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Oracle® Enterprise Manager Cloud Control基本インストレーション・ガイド
12cリリース1 (12.1.0.1)
B65084-03
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A EM前提条件キット・ユーティリティの概要

この付録では、Enterprise Managerをインストールまたはアップグレードするたびにインストール・ウィザードが実行するEnterprise Manager前提条件キット・ユーティリティ(EM前提条件キット)について説明します。この付録の具体的な内容は次のとおりです。

EM前提条件キットについて

EM前提条件キットは、ご使用の環境でリポジトリ関連の前提条件チェックを行うコマンドライン・インタフェースで、Enterprise Managerシステムのインストールやアップグレードに必要なすべてのリポジトリ要件を満たしていることを確認します。

このキットは前提条件のチェックを行うだけでなく、前提条件チェックに不合格の場合には、可能なかぎり自動的に修正も行います。このキットは前提条件チェック後の作業として、修正作業を取り消して、Enterprise Managerシステムのインストールまたはアップグレード前の状態を確認することができます。

EM前提条件キットは、Enterprise Managerシステムのインストールまたはアップグレード中に、Enterprise Managerインストール・ウィザードが内部で実行します。


注意:

EM前提条件キットは、次の「自己更新」フレームワークからダウンロードすることができます。
  1. Cloud Controlで、「設定」メニューから「拡張性」を選択し、「自己更新」を選択します。

  2. 「自己更新」ページの「EMデプロイメント前提条件リソース更新」エンティティの下に新しいXMLバージョンがあればダウンロードします。

これらの更新をダウンロードして適用すると、前のXMLバージョンにロールバックすることはできません。


EM前提条件キットの実行

EM前提条件キットは、Enterprise Managerシステムのインストールまたはアップグレード中に、Enterprise Managerインストール・ウィザードが内部で実行します。ただし、なんらかの理由でリポジトリの前提条件チェックに不合格の場合は、このキットを起動して手動で実行することができます。

EM前提条件キットは、ソフトウェア・キット(DVD、ダウンロードしたソフトウェア)の次の場所に提供されています。

install/requisites/bin/emprereqkit

EM前提条件キットは、デフォルトではOracle Universal InstallerおよびGCConfigureスクリプトから実行され、Enterprise Managerのデプロイメントの前提条件がすべてチェックされます。EM前提条件キットをDVDからスタンドアロンで実行する場合、次のようにします。

  1. ファイルシステムに、ディレクトリDisk1を作成します。

  2. <DVD-location>/install/Disk1/にコピーします。

  3. <DVD-location>/stage/Disk1/にコピーします。


注意:

EM前提条件キットを実行するユーザーに、中央インベントリへの書込み権限があることを確認します。

EM前提条件キットを実行するには次のいずれかを実行します。


注意:

キットと一緒に指定できるその他の引数については、「追加の引数をして下EM前提条件キットの実行」を参照してください。

Enterprise Managerシステムのインストールとアップグレードを行ったら、EM前提条件キットと、ソフトウェア・キット(DVD、ダウンロードしたソフトウェア)のinstall/requisites/ディレクトリ内にあるその他のすべてのファイルとディレクトリを、OMSホームの次の場所にコピーします。したがって、いずれかのプラグインをインストールする場合は、インストールする前にこの場所からEM前提キットを必ず起動してください。

$<OMS_HOME>/install/requisites/bin/emprereqkit


注意:

ソフトウェア・キット(DVD、ダウンロードしたソフトウェア)のinstall/requisites/listディレクトリに保存されている前提条件チェック関連のデフォルトXMLファイルは、製品のリリース時には最新のものです。ただし、製品リリース後に新しい前提条件チェックが提供された場合、または既存の前提条件チェックが更新された場合は、次のいずれかを行う必要があります。
  • Enterprise Manager Cloud Control内の「自己更新」機能を有効にして、新規または更新済の前提条件XMLファイルが自動的に$<OMS_HOME>/install/requisites/listディレクトリにダウンロードされるようにします。

  • 手動で新規または更新済のXMLファイルを、Oracleストアから$<OMS_HOME>/install/requisites/listディレクトリに手動でダウンロードします。


追加の引数を使用したEM前提条件キットの実行

表A-1は、EM前提条件キットの起動時に指定できる追加の引数を示しています。

表A-1 EM前提条件キットがサポートしている引数

オプション オプションまたは必須 値の要否 説明

-executionType

必須

はい

-executionType upgrade

次のいずれかの実行タイプを指定できます。

  • install

  • upgrade

  • postrequisite

-prerequisiteXMLLocまたはprerequisiteXMLRootDir

必須

はい

-prerequisiteXMLLoc $ORACLE_HOME/install/requisites/list

前提条件に関連するXMLファイルが存在している場所の絶対パスを指定します。場所を指定しなかった場合、デフォルトの場所は../list/です。

  • -connectString <connectstring>

  • -dbHost <hostname> -dbPort <port> -dbSid <sid>

いずれかのオプションは必須です。

はい

たとえば(接続文字列):

-connectString "(DESCRIPTION=(ADDRESS_LIST=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=example.com)(PORT=15044)))(CONNECT_DATA=(SID=dbview)))"

たとえば(データベース詳細):

-dbHost example.com -dbPort 15044 -dbSid dbview

データベースの詳細を次のように指定します。

-dbUser

必須

このオプションを指定しなかった場合でも、値の提供を促されます。

はい

-dbUser SYS

SYSの指定。

-dbPassword

必須

このオプションを指定しなかった場合でも、値の提供を促されます。

はい

-dbPassword welcome1

データベースのパスワードを次のように指定します。

-dbRole

必須

このオプションを指定しなかった場合でも、値の提供を促されます。

はい

-dbRole sysdba

sysdbaの指定。

-prereqResultLoc

オプション

はい

-prereqResultLoc /scratch/results

前提条件チェックの結果(XMLファイル形式)を保存するディレクトリの絶対パスを指定します。

このオプションを指定しなかった場合、結果はデフォルトの場所である現在のディレクトリ内に保存されます。

注意: すべてのアクションを完了する前に別なデータベースの詳細を指定する場合、別な-prereqResultLocを指定する必要があります。

-showPrereqs

オプション

いいえ

dhHostdbPortおよびdbSidの使用例:

$ORACLE_HOME/install/requisites/bin/emprereqkit -executionType upgrade  -prerequisiteXMLLoc $ORACLE_HOME/install/requisites/list -dbHost  example.com -dbPort 15044 -dbSid sv902 -dbUser SYS  -dbPassword example_passwd -dbRole sysdba -showPrereqs

connectStringの使用例:

$ORACLE_HOME/install/requisites/bin/emprereqkit -executionType upgrade  -prerequisiteXMLLoc $ORACLE_HOME/install/requisites/list -connectString  "(DESCRIPTION=(ADDRESS_LIST=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=example.com)(PORT=15044)))(CONNECT_DATA=(SID=sv902)))"  -dbUser SYS -dbPassword example_passwd -dbRole sysdba -showPrereqs

実行する前提条件チェックを一覧表示します。

  • -runPrerequisites

  • -showCorrectiveActions

  • -runCorrectiveActions

  • -showPostCorrectiveActions

  • -runPostCorrectiveActions

いずれかのオプションは必須です。

いいえ

-runPrerequisitesの例:

$ORACLE_HOME/install/requisites/bin/emprereqkit -executionType upgrade  -prerequisiteXMLLoc $ORACLE_HOME/install/requisites/list -dbHost  example.com -dbPort 15044 -dbSid sv902 -dbUser SYS  -dbPassword example_passwd -dbRole sysdba -runPrerequisites

-showCorrectiveActionsの例:

$ORACLE_HOME/install/requisites/bin/emprereqkit -executionType upgrade  -dbHost  example.com -dbPort 15044 -dbSid sv902 -dbUser SYS  -dbPassword example_passwd -dbRole sysdba -showCorrectiveActions

-runCorrectiveActionsの例:

$ORACLE_HOME/install/requisites/bin/emprereqkit -executionType upgrade  -dbHost  example.com -dbPort 15044 -dbSid sv902 -dbUser SYS  -dbPassword example_passwd -dbRole sysdba -runCorrectiveActions

-showPostCorrectiveActionsの例:

$ORACLE_HOME/install/requisites/bin/emprereqkit -executionType upgrade  -dbHost  example.com -dbPort 15044 -dbSid sv902 -dbUser SYS  -dbPassword example_passwd -dbRole sysdba -showPostCorrectiveActions

-runPostCorrectiveActionsの例

$ORACLE_HOME/install/requisites/bin/emprereqkit -executionType upgrade  -dbHost  example.com -dbPort 15044 -dbSid sv902 -dbUser SYS  -dbPassword example_passwd -dbRole sysdba -runPostCorrectiveActions
  • 前提条件チェックを実行し、チェックに合格または不合格のものを一覧表示します。

  • 不合格だった前提条件チェックに対する修正作業を一覧表示します。

  • 不合格だった前提条件チェックに対する修正作業を実行します。

  • 修正作業を行った前提条件チェックに対して、修正作業後のアクションを一覧表示します。

  • 修正作業を行った前提条件チェックに対して、修正作業後のアクションを実行します。つまり、修正作業前の値に戻します。

重要: -prereqResultLocとともに-runPrerequisitesを指定した場合、-prereqResultLocを次のオプションも指定し、同一のカスタム場所を指定します。

-showCorrectiveActions

-runCorrectiveActions

-showPostCorrectiveActions

-runPostCorrectiveActions

注意: アクションは独立している、すなわち他のアクションと組み合せることができないことを示します。

-logLoc

オプション

はい

-logLoc /scratch/logs

EM前提条件キット・ユーティリティの実行ログを保存可能なディレクトリへの絶対パスを指定します。デフォルトの場所は<prereqResultloc>/prerequisiteResults/logです。

-runOnlyFor

オプション

はい

-runOnlyFor "repository|11.2.0.43"

前提条件のチェックのために、XMLファイルのかわりに選択が必要なコンポーネントを指定します。

{comp1|<version1>, comp2|<version2>}]

同じコンポーネント名の前提条件XMLファイルが2つある場合は、<version*>を使用していずれかを選択します。このオプションは、プラグインのインストールのための前提条件を実行する場合に特に便利です。

-responseFile

オプション

はい

-responseFile /scratch/response.rsp

レスポンス・ファイルがある場所への絶対パスを指定します。

-contextName

オプション

はい

-contextName 11.2.0.1

この実行用の一意の名前を指定します。これを指定しなかった場合、executionType_timestampの形式のデフォルト名が作成されます。

-componentVariables

オプション

はい

-componentVariables global:EM_REPOS_USER:sysman

コンポ―メント変数名と値を次の形式で指定します。

component_name:variable_name:variable_value

次に例を示します。

global:EM_REPOS_USER:sysman

コンポーネント変数は必要な数を指定することができますが、必ずカンマで区切ってください。

次に例を示します。

global:EM_REPOS_USER:sysman,repository:DB_VERSION:10.2.0.5.0

-logInDB

オプション

はい

-logInDB false

デフォルトはtrueで、結果のXMLをデータベースに保存します。データベースに保存したくない場合は、このオプションにfalseを指定してください。

-stopExecOnFirstError

オプション

いいえ

$ORACLE_HOME/install/requisites/bin/emprereqkit -executionType upgrade -prerequisiteXMLLoc $ORACLE_HOME/install/requisites/list -dbHost example.com -dbPort 15044 -dbSid sv902 -dbUser SYS -dbPassword example_passwd -dbRole sysdba -runPrerequisites -stopExecOnFirstError

エラーに初めて遭遇するとユーティリティを停止し、残りの前提条件を実行しません。

注意: この操作はrunPrerequisitesと組み合せて実行する必要があります。

-list

オプション

ユーティリティの起動中に単独で指定する必要があります。

いいえ

$ORACLE_HOME/install/requisites/bin/emprereqkit -executionType upgrade -dbHost example.com -dbPort 15044 -dbSid sv902 -dbUser SYS -dbPassword example_passwd -dbRole sysdba -list

