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Oracle VM Server for SPARC 2.2 管理ガイド Oracle VM Server for SPARC (日本語) |
パート I Oracle VM Server for SPARC 2.2 ソフトウェア
1. Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアの概要
3. Oracle VM Server for SPARC のセキュリティー
ドメインが CPU コア全体で構成されているかどうかを判断する方法
他の Oracle VM Server for SPARC 機能との相互作用
電源管理されている CPU スレッドおよび仮想 CPU の一覧表示
解析可能でマシンが読み取り可能なリストを生成する方法 (-p)
長形式のリストのサブセットを生成する方法 (-o format)
パート II オプションの Oracle VM Server for SPARC ソフトウェア
13. Oracle VM Server for SPARC 物理から仮想への変換ツール
14. Oracle VM Server for SPARC Configuration Assistant (Oracle Solaris 10)
15. Oracle VM Server for SPARC 管理情報ベース (Management Information Base、MIB) ソフトウェアの使用
16. Logical Domains Manager の検出
動的 CPU スレッドコントロールを使用して、SPARC T4 システムのワークロードパフォーマンスを最適化できます。
これらのスレッドコントロールを使用して、コアあたりにアクティブにするハードウェアスレッド数を指定できます。既存のアプリケーションは、書き直しや再コンパイルの必要なく、SPARC CPU の動的スレッドパフォーマンスのメリットを生かすことができます。
このセクションでは、CPU スレッドコントロールを使用して、SPARC T4 システムの CPU パフォーマンスを最適化する方法を説明します。最大数の CPU スレッドを使用するように CPU コアをチューニングして、最大スループットを発揮するように CPU パフォーマンスを最適化できます。デフォルトで、CPU は最大スループットを発揮するようにチューニングされます。または、サイクルあたりの命令数 (IPC) が最大になるように CPU コアを調整して、CPU にバインドされたワークロードの CPU パフォーマンスを最適化できます。
SPARC T4 システムで、CPU スレッドモードを指定して、CPU パフォーマンスを最適化できます。システムのドメインごとに、スレッドモードを動的に、独立して設定できます。スレッドモードを変更するためにリブートは必要なく、ドメインのリブートやプラットフォームの電源サイクルを越えて、設定されたモードが維持されます。
適切な CPU スレッドモードを選択することで、ドメインで実行するアプリケーションやワークロードのパフォーマンスを向上できます。次のように、スループットを最大にするか、またはサイクルあたりの命令数を最大にするスレッドモードを選択できます。
スループットの最大化 (max-throughput)。高いスループットからもっとも利益を得るワークロードは、多数のソフトウェアを実行し、大量の I/O 処理を実行します。最大スループットを発揮するように最適化すると、CPU コアで最大数のハードウェアスレッドを同時実行できます。このモードは、混在アプリケーションワークロードや、Web サーバー、データベースサーバー、ファイルサーバーで実行されるような、高度にマルチスレッド化されたワークロードを実行する場合に最適です。このモードは、デフォルトで使用され、SPARC T3 プラットフォームなどの古い SPARC T シリーズでも使用されます。
IPC の最大化 (max-ipc)。高い IPC からもっとも恩恵を受けるワークロードは、算術計算を集中的に実行するシステムなど、一般に CPU にバインドされたシングルスレッドアプリケーションです。最大の IPC を発揮するように最適化すると、CPU スレッドで、CPU サイクルあたりに実行できる命令数が増えます。この最適化は、同じ CPU コアで同時にアクティブになっている CPU スレッド数を減らすことによって実現できます。
ldm add-domain または ldm set-domain コマンドを使用し、threading プロパティーを設定して、ドメインの CPU スレッドモードを選択します。
ldm add-domain [threading=max-throughput|max-ipc] ldom ldm set-domain [threading=max-throughput|max-ipc] ldom
threading プロパティーは、次のいずれかの値を指定して、スレッドモードを動的に変更するために使用します。
max-throughput。この値は、スループットを最大にするスレッドモードを選択するために使用します。このモードは、ドメインに割り当てられているすべてのスレッドをアクティブにします。このモードはデフォルトで使用され、モードを指定しない (threading=) 場合でも選択されます。
max-ipc。この値は、サイクルあたりの命令数 (IPC) を最大にするスレッドモードを選択する場合に使用します。SPARC T4 プラットフォームでこのモードを使用すると、ドメインに割り当てられている各 CPU コアにつき、1 つだけのスレッドがアクティブになります。このモードを選択するには、ドメインがコア全体の制約で構成されている必要があります。
ldm add-core または ldm set-core コマンドを使用して、コア全体の制約を構成します。ldm(1M) マニュアルページを参照してください。
スレッドモードを変更すると、CPU スレッドが動的にアクティブまたは非アクティブになります。そのため、ドメインで使用可能な仮想 CPU の数も動的に変更されます。
max-ipc スレッドモードはコア全体の制約を使用するため、コア全体の制約の要件および制限を順守して、次を実行する必要があります。
ドメインに割り当てるコアの数を変更します。
コア全体の制約を有効または無効にします。
そのため、実行中のドメインのスレッドモードを max-ipc モードに動的に変更するには、コア全体の制約でドメインを構成する必要があります。
制限については、「スレッドコントロールの制限」を参照してください。add-domain および set-domain サブコマンドの詳細については、ldm(1M) のマニュアルページを参照してください。
threading プロパティー値を表示するには、次のコマンドを使用できます。
ldm list -o resmgmt コマンドは制約を表示します。次の出力例は、threading プロパティーが max-ipc に設定されていることを示します。
# ldm list -o resmgmt ldg1 NAME ldg1 CONSTRAINT whole-core max-cores=3 threading=max-ipc
ldm list -o cpu コマンドは、UTIL 列に 0 の値を指定して、非アクティブな仮想 CPU を表示します。次の max-ipc の例のボールドテキストは、CPU あたりにアクティブにされているスレッドが 1 つだけであることを示しています。
# ldm list -o cpu ldg1 NAME ldg1 VCPU VID PID CID UTIL STRAND 0 8 1 0.3% 100% 1 9 1 0 100% 2 10 1 0 100% 3 11 1 0 100% 4 12 1 0 100% 5 13 1 0 100% 6 14 1 0 100% 7 15 1 0 100% 8 24 2 0.4% 100% ...
ldm list -l コマンドでは、指定したドメインに関するすべての情報が含まれます。次の例のボールドテキストは threading プロパティーが max-ipc に設定されていることを示します。
# ldm list -l ldg1 ... VID PID CID UTIL STRAND 0 8 1 0.6% 100% 1 9 1 0 100% 2 10 1 0 100% 3 11 1 0 100% 4 12 1 0 100% 5 13 1 0 100% 6 14 1 0 100% ... CONSTRAINT whole-core max-cores=3 threading=max-ipc ...
スレッドコントロール機能には次の制限があります。
コア全体の制約の制限が適用されます。「CPU の割り当て」を参照してください。
threading プロパティー値は、ドメインの移行を越えて維持されません。
電源管理 (Power Management、PM) が有効な間は、threading プロパティーを max-ipc に設定できません。
PM の実行時、すべてのドメインで threading プロパティーが max-throughput に設定されている必要があります。