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Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストール     Oracle Solaris Cluster 4.0 (日本語)
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ドキュメントの情報

はじめに

1.  Oracle Solaris Cluster 構成の計画

2.  グローバルクラスタノードへのソフトウェアのインストール

3.  グローバルクラスタの確立

4.  Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアの構成

5.  クラスタファイルシステムの作成

6.  ゾーンクラスタの作成

ゾーンクラスタの構成

clzonecluster ユーティリティーの概要

ゾーンクラスタの確立

ゾーンクラスタを作成する方法

ゾーンクラスタにファイルシステムを追加する

ゾーンクラスタにローカルファイルシステムを追加する方法

ゾーンクラスタに ZFS ストレージプールを追加する方法

クラスタファイルシステムをゾーンクラスタに追加する方法

ゾーンクラスタにストレージデバイスを追加する

ゾーンクラスタに個別のメタデバイスを追加する方法 (Solaris ボリュームマネージャー)

ゾーンクラスタにディスクセットを追加する方法 (Solaris ボリュームマネージャー)

ゾーンクラスタに DID デバイスを追加する方法

7.  クラスタからのソフトウェアのアンインストール

索引

ゾーンクラスタの構成

このセクションでは、ゾーンクラスタと呼ばれる、Oracle Solaris の非大域ゾーンのクラスタ構成手順について説明します。ここでは次のトピックについて説明します。

clzonecluster ユーティリティーの概要

clzonecluster ユーティリティーを使用すると、ゾーンクラスタを作成、変更、および削除できます。また、clzonecluster ユーティリティーでは、ゾーンクラスタをアクティブに管理できます。たとえば、clzonecluster ユーティリティーは、ゾーンクラスタのブートと停止の両方を実行できます。clzonecluster ユーティリティーの進捗メッセージは、コンソールに出力されますが、ログファイルには保存されません。

このユーティリティーは、zonecfg ユーティリティーと同様に、次のレベルの範囲で動作します。

ゾーンクラスタの確立

このセクションでは、非大域ゾーンのクラスタを構成する方法を説明します。

ゾーンクラスタを作成する方法

非大域ゾーンのクラスタを作成するには、この手順を実行してください。

始める前に

  1. グローバルクラスタのアクティブなメンバーノードで、スーパーユーザーになります。

    この手順のすべてのステップは、グローバルクラスタの 1 つのノードから実行します。

  2. グローバルクラスタのそのノードが、クラスタモードである必要があります。

    いずれかのノードが非クラスタモードであった場合でも、行った変更は、そのノードがクラスタモードに復帰した際に伝播されます。そのため、一部のグローバルクラスタノードが非クラスタモードであった場合でも、ゾーンクラスタを作成できます。これらのノードがクラスタモードに復帰すると、それらのノード上でゾーンクラスタ作成手順が自動的に実行されます。

    phys-schost# clnode status
    === Cluster Nodes ===
    
    --- Node Status ---
    
    Node Name                                       Status
    ---------                                       ------
    phys-schost-2                                   Online
    phys-schost-1                                   Online
  3. ゾーンクラスタを作成します。

    次の注意事項を守ってください。

    • デフォルトでは、完全ルートゾーンが作成されます。完全ルートゾーンを作成するには、create コマンドに -b オプションを追加します。

    • 各ゾーンクラスタノードの IP アドレスおよび NIC の指定は任意です。

    phys-schost-1# clzonecluster configure zone-cluster-name
    clzc:zone-cluster-name> create
    
    Set the zone path for the entire zone cluster
    clzc:zone-cluster-name> set zonepath=/zones/zone-cluster-name
    
    Add the first node and specify node-specific settings
    clzc:zone-cluster-name> add node
    clzc:zone-cluster-name:node> set physical-host=base-cluster-node1
    clzc:zone-cluster-name:node> set hostname=hostname1
    clzc:zone-cluster-name:node> add net
    clzc:zone-cluster-name:node:net> set address=public-netaddr
    clzc:zone-cluster-name:node:net> set physical=adapter
    clzc:zone-cluster-name:node:net> end
    clzc:zone-cluster-name:node> end
    
    Add authorization for the public-network addresses that the zone cluster is allowed to use
    clzc: zone-cluster-name> add net
    clzc: zone-cluster-name:net> set address=IP-address1
    clzc: zone-cluster-name:net> end
    
