以下の項では、Oracle SNMPエージェント・インテグレータについて解説し、Oracle SNMPエージェント・インテグレータをインストールする手順を説明します。
Oracle SNMPエージェント・インテグレータを使用すると、多様なハードウェアおよびソフトウェア・コンポーネントを単一のホストで管理する際に、任意のベンダーの複数のエージェントやサブエージェントを協調させることができます。これにより、図5-1に示すようなSNMPマネージャ/エージェント拡張モデルを実現できます。
Oracle SNMPエージェント・インテグレータを使用すると、以下のことが行えます。
エージェントとSNMPマネージャの間のすべての通信は、Oracle SNMPエージェント・インテグレータのマスター・エージェントによって処理されます。
ユーザー定義の規則を使用すると、重大なシステム・イベントの発生をOracle SNMPエージェント・インテグレータでチェックし、イベント検知時には警告を出したりプログラムを実行したりできます。ネットワーク上で通信が発生するのは、イベントが検知されたときと、マネージャからのポーリング・アクティビティが開始または停止したときだけです。
Oracle SNMPエージェント・インテグレータでは、RFC 1227で定義されているSMUXプロトコルを使用して、SMUXサブエージェントに応答したり、SNMP準拠のシステムやネットワーク管理ステーションからのリクエストを適切なサブエージェントに転送したりします。
DPIマスター・エージェントは、SNMPを使用してネットワーク・マネージャからのリクエストに応答します。したがって、DPIマスター・エージェントも、他のピアSNMPエージェントと同じ方法でOracle SNMPエージェント・インテグレータ経由で通信するように構成できます。
この機能は、ポーリングをOracle SNMPエージェント・インテグレータに実行させて、コンポーネントが複数のコンピュータに分かれている分散システムを管理する場合には特に便利です。Oracle SNMPエージェント・インテグレータでは、それらのコンポーネントが単一のコンピュータ上に存在するかのように認識されます。詳細は、「Oracle SNMPエージェント・インテグレータを使用したポーリング」を参照してください。
Oracle SNMPエージェント・インテグレータで受信したSNMPリクエストは、適切なピアSNMPエージェントまたはSMUXサブエージェントに転送されます。エージェントまたはサブエージェントからのレスポンスは、Oracle SNMPエージェント・インテグレータによってSNMPマネージャに渡されます。
図5-2に、Oracle SNMPエージェント・インテグレータのマスター・エージェントが、マスター・エージェント、SNMPエージェント、およびSMUXサブエージェントをまとめて管理するしくみを示します。
SNMPマネージャでは、多様なエージェントおよびサブエージェントが単一のSNMPエージェントとして認識されます。Oracle SNMPエージェント・インテグレータは、SNMPマネージャのプロキシとして動作します。
マスター・エージェントが管理リクエストへの応答にSNMPを使用しているかぎり、Oracle SNMPエージェント・インテグレータはどのマスター・エージェント/サブエージェント・アーキテクチャと同じノードでも実行できます。
Oracle SNMPエージェント・インテグレータでは、以下の環境変数を使用します。
BEA_SMUX_PASSWD
BEA_PEER_MAX_TRIES
BEA_PEER_MAX_WAIT
BEA_PEER_MAX_WAIT
エントリを追加して設定することもできます。
BEA_PEER_MAX_WAIT
エントリがない場合のデフォルト値は3秒です。ピアSNMPエージェントの場合、Oracle SNMPエージェントのbeamgr.conf
構成ファイルにあるNON_SMUX_PEER
エントリのタイムアウト・パラメータを使用することで、SNMPエージェントごとにデフォルトのタイムアウト値をオーバーライドできます。なお、「ピアSNMPエージェント」と「非SMUXピア・エージェント」はまったく同じ意味です。ピアSNMPエージェント(非SMUXピア・エージェント)は、Oracle SNMPエージェント・インテグレータの管理下で動作するSNMPエージェントです。
BEA_SM_BEAMGR_CONF
「管理対象ノードでのOracle SNMPエージェントの設定」の手順に従ってOracle SNMPエージェントを設定したら、次の手順に従ってOracle SNMPエージェント・インテグレータを設定および使用します。
ピアSNMPエージェントは、Oracle SNMPエージェント・インテグレータと同じ管理対象ノード(IPアドレス)にも、リモート・ノードにも設定できます。ピアSNMPエージェントで管理するオブジェクトへのアクセスは、beamgr.conf
構成ファイルのNON_SMUX_PEER
エントリで定義します。各エントリでは、そのエージェントでアクセス可能なOIDツリーのブランチを定義または移動します。このタスクについては、「複数のSNMPエージェントの使用」を参照してください。
DPIマスター・エージェントはSNMPを使用するため、Oracle SNMPエージェント・インテグレータからは単なるSNMPエージェントとして認識されます。したがって、DPIサブエージェントへのアクセスは、ステップ1で説明したピアSNMPエージェントの場合と同じ方法で設定できます。
SMUXサブエージェントの管理スコープは、他のエージェントとの競合を回避するなどの目的で、beamgr.conf
