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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentエンタープライズ・デプロイメント・ガイド
11g リリース1 (11.1.1)
B66703-02
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14 エンタープライズ・デプロイメント用のサーバー移行の構成

この章では、エンタープライズ・デプロイメント用にサーバー移行を構成する手順を説明します。

この章は次の項で構成されています:

14.1 エンタープライズ・デプロイメント用のサーバー移行の概要

Oracle WebLogic Serverの管理対象サーバーではサーバー移行を構成できます。サーバー移行が構成された状態で障害が発生した場合は、各管理対象サーバーを別のホスト・マシン上で再起動できます。管理対象サーバーは、Oracle WebLogic Serverによってフェイルオーバーされた特定の浮動IPをリスニングします。


注意:

サーバー移行を使用するかどうかまたはサーバー移行が必要かどうかの詳細は、各コンポーネントの章を参照してください。


この章で説明される手順は、第2.1.1項「このガイドに記載されている参照用トポロジ」で概略を説明したエンタープライズ・デプロイメント・トポロジの各種コンポーネントで実行される必要があります。この章では、コンポーネント固有のアイテム間で識別するために変数を使用しています。

これらの変数に使用する値は、このEDGのコンポーネント固有の章に記載されています。

このエンタープライズ・トポロジでは、WLS_SERVER1およびWLS_SERVER2の管理対象サーバーに対してサーバー移行を構成する必要があります。WLS_SERVER1の管理対象サーバーは、障害発生時にHOST2で再起動するように構成されています。WLS_SERVER2の管理対象サーバーは、障害発生時にHOST1で再起動するように構成されています。この構成では、WLS_SERVER1サーバーとWLS_SERVER2サーバーは、Oracle WebLogic Serverの移行によりフェイルオーバーされた特定の浮動IPアドレスをリスニングしています。

表14-1は、Oracle WebLogic Server管理対象サーバー用のサーバー移行を構成する手順を説明しています。

表14-1 サーバー移行の構成手順

手順 説明 詳細

ユーザー、表領域および移行表を設定します。

Leasingという表領域、ユーザーおよびサーバー移行表を作成します。

第14.2項「サーバー移行leasing表のユーザーと表領域の設定」


Leasing表のGridLinkデータ・ソースを作成します。

Oracle RACデータベースの各インスタンスにデータ・ソースを作成するほか、管理コンソールでグローバルなLeasing GridLinkデータ・ソースを作成します。

第14.3項「管理コンソールを使用したLeasingのGridLinkデータ・ソースの作成」


ノード・マネージャのプロパティに、移行用の値を指定します。

各ホストでnodemanager.propertiesファイルのプロパティの値を編集し、その値を検証します。

第14.5項「ノード・マネージャのプロパティ・ファイルの編集」


環境を設定し、oracleユーザーにスーパー・ユーザー権限を指定します。

PATH環境変数にファイルを追加し、wlsifconfig.shスクリプトにsudo構成権限を付与します。

第14.6項「wlsifconfig.shスクリプトの環境とスーパーユーザー権限の設定」


クラスタの移行を構成します。

移行ターゲットとして利用可能なノードを割り当て、各サーバーに候補となるマシンを指定します。

第14.7項「サーバー移行ターゲットの構成」


サーバー移行のテストを実行します。

ノード・マネージャまたは管理コンソールからホスト間のサーバー移行を検証します。

第14.8項「サーバー移行のテスト」



14.2 サーバー移行leasing表のユーザーと表領域の設定

create tablespace Leasingコマンドを使用して、サーバー移行Leasing表のユーザーおよび表領域を設定します。


注意:

同じドメイン内の他のサーバーがすでにサーバー移行で構成されている場合、同じ表領域とデータ・ソースを使用できます。その場合、データベースLeasing用のデータ・ソースおよびGridLinkデータ・ソースを再作成する必要はありませんが、サーバー移行用に構成されているクラスタを再度ターゲットに設定する必要があります。


サーバー移行Leasing表のユーザーと表領域を設定する手順は次のとおりです。

  1. Leasingという表領域を作成します。たとえば、sysdbaユーザーとしてSQL*Plusにログインし、次のコマンドを実行します。

    SQL> create tablespace Leasing
            logging datafile 'DB_HOME/oradata/orcl/leasing.dbf'
            size 32m autoextend on next 32m maxsize 2048m extent management local;
    

    注意:

    データベース・ファイルの場所は、データベースに使用されるストレージの種類とデータ・ファイルの場所によって異なります。


  2. Leasingという名前のユーザーを作成し、Leasing表領域に割り当てます。

    SQL> create user Leasing identified by welcome1;
    