    Save the configuration and exit the utility
    clzc:zone-cluster-name> commit
    clzc:zone-cluster-name> exit
  4. (省略可能) ゾーンクラスタに 1 つ以上のノードを追加します。
    phys-schost-1# clzonecluster configure zone-cluster-name
    clzc:zone-cluster-name> add node
    clzc:zone-cluster-name:node> set physical-host=base-cluster-node2
    clzc:zone-cluster-name:node> set hostname=hostname2
    clzc:zone-cluster-name:node> add net
    clzc:zone-cluster-name:node:net> set address=public-netaddr
    clzc:zone-cluster-name:node:net> set physical=adapter
    clzc:zone-cluster-name:node:net> end
    clzc:zone-cluster-name:node> end
    clzc:zone-cluster-name> commit
    clzc:zone-cluster-name> exit
  5. ゾーンクラスタ構成を検証します。

    指定したリソースが使用可能かどうかを確認するには、verify サブコマンドを使用します。clzonecluster verify コマンドが成功した場合は、出力は一切表示されません。

    phys-schost-1# clzonecluster verify zone-cluster-name
    phys-schost-1# clzonecluster status zone-cluster-name
    === Zone Clusters ===
    
    --- Zone Cluster Status ---
    
    Name      Node Name   Zone HostName   Status    Zone Status
    ----      ---------   -------------   ------    -----------
    zone      basenode1    zone-1          Offline   Configured
              basenode2    zone-2          Offline   Configured
  6. ゾーンクラスタをインストールします。
    phys-schost-1# clzonecluster install options zone-cluster-name
    Waiting for zone install commands to complete on all the nodes 
    of the zone cluster "zone-cluster-name"...

    必要に応じて、clzonecluster install コマンドに次のオプションを含めます。

    • システム構成情報を含めるには、次のオプションを追加します。

      -c config-profile.xml

      -c config-profile.xml オプションは、ゾーンクラスタのすべての非大域ゾーンに対する構成プロファイルを提供します。このオプションを使用しても、ゾーンのホスト名が変更されるだけです。このホスト名は、ゾーンクラスタ内のゾーンごとに一意になります。すべてのプロファイルの拡張子は .xml である必要があります。

    • ゾーンクラスタのベースとなるグローバルクラスタノードの一部に異なる Oracle Solaris Cluster パッケージがインストールされているが、ベースとなるノード上のパッケージを変更したくない場合は、次のオプションを追加します。

      -M manifest.xml

      -M manifest.xml オプションは、必要なパッケージをすべてのゾーンクラスタノードにインストールするように構成されたカスタム Automated Installer マニフェストを指定します。clzonecluster install コマンドを -M オプションなしで実行した場合、発行元のベースノードにインストールされているパッケージが欠落しているベースノード上で、ゾーンクラスタのインストールが失敗します。

  7. ゾーンクラスタをブートします。
    Installation of the zone cluster might take several minutes
    phys-schost-1# clzonecluster boot zone-cluster-name
    Waiting for zone boot commands to complete on all the nodes of 
    the zone cluster "zone-cluster-name"...
  8. ゾーンクラスタのインストール時にプロファイルを設定しなかった場合は、手動でプロファイルを構成します。

    各ゾーンクラスタノード上で次のコマンドを発行し、対話式の画面に従って処理を進めます。

    phys-schost-1# zlogin -C zone-cluster-name
  9. すべてのゾーンクラスタノードを変更したら、グローバルクラスタノードをリブートして、ゾーンクラスタ /etc/inet/hosts ファイルの変更を初期化します。
    phys-schost# init -g0 -y -i6
  10. DNS およびゾーンクラスタノードへの rlogin アクセスを有効にします。

    ゾーンクラスタの各ノードで次のコマンドを実行します。

    phys-schost# zlogin zcnode
    zcnode# svcadm enable svc:/network/dns/client:default
    zcnode# svcadm enable svc:/network/login:rlogin
    zcnode# reboot

例 6-1 ゾーンクラスタ作成用の構成ファイル

次に、ゾーンクラスタを作成する際に clzonecluster ユーティリティーと組み合わせて使用できるコマンドファイルの内容の例を示します。このファイルには、通常は手動で入力する一連の clzonecluster コマンドが含まれています。

