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Oracle Solaris 11 ソフトウェアパッケージの追加および更新 Oracle Solaris 11 Information Library (日本語) |
ここでは、このガイドでこれから使用する用語および概念を定義します。
IPS パッケージはマニフェストというテキストファイルで定義します。パッケージマニフェストには、キー/値のペアとおそらくデータペイロードの定義された形式でパッケージアクションが記述されます。パッケージアクションには、ファイル、ディレクトリ、リンク、ドライバ、依存関係、グループ、ユーザー、ライセンス情報が含まれます。パッケージアクションは、パッケージのインストール可能なオブジェクトを表します。「set」アクションと呼ばれるアクションは、分類、サマリー、説明などのパッケージメタデータを定義します。
パッケージアクションおよびアクションキーを指定して、パッケージを検索できます。パッケージアクションの説明については、pkg(5) を参照してください。
incorporation は、指定された一連のパッケージのバージョンを制限するパッケージです。たとえば、インストールされた incorporation のパッケージがバージョン 1.4.3 である場合、1.4.3 未満または 1.4.4 以上のバージョンはインストールできません。ただし、1.4.3.7 など、単にドット形式の数列を拡張したバージョンはインストールできます。incorporation は、incorporation 対象のパッケージを強制的に同期的にアップグレードします。incorporation 対象のパッケージは削除できますが、パッケージをインストールまたは更新する場合、バージョンが制限されます。
グループパッケージは、機能やツールを構成する一連のパッケージを指定します。グループパッケージに指定したパッケージは、パッケージのバージョンを指定しません。グループパッケージは、コンテンツ管理ツールであり、バージョン管理ツールではありません。
それぞれのパッケージは障害管理リソース識別子 (FMRI) によって表されます。パッケージの完全な FMRI は、次の形式のスキーム、発行元、パッケージ名、およびバージョン文字列で構成されます。スキーム、発行元、およびバージョン文字列は省略可能です。 IPS コマンドを使用するときは、パッケージ名のうち、パッケージを一意に識別する最小部分を使用できます。
書式:
scheme://publisher/package_name@version:dateTtimeZ
例:
pkg://solaris/editor/vim@7.3.254,5.11-0.174.0.0.0.0.504:20110921T002716Z
pkg
solaris
発行元を指定する場合、発行元名の前に pkg:// または // を付ける必要があります。
editor/vim
パッケージ名前空間は階層的で、任意の深さです。IPS コマンドでは、パッケージ名のうち、パッケージを一意に識別する最小部分を指定できます。完全なパッケージ名を指定するが発行元は省略する場合、完全なパッケージ名の前に、pkg:// または // ではなく、pkg:/ または / を付けることができます。短縮したパッケージ名を指定する場合は、パッケージ名の左側にほかの文字を使用しないでください。
パッケージのバージョンには 4 つの部分があります。
7.3.254
オペレーティングシステムに緊密に結合されたコンポーネントの場合、これは通常、そのバージョンのオペレーティングシステムでの uname -r の値です。
5.11
ビルドバージョンはコンマ (,) の後に続ける必要があります。ビルドバージョンは、パッケージの内容が構築されたオペレーティングシステムのバージョンを指定します。
0.174.0.0.0.0.504
ブランチバージョンはハイフン (-) の後に続ける必要があります。ブランチバージョンはベンダー固有の情報を提供します。
20110921T002716Z
タイムスタンプはコロン (:) の後に続ける必要があります。タイムスタンプは、ISO-8601 基本形式 (YYYYMMDDT HHMMSSZ) のパッケージが発行された日時です。
発行元は、1 つ以上のパッケージを提供する人または組織を示します。発行元は、パッケージリポジトリまたはパッケージアーカイブを使用してパッケージを配布できます。発行元は、好きな検索順序で構成できます。パッケージインストールコマンドを指定し、パッケージ仕様に発行元の名前が含まれない場合、そのパッケージに対して、検索順序の先頭の発行元が検索されます。パッケージが見つからない場合は、検索順序の 2 番目の発行元が検索されるというように、パッケージが見つかるか、すべての発行元が検索されるまで繰り返されます。
リポジトリは、パッケージが公開される場所であり、またそれらのパッケージが取得される場所です。場所は URI (Universal Resource Identifier) によって指定されます。カタログは、リポジトリ内のすべてのパッケージのリストです。
パッケージアーカイブは、発行元の情報と、その発行元によって提供された 1 つ以上のパッケージを含むファイルです。
起点は、パッケージのメタデータ (カタログ、マニフェスト、検索インデックスなど) とパッケージの内容 (ファイル) の両方を含むパッケージリポジトリです。イメージ内の特定の発行元に対して複数の起点が構成されている場合、IPS クライアントは、パッケージデータの取得元として最適な起点を選択しようとします。
ミラーは、パッケージの内容のみを含むパッケージリポジトリです。IPS クライアントがパッケージのコンテンツをミラーからダウンロードする場合でも、クライアントは発行元のカタログを取得するために起点にアクセスします。発行元に対してミラーが構成されている場合、IPS クライアントは、パッケージの内容の取得にミラーを優先します。イメージ内の特定の発行元に対して複数のミラーが構成されている場合、IPS クライアントは、パッケージの内容の取得元として最適なミラーを選択しようとします。すべてのミラーにアクセスできない、必要な内容がない、または遅くなる場合、IPS クライアントは起点から内容を取得します。
イメージは、IPS パッケージをインストールでき、その他の IPS 操作を実行できる場所です。
ブート環境 (BE) は、イメージのブート可能なインスタンスです。システム上に複数の BE を維持することができ、各 BE にそれぞれ異なるソフトウェアバージョンをインストールすることもできます。システムをブートするとき、システム上の任意の BE にブートすることを選択できます。パッケージ操作の結果として、新しい BE が自動的に作成されることがあります。明示的に新しい BE を作成することもできます。新しい BE が作成されるかどうかは、「ブート環境ポリシーイメージのプロパティー」で説明するように、イメージポリシーに依存します。
ソフトウェアには、省略可能なコンポーネントや、相互に排他的なコンポーネントが含まれることがあります。省略可能なコンポーネントの例には、ロケールやドキュメントがあります。相互に排他的なコンポーネントの例には、SPARC バイナリと x86 バイナリや、デバッグバイナリと非デバッグバイナリなどがあります。IPS では、省略可能なコンポーネントをファセット、相互に排他的なコンポーネントをバリアントと呼びます。
ファセットとバリアントはイメージの特殊なプロパティーであり、個々のパッケージには設定できません。
パッケージマニフェスト内の各アクションには、ファセットおよびバリアントタグを指定することができます。1 つのアクションに複数のファセットタグおよびバリアントタグを付けることができます。
アクションのファセットおよびバリアントタグの値とイメージに設定されたファセットおよびバリアントの値の比較により、そのパッケージアクションがインストール可能かどうかを判別します。
ファセットまたはバリアントタグのないアクションは常にインストールされます。
ファセットタグのあるアクションは、イメージ上のタグに一致するすべてのファセットまたはファセットパターンが false に設定されていないかぎり、インストールされます。いずれかのファセットが true に設定されているか、明示的に設定されていない (true はデフォルト) 場合、アクションがインストールされます。
バリアントタグのあるアクションは、すべてのバリアントタグの値がイメージに設定されている値と同じ場合にのみインストールされます。
ファセットタグとバリアントタグの両方があるアクションは、ファセットとバリアントの両方でアクションのインストールが許可されている場合にインストールされます。
イメージに設定されているファセットとバリアントの値を表示または変更するには、「省略可能なコンポーネントのインストールの制御」を参照してください。