前提条件チェック結果(データベース内に保存)を、実行時間とコンテンツに基づき集計し、一覧表示します。

-export

オプション

ユーティリティの起動中に単独で指定する必要があります。

いいえ

$ORACLE_HOME/install/requisites/bin/emprereqkit -executionType upgrade -dbHost example.com -dbPort 15044 -dbSid sv902 -dbUser SYS -dbPassword example_passwd -dbRole sysdba -export

前提条件チェック結果(XMLファイル)をデータベースから、外部のファイル・システムにコピーします。

-purge

オプション

ユーティリティの起動中に単独で指定する必要があります。

いいえ

$ORACLE_HOME/install/requisites/bin/emprereqkit -executionType upgrade -dbHost example.com -dbPort 15044 -dbSid sv902 -dbUser SYS -dbPassword example_passwd -dbRole sysdba -purge

デフォルトはfalseで、結果のXMLをデータベースに維持します。データベースから削除するには、このオプションを指定します。

-help

オプション

いいえ

emprereqkit -help

このオプションによって、EM前提条件キットに指定可能な各種のパラメータの詳細を表示することができます。


前提条件チェック結果の表示

EM前提条件キットを実行するたびに、特定のコンポーネントに対して実行した前提条件チェックの結果がインスタンスXMLファイルに保存されます。インスタンスXMLファイルには、<component>.xmlというファイル名が付いています。結果は、前提条件のXMLファイル内に保存されている情報と同じ形式です。唯一の違いは、前提条件チェックの実際の結果を示す新しい列です。

表A-2は、EM前提条件キットの起動方法によって異なるインスタンス・ファイルの場所を示しています。

表A-2 EM前提条件キットの結果ファイルの場所(インスタンスXMLファイル)

起動タイプ インスタンス・ファイルの場所脚注 1  最新のインスタンス・ファイルの場所脚注 2 

手動で起動

<prereqResultLoc>/resultXMLs/<time-stamp>

<prereqResultLoc>/resultXMLs/LATEST/

Enterprise Manager Cloud Controlインストール・ウィザードが自動的に起動

<MW_HOME>/.gcinstall_temp/resultXMLs/<time-stamp>

注意: インストール・ウィザードのページを進むと、EM前提条件キット・ログが$OraInventory/logs/emdbprereqsディレクトリに作成されます。resultsXMLが/tmp/OraInstall<timestamp>/emprereqkitディレクトリに作成されます。インストールを開始すると、/tmp/OraInstall<timestamp>/emprereqkitログが<MW_HOME>/.gcinstall_tempにコピーされます。

注意: インベトリの場所が-invPtrLocで指定された場合、これがOraInventoryのログの場所になります。それ以外の場合は、$OraInventory/logs/emdbprereqsになります。

<MW_HOME>/.gcinstall_temp/resultXMLs/LATEST


脚注 1 インスタンス・ファイルの場所とは、EM前提条件キットを実行するたびにユーティリティが動的に作成する<time-stamp>ディレクトリを指します。ここで作成されるインスタンス・ファイルは、削除するまで維持されます。

脚注 2 最新のインスタンス・ファイルの場所とは、EM前提条件キットを最後に実行したときに作成された、最新のインスタンス・ファイル用に確保されている単一の標準的な場所を指します。ここで作成されたインスタンス・ファイルは、ユーティリティを実行するたびに上書きされます。


注意:

<prereqResultLoc>の場所とは、ユーティリティの起動時に-prereqResultLocオプション用に入力する場所を指します。このオプションを指定しなかった場合、デフォルト設定として、ユーティリティを起動したディレクトリが基本ディレクトリと見なされ、そこにprerequisiteResultsという名前のディレクトリが動的に作成され、その中にインスタンス・ファイルが保存されます。

ログ・ファイルの表示

表A-3は、EM前提条件キットを実行するたびに作成されるすべてのログ・ファイルを示します。

表A-3 EM前提条件キット・ログ・ファイル

ログ・ファイル名 説明

emprereqkit.log

キットが実行した各手順やアクションに関する情報が含まれます。

repository.log

実行するリポジトリ関連の前提条件チェックに関する情報が含まれます。

emprereqkit.err.log

発生した例外のエラーおよびスタックトレースだけが含まれます。

performance.log

実行するリポジトリ固有のパフォーマンス関連の前提条件チェックに関する情報が含まれます。

emprereqkit.output

実行するすべての前提条件チェックのステータス(合格または不合格)に関する情報が含まれます。各前提条件チェックに関する詳細な情報も含まれます。たとえば前提条件名、実行ステータス、詳細な推奨内容(不合格の前提条件を修正するためにどの問合せを実行するべきか)などが含まれます。


表A-4は、EM前提条件キットの起動方法によって異なるログ・ファイルの場所を示しています。この表は、emprereqkit.outputファイル以外のすべてのログ・ファイルの場所を示しています。emprereqkit.outputファイルについては、表の後の注意を参照してください。

表A-4 EM前提条件キット・ログ・ファイルの場所

起動タイプ 最新のログ・ファイルの場所脚注 1  ログ・ファイルの場所脚注 2 

手動で起動

<logLoc>/LATEST

<logLoc>/<time-stamp>

Enterprise Manager Cloud Controlインストール・ウィザードが自動的に起動

<MW_HOME>/.gcinstall_temp/LATEST

注意: インストール・ウィザードのページを進むと、EM前提条件キット・ログが$OraInventory/logs/emdbprereqsディレクトリに作成されます。resultsXMLが/tmp/OraInstall<timestamp>/emprereqkitディレクトリに作成されます。インストールを開始すると、/tmp/OraInstall<timestamp>/emprereqkitログが<MW_HOME>/.gcinstall_tempにコピーされます。

注意: インベトリの場所が-invPtrLocで指定された場合、これがOraInventoryのログの場所になります。それ以外の場合は、$OraInventory/logs/emdbprereqsになります。

<MW_HOME>/.gcinstall_temp/<time-stamp>


脚注 1 最新のログ・ファイルの場所とは、EM前提条件キットを最後に実行したときに作成された、最新のログ・ファイル用に確保されている単一の標準的な場所を指します。ここで作成されたログ・ファイルは、ユーティリティを実行するたびに上書きされます。