構成ファイルにOID_CLASS
エントリを指定することにより変更できます。デフォルトでは、SMUXサブエージェントが自動的にOIDツリーのセクションを指定し、Oracle SNMPエージェント・インテグレータのマスター・エージェントへの登録の際に使用します。OID_CLASS
エントリの構文については、「構成ファイル」を参照してください。
この手順が必要になるのは、Oracle SNMPエージェント・インテグレータを使用して、ポーリングによる管理ステーションへの負荷を軽減する場合のみです。ポーリング規則は、beamgr.conf
構成ファイルのRULE_ACTION
エントリで定義します。ポーリングは、Oracle SNMPエージェント・インテグレータの開始時に自動的にアクティブ化されます。Oracle SNMPエージェント・インテグレータによるローカル・ポーリングを非アクティブ化したり再アクティブ化したりするには、管理ステーションでSNMPのSetコマンドを使用します。Oracle SNMPエージェント・インテグレータのポーリング規則の詳細と、ポーリングを開始および停止する方法については、「Oracle SNMPエージェント・インテグレータを使用したポーリング」を参照してください。
Oracle SNMPエージェント・インテグレータのトラップの管理システムを構成します。Oracle SNMPエージェント・インテグレータによって生成されたSNMPトラップ通知を使用できるようにするには、SNMP準拠の管理フレームワークでいくつかの構成を実施する必要があります。
どのような内容の構成を行うかは、使用している管理システムによって異なります。通常、トラップの受信時にアクション(アイコンの色を赤にするなど)を実行するには、管理システムで構成やマッピングを実施する必要があります。詳細は、使用している管理システムのドキュメントを参照してください。
これらのエントリは、Oracle SNMPエージェント・インテグレータ(MIB-II snmp
グループ)でサポートされています。
Oracle SNMPエージェントをSMUXサブエージェントとして使用してOracle Tuxedoアプリケーションを管理する場合は、Oracle SNMPエージェント・インテグレータのタイムアウトを30秒以上に構成してください。これを行うには、Oracle SNMPエージェントのbeamgr.conf
構成ファイルにBEA_PEER_MAX_WAIT
エントリを次のように追加します。
タイムアウト値を設定するもう1つの方法は、環境変数BEA_PEER_MAX_WAIT
を30に設定することです。UNIXのCシェルでは、次のコマンドを使用します。
prompt> setenv BEA_PEER_MAX_WAIT 30
WindowsシステムでOracle SNMPエージェント・インテグレータとSMUXサブエージェントを開始するには、次の手順に従います。
Windowsのタスクバーから、「スタート」>「設定」>「コントロール・パネル」>「管理ツール」>「サービス」を選択します(Windows 2003システムの場合は「スタート」>「プログラム」>「管理ツール」>「サービス」)。
snmp_integrator
という名前のWindowsサービスとしてインストールされています。これは、SMUXサブエージェントより前に開始する必要があります。 Oracle SNMPエージェント(tux_snmpd
)は、tux81_snmpd
という名前のWindowsサービスとしてインストールされているか、複数のOracle SNMPエージェントがインストールされている場合は他の論理エージェント名でインストールされています。
注意: | 非SMUXピア・エージェントとして開始(開始時に-s オプションを指定)するtux_snmpd プロセスがある場合は、それらをOracle SNMPエージェント・インテグレータより前に開始する必要があります。Oracle SNMPエージェントを開始する順序は、最初にすべての非SMUXピア・エージェント、次にOracle SNMPエージェント・インテグレータ、最後にすべてのSMUXサブエージェントとなります。 |
UNIXシステムでOracle SNMPエージェント・インテグレータとSMUXサブエージェントを開始するには、root
としてログインし、以下のプログラムを指定の順序で開始します。
注意: | 非SMUXピア・エージェントとして開始(開始時に-s オプションを指定)するtux_snmpd プロセスがある場合は、それらをOracle SNMPエージェント・インテグレータより前に開始する必要があります。Oracle SNMPエージェントを開始する順序は、最初にすべての非SMUXピア・エージェント、次にOracle SNMPエージェント・インテグレータ、最後にすべてのSMUXサブエージェントとなります。 |
WindowsシステムでOracle SNMPエージェント・インテグレータと1つまたは複数のサブエージェントを停止するには、次の手順に従います。
UNIXシステムでOracle SNMPエージェント・インテグレータと1つまたは複数のサブエージェントを停止するには、以下のコマンドを発行します。
prompt> stop_agent
logical_agent_name
| all [
logical_agent_name
]
tux_snmpd
以外のSNMPエージェントの場合は、logical_agent_name
が常に実行可能ファイルの名前になります。all
を指定すると、すべてのSNMPエージェントが停止します。