ナビゲーションリンクをスキップ | |
印刷ビューの終了 | |
Oracle Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス) Oracle Solaris 11 Information Library (日本語) |
パート II ネットワークファイルシステムへのアクセス (トピック)
6. ネットワークファイルシステムへのアクセス (リファレンス)
PPP に関する RFC (Requests for Comments)
この節では、PPP 構成について説明します。また、このドキュメントで使用する用語についても説明します。
Solaris PPP 4.0 はいくつかの構成をサポートします。
スイッチ型のアクセス構成 (ダイアルアップ)
固定型の構成 (専用回線)
図 15-1 PPP リンクの構成要素
上図は、基本的な PPP リンクを示しています。リンクの構成要素は、次のようになります。
2 つのマシン。通常、ピアと呼ばれ、物理的に互いに離れた場所に配置されています。ピアは、サイトの要件によってパーソナルコンピュータ、エンジニアリングワークステーション、大規模サーバー、商用ルーターなどが考えられます。
各ピアに対するシリアルインタフェース。Oracle Solaris マシンのインタフェースは、構成する PPP が非同期か同期かによって、cua、hihp などが考えられます。
シリアルケーブル、モデム接続などの物理リンク、またはネットワークプロバイダが提供する T1 回線や T3 回線などの専用回線。
もっともよく使用される PPP 構成は、ダイアルアップリンクです。ダイアルアップリンクでは、ローカルピアがリモートピアをダイアルアップして接続を確立し、PPP を実行します。ダイアルアッププロセスでは、ローカルピアがリモートピアの電話番号を呼び出してリンクを開始します。
一般的なダイアルアップの使用例では、ユーザーの自宅にあるコンピュータが、着呼を受信するように構成されている ISP 側のピアを呼び出します。別のダイアルアップの使用例では、企業サイトでローカルマシンが PPP リンクを使用して、別の建物内にあるピアにデータを転送します。
このドキュメントでは、ダイアルアップ接続を開始するローカルピアは、ダイアルアウトマシンと呼びます。着呼を受信するピアは、ダイアルインサーバーと呼びます。このマシンは実際にはダイアルアウトマシンがターゲットにするマシンに過ぎず、真の意味でのサーバーではない場合もあります。
PPP はクライアントサーバープロトコルではありません。PPP のドキュメントの中には、通話の確立に言及する場合に「クライアント」や「サーバー」という用語を使っているものもあります。ダイアルインサーバーは、ファイルサーバーやネームサーバーのような真の意味でのサーバーではありません。ダイアルインサーバーという用語は、ダイアルインマシンが複数のダイアルアウトマシンにネットワークでのアクセス可能性を「提供」していることから、PPP 用語として幅広く使用されています。それでもダイアルインサーバーは、現実には、ダイアルアウトマシンのターゲットピアにすぎません。
次の図を参照してください。
図 15-2 基本的なアナログダイアルアップ PPP リンク
リンクのダイアルアウト側 (場所 1) の構成は、次の要素から成ります。
ダイアルアウトマシン。一般に、個々の家庭のパーソナルコンピュータやワークステーション。
ダイアルアウトマシン上のシリアルインタフェース。/dev/cua/a または /dev/cua/b は、Oracle Solaris ソフトウェアが実行されているマシン上で発呼に使用する標準のシリアルインタフェースです。
電話のジャックに接続される非同期モデムまたは ISDN 端末アダプタ (TA)。
電話会社の電話回線やサービス。
リンクのダイアルイン側 (場所 2) の構成は、次の要素から成ります。
電話ネットワークに接続される電話のジャックまたは類似のコネクタ
非同期モデムまたは ISDN TA
ダイアルインサーバー上のシリアルインタフェース。ttya または ttyb は、ダイアルインサーバー上で着呼に使用するシリアルインタフェースです
ダイアルインサーバー。企業のイントラネットなどのネットワークや ISP のインスタンス内からグローバルインターネットに接続されます
外付けの ISDN TA はモデムよりも高速ですが、両者の構成方法は基本的に同じです。両者の主な相違は chat スクリプト間の構成にあります。ISDN TA の場合、chat スクリプトの記述では、TA の製造元に固有のコマンドが必要になります。ISDN TA 用の chat スクリプトについては、「外部 ISDN TA 用 chat スクリプト」を参照してください。