脚注 2 ログ・ファイルの場所とは、EM前提条件キットを実行するたびにユーティリティが動的に作成する<time-stamp>ディレクトリを指します。ここで作成されるログ・ファイルは、削除するまで維持されます。


注意:

EM前提条件キットを手動で実行すると、ログ・ファイルemprereqkit.output<prereqResultLoc>/log/<time-stamp>に保存されます。最新のログ・ファイルが<prereqResultLoc>/log/LATEST/に保存されます。

Enterprise Manager Cloud Controlインストール・ウィザードが、EM前提条件キットを内部で実行すると、ログ・ファイルemprereqkit.output<MW_HOME>/.gcinstall_temp/log/<time-stamp>に保存されます。最新のログ・ファイルが<MW_HOME>/.gcinstall_temp/log/<LATEST>に保存されます。


リポジトリの前提条件

この項では、EM前提条件キットがチェックするすべてのリポジトリ前提条件について説明します。この項ではこれらの前提条件を手動でチェックする方法についても説明します。

Enterprise Managerのアップグレード時のリポジトリ前提条件は次のとおりです。

表A-5 Enterprise Managerシステムのアップグレードのためのリポジトリ前提条件

前提条件 インストール/アップグレードに適用 自動 説明

基本ポリシー要件

アップグレード

いいえ

MGMT_TARGETS用の有効なポリシーが存在していることを確認します。確認するには、次の問合せを実行します。

select 'EM_TARGET_POLICY' from dual where not exists (select policy_name from dba_policies where object_owner=SYSMAN' and pf_owner='SYSMAN' and object_name='MGMT_TARGETS') )

この問合せによって行が戻されないようにしてください。

アクティブなジョブの要件

アップグレード

いいえ

リポジトリ・データベース内で、バックグラウンドDBMSジョブが現在実行中でないことを確認します。確認するには、次の問合せを実行します。

select count(*) FROM dba_jobs_running run_job,gv$session sess WHERE sess.sid=run_job.sid AND sess.schemaname='SYSMAN'

問合せの結果が0の場合はアクティブなDBMSジョブはありません。結果が0以外の場合は、アクティブなジョブが完了するまで待機します。

プライマリ・キーと外部キーの要件

アップグレード

いいえ

プライマリ・キーと外部キーが無効になっていないことを確認します。確認するには、次の問合せを実行します。

select count(*) from (select constraint_name, table_name from DBA_CONSTRAINTS where owner = 'SYSMAN' and (constraint_type = 'P' or constraint_type = 'R') and status = 'DISABLED')

結果が0以外の場合、次の問合せを使用して制限を有効にします。

alter table SYSMAN.<TABLE_NAME> modify constraint <CONSTRAINT_NAME> enable

なんらかの理由で制限を有効にできない場合は、Oracleサポートに連絡してください。

キューの有効化要件

アップグレード

いいえ

リポジトリ・データベース内でキューが有効になっていることを確認します。確認するには、次の問合せを実行します。

select count(*) from dba_queues where owner = 'SYSMAN' and queue_type like '%NORMAL_QUEUE%' and (enqueue_enabled like '%NO%' OR dequeue_enabled like '%NO%')

結果が0以外の場合、次の問合せを使用して無効になっているキュー名のリストを取得します。

select name, queue_table from dba_queues where owner = 'SYSMAN' and upper(queue_type) not like 'EXCEPTION_QUEUE' and (upper(enqueue_enabled) NOT LIKE '%YES%' OR upper(dequeue_enabled) NOT LIKE '%YES%'))

次のSQL文を実行して、キューを有効にします。

begin
dbms_aqadm.start_queue('<disabled_queue_name>');
end;

キューを開始できない場合は、Oracleサポートに連絡してください。

トリガー要件

アップグレード

いいえ

リポジトリ・データベース内ですべてのトリガーが無効になっていないことを確認します。確認するには、次の問合せを実行します。

select count(*) from (select trigger_name, trigger_type, table_name from DBA_TRIGGERS where table_owner = 'SYSMAN' and status = 'DISABLED')

結果が0以外の場合、トリガーを有効にします。

SYSTEM表領域要件

インストールとアップグレード

いいえ

SYSTEM表領域に、autoextensibleに設定されたデータファイルが1つ以上あることを確認します。確認するには、次の問合せを実行します。

select count(*) from dba_data_files where tablespace_name = 'SYSTEM' and autoextensible = 'YES'

結果が0の場合、autoextendの属性を持つ新しいデータファイルをSYSTEM表領域に追加して、autoextensibleが'YES'になったものがDBA_DATA_FILESビューに1つ以上表示されるようにします。エラーが発生した場合は、Oracleサポートに連絡してください。

emkey要件

アップグレード

いいえ

emkeyがリポジトリにコピーされていることを確認してください。確認するには、次の問合せを実行します。

select COUNT(*) from sysman.mgmt_repos_time_coefficient

問合せの結果が1以外の場合は、emkey.oraファイルを別なOMSまたはバックアップ・マシンからORACLE_HOME/sysman/configディレクトリにコピーします。

emctl config emkey -copy_to_repos -sysman_pwd <sysman_pwd>を実行して、emkey.oraファイルを構成します。

EM_USER_CONTEXTの要件

アップグレード

いいえ

EM_USER_CONTEXTがリポジトリ内に存在していることを確認します。確認するには、次の問合せを実行します。

select count(*) from dba_context where schema='SYSMAN' and upper(namespace)='EM_USER_CONTEXT'

問合せ結果が0の場合、次の問合せを実行してプロシージャSETEMUSERCONTEXTが有効であることを確認します。

select status from all_objects

ここで、object_name='SETEMUSERCONTEXT'およびowner='SYSMAN'です。

前述の問合せでは'VALID'が戻される必要があります。その後、次を実行します。

alter session set current_schema='SYSMAN';

