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x86 プラットフォーム上の Oracle Solaris のブートおよびシャットダウン Oracle Solaris 11 Information Library (日本語) |
1. x86 ベースシステムのブートおよびシャットダウン (概要)
2. 指定された状態への x86 ベースシステムのブート (タスク)
5. x86 ベースシステムのネットワークからのブート (作業)
6. x86 ベースシステム上のブートパラメータの変更 (タスク)
7. x86 プラットフォーム上での ZFS ブート環境の作成、管理、およびこのブート環境からのブート (タスク)
ZFS ブート環境の作成と管理、およびこのブート環境からのブート (タスクマップ)
x86 プラットフォーム上の ZFS ブート環境またはルートファイルシステムからのブート
8. x86 ベースシステムのブート可能状態の維持 (タスク)
次のタスクでは、beadm ユーティリティーを使用して、ブート環境、スナップショット、およびデータセットを作成および管理する方法について説明します。
ブート環境 (BE) とは、ブート用に指定された ZFS ファイルシステムのことです。ブート環境は基本的に、Oracle Solaris OS イメージのブート可能インスタンスに、そのイメージにインストールされたその他のソフトウェアパッケージを加えたものです。1 つのシステム上に複数のブート環境を維持できます。各ブート環境には異なる OS バージョンをインストールできます。Oracle Solaris をインストールすると、インストール中に新しいブート環境が自動的に作成されます。
スナップショットとは、特定の時点で取得されるデータセットまたはブート環境の読み取り専用イメージです。スナップショットはブート可能でないことに注意してください。ただし、特定のスナップショットに基づくブート環境を作成したあと、その新しいブート環境をアクティブにすることで、そのブート環境を次回のシステムリブート時のデフォルトブート環境とすることができます。
データセットは、ZFS ファイルシステム、クローン、スナップショット、またはボリュームを識別するために使用される一般的な用語です。
共有データセットとは、/export のように、アクティブなブート環境とアクティブでないブート環境の両方において同じマウントポイントを持つユーザー定義ディレクトリのことです。共有データセットは、各ブート環境のルートデータセット領域の外側にあります。
ブート環境のクリティカルデータセットは、そのブート環境のルートデータセット領域に含まれています。
beadm ユーティリティーについての詳細は、beadm(1M) のマニュアルページを参照してください。ブート環境の管理に関する詳細は、『Oracle Solaris 11 ブート環境の作成と管理』を参照してください。大域または非大域ゾーン環境での beadm ユーティリティーの使用についての詳細は、『Oracle Solaris 11 ブート環境の作成と管理』の第 2 章「beadm でのゾーンのサポート」を参照してください。
# beadm create beName
beName は、新しいブート環境の名前を表す変数です。この新しいブート環境はアクティブではありません。
注 - beadm create コマンドでは、部分的なブート環境は作成されません。新しい完全なブート環境が正常に作成されるか、コマンドが失敗するかのいずれかです。
# beadm mount beName mountpoint
マウントポイントのディレクトリが存在しない場合、beadm コマンドはそのディレクトリを作成してから、そのディレクトリにブート環境をマウントします。ブート環境がすでにマウントされている場合、beadm mount コマンドは失敗し、ブート環境は新しい場所に再マウントされません。
ブート環境はマウントされますが、アクティブでない状態です。マウント済みのアクティブでないブート環境をアップグレードできます。また、システムをリブートする前にブート環境をマウント解除することを忘れないでください。
# beadm activate beName
beName は、アクティブにするブート環境の名前を表す変数です。リブート時に、新しくアクティブになったブート環境は、GRUB メニューに表示されるデフォルトのブートエントリになります。
例 7-1 共有データセットを持つ複製されたブート環境を作成する
次の例は、BE2 という名前の新しく作成したブート環境内のデータセットを示しています。この例では、元のブート環境は BE1 です。新しいブート環境 BE2 には、BE1 から複製された個々のデータセットが含まれています。BE1 に /opt などの従来のファイルシステム用の個々のデータセットが含まれている場合は、それらのデータセットも複製されます。
# beadm create BE2 # beadm list -a BE2 BE/Dataset/Snapshot Active Mountpoint Space Policy Created ------------------- ------ ---------- ----- ------ ------- BE2 rpool/ROOT/BE2 - - 42.0K static 2011-04-07 10:56
前の出力に示すように、ストレージプールの名前は rpool です。このプールは、初期インストールまたはアップグレードによってあらかじめ設定されているため、すでにシステム上に存在します。ROOT は、同様に初期インストールまたはアップグレードによってあらかじめ作成された特殊なデータセットです。ROOT は、ブート環境のルートで使用するために排他的に予約されています。
# beadm create beName@snapshot
スナップショット名の例として、次のようなものがあります。
BE@0312200.12:15pm
BE2@backup
BE1@march132008
# beadm create -e BEname@snapshotdescription beName
BEname@snapshotdescription を既存のスナップショットの名前に、beName を新しいブート環境のカスタム名にそれぞれ置き換えます。
