Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Portal管理者ガイド 11g リリース1(11.1.1.6.0) B72085-01 |
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この章では、Oracle WebCenter Portalアプリケーションで使用されるアクティビティ・グラフ・サービスを構成および管理する方法について説明します。
アクティビティ・グラフ・サービスを確認および構成する際には、アクティビティ・グラフ管理、Fusion Middleware ControlまたはWLSTコマンドライン・ツールを必ず使用してください。手動によるファイルの編集は、構成ミスにつながる可能性があるため、(手動による編集を特に指示している場合を除いて)お薦めしません。
この章の内容は次のとおりです。
対象読者
この章の内容は、Fusion Middleware管理者(Oracle WebLogic Server管理コンソールを使用してAdmin
またはOperator
ロールを付与されたユーザー)を対象としています。第1.8項「管理操作、ロールおよびツールの理解」も参照してください。
アクティビティ・グラフ・サービスは、コネクションの相手としてユーザーが関心を持つ可能性がある人々を、既存のコネクションと、アプリケーション内のオブジェクトとの共有された対話に基づいて提案します。また、現在ユーザーが表示しているスペースやアイテムとの類似する対話に基づいて、ユーザーが関心を持つ可能性があるスペースやコンテンツをユーザーに示します。
アクティビティ・グラフ・サービスが表示するこれらの提案は、アクティビティ・グラフ・エンジンによって収集および分析されたデータに基づきます。アクティビティ・グラフ・エンジンは、エンタープライズ・アプリケーションによって収集されたアクションのセントラル・リポジトリとして機能します。数学的なグラフの観点から考えた場合、アプリケーション・ユーザー、およびユーザーが対話を行うエンタープライズ・コンテンツはそれぞれがノードであり、ユーザー間およびユーザーとコンテンツ間で実行されるアクションは有向エッジです(図12-1)。
アクティビティ・グラフ・サービスでは、次の3つの主要コンポーネントが使用されます。
Oracle Analytics Event Collector: OpenUsage APIを使用してイベント・データを収集し、アクティビティ・データベースに保存します。
アクティビティ・グラフ・エンジン: データの収集、類似度スコアの計算および検索ランキングの計算を実行する各エンジンが含まれています。
アクティビティ・グラフ問合せAPI: アクションの生データと処理済の推奨データを公開するとともに、アクセス権がないために結果を表示したり最新のメタデータによって結果を装飾することができない人々からの結果をフィルタ処理するためのメカニズム(QRPP)を公開します。
図12-2は、これらの異なるコンポーネントがいかに連動するかを示しています。このプロセスについて次に説明します。
たとえば、Montyが自分のドキュメントを表示している、などのアクションがWebCenter Portalで発生すると、分析イベント・コレクタによってそのアクションがピックアップされ、アクティビティ・データベース内のイベント表に記録されます。
アクティビティ・データ収集プロセスが開始されると、分析アクティビティ・プロバイダが分析イベント表からアクションを読み取り、登録されているマッピング・セットを使用してアクティビティを生成します。アクティビティはアクションの1回の発生を表します。アクティビティを使用して、アクションの複数の発生が集計されたリレーションが決定され、リレーション表に格納されます。たとえば、Montyが特定のドキュメントを5回表示したという事実は、1つのリレーションを表します。リレーション表内の情報は、推奨と検索ランクの決定に使用されます。
アクティビティ・グラフ問合せAPIは、アクティビティ・グラフ・サービス・タスク・フローで使用され、レシピを使用して推奨用の問合せをリレーション表に対して実行するJava APIです。レシピは類似度計算の重み付けリストです。類似度計算では、特定の基準に基づく2つのオブジェクトの類似度を示す類似度スコア(0から1の範囲の数値)が生成されます。各計算の重み付けにより、推奨スコア全体を決定する際の各計算の重要度が決まります。推奨は、そのトータル推奨スコアで順序付けられます。WebCenter Portalはデフォルトの類似度計算群を備えており、これらの計算がアクティビティ・グラフ・サービス・タスク・フローで使用されます。これらの類似度計算を編集したり、カスタムの類似度計算を作成したりすることが可能です。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portal開発者ガイド』のカスタムの類似度計算の定義に関する項を参照してください。