次の構成では、グローバルクラスタノード phys-schost-1 にゾーンクラスタ sczone が作成されます。このゾーンクラスタでは、/zones/sczone がゾーンパスとして使用され、パブリック IP アドレス 172.16.2.2 が使用されています。このゾーンクラスタの第 1 のノードでは、zc-host-1 がホスト名として割り当てられ、ネットワークアドレス 172.16.0.1net0 アダプタが使用されています。ゾーンクラスタの第 2 のノードは、グローバルクラスタノード phys-schost-2 に作成されます。このゾーンクラスタの第 2 のノードには、ホスト名 zc-host-2 が割り当てられ、ネットワークアドレス 172.16.0.2 および net1 アダプタを使用します。

create
set zonepath=/zones/sczone
add net
set address=172.16.2.2
end
add node
set physical-host=phys-schost-1
set hostname=zc-host-1
add net
set address=172.16.0.1
set physical=net0
end
end
add node
set physical-host=phys-schost-2
set hostname=zc-host-2
add net
set address=172.16.0.2
set physical=net1
end
end
commit
exit

例 6-2 構成ファイルを使用してゾーンクラスタを作成する

次に、構成ファイル sczone-config を使用して、グローバルクラスタノード phys-schost-1 に新しいゾーンクラスタ sczone を作成するコマンドの例を示します。ゾーンクラスタノードのホスト名は、zc-host-1 zc-host-2 です。

phys-schost-1# clzonecluster configure -f sczone-config sczone
phys-schost-1# clzonecluster verify sczone
phys-schost-1# clzonecluster install sczone
Waiting for zone install commands to complete on all the nodes of the 
zone cluster "sczone"...
phys-schost-1# clzonecluster boot sczone
Waiting for zone boot commands to complete on all the nodes of the 
zone cluster "sczone"...
phys-schost-1# clzonecluster status sczone
=== Zone Clusters ===

--- Zone Cluster Status ---

Name      Node Name        Zone HostName    Status    Zone Status
----      ---------        -------------    ------    -----------
sczone    phys-schost-1    zc-host-1        Offline   Running
          phys-schost-2    zc-host-2        Offline   Running

次の手順

ゾーンクラスタにファイルシステムの使用を追加する場合は、「ゾーンクラスタにファイルシステムを追加する」を参照してください。

ゾーンクラスタにグローバルストレージデバイスの使用を追加する場合は、「ゾーンクラスタにストレージデバイスを追加する」を参照してください。

参照

ゾーンクラスタを更新する場合は、『Oracle Solaris Cluster システム管理』の第 11 章「ソフトウェアの更新」の手順に従います。次の手順では、必要に応じてゾーンクラスタに固有の手順も記載されています。

ゾーンクラスタにファイルシステムを追加する

ファイルシステムをゾーンクラスタに追加し、オンラインにしたら、ファイルシステムはそのゾーンクラスタ内からの使用を承認されます。使用するファイルシステムをマウントするには、SUNW.HAStoragePlus または SUNW.ScalMountPoint といったクラスタリソースを使用することでファイルシステムを構成します。

このセクションでは、ゾーンクラスタで使用するファイルシステムを追加するための次の手順について説明します。

さらに、ゾーンクラスタで高可用性の ZFS ストレージプールを構成する場合は、『Oracle Solaris Cluster Data Services Planning and Administration Guide』の「How to Set Up the HAStoragePlus Resource Type to Make a Local Solaris ZFS File System Highly Available」を参照してください。

ゾーンクラスタにローカルファイルシステムを追加する方法

この手順を実行して、ゾーンクラスタで使用できるよう、グローバルクラスタ上にローカルのファイルシステムを追加します。


注 - ゾーンクラスタに ZFS プールを追加する場合は、この手順ではなく、「ゾーンクラスタに ZFS ストレージプールを追加する方法」で説明する手順を実行してください。

また、ゾーンクラスタで高可用性の ZFS ストレージプールを構成するには、『Oracle Solaris Cluster Data Services Planning and Administration Guide』の「How to Set Up the HAStoragePlus Resource Type to Make a Local Solaris ZFS File System Highly Available」を参照してください。


