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Oracle® Fusion Middleware SmartUpgradeユーザーズ・ガイド
11g リリース1(11.1.1)
B61426-01
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1 Oracle WebLogic Server SmartUpgradeの紹介

この章では、Oracle WebLogic Server SmartUpgradeソフトウェアを紹介します。内容は次のとおりです。

1.1 Oracle WebLogic Server SmartUpgradeとは

Oracle WebLogic Server SmartUpgradeは、Oracle JDeveloperの拡張機能であり、OC4Jに以前にデプロイしたアプリケーションを分析するコマンドライン・ユーティリティです。これは、Oracle WebLogic Serverにアプリケーションを正常に再デプロイするのに役立つアドバイスを提供し、アクションを実行します。

アプリケーション・アーカイブを分析したり、Oracle JDeveloperで開いたアプリケーションやプロジェクトを分析できます。さらに、SmartUpgradeは、アプリケーションをデプロイしたOC4Jサーバーを分析し、Oracle WebLogic Serverに同様の構成を設定する方法に関するアドバイスを提供できます。

SmartUpgradeは、各アプリケーションに関する固有の結果を含む包括的なレポートを提供する他に、一部のアップグレード・タスクを自動化します。たとえば、特定のタイプのアプリケーション・アーティファクトを生成し、そのアーティファクトをエンタープライズ・アーカイブとして自動的にパッケージ化します。このアーカイブを起点としてOracle WebLogic Serverにアプリケーションをデプロイできます。

1.2 Oracle Fusion Middlewareアップグレードの一環としてのSmartUpgradeの使用

Oracle WebLogic Server SmartUpgradeは、Oracle Application ServerまたはOracle WebLogic Serverの環境全体をOracle Fusion Middleware 11gにアップグレードする場合に役立つOracleソフトウェア・ツールの1つです。

そのため、環境のアップグレード手段の一環としてSmartUpgradeを使用できます。SmartUpgradeを、アップグレード関連のその他のOracle Fusion Middlewareドキュメント・リソースと併用することをお薦めします。

詳細は、次のドキュメントを参照してください。

1.3 このバージョンのSmartUpgradeの新機能

SmartUpgradeは、以前のバージョンではOC4Jアプリケーションの様々な側面のアップグレードに関するアドバイスを行ってきましたが、生成されるのは、Webサービス・アプリケーションのデプロイ可能なアーティファクトと、Webアプリケーションの一部のデプロイメント記述子要素のみでした。この新しいリリースのSmartUpgradeでは、次の機能が導入されています。


注意:

このバージョンのSmartUpgradeでは、Java Messaging Service (JMS)アーティファクトの生成はサポートされません。JMSアーティファクトを含むアプリケーションのアーティファクトを生成しようとする場合、Oracle WebLogic Serverにアプリケーションをデプロイしようとするとエラーが発生します。

1.4 SmartUpgradeレポートについて

SmartUpgradeが、選択されたエンタープライズ・アーカイブまたはOracle JDeveloperのアプリケーションやプロジェクトを分析すると、アプリケーション・アップグレード・レポートが生成されます。Oracle WebLogic Serverにアプリケーションをデプロイする前に、レポートを参照して潜在的な問題を特定できます。各問題は「結果」と呼ばれます。

それぞれの結果には、優先度や複雑性のレベルなどの各種属性が割り当てられます。優先度と複雑性の属性は、アプリケーションの変更やOracle WebLogic Serverへのアプリケーションの再デプロイに必要な作業の計画作成に役立ちます。

詳細は、2.4項「SmartUpgradeレポートの使用」を参照してください。

1.5 SmartUpgradeアーティファクト生成について

SmartUpgradeは、アップグレード・レポートの他に、Oracle WebLogic Serverデプロイメント記述子、データ・ソース構成、Webサービス、EJBアーティファクトなどの特定のタイプのアプリケーション・アーティファクトをオプションで生成できます。

レポートの結果を確認してこうしたアーティファクト自体を作成するのではなく、SmartUpgradeを使用してアーティファクトを生成できます。この場合、Oracle WebLogic Serverのアプリケーションのアップグレードに費やす時間や労力を節約できます。