特定のオブジェクトに関する推奨の初期リストが生成された後は、より適切で有用な結果をユーザーに示すために結果をフィルタ処理できます。これには、問合せ結果ポスト・プロセッサ(QRPP)が使用されます。QRPPは推奨結果の現在のリストを取り込み、変更済リストを出力として返します。QRPPでは、現在のユーザーが表示を許可されていないオブジェクトに関する推奨の削除など、推奨のフィルタ処理を実行したり、結果メタデータの追加や変更を行ったりすることができます。
その後、アクティビティ・グラフ・サービス・タスク・フローを通じて、ユーザーに推奨が示されます。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portal開発者ガイド』のアクティビティ・グラフ・サービス・タスク・フローに関する項を参照してください。
この項では、ロードマップを構成プロセスにおける管理者のガイドとして使用します。
ロードマップ: Spacesアプリケーション用のアクティビティ・グラフ・サービスの構成
この項のフロー・チャート(図12-3)と表(表12-1)は、Spacesアプリケーションでアクティビティ・グラフ・サービスを動作させるための前提条件と必要なタスクの概要を示しています。
表12-1 Spacesアプリケーション用のアクティビティ・グラフ・サービスの構成
担当者 | タスク | サブタスク | ノート |
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管理者 |
1. WebCenter Portalと分析サービスおよびアクティビティ・グラフ・サービスのバックエンド・コンポーネントをインストールします |
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2. 次のツールのいずれかを使用して、WebCenter Portal: Spacesと分析コレクタ間の接続を構成します
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3. (オプション)アクティビティ・グラフ・エンジン・スケジュールを設定します |
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エンド・ユーザー/ 管理者 |
4. アクティビティ・グラフ・データがSpacesアプリケーションで使用可能なことをテストします |
4.a Spacesにログインし、コンテンツの追加などによりこれと対話します(エンド・ユーザー) 4.b アクティビティ・グラフ・エンジンを実行します(管理者) 4.c アクティビティ・グラフ・タスク・フロー(プロファイル・ページでの推奨接続タスク・フローなど)で推奨を表示します(エンド・ユーザー) |
ロードマップ: Frameworkアプリケーション用のアクティビティ・グラフ・サービスの構成
この項のフロー・チャート(図12-4)と表(表12-2)は、Frameworkアプリケーションでアクティビティ・グラフ・サービスを動作させるための前提条件と必要なタスクの概要を示しています。
表12-2 Frameworkアプリケーション用のアクティビティ・グラフ・サービスの構成
担当者 | タスク | サブタスク | ノート |
---|---|---|---|
管理者 |
1. WebCenter Portalと分析サービスおよびアクティビティ・グラフ・サービスのバックエンド・コンポーネントをインストールします |
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開発者 |
2. アクティビティ・グラフ・サービスをアプリケーションに統合します |
2.a JDeveloperで、WebCenter Portalスキーマへの接続を構成します 2.b JDeveloperで、アクティビティ・データベースへの接続を構成します 2.c JDeveloperで、分析コレクタへの接続を構成します 2.d JDeveloperで、アクティビティ・グラフ・タスク・フローをページに追加します |
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管理者 |
3. (オプション)アクティビティ・グラフ・エンジン・スケジュールを設定します |
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開発者/ 管理者 |
4. 次のツールのいずれかを使用してアプリケーションをデプロイします
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開発者/ 管理者 |
5. (オプション)次のいずれかのツールを使用して接続パラメータを追加または変更します
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エンド・ユーザー/ 管理者 |
6. アクティビティ・グラフ・データがアプリケーションで使用可能なことをテストします |
6.a アプリケーションにログインし、コンテンツの追加などによりこれと対話します(エンド・ユーザー) 6.b アクティビティ・グラフ・エンジンを実行します(管理者) 6.c アクティビティ・グラフ・タスク・フロー(プロファイル・ページでの推奨接続タスク・フローなど)で推奨を表示します(エンド・ユーザー) |
