上のマウントポイントに接続されている部分を指す場合
通常、その意味は状況に応じて判断できます。
Solaris オペレーティングシステムは、各種ファイルシステムへの標準インタフェースを提供する「仮想ファイルシステム」 (VFS) アーキテクチャーを使用します。VFS アーキテクチャーによって、カーネルはファイルの読み取り、書き込み、一覧表示などの基本操作を処理できます。また、VFS アーキテクチャーにより新しいファイルシステムの追加も簡単になります。
Oracle Solaris OS では、次の 3 種類のファイルシステムがサポートされます。
ディスクベースのファイルシステム
ネットワークベースのファイルシステム
仮想ファイルシステム
ファイルシステムのタイプを確認するには、「ファイルシステムのタイプを調べる」を参照してください。
「ディスクベースのファイルシステム」は、ハードディスク、DVD、フロッピーディスクなどの物理メディアに格納されます。ディスクベースのファイルシステムは、さまざまな形式で作成できます。次の表で、作成できる形式について説明します。
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ディスクベースの各種ファイルシステムは、次のように特定のメディアのタイプに対応しています。
UFS とハードディスク
HSFS と CD-ROM
PCFS とフロッピーディスク
UDF と DVD
ただし、これらの対応関係は制限的なものではありません。たとえば、CD-ROM やフロッピーディスクにも、UFS ファイルシステムを格納できます。
リムーバブルメディア上で UDFS ファイルシステムを作成する方法については、「リムーバブルメディア上にファイルシステムを作成する方法」を参照してください。
UDF ファイルシステムは、「DVD」 (Digital Versatile Disc または Digital Video Disc) 光学式メディアに情報を格納するための業界標準形式です。
UDF ファイルシステムは、SPARC と x86 の両方のプラットフォームにおいて、動的に読み込み可能な 32 ビットと 64 ビットのモジュールとして提供されます。また、ファイルシステムを作成、マウント、および検査するシステム管理ユーティリティーも同時に提供されます。Oracle Solaris の UDF ファイルシステムは、サポートされている ATAPI と SCSI の DVD ドライブ、CD-ROM デバイス、ハードディスク、およびフロッピーディスクドライブで機能します。さらに、Oracle Solaris の UDF ファイルシステムは UDF 1.50 仕様に完全に準拠しています。
UDF ファイルシステムには次のような機能があります。
UDF ファイルシステムが入っている業界標準の CD-ROM や DVD-ROM のメディアにアクセスできます
さまざまなプラットフォームやオペレーティングシステムで情報を交換できます
UDF 形式に基づく DVD ビデオ仕様を使用することで、放送品質並みの映像、高品質のサウンド、すぐれた対話性という特長を備えた新しいアプリケーションを実装できます
次の機能は、UDF ファイルシステムにはありません。
書き込み可能なメディア (CD-RW) へのディスクアットワンス (Disk At Once) 記録、およびインクリメンタル記録
UDF 1.50 仕様の一部ではないディスク割り当て、ACL、トランザクションのロギング、ファイルシステムのロック、およびファイルシステムのスレッドなど UFS 構成要素
次に、UDF ファイルシステムの要件を示します。
SPARC または x86 プラットフォームがサポートされていること
CD-ROM または DVD-ROM ドライブがサポートされていること
Oracle Solaris で実装された UDF ファイルシステムには、次のような互換性があります。
業界標準の読み取り / 書き込み UDF Version 1.50 のサポート
完全に国際化されたファイルシステムのユーティリティー
「ネットワークベースのファイルシステム」は、ネットワークからアクセスされるファイルシステムです。ネットワークベースのファイルシステムは通常、1 つのシステム (通常はサーバー) 上にあり、ほかのシステムからネットワーク経由でアクセスされます。
NFS で分散された「リソース」 (ファイルやディレクトリ) を管理するには、サーバーからそれらのリソースをエクスポートして個々のクライアントシステムでマウントします。詳細は、「NFS 環境」を参照してください。