SETEMUSERCONTEXTを使用して、コンテキストEM_USER_CONTEXTを作成または置換します。

なんらかの理由でコンテキストを作成できない場合は、Oracleサポートに連絡してください。

Audit Master表の要件

アップグレード

いいえ

Audit Master表に異常な状態が保存されていないことを確認します。確認するには、次の問合せを実行します。

select count(*) from sysman.mgmt_audit_master

問合せ結果が1以外の場合、Oracleサポートにお問い合せいただき、パッチ/アップグレード前にEnterprise Managerリポジトリを分析してください。

Exempt Access Policy要件

アップグレード

いいえ

EXEMPT ACCESS POLICYがSYSMANに対して直接付与されていないこと、あるいはSYSMANに付与されているロールに間接的に付与されていることを確認してください。確認するには、次の問合せを実行します。

select count(*) from dba_sys_privs where upper(privilege)='EXEMPT ACCESS POLICY' and (grantee = 'sysman' or grantee in (select distinct granted_role from dba_role_privs start with grantee='SYSMAN' connect by prior granted_role=grantee) or grantee = 'sysman')

問合せ結果が0以外の場合、SYSMANおよびロールのEXEMPT ACCESS POLICYを無効にします。

たとえば、SYSMANの除外アクセス・ポリシーを無効にします。

max_enabled_roles init parameter要件

インストールとアップグレード

いいえ

max_enabled_rolesパラメータ値に、SYSに付与されたフラット・ロールよりも3つ以上多く含むように設定されていることを確認します。確認するには、次の問合せを実行します。

select 1 from DUAL where (select count(*) from v$instance where version like '9.%') = 0 or (select value from v$parameter where name like 'max_enabled_roles') > (select count(*) from dba_role_privs start with grantee='SYS' connect by prior granted_role=grantee))+2

問合せ結果が1以外の場合は、max_enabled_rolesパラメータ値を増やして、SYSに付与されたフラット・ロールよりも3つ以上多く含むようにします。

max_enabled_rolesを修正するには次の手順を実行します。

  1. すべてのOMSを停止します。

  2. データベースをクリーンに停止します。

  3. init.oraやデータベースの初期化プロセスで使用されているその他のファイルで、max_enabled_rolesパラメータを変更します。

  4. データベースをクリーンに起動します。

  5. v$parameterを使用して、パラメータ値が増加したことを確認します。

PAF実行要件

アップグレード

いいえ

PAFの実行が予定されていない、または実行中でないことを確認します。確認するには、次の問合せを実行します。

SELECT count(1) FROM SYSMAN.MGMT_PAF_STATES s, SYSMAN.MGMT_PAF_INSTANCES i, SYSMAN.MGMT_PAF_PROCEDURES p WHERE p.procedure_guid = i.procedure_guid AND s.instance_guid = i.instance_guid AND s.state_type = 0 AND s.status in (0,1)

問合せ結果が0以外の場合は、中断するかPAF実行が完了するまで待機します。

Secured Agent要件

アップグレード

いいえ

最新のCAによってすべてのエージェントの安全性が確保されていることを確認します。安全性確保が必要なエージェントのリストを入手するには、次のコマンドを実行します。

emcli get_ca_info -details

アップグレード前のコンソール・パッチ要件

アップグレード

いいえ

アップグレード前にパッチが適用されていることを確認します。確認するには、次の問合せを実行します。

select count(*) from all_objects where object_name ='PRE_UPGC_MASTER_INFO' and object_type='TABLE' and owner='SYSMAN'

問合せ結果が1以外の場合は、アップグレード前にアップグレード前コンソール・パッチを適用してください。

Global Stale割合要件

インストールとアップグレード

いいえ

グローバル・ステール割合が5~25の間であることを確認してください。確認するには、次の問合せを実行します。

select count(*) from dual where dbms_stats.get_prefs('STALE_PERCENT') between 5 and 25

問合せ結果は1である必要があります。

アカウント・ステータス要件

アップグレード

いいえ

SYSMAN ,MGMT_VIEWおよびORACLE_OCMアカウントがロックされていない、または失効していないことを確認します。確認するには、次の問合せを実行します。

select account_status from dba_users where username='SYSMAN';
select account_status from dba_users where username='MGMT_VIEW';
select account_status from dba_users where username='ORACLE_OCM';

問合せ結果はOPENである必要があります。

SYSMANスキーマ要件

アップグレード

いいえ

アップグレード用のSYSMANスキーマがあることを確認してください。確認するには、次の問合せを実行します。

SELECT COUNT(*) FROM ALL_USERS WHERE USERNAME='SYSMAN'

問合せ結果は1である必要があります。

Redo Logサイズ要件

インストールとアップグレード

いいえ

ログ・ファイルが300MB以上のサイズであることを確認してください。確認するには、次の問合せを実行します。

select min(bytes) from v$log

問合せ結果は300000000(バイト)以上である必要があります。

既存のデータベースがQUIESCE(停止)モードではないこと

インストールとアップグレード

いいえ

既存の動作保証済Oracle Databaseが QUIESCE モードではないことを確認します。これを確認するには、SYSロールで、データベース内で次のSQLを実行します。

select active_state from v$instance;

問合せ結果はNORMALである必要があります。

既存のデータベースにデータベース・コントロールがない(新規インストールのみ)

フレッシュ・インストール

いいえ

(管理リポジトリを作成済、すなわちGrid Control SYSMANスキーマを作成済のOracle Databaseを使用している、Enterprise Manager 10g Grid Control Release 5(10.2.0.5)以上からアップグレードする場合は、この前提条件は無視してください。Grid Control SYSMANスキーマに置換しようとしているDatabase Control SYSMANを作成した、既存の動作保証済Oracle Databaseを使用して、Enterprise Manager 12c Cloud Control Release 1(12.1.0.1.0)をインストールする場合にのみ、この前提条件が適用されます。)

既存の動作保証済Oracle Databaseに、Database Control SYSMANスキーマがないことを確認します。Database Control SYSMANスキーマがある場合、つまり既存のデータベースがDatabase Controlで構成されている場合、構成を解除してください。