アクティビティ・グラフ・サービスを使用するには、アクティビティ・グラフ・エンジン・アプリケーションをインストールおよび構成する必要があります。詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalインストール・ガイドを参照してください。
また、アプリケーションで、WebCenter Portalスキーマおよびアクティビティ・データベースへの接続を作成する必要があります。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portal開発者ガイド』のデータベース接続の設定に関する項を参照してください。
分析イベント・コレクタに使用状況イベントを送信するように、アプリケーションを構成する必要があります。詳細は、第13.5項「アプリケーション用の分析コレクタの登録」を参照してください。
アクティビティ・グラフ・サービスが推奨を行うには、アクティビティ・グラフ・エンジンが少なくとも1回実行され、データが収集されて、類似度スコアが計算されていることが必要です。詳細は、第12.4項「アクティビティ・グラフ・サービスのデータの準備」を参照してください。
類似アイテム・タスク・フローで提案されるアイテムは、アプリケーションで使用できるサービスに依存します。たとえばドキュメントは、ドキュメント・サービスが使用可能な場合にのみ推奨されます。アプリケーションでサービスを使用可能にする方法の詳細は、そのサービスに関連する章を参照してください。また、アイテムを所有するサービスのリソース認可者が、そのアイテムを推奨からフィルタで除外することも可能です。
クラスタ環境では、アクティビティ・グラフ・エンジン・アプリケーションのインスタンスを1つだけにし、他のすべてのインスタンスを無効にする必要があります。詳細は、『Oracle Fusion Middleware高可用性ガイド』のアクティビティ・グラフの構成に関する項を参照してください。
アクティビティ・グラフ・エンジンは、データの収集、類似度スコアの計算および検索ランキングの計算を実行する3つの個別エンジンで構成されています。3つのエンジンは次のとおりです。
収集エンジン: 登録されているアクティビティ・プロバイダ・セットを介して、分析表および他のリポジトリからアクティビティを収集します。
共同フィルタ・エンジン(CFE): オブジェクトのペアに関する類似度スコアを計算し、後で類似度の推奨を生成するためにアクティビティ・グラフにスコアを格納します。これは、類似度計算セットの実行により行われます。類似度計算は、ドメインとバックグラウンドのノード・クラスの特定のセットに対する類似度スコアの計算方法を共同フィルタ・エンジンに通知するオブジェクトです。計算結果の各類似度スコアは、特定の基準に基づく2つのオブジェクトの類似度を示す0から1の範囲の数値です。類似度計算の指定には、ドメインとバックグラウンド・クラス、距離関数、およびリレーションの組合せがプロパティとして使用されます。
ランク・エンジン: アクティビティ・グラフの各ノードの重要度のメジャーを計算します。このアクティビティ・ランクを検索索引に格納し、問合せ時に問合せ依存スコアと組み合せて使用して検索結果を順序付けることができます。詳細は、第12.7項「Oracle Secure Enterprise Searchのアクティビティ・ランクの設定」を参照してください。このスコアはコンテキストに依存しない推奨の順序付けにも役立ちます。そのため、リレーション・ストアにも格納されます。
アクティビティ・グラフ・サービスがオブジェクトの推奨を開始するには、これらのエンジンが少なくとも1回実行され、データが収集されて、類似度スコアが計算されていることが必要です。この初期実行後は、必要に応じて、またはスケジュールに基づいてエンジンを実行することによって、新しいアクティビティが確実に取得され、分析されるようにすることができます。
この項の内容は次のとおりです。
アクティビティ・グラフ・エンジンをスケジュールに基づいて実行することによって、新しいアクティビティが定期的に確実に取得され、分析されるようにすることができます。これは、トラフィック量が多く、コンテンツが頻繁に更新されるアプリケーションで役立ちます。
アクティビティ・グラフ・エンジンをスケジュールに基づいて実行する手順は次のとおりです。
Fusion Middleware Controlにログインし、WebCenter Portalアプリケーションのホームページに移動します。
ナビゲーション・ペインを使用して、「WebCenter」→「ポータル」→「アクティビティ・グラフ・エンジン」→「アクティビティ・グラフ」(WC_Utilities)→「activitygraph-engines」に移動します。
「Webモジュール」の下で、「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページのURLをクリックし、ログインします。
注意: このページにアクセスするには、 「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページでは、マルチバイトのユーザー名およびパスワードをサポートしていないため、ASCIIのみのユーザー名およびパスワードを使用してログインする必要があります。 |