  1. 目的のゾーンクラスタをホストしているグローバルクラスタのノードで、スーパーユーザーになります。

    この手順のすべてのステップは、グローバルクラスタの 1 つのノードから実行します。

  2. グローバルクラスタ上で、ゾーンクラスタで使用するファイルシステムを作成します。

    ファイルシステムが共有ディスクに作成されていることを確認します。

  3. ファイルシステムをゾーンクラスタ構成に追加します。
    phys-schost# clzonecluster configure zone-cluster-name
    clzc:zone-cluster-name> add fs
    clzc:zone-cluster-name:fs> set dir=mount-point
    clzc:zone-cluster-name:fs> set special=disk-device-name
    clzc:zone-cluster-name:fs> set raw=raw-disk-device-name
    clzc:zone-cluster-name:fs> set type=FS-type
    clzc:zone-cluster-name:fs> end
    clzc:zone-cluster-name> verify
    clzc:zone-cluster-name> commit
    clzc:zone-cluster-name> exit
    dir=mount-point

    ファイルシステムのマウントポイントを指定する

    special=disk-device-name

    ディスクデバイスの名前を指定する

    raw=raw-disk-device-name

    raw ディスクデバイスの名前を指定する

    type=FS-type

    ファイルシステムの種類を指定する


    注 - UFS ファイルシステムのロギングを有効にします。


  4. ファイルシステムが追加されたことを確認します。
    phys-schost# clzonecluster show -v zone-cluster-name

例 6-3 ローカルのファイルシステムをゾーンクラスタに追加する

この例では、 sczone ゾーンクラスタで使用できるようにローカルのファイルシステム /global/oracle/d1 を追加します。

phys-schost-1# clzonecluster configure sczone
clzc:sczone> add fs
clzc:sczone:fs> set dir=/global/oracle/d1
clzc:sczone:fs> set special=/dev/md/oracle/dsk/d1
clzc:sczone:fs> set raw=/dev/md/oracle/rdsk/d1
clzc:sczone:fs> set type=ufs
clzc:sczone:fs> add options [logging]
clzc:sczone:fs> end
clzc:sczone> verify
clzc:sczone> commit
clzc:sczone> exit

phys-schost-1# clzonecluster show -v sczone
…
  Resource Name:                            fs
    dir:                                       /global/oracle/d1
    special:                                   /dev/md/oracle/dsk/d1
    raw:                                       /dev/md/oracle/rdsk/d1
    type:                                      ufs
    options:                                   [logging]
    cluster-control:                           [true]
…

次の手順

HAStoragePlus リソースを使用して、高可用性のファイルシステムを構成します。HAStoragePlus リソースは、ファイルシステムを使用するよう構成されているアプリケーションを現在ホストするゾーンクラスタノードへのファイルシステムのマウントを管理します。 『Oracle Solaris Cluster Data Services Planning and Administration Guide』の「Enabling Highly Available Local File Systems」を参照してください。

ゾーンクラスタに ZFS ストレージプールを追加する方法


注 - ゾーンクラスタで高可用性の ZFS ストレージプールを構成するには、『Oracle Solaris Cluster Data Services Planning and Administration Guide』の「How to Set Up the HAStoragePlus Resource Type to Make a Local Solaris ZFS File System Highly Available」を参照してください。


  1. 目的のゾーンクラスタをホストしているグローバルクラスタのノードで、スーパーユーザーになります。

    この手順のすべてのステップは、大域ゾーンの 1 つのノードから実行します。

  2. グローバルクラスタ上で、ZFS ストレージプールを作成します。

    ゾーンクラスタのすべてのノードに接続されている共用ディスク上で、プールが接続されている必要があります。

    ZFS プールを作成する手順については、『Oracle Solaris の管理: ZFS ファイルシステム』を参照してください。

  3. プールをゾーンクラスタ構成に追加します。
    phys-schost# clzonecluster configure zone-cluster-name
    clzc:zone-cluster-name> add dataset
    clzc:zone-cluster-name:dataset> set name=ZFSpoolname
    clzc:zone-cluster-name:dataset> end
    clzc:zone-cluster-name> verify
    clzc:zone-cluster-name> commit
    clzc:zone-cluster-name> exit
  4. ファイルシステムが追加されたことを確認します。
    phys-schost# clzonecluster show -v zone-cluster-name

例 6-4 ゾーンクラスタに ZFS ストレージプールを追加する

次に、ゾーンクラスタ sczone に追加された ZFS ストレージプール zpool1 の例を示します。

phys-schost-1# clzonecluster configure sczone
clzc:sczone> add dataset
clzc:sczone:dataset> set name=zpool1
clzc:sczone:dataset> end
clzc:sczone> verify
clzc:sczone> commit
clzc:sczone> exit

phys-schost-1# clzonecluster show -v sczone
…
  Resource Name:                                dataset
    name:                                          zpool1
…