    SQL> grant create table to Leasing;
    
    SQL> grant create session to Leasing;
    
    SQL> alter user Leasing default tablespace Leasing;
    
    SQL> alter user Leasing quota unlimited on Leasing;
    
  3. leasing.ddlスクリプトを使用してLeasing表を作成します。

    1. 次のいずれかのディレクトリにあるleasing.ddlファイルを、データベース・ノードにコピーします。

      WL_HOME/server/db/oracle/817
      WL_HOME/server/db/oracle/920
      
    2. データベースにLeasingユーザーとして接続します。

    3. leasing.ddlをSQL*Plusで実行します。

      SQL> @copy_location/leasing.ddl;
      

14.3 管理コンソールを使用したLeasingのGridLinkデータ・ソースの作成

WebLogic Server管理コンソールでLeasing表のGridLinkデータ・ソースを作成します。

GridLinkデータ・ソースを作成する手順は次のとおりです。

  1. WebLogicサーバーの管理コンソールにログインします。

  2. 「チェンジ・センター」「ロックして編集」をまだクリックしていない場合はこれをクリックし、「次へ」をクリックします。

  3. 「ドメイン構造」ツリーで「サービス」を開き、「データ・ソース」を選択します。

  4. データ・ソースの概要ページで、「新規」をクリックし、「GridLinkデータ・ソース」を選択して次の項目を入力します。

    • 「名前」フィールドに、データ・ソースの論理名を入力します。たとえば、Leasingと入力します。

    • JNDIの名前を入力します。たとえば、jdbc/leasingと入力します。

    • 「データベース・ドライバ」では、OracleのGridLink接続用ドライバ(Thin)、バージョン11以降を選択します。

    • 次へ」をクリックします。

  5. 「トランザクション・オプション」ページで、「グローバル・トランザクションのサポート」を選択解除して「次へ」をクリックします。

  6. 「GridLinkデータ・ソース接続プロパティのオプション」画面で、「個別のリスナー情報の入力」を選択し、「次へ」をクリックします。

  7. 次の接続プロパティを入力します。

    • サービス名: データベースのサービス名を小文字で入力します。GridLinkデータ・ソースの場合は、Oracle RACサービス名を入力する必要があります。次に例を示します。

      wccedg.mycompany.com
      
    • ホスト名とポート: 使用するRACデータベースのSCANアドレスとポートを入力します。このアドレスは、TCPプロトコルを使用してデータベース内の該当のパラメータを問い合せることによって特定できます。

      SQL>show parameter remote_listener;
      
      NAME                 TYPE        VALUE
       
      --------------------------------------------------
       
      remote_listener     string      db-scan.mycompany.com
      

      注意:

      Oracle Database 11gリリース1 (11.1)の場合は、各データベース・インスタンス・リスナーの仮想IPとポートを使用します。次に例を示します。

      custdbhost1-vip.mycompany.com (port 1521) 
      

      および

      custdbhost2-vip.mycompany.com (1521)
      

      Oracle Database 10gの場合は、マルチ・データ・ソースを使用してOracle RACデータベースに接続します。マルチ・データ・ソースの構成の詳細は、付録A「Oracle RACでのマルチ・データソースの使用」を参照してください。


    • ポート: データベース・サーバーが接続リクエストをリスニングするポート。

    • データベース・ユーザー名: Leasing

    • パスワード: welcome1など

    • パスワードの確認: パスワードを再入力し、「次へ」をクリックします。

  8. 「GridLinkデータベース接続のテスト」ページで、接続パラメータを確認して、「すべてのリスナーのテスト」をクリックします。接続に成功した場合の通知の例を次に示します。

    Connection test for jdbc:oracle:thin:@(DESCRIPTION=(ADDRESS_LIST=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=db-scan.mycompany.com)
    (PORT=1521)))(CONNECT_DATA=(SERVICE_NAME=wccedg.us.oracle.com))) succeeded.
    

    次へ」をクリックします。

  9. 「ONSクライアント構成」ページで、次の手順を実行します。

    • 「FANの有効化」を選択してOracle FANイベントに登録し、それらのイベントを処理できるようにします。

    • データベースによって報告されるRACデータベースのSCANアドレスとONSリモート・ポート(次の例を参照)をここにも入力し、「追加」をクリックします。

      [orcl@db-scan1 ~]$ srvctl config nodeapps -s
       
      ONS exists: Local port 6100, remote port 6200, EM port 2016
      
    • 次へ」をクリックします。


    注意:

    Oracle Database 11gリリース1 (11.1)の場合は、各データベースのONSサービスのホスト名とポートを使用します。次に例を示します。

    custdbhost1.mycompany.com (port 6200)
    

    および

    custdbhost2.mycompany.com (6200)
    

  10. 「ONSクライアント構成のテスト」ページで、接続パラメータを確認して、「すべてのONSノードのテスト」をクリックします。

    接続に成功した場合の通知の例を次に示します。

    Connection test for db-scan.mycompany.com:6200 succeeded.
    