ヒント: 「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページには、次のURLに直接進んでアクセスすることもできます。 http://host:port/activitygraph-engines ここで、 |
「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページで、「スケジュールで実行」を選択します。
「開始日」フィールドに、スケジュールの開始日を入力します。
「実行」フィールドに、プロセスの定期的な実行間隔を示す値を入力します。たとえば、プロセスを毎日実行する場合は、このフィールドに1
と入力します。プロセスを1日おきに実行する場合は、このフィールドに2
と入力します。
「日時」ドロップダウン・リストから、プロセスを開始する時刻を選択します。
「開始」をクリックします。
指定した日付の選択した時刻にプロセスが実行され、その後、スケジュールしたとおりに継続して実行されます。
アプリケーションのデータがそれほど頻繁には変わらない可能性がある場合は、必要が生じたときにアクティビティ・グラフ・エンジンをオンデマンド実行できます。このオプションは、定期的なスケジュール実行間隔中に、アクティビティ・グラフ・エンジンをオンデマンドで実行する目的でも使用できます。
アクティビティ・グラフ・エンジンをオンデマンドで実行する手順は次のとおりです。
Fusion Middleware Controlにログインし、WebCenter Portalアプリケーションのホームページに移動します。
ナビゲーション・ペインを使用して、「WebCenter」→「ポータル」→「アクティビティ・グラフ・エンジン」→「アクティビティ・グラフ」(WC_Utilities)→「activitygraph-engines」に移動します。
「Webモジュール」の下で、「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページのURLをクリックし、ログインします。
注意: このページにアクセスするには、 「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページでは、マルチバイトのユーザー名およびパスワードをサポートしていないため、ASCIIのみのユーザー名およびパスワードを使用してログインする必要があります。 |
ヒント: 「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページには、次のURLに直接進んでアクセスすることもできます。 http://host:port/activitygraph-engines ここで、 |
「今すぐ1回実行」を選択します。
アクティビティ・グラフ・エンジンの前回の実行以後に発生したアクティビティによって表を更新する場合は、「増分更新」を選択します。
既存のすべてのデータを削除し、すべてのアクティビティを表に再移入する場合は、「完全再ビルド」を選択します。この場合、時間がかかることがあります。
「開始」をクリックします。
ダイアログの「ステータス」セクションで、プロセスの進行状況を監視できます。
必要に応じて「停止」をクリックすることによって、随時プロセスを停止できます。
プロセスのオンデマンド実行後に定期的なスケジュールに戻す場合は、「スケジュールで実行」を必ず選択し、詳細に誤りがないことを確認して、「開始」をクリックします。それにより、スケジュールが再開されます。
類似度計算には、特定の推奨がなぜ行われたかをユーザーが理解するのに役立つ理由文字列を関連付けることができます。人またはオブジェクトが推奨されたときに、最も高いスコアリングに関連する類似度計算に理由文字列が関連付けられている場合、その文字列がタスク・フローに表示されます。類似度計算で表示される理由文字列は編集可能であり、また、追加の文字列を作成することもできます。
各類似度計算では、個々の理由ごとに単数形と複数形の2つのフレーズを定義できます。
理由文字列は次のトークンを使用してカスタマイズできます。
{RECOMMENDED_ITEM}
: 現在の推奨アイテムの名前。
{NUMBER_OF_ITEMS}
: 共通するオブジェクト数。これはコンポーネント・スコアの分子に対応します。
{TOTAL_ITEMS}
: 共通するアイテムの合計数。これはコンポーネント・スコアの分母に対応します。意味は上位類似度URNに関連付けられた類似度関数に依存します。
{SIMILARITY_CALCULATION}
: 上位類似度計算の名前。
たとえば、user-connect
類似度計算では、次の2つの理由文字列が定義されています。
reason-user-connect=You share {NUMBER_OF_ITEMS} connections with {RECOMMENDED_ITEM}. reason-user-connect=You share {NUMBER_OF_ITEMS} connection with {RECOMMENDED_ITEM}.