詳細については、以下の節を参照してください。

1.5.1 デプロイメント記述子の生成

通常のJava EEアプリケーションのアーティファクトを生成するようにSmartUpgradeを構成する場合、SmartUpgradeはアプリケーション内のOC4Jデプロイメント記述子を分析します。OC4Jに固有のデプロイメント記述子内の特定の要素については、Oracle WebLogic Serverにアプリケーションをデプロイするために使用可能な同等のデプロイメント記述子要素を含むサンプル・ファイルを生成します。

生成されたデプロイメント記述子を起点として、アップグレードされるアプリケーションに必要なOracle WebLogic Serverデプロイメント記述子を作成できます。

アップグレード・ドキュメントと、アップグレード・レポート結果で入手可能なアドバイスの確認に加えて、Oracle WebLogic Server Webアプリケーション・デプロイメント記述子要素を生成するようにSmartUpgradeを構成することもできます。

特に、アーティファクトを生成するようにSmartUpgradeを構成し、ソフトウェアがアプリケーション内でorion-web.xmlファイルを識別する場合、SmartUpgradeは、対応するOracle WebLogic Serverデプロイメント記述子要素をサンプルweblogic.xmlファイルに自動で生成します。

  • virtual-directory

  • resource-eve-ref-mapping

  • ejb-ref-mapping

  • default-char-set

  • jsp-print-nulls

  • default-mime-type

  • directory-browsing

  • persistence-path

  • session-tracking

  • expiration-setting

アプリケーションでsession-tracking要素とexpiration-setting要素を使用する場合、SmartUpgradeで生成されるアーカイブ・ファイルに自動的に含まれるラッパーJavaクラスが生成されます。

詳細は、第4章「SmartUpgrade生成アーティファクトの使用」および付録A「SmartUpgradeで生成される出力ディレクトリ」を参照してください。

1.5.2 Webサービス・アーティファクトの生成

SmartUpgradeでは、Oracle WebLogic ServerにWebサービスをすばやく効率的にアップグレードしてデプロイすることができる一方で、既存のURLを維持しながら環境内のリモート・アプリケーションと相互運用します。

Webサービス・アプリケーションのアーティファクトを生成するようにSmartUpgradeを構成する場合、SmartUpgradeはOC4J Webサービスを分析し、3つの個別タスクを自動的に実行します。

  1. Oracle Weblogic Serverサービス生成ツールを使用して、アプリケーションのWSDLごとにサービス・スケルトン・アーティファクトを生成します。

    スケルトンには次のようなものがあります。

    • 値のタイプまたはデータ転送オブジェクトの新しいセット

    • 新しいサービス・エンドポイント・インタフェース(SEI)およびスケルトンWebサービス

    • Oracle WebLogic Serverデプロイメント記述子

  2. スケルトンWebサービスの実装を提供します。この実装は「glueコード」と呼ばれ、Oracle WebLogic Serverでサポートされる必須のアノテーションで生成されます。

  3. 生成されたスケルトンWebサービスの「glueコード」は、リクエストを元のWebサービス実装クラス(アップグレードされるOC4Jアプリケーションの一部)にディスパッチします。このタスクを実行するには、新しい値のタイプを元の値のタイプに変換します。

SmartUpgradeでは、元のOC4J Webサービスの既存のクライアントはアップグレードによる影響を受けません。元のWSDL契約が保存され、既存のクライアントは、Oracle WebLogic Serverに生成された新しいWebサービスと引き続き相互運用できます。

生成されたWebサービスのglueコードには、必須のアノテーションが含まれることに注意してください。

SmartUpgradeは、次のWebサービスの機能のアップグレードをサポートします。

  • ステートレス・サービスとステートフル・サービス

  • EJB 2.0 WebサービスとEJB 3.0 Webサービス

  • RPCリテラルとDocリテラルのWebサービス

  • WebサービスJAX-RPCクライアント(OC4J WSAユーティリティで生成されるスタブベース・クライアント)

  • JAX-RPCハンドラで実装されるSOAP添付ファイル

  • SOAPメッセージ転送最適化メカニズム(MTOM)

  • WSセキュリティ

詳細は、第4章「SmartUpgrade生成アーティファクトの使用」を参照してください。

1.5.3 EJBアーティファクトの生成

アプリケーションにEnterprise Java Beans (EJB)が含まれる場合、SmartUpgradeはアプリケーションを分析し、Oracle WebLogic Serverにデプロイできる同等のアーティファクトを生成しようとします。