    次へ」をクリックします。

  11. 「ターゲットの選択」ページで「WCC_Cluster」をターゲットとして選択し、「クラスタのすべてのサーバー」を選択します。

  12. 「終了」をクリックします。

  13. 変更のアクティブ化」をクリックします。

14.4 HOST1およびHOST2と管理サーバー間でのホスト名検証証明書の有効化

ノード・マネージャと管理サーバー間でのホスト名検証に適切な証明書を作成します。この手順の詳細は、第13.3項「ノード・マネージャのホスト名検証証明書の有効化」を参照してください。

14.5 ノード・マネージャのプロパティ・ファイルの編集

3番目の手順は、ノード・マネージャのプロパティ・ファイルを編集することです。これは、サーバーの移行を構成する両方のノードのノード・マネージャに対して実行する必要があります。

Interface=eth0
NetMask=255.255.255.0
UseMACBroadcast=true

これらのプロパティが使用されているか、または移行中に問題が発生していないかを、ノード・マネージャの出力(ノード・マネージャが起動されているシェル)で確認します。ノード・マネージャの出力は、次のように表示されます。

...
StateCheckInterval=500
Interface=eth0
NetMask=255.255.255.0
...

注意:

サーバーのプロパティ(起動プロパティ)が適切に設定されており、ノード・マネージャがサーバーをリモートで起動できる場合には、次の手順は必要ありません。


  1. nodemanager.propertiesファイルで次のプロパティを設定します。

    • StartScriptEnabled: このプロパティをtrueに設定します。これは、ノード・マネージャが起動スクリプトを使用して管理対象サーバーを起動するために必要です。

  2. WL_HOME/server/binディレクトリにあるstartNodeManager.shスクリプトを実行して、HOST1およびHOST2のノード・マネージャを起動します。


注意:

共有記憶域のインストールからノード・マネージャを実行すると、同じnodemanager.propertiesファイルを使用して複数のノードが起動します。ただし、ノードごとに異なるNetMaskプロパティまたはInterfaceプロパティが必要な場合があります。この場合、環境変数を使用して、ノードごとに個別にパラメータを指定します。たとえば、HOSTnで別のインタフェース(eth3)を使用するには、Interface環境変数を次のように使用します。
export JAVA_OPTIONS=-DInterface=eth3
さらに、ノード・マネージャを起動する前に、この変数をシェルに設定しておきます。


14.6 wlsifconfig.shスクリプトの環境とスーパーユーザー権限の設定

4番目の手順では、(oracleユーザーに対して)wlsifconfig.shスクリプトの環境とスーパーユーザー権限を設定します。

  1. 表14-2に一覧表示されているファイルがPATH環境変数に含まれていることを確認します。

    表14-2 PATH環境変数に必要なファイル

    ファイル ディレクトリの場所

    wlsifconfig.sh

    ORACLE_BASE/admin/domain_name/mserver/domain_name/bin/server_migration

    wlscontrol.sh

    WL_HOME/common/bin

    nodemanager.domains

    WL_HOME/common/nodemanager


  2. wlsifconfig.shスクリプトに対するsudo構成権限の付与

    • パスワードの要求がなくても動作するようにsudoを構成します。

    • セキュリティ上の理由から、sudoを wlsifconfig.sh スクリプトの実行に必要なコマンドのサブセットに限定する必要があります。たとえば、wlsifconfig.shスクリプトの環境とスーパーユーザー権限を設定するには、次の手順を実行します。

      1. WebLogicユーザー(oracle)にパスワード制限のないsudo権限を付与し、さらにsbin/ifconfigと/sbin/arpingバイナリの実行権限を付与します。

      2. WebLogicユーザー(oracle)がこのスクリプトを実行できることを確認します。/etc/sudoers内の次のエントリ例では、oracleのsudo実行権限を、ifconfigarpingに対しても付与しています。

        oracle ALL=NOPASSWD: /sbin/ifconfig,/sbin/arping
        

    注意:

    この手順に必要なsudo権限とシステム権限についてはシステム管理者に問い合せてください。


14.7 サーバー移行ターゲットの構成

5番目の手順は、サーバー移行ターゲットを構成することです。まず、クラスタのメンバーに対して使用可能なすべてのノードを割り当て、サーバー移行で構成される各サーバー用の候補サーバーを(適切な順に)指定します。次の手順に従って、クラスタ内の移行でクラスタ移行を構成します。

  1. WebLogic Server管理コンソール(http://Host:Admin_Port/console)にログインします。通常、Admin_Portは7001(デフォルト)です。

  2. 「ドメイン構造」ウィンドウで、「環境」を開き、「クラスタ」を選択します。

  3. 「クラスタのサマリー」ページで、表の「名前」列内から移行を構成するクラスタ(CLUSTER)をクリックします。


    注意:

    このドキュメントの手順では、Oracle SOA SuiteおよびImagingクラスタのサーバー移行を構成します。


  4. 「移行」タブを開きます。

  5. ロックして編集」をクリックします。

  6. 使用可能」フィールドで、移行を許可する移行先マシンを選択し、右矢印ボタンをクリックします。この場合は、「HOST1」「HOST2」を選択します。

  7. 自動移行に使用するデータ・ソースを選択します。この場合は、Leasingデータ・ソースを選択します。

  8. 保存」をクリックします。

  9. 変更のアクティブ化」をクリックします。

  10. ロックして編集」をクリックします。

  11. サーバー移行の候補となるマシンを設定します。この作業は、次の手順に従ってすべての管理対象サーバーで実行する必要があります。

    1. WebLogic Server管理コンソールの「ドメイン構造」ウィンドウで、「環境」ノードを開き、「サーバー」を選択します。

    2. 移行を構成するサーバーを選択します。


      注意:

      このドキュメントの手順では、Oracle SOA SuiteおよびImagingサーバーのサーバー移行を構成します。


    3. 「移行」タブを開きます。

    4. 「移行の構成」セクションにある「使用可能」フィールドで、移行先のマシンを選択し、右向き矢印をクリックします。WLS_SERVER1には「HOST2」を選択します。WLS_SERVER2には「HOST1」を選択します。

    5. サーバーの自動移行を有効化」を選択します。これにより、ノード・マネージャはターゲット・ノード上で障害発生サーバーを自動的に起動できます。

    6. 保存」をクリックします。

    7. 変更のアクティブ化」をクリックします。

    8. 管理サーバー、ノード・マネージャ、サーバー移行が構成されたサーバーを再起動します。

14.8 サーバー移行のテスト

6番目と最後の手順として、サーバー移行のテストを実行します。サーバー移行が適切に機能していることを確認する手順は次のとおりです。

HOST1から:

  1. WLS_SERVER1管理対象サーバーを停止します。これには、HOST1で次のコマンドを実行します。

    kill -9 pid
    

    pidは、その管理対象サーバーのプロセスID(PID)を指定します。次のコマンドを実行すると、ノードのPIDを識別できます。

    ps -ef | grep WLS_SERVER1
    
  2. ノード・マネージャのコンソールを確認します。WLS_SERVER1の浮動IPアドレスが無効化されたことを示すメッセージが表示されます。

  3. ノード・マネージャがWLS_SERVER1の2回目の再起動を試行するまで待ちます。この再起動を試行するまでに30秒間待機します。

  4. ノード・マネージャでサーバーを再起動したら、再び停止します。サーバーが再びローカルに再起動しないことを示すメッセージがノード・マネージャによってログに記録されます。

HOST2から:

  1. ローカルのノード・マネージャのコンソールを確認します。ノード1で最後にWLS_SERVER1の再起動が試行されてから30秒経過した後、ノード2のノード・マネージャによって、WLS_SERVER1の浮動IPが有効になっていること、またこのノードでサーバーが再起動されていることが表示されます。

  2. 同じIPでsoa-infraコンソールにアクセスします。

管理コンソールからの確認

移行は管理コンソールで確認することもできます。

  1. 管理コンソールにログインします。

  2. 左のコンソールで「ドメイン」をクリックします。

  3. 「監視」タブをクリックし、「移行」サブタブをクリックします。

    「移行の状態」表に、移行の状態に関する情報が表示されます(図10-1)。

    図14-1 管理コンソールの「移行の状態」画面

    図14-1の説明が続きます
    「図14-1 管理コンソールの「移行の状態」画面」の説明


注意:

サーバーの移行後、そのサーバーを元のノードまたはマシンにフェイルオーバーするには、Oracle WebLogic管理コンソールから管理対象サーバーを停止し、再起動します。管理対象サーバーは、適切なノード・マネージャによって以前に割り当てられていたマシン上で起動されます。