類似度計算の理由文字列をカスタマイズする手順は次のとおりです。
UIBundle.properties
ファイルを開きます。
カスタマイズする理由文字列を見つけて、必要に応じて編集します。
新しい理由文字列を作成する場合は、次の形式を使用します。
reason-similarity-calculation=string
UIBundle.properties
ファイルを保存します。
WebCenter Portalは、出荷時の状態ですぐに使用可能な、アクティビティ・グラフ・サービスとの統合を提供します。これには、分析からのWebCenter Portalサービス・イベント・データをマッピングするためのメタデータ定義が含まれます。このメタデータは、アクティビティ・グラフ・エンジン・アプリケーションの最初の起動時に自動的にロードされます。
XMLファイルを操作することによって、アクティビティ・グラフ・メタデータを拡張し、分析からのアクションの収集方法を変更できます。メタデータを使用するためには、まずデータをXMLファイルにエクスポートする必要があります。XMLファイルの編集後、メタデータをアクティビティ・グラフ・サービスに再びインポートできます。
この項の内容は次のとおりです。
アクティビティ・グラフ・メタデータの拡張方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portal開発者ガイド』のアクティビティ・グラフ・サービスの拡張に関する項を参照してください。
WLSTコマンドのexportAGMetadata
を使用して、アクティビティ・グラフ・メタデータ定義をXMLファイルにエクスポートします。コマンドの構文と例は、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のexportAGMetadataに関する項を参照してください。
次に例を示します。
exportAGMetadata(appName='activitygraph-engines', directoryPath='/scratch/monty', definitionFileName='activityGraphMetaData.xml', includeProviderConfigurations=1)
WLSTコマンドの実行方法の詳細は、第1.13.3.1項「Oracle WebLogic Scripting Tool (WLST)コマンドの実行」を参照してください。
WLSTコマンドのexportAGProviderConfiguration
を使用して、特定のプロバイダに関するプロバイダ構成メタデータをアクティビティ・グラフ・メタデータ定義ファイルにエクスポートします。コマンドの構文と例は、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のexportAGProviderConfigurationに関する項を参照してください。
次に例を示します。
exportAGProviderConfiguration(appName='activitygraph-engines', directoryPath='/scratch/monty', definitionFileName='activityGraph-analytics-mappings.xml', urn='oracle.webcenter.activitygraph.analytics')
WLSTコマンドの実行方法の詳細は、第1.13.3.1項「Oracle WebLogic Scripting Tool (WLST)コマンドの実行」を参照してください。
WLSTコマンドのimportAGMetadata
を使用して、アクティビティ・グラフ・メタデータ定義をXMLファイルからインポートします。コマンドの構文と例は、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のimportAGMetadataに関する項を参照してください。
WLSTコマンドの実行方法の詳細は、第1.13.3.1項「Oracle WebLogic Scripting Tool (WLST)コマンドの実行」を参照してください。
WLSTコマンドのdeleteAllAGMetadata
を使用して、WebCenter Portalアプリケーションで定義されているすべてのアクティビティ・グラフ・メタデータを削除します。アクティビティ・グラフ・メタデータを完全に再インストールするには、このコマンドをWLSTコマンドimportAGMetadata
と組み合せて使用します。コマンドの構文と例は、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のdeleteAllAGMetadataに関する項を参照してください。
注意: このコマンドは、新しいメタデータ・セットをインポートすることを予定している場合にのみ使用してください。 |
アクティビティ・グラフの個別オブジェクトのメタデータは、次のWLSTコマンドを使用して削除できます。
注意: これらの |
詳細は、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のアクティビティ・グラフに関する項を参照してください。