  1. データベースにDatabase Control SYSMANスキーマが含まれているかどうかを確認します。

    確認するには、 SYS ユーザーとしてデータベースにログインし、次の問合せを実行します。

    SELECT COUNT(*) FROM ALL_USERS WHERE USERNAME='SYSMAN'
    

    問合せの結果が1の場合、データベースにこのスキーマがあるということになるため、構成を解除してください。

  2. Database Controlの構成を解除する前に、環境変数 ORACLE_HOME をデータベースのOracleホームに、 ORACLE_SID をデータベースのSIDにそれぞれ設定します。

    たとえば、bashシェルで、次のように設定できます。

    export ORACLE_HOME=/u01/app/oracle/product/11.2.0/dbhome_1
    export ORACLE_SID=orcl
    
  3. Database Controlの構成を解除します。

    スタンドアロン・データベースのDatabase Controlの構成を解除するには、データベースをインストールしたユーザーとしてデータベースのOracleホームから次のコマンドを実行します。コマンドがハングした場合、データベースを再起動しコマンドを再実行してください。

    $<ORACLE_HOME>/bin/emca -deconfig dbcontrol db -repos drop -SYS_PWD <sys pasword> -SYSMAN_PWD <sysman password>
    

    Real Application Cluster(Oracle RAC)データベースのDatabase Controlの構成を解除するには、データベースをインストールしたユーザーとしてデータベースのOracleホームから次のコマンドを実行します。コマンドがハングした場合、データベースを再起動しコマンドを再実行してください。

    $<ORACLE_HOME>/bin/emca -deconfig dbcontrol db -repos drop -cluster -SYS_PWD <sys pasword> -SYSMAN_PWD <sysman password>
    

注意: 構成解除の操作がハングする場合は、My Oracle Supportノート375946.1を参照してください。

既存のデータベースにSYSMANおよびSYSMAN_MDSスキーマがない

フレッシュ・インストール

いいえ

(管理リポジトリを作成済、すなわちGrid Control SYSMANスキーマを作成済のOracle Databaseを使用している、Enterprise Manager 10g Grid Control Release 5(10.2.0.5)以上からアップグレードする場合は、この前提条件は無視してください。Grid Control SYSMANスキーマに置換しようとしているDatabase Control SYSMANを作成した、既存の動作保証済Oracle Databaseを使用して、Enterprise Manager 12c Cloud Control Release 1(12.1.0.1.0)をインストールする場合にのみ、この前提条件が適用されます。)

既存の動作保証済Oracle Databaseに、Enterprise Manager Grid Control SYSMANスキーマおよびメタデータ(MDS)スキーマがないことを確認します。

  1. データベースにEnterprise Manager Grid ControlのSYSMANスキーマおよびMetadata(MDS)スキーマが含まれているかどうかを確認します。

    確認するには、 SYS ユーザーとしてデータベースにログインし、次の問合せを実行します。

    SELECT COUNT(*) FROM ALL_USERS WHERE USERNAME IN ('SYSMAN','SYSMAN_MDS');
    

    問合せの結果が1の場合、データベースにこれらのスキーマがあるということになるため、削除してください。

  2. スキーマを削除する前に、環境変数 LD_LIBRARY_PATH をOMSの ORACLE_HOME/lib ディレクトリに設定します。また、 ORACLE_HOME をOMSのOracleホームに設定します。

  3. OMSのOracleホームから次のコマンドを実行して、スキーマを削除します。

    $<ORACLE_HOME>/sysman/admin/emdrep/bin/RepManager <repository_database_host> <repository_database_port> <repository_database_sid> -action dropall -dbUser <repository_database_user> -dbPassword <repository_database_password> -dbRole <repository_database_user_role> -mwHome <middleware_home> -mwOraHome <oms_oracle_home> -oracleHome <oms_oracle_home>
    

    10gリリース2(10.2.x.x)管理リポジトリに属するスキーマを削除する場合、次の引数を指定せずに前のコマンドを実行します。 -mwHome <middleware_home> -mwOraHome <middleware_ora_home> -oracleHome <oracle_home>

    注意: Microsoft Windowsの場合は、RepManager.batを起動してください。RepManager 11.1では、-action dropall(SYSMANとSYSMAN_MDSの両方を削除)および-action drop(SYSMANのみを削除)をサポートしています。RepManager 10.2.0.5では、-action drop(SYSMANのみを削除)をサポートしています。また、アクションdropallですべてのリポジトリ・オブジェクトが削除されない場合があります。この問題と使用する回避策の詳細は、My Oracle Supportのノート1365820.1を参照してください。

  4. スキーマを削除した後、データベース・ファイルmgmt.dbfおよびmgmt_ecm_depot1.dbfを手動で削除します。

    SYSとして次のコマンドを実行すると、これらのファイルを見つけられます。

    SELECT FILE_NAME FROM DBA_DATA_FILES WHERE UPPER (TABLESPACE_NAME) LIKE 'MGMT%';
    

データベース初期化パラメータの要件

インストールして、インストールにのみ適用されるdb_block_size以外のアップグレードを行います。

いいえ

管理リポジトリを作成できるように、既存の動作保証済Oracle Databaseのデータベース初期化パラメータを正しく設定していることを確認します。パラメータ設定の詳細は、「データベース初期化パラメータの設定」を参照してください。

ファイングレイン・アクセス・コントロール要件

アップグレード

いいえ

管理リポジトリを作成できるように、既存の動作保証済Oracle Databaseでファイングレイン・アクセス・コントロール・オプションが TRUE に設定されていることを確認します。確認するには、次のコマンドを実行します。

select value from v$option where parameter = 'Fine-grained access control';

UNDO表領域のサイズ要件

インストールとアップグレード

いいえ

UNDO表領域に200MB以上の領域があることを確認します。確認するには、次の問合せを実行します。

SELECT SUM(DECODE(autoextensible,'YES',200*1024*1024+1,bytes)) total
 
FROM dba_data_files f, dba_tablespaces s
 
WHERE s.contents = 'UNDO'
 
AND s.tablespace_name = f.tablespace_name;

注意: この問合せの結果はバイトで示されます。

最小領域が200MB未満の場合、次のコマンドを実行して、200MBに設定してください。

alter database datafile <location datafile> resize 200M;

