この章では、JMXレポーティングを説明し、JMXレポーティングの有効化および構成の手順を示します。
この章には次の項が含まれます:
JMXレポートを使用すると、主要な管理情報が時系列で表示されます。レポートは、多くの場合、トラブルシューティングと計画で重要となる傾向を特定するために使用されます。JMXレポーティングはデフォルトでは無効になっているため、オペレーション・オーバーライド・ファイルまたはシステム・プロパティを使用して明示的に有効にする必要があります。
レポートの表示
デフォルトでは、10個のレポートが1時間ごとに作成され、1分ごとにリフレッシュされます。レポートは、クラスタ・メンバーが開始されたディレクトリに書き出されます。各ファイル名には、レポートの実行された日付と時刻がYYYYMMDDHH
形式で接頭辞として付加されます。これにより、不要な情報の特定やパージが容易になります。生成されたファイルは表4-1で説明されています。詳細は、第6章「レポータの内容の分析」を参照してください。
表4-1 デフォルトのJMXレポート
ファイル名 | 説明 |
---|---|
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各キャッシュの使用(put、getなど)の統計が含まれます。このレポートは、キャッシュがクラスタ上に存在する場合にのみ作成されます。 |
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Coherence管理フレームワークに関する情報が含まれます。 |
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各メンバーに関するメモリーおよびガベージ・コレクションの情報が含まれます。 |
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各メンバーにおけるパブリッシャの成功率および受信側の成功率が含まれます。 |
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グリッド全体におけるパブリッシャの成功率および受信側の成功率が含まれます。 |
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グリッドのメンバーのリストが含まれます。 |
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グリッドの各プロキシ・サーバーの使用に関する情報が含まれます。 |
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各サービスのリクエストおよびタスク情報が含まれます。 |
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フラッシュベースのストレージの使用およびパフォーマンスに関する情報が含まれます。 |
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RAMベースのストレージの使用に関する情報が含まれます。 |
JMXレポーティング構成について
JMXレポートは、レポート構成ファイル内で定義されます。事前定義されたレポート構成ファイルは、coherence.jar
ライブラリの/reports
ディレクトリにあります。各レポート構成ファイルでJMXレポートが作成されます。たとえば、report-node.xml
構成ファイルを使用してYYYYMMDDHH
-nodes.txt
レポートを作成します。レポート構成ファイルは、Coherence MBeanを使用してこのレポートで使用されているデータを収集します。レポート・ファイル構成要素の詳細は、付録B「レポート・ファイル構成リファレンス」を参照してください。
レポート・グループ構成ファイルを使用して、生成するレポート、レポートのリフレッシュ頻度、レポートの保存先ディレクトリおよびレポートの各パラメータを管理します。3つの事前定義されたレポート・グループ構成ファイルが最初から組み込まれており、それらはcoherence.jar
ファイルの/reports
ディレクトリにあります。
report-group.xml
: 基本的なCoherenceレポートの生成がセットで構成されます。このレポート・グループ構成ファイルはデフォルトの構成で使用されます。
report-web.xml
: 一連のCoherence*Webレポートを構成します。Coherence*Webに固有のレポートに関しては、『Oracle Coherence Oracle Coherence*Webユーザーズ・ガイド』を参照してください。
report-all.xml
: 初回起動時からのすべてのレポートの生成が構成されます。
レポート・グループ構成要素の詳細は、付録C「レポート・グループ構成リファレンス」を参照してください。
レポートのカスタマイズ
事前定義されたレポーティング構成ファイルはカスタマイズ可能で、新しい構成ファイルは必要に応じて作成できます。Coherence MBeanサーバーに登録されたすべてのMBean(カスタムのMBeanを含む)でレポート内に表示されたデータを所有できます。詳細は、第5章「カスタム・レポートの作成」を参照してください。
JMXレポーティングは、JMXレポートの作成前に有効化する必要があります。JMXレポーティングは、JMX管理が有効化されているクラスタ・メンバー上でのみ有効化できます。クラスタ・メンバーでJMX管理を有効化する方法の詳細は、「JMX管理の構成」を参照してください。デフォルトのレポーティング構成では、1時間ごとにレポートのセットが作成され、1分ごとにレポートがリフレッシュされます。レポートは、クラスタ・メンバーが開始されたディレクトリに書き出されます。
注意: JMXレポーティングを有効化する前に、レポートをアーカイブする計画を決定します。 |
JMXレポーティングを有効化するには、オペレーション・オーバーライド・ファイルを編集し、<reporter>
要素内に、true
に設定した<autostart>
要素を追加します。次に例を示します。
<?xml version='1.0'?> <coherence xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" xmlns="http://xmlns.oracle.com/coherence/coherence-operational-config" xsi:schemaLocation="http://xmlns.oracle.com/coherence/ coherence-operational-config coherence-operational-config.xsd"> <management-config> <reporter> <autostart system-property="tangosol.coherence.management.report.autostart">true </autostart> </reporter> </management-config> </coherence>
オペレーション・オーバーライド・ファイルを使用するかわりに、tangosol.coherence.management.report.autostart
システム・プロパティを使用してJMXレポーティングを有効にします。次に例を示します。
-Dtangosol.coherence.management.report.autostart=true
レポート・グループ構成ファイルを使用して、どのレポートが生成されるかを定義します。最初から組み込まれている3つのレポート・グループ構成ファイルを使用して、事前定義されたレポートであるreport-group.xml
(デフォルト: 基本的なレポートを生成)、report-web.xml
(Coherence*Webレポートを生成)およびreport-all.xml
(すべてのレポートを生成)を生成します。
レポート・グループ構成ファイルを変更するには、オペレーション・オーバーライド・ファイルを編集し、<reporter>
