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Oracle® Enterprise Manager Cloud Control拡張プログラマーズ・ガイド
12c リリース4 (12.1.0.4)
B70508-04
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6 ジョブ・フレームワークの使用方法

この章の内容は次のとおりです。

6.1 ジョブ・フレームワークの概要

Enterprise Managerには、ターゲットまたはターゲットのグループに対して実行される管理タスクの自動化を管理するジョブ・フレームワークがあります。自動化フレームワークは、ターゲット、資格証明、イベントなどの他のEnterprise Managerサブシステムと緊密に統合されているため、顧客は1つのコンソールからターゲットを監視および管理できます。

ジョブ・フレームワークによって提供されるインタフェースを使用すると、プラグインに定義されているターゲット・タイプの自動化要件をサポートできます。重要な管理機能の自動サポートを提供して、ジョブ・タイプをプラグインの一部として定義できます。

その結果、Enterprise Manager管理者は、プラグインでサポートされるターゲットを管理するために、それらのジョブをスケジュール、実行および監視できます。これらのジョブは、管理ベスト・プラクティスを施行する、修正処理としてアラートに対処する、あるいは企業の管理全般を自動化するために使用できます。Enterprise Managerには、ジョブ・コンソールが組み込まれており、管理者はジョブの実行を発行および監視できます。

6.2 ジョブの新機能

このリリースの新機能は次のとおりです。

6.2.1 資格証明拡張機能について

Oracle Enterprise Manager 12c リリース4 (12.1.0.4)より前は、ジョブ資格証明は2つのパラメータ(ユーザー名およびパスワード)で表していました。これには、資格証明セット、資格証明タイプおよびその列に関する知識と、Enterprise Managerでサポートできる認証スキームのプールに関係なく、ジョブ・タイプでサポートされる各種認証方式に関する知識も必要でした。

これらの問題を克服し、ジョブ・タイプの統合メカニズムを進化させて資格証明を指定するために、資格証明の使用と呼ばれる新しい概念が導入されました。資格証明の使用は、ジョブ・タイプと資格証明セット間のより直接的なリンクを可能にします。資格証明に含まれる個々の項目を特に参照する必要はありません。資格証明情報の指定の詳細は、Enterprise Managerプログラマーズ・リファレンスを参照してください。

6.2.1.1 資格証明タイプについて

資格証明タイプは、ターゲット・タイプでサポートされる認証のタイプです。たとえば、ホストでは、ユーザー名/パスワード・ベースの認証、公開鍵認証、Kerberos認証がサポートされます。ネイティブ・エージェント認証およびSSHを含め、様々な認証スキームがサポートされます。

ネイティブ・エージェント認証スキームではユーザー名/パスワード構造を採用していますが、SSH鍵認証スキームではユーザー名/秘密鍵/公開鍵構造を使用しています。

6.2.1.2 名前付き資格証明について

名前付き資格証明は、システム上のユーザーの認証情報です。名前付き資格証明には、ユーザー名/パスワード、公開鍵/秘密鍵のペア、またはX509v3証明書を使用できます。Enterprise Manager管理者は、これらの資格証明を名前付きエンティティとしてEnterprise Managerに格納し、ジョブの実行、パッチの適用、その他のシステム管理タスクなどの操作を実行するときに使用できます。たとえば、パッチの適用に使用するユーザー名およびパスワードをMyPatchingCredsとして格納できます。その結果、後でMyPatchingCredsを使用するパッチ適用ジョブを発行して、本番環境のデータベースにパッチを適用できます。

6.2.2 ロギング拡張機能の概要

Oracle Enterprise Manager 12c リリース4 (12.1.0.4)から、Enterprise Manager診断機能フレームワークが提供されており、各種Enterprise Managerコンポーネント内の診断機能を向上させることができます。このフレームワークは、構造化された最初の障害診断データを簡単に取得し、診断データの収集、パッケージ化およびOracleへのアップロードのプロセスを自動化します。