UNDO表領域および一時表領域の設定要件

インストールとアップグレード

いいえ

UNDO表領域およびTEMP表領域が、既存の動作保証済Oracle Database内で自動拡張可能であることを確認します。確認するには、次のコマンドを実行します。

select count(*) from  dba_temp_files where tablespace_name='TEMP' and AUTOEXTENSIBLE  <> 'YES';
 
select count(*) from dba_data_files where tablespace_name='UNDOTBS' and AUTOEXTENSIBLE <> 'YES';

問合せの結果が0の場合、表領域は自動拡張可能です。結果が0以外の場合、次の場所で入手可能な『Oracle Database管理者ガイド』を参照して、表領域を自動拡張可能にしてください。

http://www.oracle.com/technology/documentation/database.html

アーカイブ・ロギングの設定要件

インストールとアップグレード

いいえ

(推奨)データの継続性が重要視されるすべての環境では、既存の動作保証済Oracle Databaseでアーカイブ・ロギングを有効にしていることを確認します。これを確認するには、SYSロールで次のコマンドを実行します。

select log_mode from v$database;

問合せ結果はARCHIVELOGである必要があります。

表領域関連のハード・ディスク領域の要件

インストール

いいえ

次の表領域に200MB以上のハード・ディスク領域を割り当てていることを確認します。

- 管理表領域(mgmt.dbf)

- 構成データ表領域(mgmt_ecm_depot1.dbf)

- JVM診断データ表領域(mgmt_ad4j.dbf)

また、表領域データファイルに対して自動拡張機能を常に有効にしておくことをお薦めします。

監視対象のターゲット数が増えれば、ストレージ・デバイスに対する入出力パフォーマンスの需要も増加し、領域要件も大きくなることに注意してください。

既存の管理リポジトリ

アップグレード

いいえ

管理リポジトリを格納する既存の動作保証済Oracle Databaseにすでに管理リポジトリが構成済であること、およびその管理リポジトリがOracle Management Service 11gリリース1(11.1)と互換性があることを確認します。

データベースのパーティション化要件

インストールとアップグレード

いいえ

既存の動作保証済Oracle Databaseで「パーティション化」オプションが有効になっていることを確認します(したがって、Oracle Database Enterprise Editionへのインストールを確認してください)。Enterprise Managerリポジトリへのインストールと、「パーティション化」オプションの使用は、Enterprise Managerのみで使用する場合は追加の費用はかかりません。

これを確認するには、SYSDBAとしてデータベースに接続し、次の問合せ実行します。

select value from v$option where parameter = 'Partitioning';

この問合せの結果はVALUE=TRUEになるはずです。管理リポジトリを格納するデータベースには、追加のパーティション化ライセンスは必要ありません。

データベースのパーティション・メンテナンス要件

アップグレード

いいえ

アップグレードするEnterprise Managerシステムが長期間にわたり停止していた場合、管理リポジトリを格納する既存の動作保証済Oracleデータベースには、新規データをロードするためのパーティションは作成されません。このような状況の場合、次のようにします。

  1. SYSMANとしてデータベースにログインし、次のコマンドを実行します。

    execute emd_maintenance.analyze_emd_schema('SYSMAN');
    commit;
    
  2. OracleホームからOMSを再起動します。

    $<ORACLE_HOME>/bin/emctl start oms
    

データベースおよびリスナー・ステータスの要件

インストール

いいえ

既存の動作保証済Oracle Databaseおよびリスナーが実行中であることを確認します。

有効オブジェクト要件

インストール、アップグレード、前提条件チェック後

いいえ

有効なSYSMANおよびSYSオブジェクトのみが既存の動作保証済Oracle Database内にあることを確認します。

  • 有効なSYSMANオブジェクトのみがあるかどうかを確認するには、SYSとしてデータベースにログインし、次のコマンドを実行します。

    select object_name, object_type from all_objects where owner='SYSMAN' and status <> 'VALID';
    

    このコマンドは0行を戻す必要があります。1行以上を戻す場合は、無効なオブジェクトが存在しているので、有効にするには、SYSMANとして次のコマンドを実行します。

    @admin_recompile_invalid.sql SYSMAN
    

    このコマンドを再度実行し、すべてのSYSMANオブジェクトが有効であることを確認します。無効なSYSMANオブジェクトが依然としてある場合、Oracleサポート・サービスに連絡してください。

    注意: admin_recompile_invalid.sqlスクリプトは、OMSのOracleホームの次の場所にあります。

    <ORACLE_HOME>/sysman/admin/emdrep/sql/core/latest/admin
    
  • 有効なSYSオブジェクトのみがあるかどうかを確認するには、SYSとしてデータベースにログインし、次のコマンドを実行します。

    select object_name, object_type from all_objects where status<>'VALID' and object_name like 'DBMS%';
    

    このコマンドは0行を戻す必要があります。1行以上を戻す場合は、無効なオブジェクトが存在しているので、有効にするには、次のコマンドを実行して再コンパイルします。たとえば、object_typeがmypackageで、object_nameがfooの場合、alter mypackage foo compileというコマンドを実行します。このコマンドを再度実行して、すべてのパッケージが有効であることを確認してください。無効なパッケージが依然としてある場合、Oracleサポート・サービスに連絡してください。

DBMSジョブおよびDBMSスケジューラ・ステータス要件

インストールとアップグレード

はい

既存の動作保証済Oracle Database内でDBMSジョブおよびDBMSスケジューラが停止していることを確認します。確認するには、SYSとしてデータベースにログインしします。

  1. 次のコマンドを実行して、 job_queue_processes の値を書き留めます。

    select a.instance_name as sid, b.value as jobqueue from gv$instance a, gv$parameter b where a.inst_id = b.inst_id and b.name='job_queue_processes';
    
  2. 次のコマンドを実行して、DBMS JOBSとDBMSスケジューラを停止します。

    execute emd_maintenance.remove_em_dbms_jobs;
    alter system set job_queue_processes=0 SID='*';
    commit;
    