WLSTコマンドのrenameAGNodeClass
を使用して、アクティビティ・グラフに現在登録されているノード・クラスのURNを変更します。コマンドの構文と例は、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のrenameAGNodeClassに関する項を参照してください。
WLSTコマンドのrenameAGAction
を使用して、アクティビティ・グラフに現在登録されているアクションのURNを変更します。コマンドの構文と例は、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のrenameAGActionに関する項を参照してください。
注意: これらのコマンドでは、影響を受けるノード・クラスまたはアクションに関連付けられたメタデータについては削除されません。 |
WebCenter PortalアプリケーションとFusionアプリケーションを介して提供されるエンタープライズ・コンテンツは充実した構造をしています。この構造はマルコフ連鎖分析という数学的技法の使用に役立ちます。この技法がランク・エンジンで使用され、より関連性の強い結果セットが生成されることで、エンド・ユーザーの検索を改善するアクティビティ・ランクが各ノードに生成されます。これは、Oracle Secure Enterprise Search (Oracle SES)検索索引に様々なオブジェクトの重要度のメジャーを導入することによって実現されます。その後、他の標準の検索基準(条件頻度など)と組み合せて、この重要度が結果の順序付けで考慮されます。オブジェクトの重要度の決定は、そのオブジェクトとのユーザーの対話の履歴に基づいて予測されます。
アクティビティ・ランクでは、人の重要度は、その人物が作成および編集するアイテムの数、それらのアイテムの重要度、その人物とコネクションがある人の数、およびそれらの人々の重要度に依存します。アイテムの重要度は、その作成者の重要度、そのアイテムを表示、タグ付けおよび編集する人々の数、およびそれらの人々の重要度に依存します。
ランク・エンジン・プロセスは次の4つのフェーズに分けることができます。
収集: ランク・エンジンが分析ストアに対して、ユーザーとドキュメント間のコネクションに関するデータの問合せを実行します。
変形: データがマトリックスに変換されます。
乗算: マトリックスを使用してアクティビティ・ランクが計算されます。
結果の格納: 検索時に使用できるように、アクティビティ・ランクがOracle SES検索サーバーに格納されます。
アクティビティ・ランク候補は、WebCenter Portal: Spacesオブジェクトのうち、Oracle SESクローラ実装を持つオブジェクト、WebCenter Portal分析インストゥルメンテーションを持つオブジェクト、およびアクティビティ・グラフ・ランク計算への登録があるオブジェクトの共通部分に制限されます。
検索の動作に影響するアクティビティ・ランクをオブジェクトが受信するためには、イベント・データが分析から収集されること、ランク計算がアクティビティ・グラフによって生成されること、およびアクティビティ・グラフに登録されているいずれかのクラスに一致する値をwc_serviceId
属性値として持つ索引付きエントリが検索に含まれることの条件をオブジェクトが満たすことが必要です。現在サポートされているオブジェクトは次のとおりです。
ユーザー
ドキュメント
ブログ・エントリ
Wikiページ
注意: オブジェクトのクラス自体が検索可能でない場合でも、ランクは計算され、使用されます。 |
アクティビティ・ランクの計算で考慮されるアクションの範囲は、activityGraphMetaData.xml
ファイルに指定されたrankCalculation
によって定義されます。出荷時に構成されている宣言には次のユーザー・アクションが含まれています。
<component actionURN="connect" weight="10.0"/> <component actionURN="edit" weight="20.0" inverse="true"/> <component actionURN="view-count" weight="1.0"/> <component actionURN="create" weight="100.0" inverse="true"/> <component actionURN="create" weight="100.0"/> <component actionURN="edit-count" weight="20.0"/> <component actionURN="download" weight="5.0"/> <component actionURN="tag" weight="10.0"/> <component actionURN="comment" weight="10.0"/>
ここから、ドキュメントの表示という単一アクションの場合、そのドキュメントに対する重要度(weight="1.0"
