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Oracle® Enterprise Manager Cloud Control基本インストレーション・ガイド
12cリリース3 (12.1.0.3)
B65084-09
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7 CygwinのインストールおよびSSHデーモンの起動

この章では、Microsoft WindowsホストへのCygwinのインストール方法と、SSHデーモンの起動方法を説明します。この章は、ホスト・ターゲットの追加ウィザードまたはEM CLIを使用して、Microsoft Windowsのホストに管理エージェントをインストールする場合にのみ適用されます。この章の具体的な内容は次のとおりです。

7.1 概要

ホスト・ターゲットの追加ウィザードは、Enterprise Manager Cloud Controlコンソールに組み込まれているアプリケーションです。GUIが豊富な、インタラクティブな画面を提供し、管理対象外のホストにOracle Management Agent (管理エージェント)をインストールして、管理対象ホストに変換し、Enterprise Manager Cloud Controlで監視および管理できるようにします。

ホスト・ターゲットの追加ウィザードを使用して、Microsoft Windowsが稼働しているホストに管理エージェントをインストールする場合、前提条件として、そのホストにCygwinをインストールし、SSHデーモンを起動する必要があります。これを行うには、第7.3項に示されている手順に従います。

Cygwinは、基本的にMicrosoft WindowsホストにLinuxに類似の環境を提供するユーティリティです。Linux APIレイヤーとして機能し、多くのLinux API機能を提供するDLL(cygwin1.dll)です。Cygwinをインストールすると、ホストでSSHデーモンを構成できます。ホスト・ターゲットの追加ウィザードはCygwin 1.7で動作保証済で、サポートされています。

SSHデーモンによって、ホスト・ターゲットの追加ウィザードは、OMSホストと、管理エージェントをインストールするホストとのSSH接続を確立できます。この接続により、ウィザードはSSHプロトコル経由で管理エージェントのソフトウェア・バイナリを接続先ホストに転送し、管理エージェントをインストールして構成します。

7.2 開始する前に

SSHD設定を開始する前に、ホスト・ターゲットの追加ウィザードの使用時にOpenSSHおよびMKSNTが使用されないかどうかを確認します。これを行うには、次のチェックを実行してください。

  1. OpenSSH\binmksntが、PATH環境変数に含まれていないことを確認してください。含まれている場合は、次のようにしてこれらを削除します。

    1. 「マイ コンピュータ」を右クリックし、「プロパティ」を選択します。

    2. 「システムのプロパティ」ウィンドウで、「詳細」をクリックします。

    3. このタブで、「環境変数」をクリックします。

    4. ここで、PATHシステム変数を検索して選択します。OpenSSH\binおよびmksntPATHに含まれている場合は、「編集」をクリックします。

    5. 「システム変数の編集」ダイアログ・ボックスで、これらの2つの値をPATHから削除し、「OK」をクリックします。

    cygwin_1.JPGについては前後の文で説明しています。
  2. OpenSSHMKSまたは他のベンダーから実行している場合、SSHデーモンを停止します。SSHデーモンが実行中の場合、次の手順を実行してこれを停止します。

    1. 「マイ コンピュータ」を右クリックし、「管理」を選択します。

    2. 「コンピュータの管理」ウィンドウの左側のペインで、「サービスとアプリケーション」を展開し、「サービス」を選択します。

    3. 右側のペインでSSH Daemon/MKS Secure Shellサービスをクリックし、「停止」ボタンをクリックします。

    cygwin_2.JPGについては前後の文で説明しています。

注意:

この項で説明した手順は、Microsoft Windowsオペレーティング・システムによって異なることがあります。

7.3 Cygwinのインストール

Microsoft WindowsホストにCygwinをインストールするには、次の手順を実行します。

  1. 次のURLにアクセスして、Install Cygwin:をクリックします。

    http://www.cygwin.com/

  2. Cygwinの実行ファイルの32ビット・バージョン(Microsoft Windowsの32ビット・バージョンを実行している場合)または64ビット・バージョン(Microsoft Windowsの64ビット・バージョンを実行している場合)をダウンロードします。

  3. 実行ファイルを実行し、「Next」をクリックして続行します。

    cygwin1.gifについては前後の文で説明しています。
  4. 「Choose Installation Type」画面で、「Install from Internet」を選択して「Next」をクリックします。

    cygwin2.gifについては前後の文で説明しています。
  5. 「Choose Installation Directory」画面で、ルート・ディレクトリとしてC:\cygwinと入力し、「Next」をクリックします。


    注意:

    別のディレクトリにCygwinをインストールする場合、Enterprise Managerシステムのインストール後に、$<OMS_HOME>/oui/prov/resources/ssPaths_msplats.propertiesファイルに存在するSSH_PATH、SCP_PATH、MKDIR_PATH、SH_PATH、CHMOD_PATHおよびTRUEプロパティを必ず適切なCygwinバイナリ値に更新してください。

    たとえばD:/software/cygwinディレクトリにCygwinをインストールする場合、指定されたプロパティを次のように更新します。

    SCP_PATH=D:/software/cygwin/bin/scp.exe
    SH_PATH=D:/software/cygwin/bin/sh.exe
    CHMOD_PATH=D:/software/cygwin/bin/chmod.exe
    LS_PATH=D:/software/cygwin/bin/ls.exe
    

    cygwin3.gifについては前後の文で説明しています。
  6. 「Select Local Package Directory」画面で、ダウンロードしたインストール・ファイルを格納するローカル・マシン上のディレクトリを選択し、「Next」をクリックします。

    cygwin_3.JPGについては前後の文で説明しています。
  7. 「Select Connection Type」画面で、インターネットに接続するための適切な設定を選択し、「Next」をクリックします。

    cygwin5.gifについては前後の文で説明しています。
  8. 「Choose Download Site(s)」画面で、利用可能リストから任意のサイトを選択し、「Next」をクリックします。

    cygwin6.gifについては前後の文で説明しています。
  9. パッケージ選択画面で、次のパッケージを選択し、「Next」をクリックします。

    「Archive」カテゴリから、次のようにunzipzipを選択します。

    cygwin_4.jpgについては前後の文で説明しています。

    「Net」カテゴリから、次のようにopensshおよびopensslを選択します。

    cygwin_5.jpgについては前後の文で説明しています。

    パッケージを選択して「Next」をクリックすると、「Resolving Dependencies」画面が表示されます。「次へ」をクリックして次に進みます。

    cygwin_6.JPGについては前後の文で説明しています。
  10. 「Installation Status and Create」画面では、変更しません。「Finish」をクリックして、インストール・プロセスを終了します。

    cygwin10.gifについては前後の文で説明しています。

7.4 Cygwinインストール後のSSHの構成

この項では、ホストへのCygwinのインストール後に、SSHを構成してCygwinの設定をテストする方法について説明します。


注意:

SSHを構成する場合、状況によってはcygwin.batスクリプトを実行する必要があります。Microsoft Windows Server 2008およびMicrosoft Windows Vistaでcygwin.batを実行している場合は、必ず管理者モードで呼び出します。これを行うには、cygwin.batファイルを右クリックし、「管理者として実行」を選択します。

SSHを構成してCygwinの設定をテストするには、次の手順を実行します。

  1. Cygwinのインストール後、C:\cygwinディレクトリに移動し、任意のエディタを使用して編集モードでCygwin.batファイルを開き、bashシェルを起動する前に次の行を追加します。

    set CYGWIN=binmode ntsec

    たとえば、前述の行を追加すると、Cygwin.batファイルの内容は次のようになります。

    @echo off
    
    C:
    chdir C:\cygwin\bin
    set CYGWIN=binmode ntsec
    bash --login -i
    
  2. Cygwin (cygrunsrv)が正しくインストールされたかどうかを確認するには、C:\cygwin\Cygwin.batを実行し、次のコマンドを実行します。

    cygrunsrv -h
    

    Cygwinが正しくインストールされている場合、すべてのCygwinヘルプ・オプションが画面に表示されます。ただし、このコマンドでエラー・メッセージが返される場合、状況に応じてCygwinを再インストールする必要があります。

  3. SSHDサービスをインストールするには、C:\cygwin\Cygwin.batを実行し、次のコマンドを実行します。

    ssh-host-config
    

    コマンドを実行後、次のプロンプトが表示されます。

    *** Query: Should privilege separation be used? <yes/no>: yes
    *** Query: New local account 'sshd'? <yes/no>: yes
    *** Query: Do you want to install sshd as a service?
    *** Query: <Say "no" if it is already installed as a service> <yes/no>: yes
    *** Query: Enter the value of CYGWIN for the deamon: [] binmode ntsec
    *** Query: Do you want to use a different name? (yes/no) yes/no
    

    ここで、同じ名前(cyg_server)を使用する場合、noを入力します。その後、次のプロンプトが表示されます。

    *** Query: Create new privileged user account 'cyg_server'? (yes/no) yes
    *** Query: Please enter the password:
    *** Query: Renter:
    

    ただし、異なる名前を使用する場合、yesを入力します。その後、次のプロンプトが表示されます。

    *** Query: Enter the new user name: cyg_server1
    *** Query: Reenter: cyg_server1
    *** Query: Create new privileged user account 'cyg_server1'? (yes/no) yes
    *** Query: Please enter the password:
    *** Query: Reenter:
    

    構成が成功すると、次のメッセージが表示されます。

    Host configuration finished. Have fun!
    