具体的には、OC4J Native CMPアプリケーションとその他のEJBタイプのEJBアーティファクトを生成しますが、次の例外があります。

  • 自動生成主キーは部分的にサポートされます。SmartUpgradeでは、移行の一環としてデフォルトでOracleの順序に設定しますが、必要に応じて自動生成キーを手動で構成することをお薦めします。

  • TopLink CMPアプリケーションのEJBアーティファクトの生成はサポートされません。TopLink BMPまたはWeblogic CMPをお薦めしますが、これらの要素のアップグレードは、ユーザーが手動で行う必要があります。

  • 一部のEJB機能はプラットフォーム間で転送できません。特定のアプリケーションに関してアップグレードされない機能の詳細は、SmartUpgradeアップグレード・レポートを参照してください。

  • OC4J NativeメッセージドリブンBean (MDB)のアップグレードのみがサポートされます。

1.6 SmartUpgrade Oracle JDeveloper統合およびコマンドライン・インタフェース

SmartUpgradeは、Oracle JDeveloperの「更新のチェック」機能を使用してインストールできるOracle JDeveloper拡張機能として利用できます。また、コマンドライン・ツールとしても利用できます。

詳細は、次のリソースを参照してください。

1.7 SmartUpgradeのダウンロードとインストール

SmartUpgradeのダウンロードとインストールの詳細は、次の項を参照してください。

1.7.1 SmartUpgradeリリース1.0の削除

以前にSmartUpgradeリリース1.0がインストールされている場合、SmartUpgradeリリース1.2をインストールする前に既存のSmartUpgradeインストールを削除する必要があります。

SmartUpgradeリリース1.0を削除するには、次の操作を行います。

  1. Oracle JDeveloperを停止します。

  2. Oracle JDeveloperをインストールしたミドルウェア・ホームからoracle.smartupgrade.weblogicフォルダとその内容を削除します。

    MW_HOME/jdeveloper/modules/oracle.smartupgrade.weblogic
    
  3. ミドルウェア・ホームからoracle.jdeveloper.smartupgrade.weblogic.jarファイルを削除します。

    MW_HOME/jdeveloper/jdev/extensions/oracle.jdeveloper.smartupgrade.weblogic.jar
    
  4. ミドルウェア・ホームからtoplink_patch.jarファイルを削除します。

    MW_HOME/jdeveloper/jdev/lib/patches/toplink_patch.jar
    
  5. Oracle JDeveloperを起動します。

1.7.2 SmartUpgrade ZIPファイルの取得

次のいずれかの方法でSmartUpgradeを取得できます。

  • Oracle Fusion Middleware CD-ROMパックに含まれるOracle Fusion Middleware Companion CD-ROM

  • Oracle Technology Network (OTN)

たとえば、OTNからSmartUpgrade ZIPファイルをダウンロードして解凍するには、次の操作を行います。

  1. Webブラウザを使用して、OTNの次のURLに移動します。

    http://www.oracle.com/technology/products/middleware/upgrade/index.html
    

    OTNに初めてアクセスする場合、登録が必要です。登録は無料で、OTNのすべてのリソースにアクセスできます。

  2. Oracle WebLogic Server SmartUpgradeをダウンロードするリンクをクリックします。

    このドキュメントの公開時、SmartUpgradeダウンロード・リンクは、ページの右側の無料ダウンロード・イメージの下にありました。

  3. 画面の手順に従って、必要なSmartUpgradeファイルがすべて含まれるZIPファイルをダウンロードします。

  4. ローカル・ディスクの一時ディレクトリにZIPファイルを解凍します。

    表1-1は、ZIPファイルの内容の説明です。

表1-1 SmartUpgrade ZIPファイルの内容

ファイル 説明

readme.txt

ZIPファイル内のファイルを説明するテキスト・ファイル。

smartupgrade.zip

SmartUpgradeコマンドライン・インタフェースの使用に必要なファイルが含まれるZIPファイル。

releasenotes.txt

該当のSmartUpgradeダウンロードに関する最新情報をが記述されたテキスト・ファイル。

jdeveloper_smartupgrade.zip

SmartUpgrade Oracle JDeveloper拡張機能のインストールに必要なファイルが含まれるZIPファイル。


1.7.3 Oracle JDeveloper SmartUpgrade拡張機能のインストール

ダウンロード可能なZIPファイルの内容からOracle JDeveloper SmartUpgrade拡張機能をインストールするには、次の操作を行います。

  1. 現在Oracle JDeveloper 11gが実行していることを確認します。

    必要に応じて、OTNの次の場所からOracle JDeveloper 11gをダウンロードしてインストールします。

    http://www.oracle.com/technology/products/jdev/index.html
    

    Oracle JDeveloperのインストール手順については、『Oracle Fusion Middleware Oracle JDeveloperインストレーション・ガイド』を参照してください。

