この章では、WebLogicのJDBC (Java Database Connectivity)データ・ソースについて説明します。
この章の内容は以下のとおりです。
WebLogic Serverでは、JDBCデータ・ソースとマルチ・データ・ソースを構成してから、WebLogicドメイン内のサーバーまたはクラスタにJDBCリソースをターゲット指定またはデプロイすることで、データベース接続を構成できます。
Oracle WebLogic Serverでは3種類のデータ・ソースが提供されています。
汎用データ・ソース: 汎用データ・ソースとその接続プールによって、システムを効率よく稼働するのに役立つ接続管理プロセスが提供されます。アプリケーションや環境に合うようにデータ・ソースでオプションを設定できます。
GridLinkデータ・ソース: Oracle RACインスタンスで状態の変化に順応して応答するイベント・ベースのデータ・ソース。
マルチ・データ・ソース: マルチ・データ・ソースとは、ロード・バランシングやフェイルオーバー処理を提供する汎用データ・ソースのグループに関する抽象化です。
データベース接続の柔軟性と移植性を向上するようにプログラミングで定義できるJava EE DataSourceもWebLogic Serverでサポートされています。Java EE DataSourceに関する詳細は、『Oracle WebLogic Server JDBCのプログラミング』のDataSourceリソース定義に関する項を参照してください。
汎用データ・ソースを使用すると、データベースにアクセスし、データベース接続を管理できます。各データ・ソースには、データ・ソース作成時およびサーバー起動時に作成される、データベース接続のプールが含まれています。アプリケーションは、JNDIツリーまたはローカル・アプリケーション・コンテキストでデータ・ソースをルックアップし、次にgetConnection()
を呼び出すことで、データ・ソースからのデータベース接続を予約します。接続の使用が終わったら、アプリケーションはできるだけ早くconnection.close()
を呼び出して、データベース接続をプールに戻し、他のアプリケーションが使用できるようにする必要があります。
1つのGridLinkデータ・ソースは、WebLogic ServerとOracle RACクラスタを含むOracle Databaseサービス間の接続を提供します。それは、Oracle RACインスタンス内の状態変更に対して適応的に応答するためにOracle Notification Service (ONS)を使用します。Oracle Databaseサービスは、共通属性を持つ作業負荷を表します。これにより、管理者は単一のエンティティとして作業負荷を管理できます。クラスタ内のノード数に関係なく、データベース内のサービス数が増加するに従い、GridLinkデータ・ソース数をスケールします。
GridLinkデータ・ソースには、汎用データ・ソースと次に示すOracle RACサポートの機能が含まれます。
高速接続フェイルオーバー
ランタイム接続ロード・バランシング
Oracle RAC停止時の正常操作
GridLinkアフィ二ティ
SCANアドレス
Oracle Walletを使用してセキュアな通信
マルチ・データ・ソースとは、データ・ソースがJNDIツリーにバインドされるのと同じように、JDNDIツリーまたはローカル・アプリケーション・コンテキストにバインドされるデータ・ソースのグループ周辺を抽象化したものです。アプリケーションは、データ・ソースの場合と同じようにJNDIツリー上のマルチ・データ・ソースまたはローカル・アプリケーション・コンテキスト(java:comp/env
)内のマルチ・データ・ソースをルックアップし、その後データベース接続をリクエストします。マルチ・データ・ソースは、そのマルチ・データ・ソースの構成内で選択されるアルゴリズムに応じて、リクエストを満たすためにロード・バランシングとフェイルオーバーのうちどちらのデータ・ソースを使用するかを決定します。
表8-1 WebLogic Serverデータ・ソースのためのロードマップ
主要なタスク | サブタスクと追加情報 |
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WebLogic Serverデータ・ソースについてもっとよく知る |
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JDBCの構成 |
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Java EEデータ・ソース |
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JDBCの管理 |
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パフォーマンスおよびチューニング |
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WebLogic ServerでのOracle RACの使用 |
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JDBCドライバ |
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