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Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Intelligenceアップグレード・ガイド
11g リリース1(11.1.1.6.2)
B63034-04
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B アップグレード後に予想されるOracle BI Enterprise Editionの外観と動作の変化

表B-1に、10gから11gへのアップグレード後に予想されるOracle BI EEコンテンツの変化をリストし、それぞれの変化について説明します。これらの変化は、11gでの拡張、不具合の修正およびアーキテクチャの変更に起因するものです。アップグレードの計画を立てる方法、およびアップグレード後に予想される他の変化の詳細は、第1章「Oracle BI 10gからBI 11gへのアップグレードの計画」を参照してください。

表B-1 Oracle BI EEコンテンツの変化

変化 説明

アップグレード後はアンサー・レポートに集計実行の集計ルールが必要

列式に集計の実行(MAVG()、MSUM()、RSUM()、RCOUNT()、RMAX()、RMIN()など)が含まれ、ビューの「除外」列セクションに小計、総計またはその他の列が含まれている場合、11gでは表示される結果データがアップグレード前と異なります。この相違は、この列に対して集計ルールが指定されていないことが原因で発生します。列に対して適切な集計ルールを必ず設定してください。10gの場合と同じ値が表示されるようにするには、「列式の編集」ダイアログで次の集計ルールを追加します。

  • MAVG()、MSUM() = 集計ルール: 平均

  • RSUM(), RCOUNT() = 集計ルール: 最大

  • RMAX() = 集計ルール: 最大

  • RMIN() -> 集計ルール: 最小

レポートを基準にした集計

表ビューやピボット表ビューでレポートを基準にした集計を使用している場合、メジャー列にサーバ複合集計の集計ルールがあったり小計および総計が含まれていると、10gと11gで異なる結果が表示される場合があります。

この相違は、10gでこの列の小計データが、たとえばaggregate()関数などによって生成されたために発生します。11gでは、report_aggregate()関数の使用によって「レポートを基準にした合計(適用可能な場合)」の設定が正確に反映されるため、この問題は解決されます。

ピボット表でメジャー・セクションの属性列が繰り返し表示されることがある

10gでは、行エッジとメジャー・セクションに属性列がある場合、その行は空白として表示されます。11gでは、属性の正確な値が列に表示されます。そのため、値が繰り返し表示されることがあります。

11gではデータの書式設定が変わることがある

11gでは、一部の分析のデータ書式設定が10gでのデータ書式設定と異なる場合があります。たとえば、10gの分析に2桁の小数部がある場合、11gへのアップグレード後、この小数部が表示されない可能性があります。

11gのシステムでは、分析レベルまたはビュー・レベルのデータ書式設定に従おうとします。しかし、データ書式設定がまったく指定されていないと、グラフ・エンジンのデフォルトの動作を使用します。それによって、10gと11gで書式設定の相違が発生する場合があります。

フォントの太さと位置合せの問題

11gでは、デフォルトのスタイルシートとスキンの変更により、フォントの太さと位置合せが変わります。

合計が色で強調表示されない

11gでは合計のデフォルトの書式設定が異なり、この相違によって合計行の色による強調表示が失われる場合があります。

セルの灰色の枠線が維持されない

11gでは、階層列の下/右から上/左の枠線に変更があります。枠線は分析定義を使用して手動でリセットできます。

非表示の組込みデータが表示されない

10gでは、ピボット表に含まれているデータは、非表示になっていても、そのピボット表に表示されます。11gでは、列が基準レベルで非表示になっている場合、データは表示されません。

ラベル用の非表示列が表示されない

10gでラベルに使用している非表示列は、11gでは表示されません。グラフのラベルに使用している列があり、その列がグラフで非表示になっている場合、11gでは、そのラベルは表示されません。

予約されたキーワード使用時の不適切な書式設定

11gでは、CASE、WHEN、SELECT、PERCENTなどの予約されたキーワードは、二重引用符で囲む必要があります。囲まないと、正しく書式設定されない場合があります。

11gでのビューの消失

11gでは、分析にデータ・ビューがない場合、問合せは実行されません。10gでは、問合せが実行され、「結果なし」というビューが表示されます。この相違によって、11gではビューがなくなることがあります。

ナビゲーション、ドリルまたはアクション・リンクで追加フィルタが表示されることがある

11gでは、ナビゲーションやドリル操作、またはアクション・リンクのクリック時に追加のフィルタが表示されることがあります。クリックした項目の値に加えて、繰返しの設定がされた列の値も含めて、クリックした項目の左側にあるすべての値が渡されます。その結果、追加のフィルタが適用される場合があります。それに対し、10gでは、クリックした項目の値とその左側にある値のみが渡されます。

「結果なし」メッセージの表示

10gでは、列セレクタがあり、その列セレクタの最初の列で結果が何も返されなかった場合、列セレクタのビューが表示され、そこで他の列を選択できます。11gでは、「結果なし」メッセージが表示され、他の列は表示されません。「結果なし」メッセージの設定の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionユーザーズ・ガイド』の「分析プロパティ」ダイアログに関する項を参照してください。