  2. 以前にSmartUpgradeリリース1.0がインストールされている場合、1.7.1項「SmartUpgradeリリース1.0の削除」の手順を使用して、リリース1.0を削除します。

  3. Oracle JDeveloperを起動します。

  4. 「ヘルプ」メニューから「更新のチェック」を選択します。

  5. 更新のチェック・ウィザードの「ようこそ」ページで「次へ」をクリックします。

  6. 「ソース」ページで「ローカル・ファイルからインストール」を選択します。

  7. 「参照」をクリックし、1.7.2項「SmartUpgrade ZIPファイルの取得」で取得および解凍したjdeveloper_smartupgrade.zipファイルを見つけて選択します。

  8. 「終了」をクリックしてSmartUpgrade拡張機能をインストールします。

  9. Oracle JDeveloperを再起動します。

    Oracle JDeveloperを再起動したら、第2章「Oracle JDeveloperでのSmartUpgradeの使用」を参照してください。


注意:

Oracle JDeveloperの今後の更新を入手するには、更新のチェック・ウィザードの「更新センターの検索」のオプションが利用可能な場合はそのいずれかを選択します。

1.7.4 SmartUpgradeコマンドライン・インタフェースのインストール

SmartUpgrade Oracle JDeveloper拡張機能をインストールすると、コマンドライン・インタフェースの実行に必要なファイルが自動的にインストールされます。

コマンドライン・インタフェースがインストールされたことを確認するには、SmartUpgrade拡張機能のインストール後に次のディレクトリでsmartupgrade.jarファイルを見つけます。

MW_HOME\jdeveloper\jdev\extensions\oracle.jdeveloper.smartupgrade.weblogic\

Oracle JDeveloper拡張機能をインストールせず、SmartUpgradeコマンドライン・インタフェースのみをインストールする場合、ダウンロード可能なZIPファイルや、Oracle Fusion Middleware 11g リリース1(11.1.1.2.0)のCompanion CD-ROMで入手可能なSmartUpgradeファイルからインストールすることができます。

Oracle JDeveloperを使用せずにSmartUpgradeコマンドライン・インタフェースをインストールして構成するには、次の操作を行います。

  1. 次のいずれかの前提条件をインストールして構成していることを確認します。

    • Java 2 Standard EditionまたはEnterprise Editionバージョン1.6以上

      詳細は、次のWebサイトでJava 1.6 Software Development Kit (SDK)またはJava Runtime (JRE)のダウンロードに関する情報を参照してください。

      http://java.sun.com/
      
    • Apache ANTバージョン1.7以上

      Apache Ant 1.7 は、Oracle WebLogic Server 11gインストールの一部としてインストールされます。また、次のURLからダウンロードすることも可能です。

      http://ant.apache.org/
      
  2. プログラムを実行する永続ディレクトリにsmartupgrade.zipファイルを解凍します。

    Oracleにはsmartupgrade.zipファイルが含まれます。このファイルは、Oracle Technology Network (OTN)のSmartUpgradeダウンロードに含まれ、Oracle Fusion Middleware 11g リリース1(11.1.1.2.0) Companion CD-ROMにもあります。

  3. 次のファイルがディレクトリに解凍されていることを確認します。

    • smartupgrade.jar

    • Manifest.mf

    • readme.txt

  4. コマンドライン・インタフェースの使用を開始するには、第3章「SmartUpgradeコマンドラインの使用」を参照してください。

1.7.5 最新ドキュメントの取得

チュートリアル、データ・シート、このガイドの最新バージョンなどのSmartUpgradeに関する最新情報については、Oracle Technology Network (OTN)のOracle Fusion Middlewareアップグレード・ページを参照してください。

http://www.oracle.com/technology/products/middleware/upgrade/index.html