次の手順

HAStoragePlus リソースを使用して、高可用性の ZFS ストレージプールを構成します。HAStoragePlus リソースは、ファイルシステムを使用するよう構成されているアプリケーションを現在ホストするゾーンクラスタノードへのプール内のファイルシステムのマウントを管理します。『Oracle Solaris Cluster Data Services Planning and Administration Guide』の「Enabling Highly Available Local File Systems」を参照してください。

クラスタファイルシステムをゾーンクラスタに追加する方法

  1. 目的のゾーンクラスタをホストしているグローバルクラスタの投票ノードで、スーパーユーザーになります。

    この手順のすべてのステップは、グローバルクラスタの 1 つの投票ノードから実行します。

  2. グローバルクラスタ上で、ゾーンクラスタで使用するクラスタファイルシステムを構成します。
  3. ゾーンクラスタノードをホストするグローバルクラスタの各ノード上で、ゾーンクラスタにマウントするファイルシステムの /etc/vfstab ファイルにエントリを追加してください。
    phys-schost# vi /etc/vfstab
    …
    /dev/global/dsk/d12s0 /dev/global/rdsk/d12s0/ /global/fs ufs 2 no global, logging
  4. クラスタファイルシステムをゾーンクラスタのループバックファイルシステムとして構成します。
    phys-schost# clzonecluster configure zone-cluster-name
    clzc:zone-cluster-name> add fs
    clzc:zone-cluster-name:fs> set dir=zone-cluster-lofs-mountpoint
    clzc:zone-cluster-name:fs> set special=global-cluster-mount-point
    clzc:zone-cluster-name:fs> set type=lofs
    clzc:zone-cluster-name:fs> end
    clzc:zone-cluster-name> verify
    clzc:zone-cluster-name> commit
    clzc:zone-cluster-name> exit
    dir=zone-cluster-lofs-mount-point

    ゾーンクラスタでクラスタファイルシステムを使用できるように、LOFS のファイルシステムマウントポイントを指定します。

    special=global-cluster-mount-point

    グローバルクラスタの元のクラスタファイルシステムのファイルシステムマウントポイントを指定します。

    ループバックファイルシステムの作成については、『Oracle Solaris の管理: デバイスとファイルシステム』の「LOFS ファイルシステムを作成およびマウントする方法」を参照してください。

  5. LOFS ファイルシステムが追加されたことを確認します。
    phys-schost# clzonecluster show -v zone-cluster-name

例 6-5 クラスタファイルシステムをゾーンクラスタに追加する

次に、マウントポイント /global/apache を持つクラスタファイルシステムをゾーンクラスタに追加する例を示します。 このファイルシステムは、マウントポイント /zone/apache でループバックマウント機構を使用してゾーンクラスタに対して使用できます。

phys-schost-1# vi /etc/vfstab
#device     device    mount   FS      fsck    mount     mount
#to mount   to fsck   point   type    pass    at boot   options
#          
/dev/md/oracle/dsk/d1 /dev/md/oracle/rdsk/d1 /global/apache ufs 2 yes global, logging

phys-schost-1# clzonecluster configure zone-cluster-name
clzc:zone-cluster-name> add fs
clzc:zone-cluster-name:fs> set dir=/zone/apache
clzc:zone-cluster-name:fs> set special=/global/apache
clzc:zone-cluster-name:fs> set type=lofs
clzc:zone-cluster-name:fs> end
clzc:zone-cluster-name> verify
clzc:zone-cluster-name> commit
clzc:zone-cluster-name> exit

phys-schost-1# clzonecluster show -v sczone
…
  Resource Name:                            fs
    dir:                                       /zone/apache
    special:                                   /global/apache
    raw:                                       
    type:                                      lofs
    options:                                   []
    cluster-control:                           true
…

次の手順

HAStoragePlus リソースを使用して、ゾーンクラスタで使用できるようにクラスタファイルシステムを構成します。 HAStoragePlus リソースは、グローバルクラスタ内でのファイルシステムのマウントを管理し、あとで、そのファイルシステムを使用するように構成されたアプリケーションを現在ホストしているゾーンクラスタノードに対してループバックマウントを実行します。詳細は、『Oracle Solaris Cluster Data Services Planning and Administration Guide』の「Configuring an HAStoragePlus Resource for Cluster File Systems」を参照してください。