Oracle BI Serverから、すべての月と曜日の名前が3文字の略称で返される

BIサーバーはすべての月と曜日の名前を3文字の略称で返します。完全な名前を使用するには、NQSConfig.iniファイルを変更して次の値にYESを指定します。

USE_LONG_MONTH_NAMES = NO;
USE_LONG_DAY_NAMES = NO

この変更後は、月名または曜日名とともにCASE文を使用する分析では、NQSConfig.iniファイルの設定に一致するロング・ネームまたはショート・ネームをCASE文で使用する必要があります。

時系列データでデータが異なる場合がある

10gではToDateやAgoなどの時系列関数で分析に非表示のキー列が自動的に追加されますが、11gではこの自動追加は行われません。そのため、11gではデータが異なる場合があります。

Report_countでのdistinctキーワードの非サポート

11gでは、 Report_countでdistinctキーワードはサポートされていません。そのため、分析ではcountdistinctのかわりにcount (distinct)を使用する必要があります。この要件は、メジャーのフィルタでのTopNまたはBottomNの使用の選択時にデータに影響します。

11gでは整数の除算で整数が返される

10gで倍精度小数点データを返す整数除算が、11gでは整数を返します。このような列値が返される可能性がある場合として、次のようなケースがあります。

  • 分析の結果で小数部が失われる。

  • 列のデータの順序が若干異なる。小数部なしでデータがソートされるために、一部の行の値が同じになる場合があります。

  • 整数のデフォルトの書式設定(構成されている場合)が使用されるために、列の書式設定が変わる。(10gでは、doubleデータ型のデフォルトの書式設定が使用されます。)

整数の除算で倍精度小数点型の結果が返るようにするには、除算の実行前に分子を倍精度小数点データ型にキャストします。例:

“int x” / “int y” = “int z”
Cast( “int x” as float) / “int y” = “float z”
Cast( “int x” as double) / “int y” = “double z”

これが10gで見られた動作と異なる場合、原因は、既知の問題により、このリリースでの特定の物理データ・ソースの使用時に整数の除算で倍精度小数点型の結果が不適切に生成されていたことにあります。

integerデータ型からdoubleデータ型への変化

10gではintegerデータ型で、11gではdoubleデータ型になった列のデフォルトのデータ書式をオーバーライドできます。この回避策を行わないと、その列のデータは小数点の右側に2桁の小数部を持つ10進数として表示されます。

列でこのような変化が見られる可能性がある場合として、次のようなケースがあります。

  • 分析結果で、10gでは整数が表示されていたところに小数部を持つ値が表示される。

  • 11gでdouble型のデフォルトの書式設定(構成されている場合)が使用されるために、この列の書式設定が変わる。

次のオプションを使用することによって、10g使用時と同じ結果を維持できます。

  • Cast関数を使用してメタデータ・リポジトリの該当するデータ型に値をキャストします。

  • 整数のみを表示するように列の書式設定を変更し、その指定をデフォルト書式として保存します。

特定の列から返されるデータが異なる場合がある

一部の状況では、11gで特定の列から返されるデータ型が、10gの場合と異なることがあります。10gでは、SQL ServerやIBM DB2などの一部のデータ・ソースは、AVGなどの除算式でinteger型を返しますが、他のデータ・ソースはdouble型を返します。11gでは、一貫性を維持するためと、値の正当性と精度を高めるために、データ・ソースにかかわらず、すべての除算式の結果がdouble型に昇格されています。

この相違は分析結果に影響する可能性があります。なぜなら、旧リリースの一部の分析では小数部の書式が適切に設定されていない場合があるためです。その場合は、旧リリースではinteger型で、現在ではdouble型に変わった列のデフォルトの書式設定をオーバーライドします。このステップを行わないと、影響を受ける列のデータは、小数点の右側に2桁の小数部を持つ10進数として表示されます。

この変化がどのような場合に現れる可能性があるかと、10g使用時と同じ結果を得るためにはどうしたらいいかの詳細は、「integerデータ型からdoubleデータ型への変化」の説明を参照してください。

ナビゲーションの重複の可能性

11gではアクション・リンクは汎用的で、メジャーに対する基準アクション・リンクにアップグレードされます。そのため、ナビゲーションが重複する可能性があります。また、ビューが存在しない分析を指すことがあります。その場合、「パスが見つかりません」というエラーが表示されます。

たとえば、10gのレポートに2つの非表示のグラフが含まれており、それぞれのグラフにアクション・リンクが設定されているとします。このレポートをアップグレードすると、グラフのすべてのアクション・リンクがメジャーに対する基準アクション・リンクにアップグレードされ、それにより他のビューに追加のアクション・リンクが生成されます。この例の場合、元のグラフのアクション・リンクは存在しない分析を指します。この状況を回避するには、このようなアクション・リンクを手動で削除します。