例:
# beadm create -e BE1@now BE2
このコマンドは、BE1@now という名前の既存のスナップショットから BE2 という名前の新しいブート環境を作成します。このあと、このブート環境をアクティブにすることができます。手順については、「新しく作成されたブート環境をアクティブにする方法」を参照してください。
新しく作成されたブート環境をアクティブにすることによって、リブート時にそのブート環境がデフォルトのブート環境となりブートされます。アクティブにできるブート環境は常に 1 つだけであることに注意してください。
# beadm activate beName
beName は、アクティブにするブート環境を表す変数です。
次の事項に注意してください。
beadm activate beName コマンドは、bootfs ブート可能プールプロパティーを、アクティブにするブート環境の ROOT データセットの値に設定することによってブート環境をアクティブにします。
beadm activate コマンドは、新しくアクティブにしたブート環境を menu.lst ファイルにデフォルトとして設定します。
これで新しくアクティブにしたブート環境が x86 GRUB メニューのデフォルトエントリになります。
注 - ブート環境がブートに失敗した場合は、GRUB メニューまたはブートメニューから以前のブート環境をリブートして選択します。
beadm コマンドを使用して作成された使用可能なブート環境、スナップショット、およびデータセットを表示するには、beadm list コマンドを使用します。
# beadm list option
ブート環境に関する利用可能なすべての情報を一覧表示します。このオプションでは、下位のスナップショットとデータセットが含められます。
ブート環境のデータセットに関する情報を一覧表示します。
ブート環境のスナップショットに関する情報を一覧表示します。このオプションは、-d オプションと組み合わせて使用されます。
表示からヘッダー情報を省略します。このオプションを選択すると、スクリプトやほかのプログラムの表示をより簡単に解析できるようになります。
たとえば、oracle-solaris ブート環境内で使用可能なデータセットをすべて表示するには、次のようなコマンドを入力します。
# beadm list -a oracle-solaris BE/Dataset/Snapshot Active Mountpoint Space Policy Created ------------------- ------ ---------- ----- ------ ------- oracle-solaris rpool/ROOT/solaris - - 14.33M static 2011-01-20 07:45
例 7-2 スナップショットの仕様を表示する
次の beadm list の例では、-s オプションを指定します。これにより、現在のイメージに存在するすべてのスナップショットの情報が表示されます。
次の結果の例では、各スナップショットのタイトルに、スナップショットが作成された日時を示すタイムスタンプが含まれています。
# beadm list -s test-2
結果の例が表示されます。
BE/Snapshot Space Policy Created ----------- ----- ------ ------- test-2 test-2@2010-04-12-22:29:27 264.02M static 2010-04-12 16:29 test-2@2010-06-02-20:28:51 32.50M static 2010-06-02 14:28 test-2@2010-06-03-16:51:01 16.66M static 2010-06-03 10:51 test-2@2010-07-13-22:01:56 25.93M static 2010-07-13 16:01 test-2@2010-07-21-17:15:15 26.00M static 2010-07-21 11:15 test-2@2010-07-25-19:07:03 13.75M static 2010-07-25 13:07 test-2@2010-07-25-20:33:41 12.32M static 2010-07-25 14:33 test-2@2010-07-25-20:41:23 30.60M static 2010-07-25 14:41 test-2@2010-08-06-15:53:15 8.92M static 2010-08-06 09:53 test-2@2010-08-06-16:00:37 8.92M static 2010-08-06 10:00 test-2@2010-08-09-16:06:11 193.72M static 2010-08-09 10:06 test-2@2010-08-09-20:28:59 102.69M static 2010-08-09 14:28 test-2@install 205.10M static 2010-03-16 19:04
システム上で使用可能なディスク容量を増やす場合は、beadm コマンドを使用すると既存のブート環境を破棄 (削除) できます。
次の事項に注意してください。
現在ブートされているブート環境を破棄することはできません。
beadm destroy コマンドでは、破棄されたブート環境のエントリが x86 GRUB メニューから自動的に削除されます。
beadm destroy コマンドで破棄されるのは、ブート環境のクリティカルデータセットまたは非共有データセットだけです。共有データセットは、ブート環境のルートデータセット領域の外側にあり、ブート環境が破棄される際に影響を受けません。
# beadm destroy beName
ブート環境を破棄する前に、確認のプロンプトが表示されます。
beName で指定されたブート環境を破棄します。
確認を要求せずに、ブート環境を強制的に破棄します。
ブート環境がマウントされている場合でも強制的に破棄します。