ゾーンクラスタにストレージデバイスを追加する

このセクションでは、ゾーンクラスタによるグローバルストレージデバイスの直接使用を追加する方法について説明します。グローバルデバイスは、クラスタ内の複数のノードが、一度に 1 つずつ、または同時にアクセスできるデバイスです。


注 - raw ディスクデバイス (cNtXdYsZ) をゾーンクラスタノードにインポートするには、ほかのブランドの非大域ゾーンで通常行うのと同様に zonecfg コマンドを使用します。

このようなデバイスは、clzonecluster コマンドによって制御されませんが、ノードのローカルデバイスとして扱われます。raw ディスクデバイスを非大域ゾーンにインポートする方法の詳細については、『Oracle Solaris のシステム管理 (Oracle Solaris ゾーン、Oracle Solaris 10 ゾーン、およびリソース管理)』の「稼働中の非大域ゾーン内でファイルシステムをマウントする」を参照してください。


デバイスをゾーンクラスタに追加すると、そのデバイスはそのゾーンクラスタの内部からのみ見えるようになります。

ここでは、次の手順について説明します。

ゾーンクラスタに個別のメタデバイスを追加する方法 (Solaris ボリュームマネージャー)

ゾーンクラスタに Solaris ボリュームマネージャー ディスクセットの個別のメタデバイスを追加するには、この手順を実行してください。

  1. 目的のゾーンクラスタをホストしているグローバルクラスタのノードで、スーパーユーザーになります。

    この手順のすべてのステップは、グローバルクラスタの 1 つのノードから実行します。

  2. ゾーンクラスタに追加するメタデバイスのあるディスクセットを識別し、それがオンラインかどうかを判定します。
    phys-schost# cldevicegroup status
  3. 追加するディスクセットがオンラインでない場合は、オンラインにします。
    phys-schost# cldevicegroup online diskset
  4. 追加するディスクセットに対応するセット番号を判定します。
    phys-schost# ls -l /dev/md/diskset
    lrwxrwxrwx  1 root root  8 Jul 22 23:11 /dev/md/diskset -> shared/set-number 
  5. ゾーンクラスタで使用するメタデバイスを追加します。

    set match= エントリごとに個別の add device セッションを使用します。


    注 - パス名には、ワイルドカード文字としてアスタリスク (*) を使用します。


    phys-schost# clzonecluster configure zone-cluster-name
    clzc:zone-cluster-name> add device
    clzc:zone-cluster-name:device> set match=/dev/md/diskset/*dsk/metadevice
    clzc:zone-cluster-name:device> end
    clzc:zone-cluster-name> add device
    clzc:zone-cluster-name:device> set match=/dev/md/shared/setnumber/*dsk/metadevice
    clzc:zone-cluster-name:device> end
    clzc:zone-cluster-name> verify
    clzc:zone-cluster-name> commit
    clzc:zone-cluster-name> exit
    match=/dev/md/diskset/*dsk/metadevice

    メタデバイスのフル論理デバイスパスを指定する

    match=/dev/md/shared/N/*dsk/metadevice

    ディスクセット番号のフル物理デバイスパスを指定する

  6. ゾーンクラスタをリブートします。

    変更は、ゾーンクラスタのリブート後に有効になります。

    phys-schost# clzonecluster reboot zone-cluster-name

例 6-6 ゾーンクラスタにメタデバイスを追加する

次は、ディスクセット oraset のメタデバイス d1sczone ゾーンクラスタに追加する例を示します。ディスクセットのセット番号は 3 です。

phys-schost-1# clzonecluster configure sczone
clzc:sczone> add device
clzc:sczone:device> set match=/dev/md/oraset/*dsk/d1
clzc:sczone:device> end
clzc:sczone> add device
clzc:sczone:device> set match=/dev/md/shared/3/*dsk/d1
clzc:sczone:device> end
clzc:sczone> verify
clzc:sczone> commit
clzc:sczone> exit

phys-schost-1# clzonecluster reboot sczone

ゾーンクラスタにディスクセットを追加する方法 (Solaris ボリュームマネージャー)