「仮想ファイルシステム」は、特殊なカーネル情報と機能へのアクセスを提供するメモリーベースのファイルシステムです。ほとんどの仮想ファイルシステムは、ディスク領域を使用しません。ただし、CacheFS ファイルシステムは、ディスク上のファイルシステムを使用してキャッシュを保持します。また、一時ファイルシステム (TMPFS) などの一部の仮想化ファイルシステムは、ディスク上のスワップ空間を使用します。
CacheFS ファイルシステムを使用すると、リモートファイルシステムや、CD-ROM ドライブのような低速デバイスのパフォーマンスを改善できます。ファイルシステムをキャッシュすると、リモートファイルシステムや CD-ROM から読み込まれたデータは、ローカルシステム上のキャッシュに格納されます。
NFS や CD-ROM ファイルシステムのパフォーマンスとスケーラビリティーを向上させるには、CacheFS ファイルシステムを使用してください。CacheFS ソフトウェアは、サーバーとネットワークの負荷を軽減して NFS サーバーのパフォーマンスとスケーラビリティーを改善する汎用ファイルシステムキャッシュメカニズムです。
CacheFS ソフトウェアは、階層化ファイルシステムとして設計されており、あるファイルシステムを別のファイルシステムのキャッシュに書き込む機能を持っています。NFS 環境では、CacheFS ソフトウェアはサーバーあたりのクライアント比率を高め、サーバーとネットワークの負荷を軽減し、ポイントツーポイントプロトコル (PPP) などの低速リンク上のクライアントのパフォーマンスを向上させます。また、CacheFS ファイルシステムと autofs サービスを組み合わせると、パフォーマンスとスケーラビリティーをさらに向上させることができます。
CacheFS ファイルシステムの詳細は、第 18 章CacheFS ファイルシステムの使用 (手順)を参照してください。
CacheFS クライアントと CacheFS サーバーの両方で NFS version 4 が実行されている場合、ファイルはフロントファイルシステムにキャッシュされません。すべてのファイルアクセスは、バックファイルシステムから提供されます。また、ファイルはフロントファイルシステムにキャッシュされていないため、フロントファイルシステムに反映する CacheFS 固有のマウントオプションは無視されます。CacheFS 固有のマウントオプションはバックファイルシステムに適用しません。
注 - 初めてシステムを NFS version 4 に構成すると、キャッシュが動作しないことを示す警告がコンソールに表示されます。
以前の Oracle Solaris リリースのように CacheFS マウントを実装する場合は、CacheFS mount コマンドで NFS version 3 を指定してください。例:
mount -F cachefs -o backfstype=nfs,cachedir=/local/mycache,vers=3 starbug:/docs /docs
一時ファイルシステム (TMPFS) は、ファイルシステムの読み取りと書き込みにローカルメモリーを使用します。通常、ファイルシステムの読み取りと書き込みには、UFS ファイルシステムよりもメモリーを使用したほうが効率的です。TMPFS を使用すると、ローカルディスク上で、あるいはネットワーク経由で一時ファイルの読み書きを行う際のオーバヘッドを軽減でき、システムパフォーマンスを改善できます。一時ファイルは、たとえば、プログラムのコンパイル時に作成されます。OS は、一時ファイルを操作しているとき、多くのディスク処理またはネットワーク処理を行います。TMPFS を使ってこれらの一時ファイルを管理することで、それらの作成、操作、および削除の効率を大幅に向上できます。
TMPFS ファイルシステムのファイルは、永続的に保存されるわけではありません。これらのファイルは、ファイルシステムのマウントが解除されるときと、システムがシャットダウンまたはリブートされるときに削除されます。
TMPFS は、Oracle Solaris OS 内の /tmp ディレクトリのデフォルトのファイルシステムです。UFS ファイルシステムの場合と同様に、/tmp ディレクトリとの間でファイルをコピーまたは移動できます。
TMPFS ファイルシステムは、一時的な退避場所としてスワップ空間を使用します。TMPFS ファイルシステムがマウントされたシステムのスワップ空間が足りないと、次の 2 つの問題が発生する可能性があります。
TMPFS ファイルシステムは、通常のファイルシステムと同様に容量不足になる可能性があります。