要素内に、レポート・グループ構成ファイルに設定した<configuration>
要素を追加します。次に例を示します。
<?xml version='1.0'?> <coherence xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" xmlns="http://xmlns.oracle.com/coherence/coherence-operational-config" xsi:schemaLocation="http://xmlns.oracle.com/coherence/ coherence-operational-config coherence-operational-config.xsd"> <management-config> <reporter> <configuration system-property="tangosol.coherence.management.report.configuration"> reports/report-all.xml</configuration> </reporter> </management-config> </coherence>
オペレーション・オーバーライド・ファイルを使用するかわりに、tangosol.coherence.management.report.configuration
システム・プロパティを使用してデフォルトのレポート・グループ構成ファイルを切り替えます。次に例を示します。
-Dtangosol.coherence.management.report.configuration=reports/report-all.xml
レポート内に表示されるタイムスタンプには、ローカルのタイム・ゾーンとデフォルトの日時形式(EEE MMM dd HH:mm:ss zzz yyyy
)が使用されます。このタイム・ゾーンと日時形式は必要に応じて変更できます。タイム・ゾーンは、ゾーンID(例: US/東部時間)またはカスタムID(例: GMT-05:00)のいずれかを使用して入力します。日時形式は、java.text.SimpleDateFormat
クラスで指定したパターンに従う必要があります。
レポート・タイムスタンプ・フォーマットを変更するには、オペレーション・オーバーライド・ファイルを編集し、<reporter>
要素内に、それぞれを該当するタイムゾーンと日時形式に設定した<timezone>
および<timeformat>
要素を追加します。次に例を示します。
<?xml version='1.0'?> <coherence xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" xmlns="http://xmlns.oracle.com/coherence/coherence-operational-config" xsi:schemaLocation="http://xmlns.oracle.com/coherence/ coherence-operational-config coherence-operational-config.xsd"> <management-config> <reporter> <timezone system-property="tangosol.coherence.management.report.timezone"> US/Eastern </timezone> <timeformat system-property="tangosol.coherence.management.report.timeformat"> MMM dd, yyyy hh:mm:ss a </timeformat> </reporter> </management-config> </coherence>
オペレーション・オーバーライド・ファイルを使用するかわりに、tangosol.coherence.management.report.timezone
およびtangosol.coherence.management.report.timeformatのシステム・プロパティを使用して、レポート・タイムスタンプ・フォーマットを変更します。次に例を示します。
-Dtangosol.coherence.management.report.timezone=US/Eastern -Dtangosol.coherence.management.report.timeformat=hh:mm:ss a
JMXレポーティングは、ReporterMBean
MBeanを使用して管理されます。このMBeanには、JMX統計を表示して、JMXレポーティングをリアルタイムで管理するために使用する属性および操作が含まれます。Coherence MBeanにアクセスする方法については、「Coherence MBeanへのアクセス」を参照してください。
注意: ReporterMBean MBeanを使用して変更された属性は保存されず、クラスタ・メンバーの再起動時には元の設定に戻ります。 |
図4-1は、JConsole内のReporterMBean
MBeanの属性と操作を示しています。
次のタスクは、ReporterMBean
MBeanを使用して実行できます。ReporterMBean
MBeanの属性と操作の完全なリファレンスについては、「ReporterMBean」を参照してください。
JMXレポーティングの開始: 現在停止している場合は、start
操作を使用してJMXレポーティングを開始します。
JMXレポーティングの停止: stop
操作を使用してJMXレポーティングを停止します。クラスタ・メンバーがJMXレポーティングを自動的に開始するように構成されている場合、クラスタ・メンバーの再起動時にJMXレポーティングが再開します。
オンデマンドでのJMXレポーティングの実行: runReport
操作を使用して、1つのレポートまたはレポート・グループのいずれかを一度に実行します。レポート構成ファイルまたはレポート・グループ構成ファイルを指定する必要があります。さらに、JMXレポーティングを開始して、レポートを実行する必要があります。
出力パスの変更: OutputPath
属性を使用して、レポートの保存先を変更します。
リフレッシュ間隔の変更: IntervalSeconds
属性を使用して、レポート・データのリフレッシュ頻度を変更します。
レポート構成ファイルの変更: ConfigFile
属性を使用して、使用するレポート・グループ構成ファイルを変更します。
バッチ番号の変更: CurrentBatch
属性を使用して、現在のバッチ番号を変更します。レポートの次回のリフレッシュは、新しいバッチ番号から増分されます。
分散構成の使用は、グリッドの安定性に問題がある場合のみお薦めします。この構成では、分散されたレポータが個別に実行されるため、実行時刻が揃いません。そのため、グリッド・レベルの分析は非常に困難になりますが、メンバーがグリッドに参加または離脱している間のメンバー・レベルの分析は可能です。
分散モードで実行する場合は、レポータを一元管理しながら各メンバーでローカルのJMXの統計を記録できます。分散構成を有効化する手順は次のとおりです。
次のシステム・プロパティを使用して、管理メンバーを起動します。
-Dtangosol.coherence.management.report.autostart=false -Dtangosol.coherence.management.report.distributed=true -Dtangosol.coherence.management=all -Dcom.sun.management.jmxremote
次のシステム・プロパティを使用して、管理対象クラスタ・メンバーを起動します。
-Dtangosol.coherence.management.report.autostart=true -Dtangosol.coherence.management.report.distributed=true -Dtangosol.coherence.management=local-only -Dtangosol.coherence.management.remote=true