ゾーンクラスタに Solaris ボリュームマネージャー ディスクセット全体を追加するには、この手順を実行してください。

  1. 目的のゾーンクラスタをホストしているグローバルクラスタのノードで、スーパーユーザーになります。

    この手順のすべてのステップは、グローバルクラスタの 1 つのノードから実行します。

  2. ゾーンクラスタに追加するディスクセットを識別し、それがオンラインかどうかを判定します。
    phys-schost# cldevicegroup status
  3. 追加するディスクセットがオンラインでない場合は、オンラインにします。
    phys-schost# cldevicegroup online diskset
  4. 追加するディスクセットに対応するセット番号を判定します。
    phys-schost# ls -l /dev/md/diskset
    lrwxrwxrwx  1 root root  8 Jul 22 23:11 /dev/md/diskset -> shared/set-number 
  5. ゾーンクラスタで使用するディスクセットを追加します。

    set match= エントリごとに個別の add device セッションを使用します。


    注 - パス名には、ワイルドカード文字としてアスタリスク (*) を使用します。


    phys-schost# clzonecluster configure zone-cluster-name
    clzc:zone-cluster-name> add device
    clzc:zone-cluster-name:device> set match=/dev/md/diskset/*dsk/*
    clzc:zone-cluster-name:device> end
    clzc:zone-cluster-name> add device
    clzc:zone-cluster-name:device> set match=/dev/md/shared/set-number/*dsk/*
    clzc:zone-cluster-name:device> end
    clzc:zone-cluster-name> verify
    clzc:zone-cluster-name> commit
    clzc:zone-cluster-name> exit
    match=/dev/md/diskset/*dsk/*

    ディスクセットのフル論理デバイスパスを指定する

    match=/dev/md/shared/N/*dsk/*

    ディスクセット番号のフル物理デバイスパスを指定する

  6. ゾーンクラスタをリブートします。

    変更は、ゾーンクラスタのリブート後に有効になります。

    phys-schost# clzonecluster reboot zone-cluster-name

例 6-7 ゾーンクラスタにディスクセットを追加する

次に、ディスクセット orasetsczone ゾーンクラスタに追加する例を示します。ディスクセットのセット番号は 3 です。

phys-schost-1# clzonecluster configure sczone
clzc:sczone> add device
clzc:sczone:device> set match=/dev/md/oraset/*dsk/*
clzc:sczone:device> end
clzc:sczone> add device
clzc:sczone:device> set match=/dev/md/shared/3/*dsk/*
clzc:sczone:device> end
clzc:sczone> verify
clzc:sczone> commit
clzc:sczone> exit

phys-schost-1# clzonecluster reboot sczone

ゾーンクラスタに DID デバイスを追加する方法

ゾーンクラスタに DID デバイスを追加するには、この手順を実行してください。

  1. 目的のゾーンクラスタをホストしているグローバルクラスタのノードで、スーパーユーザーになります。

    この手順のすべてのステップは、グローバルクラスタの 1 つのノードから実行します。

  2. ゾーンクラスタに追加する DID デバイスを識別します。

    追加するデバイスは、ゾーンクラスタのすべてのノードに接続します。

    phys-schost# cldevice list -v
  3. ゾーンクラスタで使用する DID デバイスを追加します。

    注 - パス名には、ワイルドカード文字としてアスタリスク (*) を使用します。


    phys-schost# clzonecluster configure zone-cluster-name
    clzc:zone-cluster-name> add device
    clzc:zone-cluster-name:device> set match=/dev/did/*dsk/dNs*
    clzc:zone-cluster-name:device> end
    clzc:zone-cluster-name> verify
    clzc:zone-cluster-name> commit
    clzc:zone-cluster-name> exit
    match=/dev/did/*dsk/dNs*

    DID デバイスのフルデバイスパスを指定する

  4. ゾーンクラスタをリブートします。

    変更は、ゾーンクラスタのリブート後に有効になります。

    phys-schost# clzonecluster reboot zone-cluster-name

例 6-8 ゾーンクラスタに DID デバイスを追加する

次に、DID デバイス d10sczone ゾーンクラスタに追加する例を示します。

phys-schost-1# clzonecluster configure sczone
clzc:sczone> add device
clzc:sczone:device> set match=/dev/did/*dsk/d10s*
clzc:sczone:device> end
clzc:sczone> verify
clzc:sczone> commit
clzc:sczone> exit

phys-schost-1# clzonecluster reboot sczone