    注意: これにより、現在実行中のジョブが停止されますが、新規ジョブの開始は許可されません。

  3. 次を実行して、アクティブなジョブがないことを確認します。

    select l.id2 job, l.sid, to_char(last_date, 'DD-MON-YYYY:HH24.MI.SS') last_date, to_char(this_date, 'DD-MON-YYYY:HH24.MI.SS') this_date, l.inst_id instance from sys.job$ j, gv$lock l where l.type = 'JQ' and j.job (+) = l.id2 order by 5, 4;
    

統計の採取ジョブのステータス要件

インストールとアップグレード

はい

既存の動作保証済Oracle Database内で実行中の統計の採取ジョブを停止します。停止するには、SYSとしてデータベースにログインし、次のコマンドを実行します。

Oracle Database 10g(10.2.0.4)以上の場合:

dbms_scheduler.disable('GATHER_STATS_JOB',TRUE)を実行;

dbms_scheduler.stop_job('GATHER_STATS_JOB',TRUE)を実行;

Oracle Database 11g(11.1.0.7)以上の場合:

dbms_auto_task_admin.disable('auto optimizer stats collection',null,null)を実行;

ユーザー権限要件

アップグレード

いいえ

既存の動作保証済Oracle Database内の DBMS_RANDOM パッケージにアクセスするための EXECUTE 権限がSYSMANおよびDBSNMPユーザーにあることを確認します。ユーザーに EXECUTE 権限があるかどうかを確認するには、次の問合せを実行します。SYSMANユーザーに対してこの問合せを実行する場合、 <user_account_name> はSYSMAN、DBSNMPユーザーに対して問合せを実行する場合、 <user_account_name> はDBSNMPとする必要があります。

SQL> CONNECT AS SYS;
SQL> SELECT grantee, grantor, owner, table_name
FROM DBA_TAB_PRIVS
WHERE table_name = 'DBMS_RANDOM'
AND privilege = 'EXECUTE'
AND grantee IN
(
SELECT DISTINCT granted_role
FROM DBA_ROLE_PRIVS
START WITH grantee = '<user_account_name>'
CONNECT BY PRIOR granted_role=grantee
UNION ALL
SELECT '<user_account_name>'
FROM dual
WHERE ROWNUM = 1
UNION ALL
SELECT 'PUBLIC'
FROM dual
WHERE ROWNUM = 1
)

ユーザーに EXECUTE 権限がない場合、次のコマンドを実行して権限をユーザーに付与します。SYSMANユーザーに権限を付与するためにこのコマンドを実行する場合、 <user_account_name> はSYSMAN、DBSNMPユーザーに対してコマンドを実行する場合、 <user_account_name> はDBSNMPとするる必要があります。

SQL> GRANT EXECUTE ON DBMS_RANDOM TO <user_account_name>;

環境変数の設定要件

インストール

いいえ

環境変数ORACLE_HOMEがOMSのOracleホームに設定されていることを確認します。

たとえば、Cshellシェルで、次のように設定します。

setenv ORACLE_HOME /home/OraHomes/oms10g

たとえば、bashシェルで、次のように設定します。

ORACLE_HOME= /home/OraHomes/oms10gをエキスポート

SUDO構成要件

インストール

いいえ

使用している環境内でSUDOを構成していることを確認します。SUDOを構成できない場合、またはSUDOを構成せずにコア・コンポーネント(OMSまたは管理エージェント)をすでにアップグレード済の場合、 My Oracle Support のノート789363.1で説明されている対処方法に従ってください。

ユーザー定義メトリック・スクリプト定義の要件

アップグレード

いいえ

アップグレードしている管理エージェントのOracleホーム内にユーザー定義メトリック・スクリプトがある場合、すべてのスクリプトをOracleホーム以外の別のディレクトリにコピーし、ユーザー定義メトリック定義を更新して、新しいスクリプトの場所を反映します。

これは、管理エージェントがアップグレードされた後、ユーザー定義メトリック・スクリプトは新しいOracleホームに自動的にコピーされないためです。


データベース初期化パラメータの設定

前提条件の1つとして、管理リポジトリを作成できるように、表A-6および表A-7に示されている初期化パラメータが動作保証済の既存のOracle Databaseに設定されていることを確認します。初期化パラメータの設定方法の詳細は、 My Oracle Support のノート1073647.1を参照してください。すべての初期化パラメータはインストールとアップグレードに適用されます。


重要:

パラメータの設定後、データベースを停止し、開始します。

表A-6 固定初期化パラメータの設定

固定初期化パラメータ

互換性

リポジトリ・データベース・バージョンに等しい

remote_login_passwordfile

SHAREDまたはEXCLUSIVE

statistics_level

TYPICAL

timed_statistics

デフォルト

undo_management

AUTO

workarea_size_policy

AUTO

db_block_size

8192. このパラメータはインストールのみに適用されます。

nls_length_semantics

BYTE


表A-7 変数の初期化パラメータの設定

変数の初期化パラメータ

pga_aggregate_target

1GBの最小設定。ラップトップでは1GB未満ですが、大規模なインストールでは1GB以上が必要になります。

shared_pool_size

最小推奨設定は600MB、またはsga_memory_target設定の約3分の1です。

job_queue_processes

インストールとアップグレードの両方: 20

log_buffer

10485760以上

memory_target

http://www.oracle.com/technology/documentation/database.htmlの『Oracle Databaseリファレンス・ガイド』に記載。

注意: このパラメータは、Oracle Management Repositoryが構成されているデータベースに使用しないことをお薦めします。

(Oracle Database 11gリリース2(11.2)以上)


open_cursors

300~400

プロセス

300以上

session_cached_cursors

200から500の間

sga_target

推奨される平均は2GB。ラップトップでは2GB未満ですが、大規模なインストールでは2GB以上が必要になります。

db_cache_size

デフォルト

large_pool_size

デフォルト

java_pool_size

デフォルト

streams_pool_size

デフォルト

REDOログ・ファイルのサイズ

300MB以上



注意:

インスタンス・パラメータであるdb_cache_size、large_pool_size、java_pool_size、およびstreams_pool_sizeを、Enterprise Manager 12cのインストール用に設定する必要があります。