アップグレード・プロセスを開始する前に、バックアップ要件を明確に理解しておく必要があります。これらの要件は、アップグレード対象が中間層か、MDSリポジトリか、Oracle Identity Management Oracleホームかによって若干異なります。
この項の内容は次のとおりです。
中間層インストールをアップグレードする場合は、Oracle Fusion Middleware 11gリリース1(11.1.1)Oracle Application Server Suite、Oracle SOA SuiteまたはOracle WebCenter Suiteを新しいOracleホーム・ディレクトリにインストールしてから、Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantを使用して、構成データを元のOracle Application Server 10gソースOracleホームから新しいOracle Fusion Middleware 11gのディレクトリにコピーします。
アップグレード・プロセスでは、11gリリース1(11.1.1)の宛先ディレクトリのみが変更され、ソースOracleホームは変更されません。したがって、アプリケーション・サーバーのデータを保護するためにすでに使用しているバックアップ計画以外に、追加または新規のバックアップ計画をソースOracleホームに対して実装する必要はありません。
一方、11gリリース1(11.1.1)の新しい宛先中間層環境に対しては、Upgrade Assistantを実行する前にバックアップの作成が必要な場合があります。このバックアップによって、アップグレード前(新しくインストールした時点)の状態にリストアすることができます。アップグレードの結果に問題がある場合は、インスタンス全体を再インストールするかわりにバックアップからリストアを実行するとより効率的です。
有効な11gリリース1(11.1.1)バックアップには、11gリリース1(11.1.1)のインストール時またはインストール後に作成されたOracleホームおよびすべてのOracleインスタンスが含まれています。このバックアップは、Oracle Fusion Middleware Backup and Recoveryソフトウェアを使用して実行できます。
Oracle Fusion Middleware環境のバックアップおよびリストアの手順については、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』を参照してください。
ほとんどの場合、メタデータ・リポジトリのアップグレード時には、まず、リポジトリをホストするデータベースを、Oracle Fusion Middleware 11gリリース1(11.1.1)でサポートされているデータベース・バージョンにアップグレードする必要があります。
詳細は、第5章「データベースのアップグレードおよび準備」を参照してください。
この項の内容は次のとおりです。
他のすべてのデータベースのアップグレードの場合と同様に、通常の手順では、新しいデータベース・バージョンにアップグレードする前にデータベースをバックアップします。
新しいデータベース・バージョンへのアップグレードが成功した後で、データベースを再度バックアップすることも検討してください。この方法により、新しくアップグレードされた状態のデータベースがバックアップに反映されます。
詳細は、使用しているプラットフォームおよびデータベース・バージョン用のOracle Databaseドキュメントを参照してください。
アップグレードするOracle Application Serverのコンポーネントによっては、データベースに格納されているコンポーネント・スキーマをアップグレードする前に、データベースのバックアップを実行する必要があります。
一部のコンポーネントの場合、スキーマのアップグレードはインプレースで実行されます(つまり、Upgrade Assistantによってデータベースに存在するコンポーネント・スキーマが変更されます)。スキーマまたはスキーマに含まれるデータの新しいコピーは作成されません。インプレース・アップグレードでは、Upgrade Assistantによって行われたスキーマの変更は元に戻せません。
たとえば、Oracle PortalスキーマのアップグレードおよびOracle Internet Directoryスキーマのアップグレードは、インプレース・アップグレードで行われます。Oracle BI Discoverer、Oracle BAMおよびOracle B2Bのスキーマはインプレース・アップグレードでは行われません。
Upgrade Assistantを実行してデータベース内のコンポーネント・スキーマのインプレース・アップグレードを行う前に、そのスキーマが含まれているデータベースのバックアップを実行する必要があります。このバックアップによって、必要に応じて元の状態にデータベースをリストアすることができます。
Oracle Databaseドキュメント・ライブラリには、データベース・バックアップの機能、計画および手順についての多くの情報があります。使用しているバージョンのデータベースの詳細は、ドキュメント・ライブラリを参照してください。
たとえば、次のとおりです。
10gリリース2(10.2)を使用している場合、10gリリース2(10.2)ドキュメント・ライブラリの『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・クイック・スタート・ガイド』を参照してください。
Oracle Database 11g を使用している場合、Oracle Database 11g ドキュメント・ライブラリの『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
Oracle Databaseドキュメント・ライブラリは、次のURLのOracle Technology Network(OTN)で提供されています。