TMPFS はスワップ空間を割り当ててファイルのデータを保存するので (必要な場合)、一部のプログラムがスワップ空間不足のために実行できなくなる可能性があります。
TMPFS ファイルシステムの作成方法については、第 17 章ファイルシステムの作成およびマウント (手順)を参照してください。スワップ空間を追加する方法については、第 19 章追加スワップ空間の構成 (手順)を参照してください。
ループバックファイルシステム (LOFS) を使用すると、代替パス名を使用してファイルにアクセスできるように、新しい仮想ファイルシステムを作成できます。たとえば、 /tmp/newroot 上にルート (/) ディレクトリのループバックマウントを作成できます。このループバックマウントでは、NFS サーバーからマウントされたファイルシステムを含むファイルシステム階層全体が、 /tmp/newroot の下に複製されたように見えます。どのファイルにも、ルート (/) で始まるパス名または /tmp/newroot で始まるパス名を使用してアクセスできます。
LOFS ファイルシステムを作成する手順については、第 17 章ファイルシステムの作成およびマウント (手順)を参照してください。
プロセスファイルシステム (PROCFS) はメモリー内に存在し、/proc ディレクトリ内にアクティブなプロセスのプロセス番号別リストが格納されます。/proc ディレクトリの内容は、ps などのコマンドで使用されます。デバッガやほかの開発ツールも、ファイルシステムコールを使用して、プロセスのアドレス空間にアクセスできます。
注意 - /proc ディレクトリ内のファイルは削除しないでください。/proc ディレクトリからプロセスを削除しても、そのプロセスは強制終了されません。/proc ファイルはディスク容量を消費しないため、このディレクトリからファイルを削除しても無意味です。 |
/proc ディレクトリは、管理が不要です。
次のタイプの仮想ファイルシステムは、参考のために掲載してあります。管理は不要です。
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マウント出力には、ハードウェアに最適化されたプラットフォーム固有のライブラリのループバックマウントが含まれる場合があります。このループバックマウントは、管理の必要がなく、ディスク容量を消費しません。
UFS、NFS、および TMPFS ファイルシステムは、拡張ファイル属性を含むように機能拡張されました。アプリケーション開発者は、拡張ファイル属性を使って、ファイルに特定の属性を関連付けることができます。たとえば、ウィンドウシステムの管理アプリケーションの開発者は、表示アイコンとファイルを関連付けることができます。拡張ファイル属性は、論理的には、ターゲットファイルに関連付けられている隠しディレクトリ内のファイルとして表されます。
属性を追加し、拡張属性の名前空間内に入っているシェルコマンドを実行するには、runat コマンドを使用します。拡張属性の名前空間とは、特定のファイルに関連付けられた、非表示の属性ディレクトリです。
runat コマンドを使用して属性をファイルに追加するには、最初に属性ファイルを作成する必要があります。
$ runat filea cp /tmp/attrdata attr.1
次に、runat コマンドを使用して、ファイルの属性をリストに表示します。
$ runat filea ls -l
詳細は、runat(1) のマニュアルページを参照してください。
属性認識オプションの追加により、多くの Oracle Solaris ファイルシステムコマンドがファイルシステム属性をサポートするようになりました。属性認識オプションを使って、ファイル属性を照会したり、コピーしたり、検索したりできます。詳細は、各ファイルシステムコマンドのマニュアルページを参照してください。
Oracle Solaris OSは、一部のディスクスライスをファイルシステムではなく一時記憶域として使用します。これらのスライスを「スワップスライス」または「スワップ空間」と呼びます。スワップ空間は、現在のプロセスを処理するだけの十分な物理メモリーがシステムにない場合に、仮想メモリー記憶域として使用されます。
多くのアプリケーションは十分なスワップ空間が使用できることを前提に作成されているため、スワップ空間を割り当て、その使われ方を監視して、必要に応じてスワップ空間を追加する方法を知っておく必要があります。スワップ空間の概要とスワップ空間の追加方法については、第 19 章追加スワップ空間の構成 (手順)を参照してください。