)は、ドキュメントの作成アクション(weight="100.0"
)やタグ付けアクション(weight="10.0"
)に比べてきわめて低いことがわかります。
また、inverse属性がtrueに設定されている場合、オブジェクトとユーザー間のリレーションシップが示されます。このリレーションシップの効果は、ランクの高いオブジェクトによってユーザーが信頼性を高められることです。たとえば、他のユーザーがドキュメントに対して実行したアクション(タグ付け、表示、ダウンロード)によってそのランクが上昇するにつれ、そのドキュメントの作成者(create
リレーションシップ)がそのドキュメントのランクを収集し、そのユーザーの将来のアクションの重みが増幅されます。
アクティビティ・グラフ・ランク・エンジンは、影響を受けるすべてのオブジェクトに関するランク計算を完了すると、1から10の範囲の正規化されたランクを持つ識別子の結果セットをプラグイン・クラスSesRankResultAcceptor
に送信します。このクラスは、Oracle SES SOAP APIを使用して、検索索引にランクをそのままプッシュします。このランクは(Oracle SESではdocscoreと呼ばれています)、SOAP APIに受け入れられるとすぐに検索ランキングで考慮されます(DocScore機能が完全に有効化されている場合)。
したがって、結果セットの同じ階層内の複数のアイテムでは、docscoreがより高いアイテムが、より低いアイテムより高い検索スコアを取得するため、より高いアイテムはその階層内でより上位のランクに押し上げられる可能性があります。
開始前の作業
アクティビティ・ランクはOracle SESと連携して動作します。そのため、Oracle SESが適切にインストールおよび構成されていることを確認する必要があります。また、アクティビティ・ランクは検索可能アイテムにのみ作用するため、ランク・エンジンはSESクローラの実行後に実行してください。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portal管理者ガイド』の「検索サービスの管理」の章を参照してください。
Oracle SESのアクティビティ・ランクを構成する手順は次のとおりです。
ランク・エンジンでは、ACTIVITY-RANK
に対して外部名DOC_SCORE_1
を持つdocscore属性、およびLIKE-RANK
に対して外部名DOC_SCORE_2
を持つdocscore属性をそれぞれ使用することを期待しています。そのため、ストアド・プロシージャeq_sdata.create_sdata_attribute
をコールすることによって、これらのフィールドを設定するための1回限りのマッピング・コールを実行する必要があります。
exec eq_sdata.create_sdata_attribute('ACTIVITY-RANK'); exec eq_sdata.create_sdata_attribute('LIKE-RANK');
注意: これらのストアド・プロシージャは、Oracle SESインスタンスをホストするサーバーから呼び出す必要があります。 |
また、これらの属性の重みを決定するエントリをOracle SES ranking.xml
ファイルに追加する必要があります。
Oracle SES 11.1.2.2の場合は、次のように追加します。
<ranking> <docscore-factor> <attribute-name>ACTIVITY-RANK</attribute-name> <column-name>DOC_SCORE_1</column-name> <weight>1.0</weight> </docscore-factor> <docscore-factor> <attribute-name>LIKE-RANK</attribute-name> <column-name>DOC_SCORE_2</column-name> <weight>1.0</weight> </docscore-factor> </ranking>
他のすべてのバージョンのOracle SESでは、次のように追加します。
<ranking> <docscore-factor> <attribute-name>ACTIVITY-RANK</attribute-name> <column-name>DOC_SCORE_1</column-name> <weight>1.0</weight> </docscore-factor> <docscore-factor> <attribute-name>LIKE-RANK</attribute-name> <column-name>DOC_SCORE_2</column-name> <weight>1.0</weight> </docscore-factor> <docscore-factor> <attribute-name>Doc_Score</attribute-name> <weight>1.0</weight> </docscore-factor> </ranking>
ヒント:
$SES_HOME/search/webapp/config |
Oracle SES中間層を再起動して、変更を有効にします。