ダイアルアウトとダイアルインの両方のピアにある PPP 構成ファイルには、リンクを設定するための命令群が含まれています。ダイアルアップリンクが開始されると、次のプロセスが発生します。
ダイアルアウトマシン上のユーザーまたはプロセスは、pppd コマンドを実行してリンクを開始します。
ダイアルアウトマシンは PPP 構成ファイルを読み取ります。次に、シリアル回線を介して、ダイアルインサーバーの電話番号などの命令群をモデムに送信します。
モデムは電話番号をダイアルして、ダイアルインサーバー側のモデムと電話接続を確立します。
ダイアルアウトマシンが、モデムとダイアルインサーバーに送信する一連のテキスト文字列は、chat スクリプトと呼ばれるファイルに格納されています。ダイアルアウトマシンは、必要に応じて、ダイアルインサーバーにコマンドを送信し、サーバー側の PPP を呼び出します。
ダイアルインサーバーに接続されているモデムは、ダイアルアウトマシン側のモデムとリンクのネゴシエーションを開始します。
モデム同士のネゴシエーションが完了すると、ダイアルアウトマシン側のモデムは「CONNECT」を通知します。
両方のピア側の PPP は確立フェーズに入ります。このフェーズでは、リンク制御プロトコル (LCP) が基本的なリンクパラメータと認証の使用をネゴシエートします。
ピアは、必要に応じて、互いを認証します。
PPP のネットワーク制御プロトコル (NCP) は、IPv4 や IPv6 などのネットワークプロトコルの使用をネゴシエートします。
ダイアルアウトマシンでは、ダイアルインサーバーを通って到達可能なホストに telnet または類似のコマンドを実行できます。
固定型の専用回線の PPP 構成には、リンクで接続された 2 つのピアが含まれます。リンクは、プロバイダからリースされたスイッチ型または非スイッチ型のデジタルサービスで構成されています。Solaris PPP 4.0 は、全二重でポイントツーポイントの専用回線媒体を介して動作します。通常、会社では、ネットワークプロバイダから専用リンクをレンタルして、ISP またはほかのリモートサイトに接続します。
ダイアルアップと専用回線のリンクはともに、通信媒体で接続されている 2 つのピアから成っています。次の表は、2 つのリンクタイプの相違をまとめています。
|
次の図を参照してください。
図 15-3 専用回線の基本的な構成
専用回線リンクの構成要素は次のとおりです。
2 つのピア。リンクの両端に 1 つずつ存在します。各ピアは、ワークステーションかサーバーです。通常ピアは、ネットワークまたはインターネットともう一方の側のピアとの間のルーターとして機能します。
各ピア上の同期インタフェース。Oracle Solaris ソフトウェアが実行されている一部のマシンは、専用回線に接続するために、HSI/S などの同期インタフェースカードを購入する必要があります。UltraSPARC ワークステーションなどのマシンには同期インタフェースが内蔵されています。
各ピア上の CSU/DSU 同期デジタル装置。同期ポートを専用回線に接続します。
現場の事情によって、CSU は DSU に組み込まれていたり、個人で所有していたり、プロバイダからリースしていたりします。DSU は Oracle Solaris マシンに標準の同期シリアルインタフェースを提供します。フレームリレーを使用する場合、フレームリレーアクセスデバイス (FRAD) が、シリアルインタフェースに適合するように調整します。
専用回線。スイッチ型または非スイッチ型のデジタルサービスを提供します。専用回線のデジタルサービスには、SONET/SDH、Frame Relay PVC、T1 などがあります。
ほとんどのタイプの専用回線では、ピアは互いにダイアルすることはありません。会社では専用回線サービスを購入して、2 つの定められた場所の間を明示的に接続します。場合によって、専用回線の各端にある 2 つのピアは同じ会社でも物理的に離れた場所に存在することもあります。別の事例では、会社が、ISP に接続されている専用回線上にルーターを設定している場合があります。
専用回線の固定型のリンクは設定が簡単ですが、ダイアルアップリンクほどは普及していません。固定型のリンクは chat スクリプトを必要としません。専用回線の場合、両方のピアは互いを知っているので、認証を使用しないのが普通です。2 つのピアがリンクを介して PPP を開始すると、リンクはアクティブな状態を続けます。専用回線に障害が発生したり、どちらかのピアが明示的にリンクを終了したりしないかぎり、専用回線の固定型のリンクはアクティブな状態を続けます。
Solaris PPP 4.0 が実行されている専用回線上のピアは、ダイアルアップリンクを定義する構成ファイルとほぼ同じものを使用します。
専用回線を介した通信を開始する場合、次のプロセスが発生します。