  4. c:\cygwin\etc\passwdファイルをバックアップし、任意のエディタを使用して編集モードでファイルを開きます。管理エージェントをインストールするホストに接続するために使用するユーザーのエントリのみを削除します。編集する前にc:\cygwin\etc\passwdファイルのバックアップを作成するように、ユーザーに依頼します。

    • 管理エージェントをインストールするホストに接続するために使用するユーザーがローカル・ユーザーである場合、C:\cygwin\Cygwin.batを実行し、次のコマンドを実行します。

      /bin/mkpasswd -l –u <USER> >> /etc/passwd (for example, /bin/mkpasswd -l -u pjohn >> /etc/passwd)
      
    • 管理エージェントをインストールするホストに接続するために使用するユーザーがドメイン・ユーザーである場合、C:\cygwin\Cygwin.batを実行し、次のコマンドを実行します。

      /bin/mkpasswd -d -u <USER> >> /etc/passwd (for example, /bin/mkpasswd -d -u pjohn >> /etc/passwd)
      mkdir -p /home/<USER>  (for example, mkdir -p /home/pjohn)
      chown <USER> /home/<USER> (for example, chown pjohn /home/pjohn)
      
  5. (ドメイン・ユーザーのみ)管理エージェントをインストールするホストに接続するために使用するユーザーがドメイン・ユーザーである場合、次の手順を実行して、SSHデーモンを起動します。

    1. 「マイ コンピュータ」を右クリックし、「管理」を選択します。

    2. 表示された「コンピュータの管理」ダイアログ・ボックスで、「サービスとアプリケーション」に移動し、「CYGWIN sshd」を選択します。

    3. 「CYGWIN sshd」を右クリックし、「プロパティ」を選択します。

    4. 「プロパティ」ダイアログ・ボックスで、「ログオン」タブに移動します。

    5. ここで、ドメイン/ユーザー名、およびパスワードを指定します。「適用」をクリックします。

    6. C:\cygwin\Cygwin.batを実行し、次のコマンドを実行します。

      chown <USERNAME> /var/log/sshd.log
      chown -R <USERNAME> /var/empty
      chown <USERNAME> /etc/ssh*
      chmod 755 /var/empty
      chmod 644 /var/log/sshd.log
      

      注意:

      /var/log/sshd.logが存在しない場合は、次のコマンドを実行する必要はありません。
      chown <USERNAME> /var/log/sshd.log
      chmod 644 /var/log/sshd.log
      

  6. 次のいずれかの手順を実行し、SSHデーモンを起動します。

    C:/cygwin/Cygwin.batを実行し、次のコマンドを実行します。

    /usr/sbin/sshd

    または

    C:/cygwin/Cygwin.batを実行し、次のコマンドを実行します。

    cygrunsrv -S sshd

    または

    次の手順を実行します。

    1. 「マイ コンピュータ」を右クリックし、「管理」を選択します。

    2. 表示された「コンピュータの管理」ダイアログ・ボックスで、「サービスとアプリケーション」に移動し、「CYGWIN sshd」を選択します。

    3. CYGWIN sshdをクリックし、「開始」ボタンをクリックします。

    cygwin_start_service.jpgについては前後の文で説明しています。

    注意:

    SSHデーモンが起動しない場合、c:\cygwin\var\log\sshd.logファイルを参照して、起動に失敗した理由を確認してください。

  7. これで、Cygwinの設定をテストできます。

    これを行うには、別のマシン(sshクライアントが稼働しているマシン)に移動し、次のコマンドを実行します。

    ssh -l <USERNAME> <localhost> 'date'
    
    OR
    
    ssh -l <USERNAME> <this node> 'date'
    

    次に例を示します。

    ssh -l pjohn example.com 'date'
    

    このコマンドはパスワードの指定を求めるプロンプトを表示します。正しいパスワードを指定すると、このコマンドにより正確な日付が返されます。


注意:

SSHの構成後に、プロセス分岐化の失敗、メモリー・リーク・エラーまたはファイル・アクセス・エラーが発生した場合、次のWebサイトを参照して対処方法を確認してください。

http://cygwin.com/faq.html 

問題の対処方法を見つけることができない場合、次のWebサイトを使用してCygwinコミュニティにその問題をレポートしてください。

http://cygwin.com/problems.html