ジョブ・タイプをプラグインに定義しているときに、管理エージェントで実行中のジョブ・ステップからメッセージをロギングして、このフレームワークを利用できます。

6.3 ジョブについて

ジョブは、ジョブ・システムによって実行される作業単位です。管理者は、ジョブを作成し、ジョブの実行時期について日曜午前0時システムBにパッチ適用などのスケジュールを指定します。管理サーバーにより、ジョブはスケジュールおよび実行されます。

ジョブは、ジョブを構成するステップを定義するジョブ・タイプ定義の他、ジョブの実行に入力として必要なパラメータおよびジョブでアクセスするターゲットへのアクセスに必要な資格証明に基づいています。ジョブの発行時、パラメータおよび資格証明の値は発行者によって指定されます。

ジョブの実行は、相互に関連するジョブ・ステップの集合です。ステップは、ステップセットにグループ化できます。ステップセット内のステップは、シリアル(1つずつ)またはパラレル(同時)に実行できますが、両方で実行することはできません。ステップ(およびステップセット)は、他のステップの成否に基づいて実行することもできます。これらの概念の詳細は、Enterprise Managerプログラマーズ・リファレンスを参照してください。

ジョブ内のステップでは、管理エージェントでコマンド、スクリプトなどを処理できます。Enterprise Managerには、作成するジョブ・タイプ定義に含めることができる共通コマンドがいくつか用意されています。これには、(スクリプトの実行を可能にする)リモート操作などのコマンドと、putgetなどのファイル転送コマンドが含まれます。

各ステップに関連付けられたコマンドは通常、管理エージェントによってリモート・ノードに対して実行されます。ジョブの調整および全体ステータスは、管理サーバーによって保持され、管理リポジトリに格納されます。

図6-1 ジョブの概要

ジョブの概要

ジョブは、1つ以上のターゲット・リストを持っていることがあります。しかし、一部のジョブはターゲットを持たず、このようなジョブの場合、ターゲット・リストは空またはnullです。ターゲット・リストは、ジョブの1回の実行に必要なターゲットのセットです。ターゲット・リストを解析するかどうかはジョブ・タイプによります。たとえば、OSCommandジョブ・タイプは、指定パラメータで指定コマンドをリストのすべてのターゲットに対してパラレルに実行します。データベースのスキーマをクローニングするジョブは、若干異なる方法でターゲット・リストを解析します。たとえば、最初のターゲットをクローニング元のソース・データベースとみなします。2番目の引数をクローニングされたスキーマを移入するターゲット・データベースとみなします。ジョブは複数のターゲット・リストを指定して発行でき、それぞれが別個の実行になります。

最後に、すべてのジョブにはスケジュールが必要です。スケジュールでは、ジョブの実行時期を指定します。ジョブ・システムには、即時実行のジョブを発行する機能、多種多様なスケジューリング・オプションに従って繰り返し実行するジョブを発行する機能など、豊富なスケジューリング機能があります。

6.3.1 ジョブ・タイプの定義

ジョブ・タイプは、特定のジョブ・カテゴリで、明確に定義された作業単位を実行します。ジョブ・タイプは名前によって一意に識別されます。たとえば、AppPatchは、Oracleアプリケーション・インストールにパッチを適用するジョブ・タイプです。OSCommandは、リモート・コマンドなどを実行するジョブ・タイプです。

ジョブ・タイプは、ジョブ内のステップ、各ステップで実行する作業(コマンド)およびステップ間の関係を指定するXMLドキュメントによって定義できます。jobTypeメタデータ・サービスを使用して、プラグインにジョブ・タイプを含めます。

ジョブ・タイプ定義に加えて、管理エージェントのデプロイの一環として、ジョブ・タイプで参照されるスクリプトをプラグインにパッケージ化する必要があります。

ジョブの定義およびパッケージ化の詳細は、Enterprise Managerプログラマーズ・リファレンスを参照してください。