WLSTコマンドのsetAGProperty
を使用して、次のアクティビティ・グラフ・プロパティを設定します。
oracle.webcenter.activitygraph.providers.datasources.ses.soap.admin.url oracle.webcenter.activitygraph.providers.datasources.ses.soap.query.url
次に例を示します。
setAGProperty(appName='activitygraph-engines', propertyName='oracle.webcenter.activitygraph.providers.datasources.ses.soap.admin.url', propertyValue='http://seshostname:7777/search/api/admin/AdminService', propertyType='String') setAGProperty(appName='activitygraph-engines', propertyName='oracle.webcenter.activitygraph.providers.datasources.ses.soap.query.url', propertyValue='http://seshostname:7777/search/query/OracleSearch', propertyType='String')
これらのプロパティを設定すると、Oracle SESサーバーに接続して索引にランクを記録するSESRankResultAcceptor
が有効化されます。
WLSTコマンドのsetAGPasswordCredential
を使用して、2つのプロパティによって定義されたURLにアクセスするときに使用するユーザー名とパスワードを設定します。
注意: 検索可能なすべてのアイテムへのアクセス権を持つユーザーと一致する資格証明を指定してください。 |
次に例を示します。
setAGPasswordCredential(appName='activitygraph-engines', propertyName='oracle.webcenter.activitygraph.providers.datasources.ses.soap.admin.credential', userName='eqsys', password='welcome1') setAGPasswordCredential(appName='activitygraph-engines', propertyName='oracle.webcenter.activitygraph.providers.datasources.ses.soap.query.credential', userName='orcladmin', password='welcome1')
アクティビティ・グラフ・エンジン・アプリケーションがデプロイされている管理対象サーバー(つまり、WC_Utilities
管理対象サーバー)を再起動します。
この項では、アクティビティ・グラフ・サービスの使用中に発生する可能性がある問題のトラブルシューティングに役立つ情報を提供します。
注意: 次に示すトラブルシューティングの解決法では、アクティビティ・グラフ・エンジンが正しくデプロイされていること、 また、第12.3項「アクティビティ・グラフ・サービスの前提条件」も必ず読んでおいてください。 |
問題
アクティビティ・グラフ・エンジンの実行中に、「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページでエラーがスローされる
解決策
この場合の基本的な検証内容は、WebLogicコンソールからアクティビティ・グラフ・エンジンのデプロイ・ステータスを検証することです。
問題
「スケジュールとステータス」ページからアクティビティ・グラフ・エンジンを起動したときに、エンジンのステータスがUIに反映されない。
解決策
アクティビティ・グラフのログで、エンジンが実際に実行されているかどうか確認します。エンジンが実行されていることがログに示されている場合は、問題はUIのみに関連します。この場合、タスク・フローに表示される推奨には影響しません。収集/CFEエンジンのエントリがログに何も示されていない場合は、イベント・マッピング・ファイルに問題がある可能性があります。
ヒント: アクティビティ・グラフ・エンジンのログは次の場所にあります。 domain/log/WC_Utilities.out domain/servers/WC_Utilities/logs/WC_Utilities-diagnotics.log |
問題
「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページにログインできない。
解決策
「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページでは、マルチバイトのユーザー名およびパスワードはサポートされていません。ASCII文字のみのユーザー名とパスワードを持つ管理者としてログインしてください。