http://www.oracle.com/technology/documentation/
Oracle Identity Managementインストールをアップグレードする場合は、Oracle Identity and Access Management Suiteを新しいOracleホームおよびOracleインスタンス・ディレクトリにインストールします。次に、Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantを使用して次の2つのタスクを実行します。
構成データをOracle Identity ManagementのソースOracleホームから新しい11gリリース1(11.1.1)Oracle Identity Managementの宛先ディレクトリにコピーします。
MDSリポジトリ内のOracle Identity Managementスキーマをアップグレードします。
Oracle Identity Managementインストールをアップグレードする場合は、次のバックアップおよびリカバリに関する推奨事項を参照してください。
アップグレード・プロセスの最初の段階では、Upgrade Assistantによって11g リリース1(11.1.1)ディレクトリのみが変更され、ソースOracle Identity Management Oracleホームは変更されません。したがって、アプリケーション・サーバーのデータを保護するためにすでに使用しているバックアップ計画以外に、追加または新規のバックアップ計画をソースOracleホームに対して実装する必要はありません。
アップグレード・プロセスの2番目の段階では、Upgrade AssistantによってOracle Identity Managementのスキーマが11gリリース1(11.1.1)にアップグレードされます。このスキーマのアップグレードはインプレースで実行されます(つまり、Upgrade Assistantによってデータベースに存在するOracle Identity Managementスキーマが変更されます)。スキーマまたはスキーマに含まれるデータの新しいコピーは作成されません。Upgrade Assistantによって行われたスキーマの変更は元に戻せません。
したがって、Upgrade Assistantを実行してOracleAS Metadata Repository内のスキーマをアップグレードする前に、そのスキーマが含まれているデータベースのバックアップを実行する必要があります。このバックアップによって、Upgrade Assistantを実行する前の元の状態にデータベースをリストアすることができます。
関連項目: Oracle Fusion Middlewareインストールをバックアップおよびリカバリするための手順およびツールについては、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』を参照してください。Oracle Databaseをバックアップする場合の情報およびガイドラインについては、Oracle Databaseドキュメント・ライブラリの『Oracle Database バックアップおよびリカバリ基礎』を参照してください。 |
Oracle Identity and Access Management Suiteのインストールを完了した直後(Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantを実行する前)に、新しくインストールした11gリリース1(11.1.1)宛先中間層環境のバックアップを作成する場合があります。このバックアップによって、アップグレード前(新しくインストールした時点)の状態にリストアすることができます。アップグレードの結果に問題がある場合は、インスタンス全体を再インストールするかわりにバックアップからリストアを実行するとより効率的です。
有効な11gリリース1(11.1.1)バックアップには、11gリリース1(11.1.1)のインストール時またはインストール後に作成されたOracleホームおよびすべてのOracleインスタンスが含まれています。このバックアップは、Oracle Fusion Middleware Backup and Recoveryソフトウェアを使用して実行できます。
関連項目: Oracle Fusion Middleware環境のバックアップおよびリストアの手順については、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』を参照してください。 |
Oracle Fusion Middleware環境のアップグレードを完了し、検証した後は、新しくアップグレードした状態に環境を簡単にリストアできるようにOracle Fusion Middleware 11gリリース1(11.1.1)インストールをバックアップすることを検討してください。
特に、アップグレードしたスキーマをホストするデータベースをアップグレード・プロセス直後にバックアップすることを検討してください。このアップグレード後の最初のバックアップを行った後で、定期的にスケジュールされたデータベース・バックアップ・ルーチンを開始することができます。アップグレード後の最初のバックアップによって、アップグレード・プロセスを繰り返さずに、新しくアップグレードした11gリリース1(11.1.1)の状態に環境をリストアできるようになります。
また、新しくアップグレードしたOracle Fusion Middlewareインストールに開発アクティビティまたはデプロイメント・アクティビティを移動した後は、新しいOracle Fusion Middlewareディレクトリ(Oracle Fusion Middleware Oracleホーム・ディレクトリ、Oracleインスタンス・ディレクトリなど)が含まれるように通常のバックアップ・ルーチンを必ず変更してください。