2.6 ユーザー指定のデフォルトオプションファイル

デフォルトのコンパイラオプションファイルによって、ユーザーは別の方法で上書きされないかぎり、すべてのコンパイルに適用されるデフォルトオプションのセットを指定できます。たとえば、ファイルによって、すべてのコンパイルのデフォルトを —xO2 としたり、またはファイル setup.il を自動的に含めたりするように指定できます。

コンパイラは起動時に、すべてのコンパイル用に含めるべきデフォルトオプションの一覧を示すデフォルトオプションファイルを検索します。環境変数 SPRO_DEFAULTS_PATH は、デフォルトファイルを検索するための、コロンで区切られたディレクトリの一覧を指定します。

環境変数が設定されていない場合、標準のデフォルトセットが使用されます。環境変数が設定されているが空の場合、デフォルトは使用されません。

デフォルトのファイル名は compiler.defaults の形式である必要があり、ここで、コンパイラは cc、c89、c99、CC、ftn、または lint のいずれかです。たとえば、Fortran コンパイラのデフォルトは、ftn.defaults となります。

コンパイラ用のデフォルトファイルが SPRO_DEFAULTS_PATH に一覧表示されているディレクトリ内で見つかった場合、コンパイラはコマンド行のオプションを処理する前に、このファイルを読み込んでオプションを処理します。最初に見つかったデフォルトファイルが使用され、検索は終了します。

システム管理者は、システム全体のデフォルトファイルを Studio-install-path/prod/etc/config に作成することもできます。環境変数が設定されている場合、インストールされたデフォルトファイルは読み込まれません。

デフォルトファイルの書式は、コマンド行と類似しています。ファイルの各行には、空白で区切られた 1 つ以上のコンパイラオプションを含めることができます。ワイルドカードや置換などのシェル展開は、デフォルトファイル内のオプションには適用されません。

SPRO_DEFAULTS_PATH の値と、完全に展開されたコマンド行は、—dryrun オプションによって生成される詳細出力に表示されます。

ユーザーによってコマンド行で指定されたオプションは、通常、デフォルトファイルから読み取られたオプションを上書きします。たとえば、デフォルトファイルでは —xO4 によるコンパイルを指定し、ユーザーがコマンド行で —xO2 を指定した場合、—xO2 が使用されます。

デフォルトオプションファイルに存在する一部のオプションは、コマンド行で指定されるオプションのあとに付加されます。これらはプリプロセッサオプション —I、リンカーオプション —B、—L、—R、および —l、およびソースファイル、オブジェクトファイル、アーカイブ、共有オブジェクトなどのすべてのファイル引数です。

次は、ユーザー指定のデフォルトコンパイラオプション起動ファイルが使用される方法の例です。

demo% cat /project/defaults/ftn.defaults
-I/project/src/hdrs —L/project/libs —llibproj —xvpara
demo% setenv SPRO_DEFAULTS_PATH /project/defaults
demo% f95 —c —I/local/hdrs —L/local/libs —lliblocal tst.f

このコマンドは次と同等になります。

f95 -fast —xvpara —c —I/local/hdrs —L/local/libs —lliblocal tst.f \ 
     —I/project/src/hdrs —L/project/libs —llibproj

コンパイラのデフォルトファイルは、プロジェクト全体向けのデフォルトを設定するための簡単な方法を提供しますが、診断が困難な問題の原因になる可能性があります。そのような問題を回避するために、環境変数 SPRO_DEFAULTS_PATH を現在のディレクトリではなく絶対パスに設定してください。

デフォルトオプションファイルのインタフェースの安定性は不確実です。オプション処理の順序は、将来のリリースで変更されることがあります。