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Oracle® Application Testing Suiteスタート・ガイド
バージョン9.31
B62629-03
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1 概要

Oracle Application Testing Suiteは、統合された総合的Webアプリケーション・テスト・ソリューションで、ビジネス・クリティカルなアプリケーションのスケーラビリティと信頼性を確保するために必要なツールをすべて提供しています。

このマニュアルでは、Oracle Application Testing Suiteの概要を示し、ツールの使用を開始するために役立つチュートリアルを、手順を追って紹介します。

1.1 Oracle Application Testing Suite Administratorについて

Administratorを使用することにより、Oracle Application Testing Suiteのシステム管理者はOracle Load TestingおよびOracle Test Managerのユーザー・アカウントを管理できます。Oracle Load Testingについては、ユーザー・アカウントと、許可されるアクセスの種類を定義します。Oracle Test Managerについては、ユーザー・アカウント、ロール、プロジェクトおよびフィールドを定義します。

図1-1 Administratorメイン・ウィンドウ(Manager Databaseのテスト)

図1-1の説明が続きます
「図1-1 Administratorメイン・ウィンドウ(Manager Databaseのテスト)」の説明

1.1.1 Administratorの主要機能

Oracle Application Testing Suite Administratorには次の機能があります。

  • ユーザー・アカウント: Oracle Load TestingまたはOracle Test Manager用にユーザー・アカウントを定義し、カスタマイズできます。

  • ロール: Oracle Test Manager用に読取り、書込み、削除および実行のアクセス権限を持つロールを定義してカスタマイズできます。

  • プロジェクト: Oracle Test Manager用にプロジェクトを提議してカスタマイズし、特定のユーザー・アカウントに割り当てられます。

  • フィールド: Oracle Test Managerの要件、問題、テストおよびテスト実行用にフィールドを定義してカスタマイズできます。

1.2 Oracle OpenScriptについて

Oracle OpenScriptは、標準ベースのプラットフォーム上に構築されており、OpenScriptモジュールおよびApplication Programming Interface (API)の基盤を提供します。直感的なグラフィカル・インタフェースと強力なJava言語を組み合せることにより、OpenScriptは初心者テスターから上級QA自動化専門家のニーズ全般に対応します。

図1-2 OpenScriptのツリー・ビュー階層

図1-2の説明が続きます
「図1-2 OpenScriptのツリー・ビュー階層」の説明

OpenScript APIは、Webアプリケーションのテスト用スクリプトを作成するために使用されます。OpenScript APIは、プロシージャのセットで構成されており、これらを使用して開発環境内のスクリプトをカスタマイズできます。また、上級技術者がAPIを使用して、固有のテスト・ニーズに合せてスクリプトを強化できます。

1.2.1 OpenScriptの主要機能

OpenScriptは、Webアプリケーション・テスト用のOracle Application Testing Suiteスクリプトを開発するための次世代環境です。OpenScriptには、Webベース・アプリケーションのテストについて次のような利点があります。

  • スクリプティング・ワークベンチ: OpenScriptは、Eclipseベースのスクリプティング・ワークベンチを提供し、ここで自動化されたテスト・スクリプトを作成し、実行できます。ユーザーは、ツリー・ビューのグラフィカル・スクリプティング・インタフェースから、UIを使用してスクリプトを作成および編集できます。また、「Javaコード」ビュー・プログラミング・インタフェースに切り替えて、統合Eclipse IDEをプログラムによるスクリプトの作成および編集に活用することも可能です。

    OpenScriptで作成された機能テスト・スクリプトは、アプリケーション機能をテストおよび検証するために再生できます。OpenScriptで作成された負荷テスト・スクリプトは、アプリケーションの負荷テストを行うOracle Load Testingで実行されます。これにより、多数のユーザーがスクリプトの実行を同時にシミュレーションできます。

  • テスト・モジュール: OpenScriptテスト・モジュールは、アプリケーション固有のテスト自動化機能を提供します。それぞれのテスト・モジュールは、特定のアプリケーションまたはプロトコルをテストするためにカスタマイズして作成されます。OpenScriptには、Webベースのアプリケーションをテストできるよう、いくつかの機能的モジュールおよび負荷テスト用モジュールが含まれています。他にもモジュールをOpenScriptプラットフォーム用に開発できます。

    OpenScriptのテスト・モジュール・インタフェースは完全にオープンで、エンドユーザーによる拡張が可能です。ユーザーはテスト・モジュールAPIを使用して、特定のアプリケーションをテストするための独自のモジュールを作成できます。また、既存のモジュールを拡張して、カスタム機能を追加することも可能です。

  • グラフィカル/ツリー・ビュー・スクリプティング・インタフェース: OpenScriptのツリー・ビュー・スクリプティング・インタフェースは、テスト・スクリプトをグラフィカルに表現したものです。同時に複数のスクリプト・ウィンドウを開くことができます。各スクリプト・ウィンドウ内では、ツリー・ビューは3つの主要なスクリプト・セクションにわけられます。

    • 初期化: 最初の反復で1回のみ実行されるスクリプト・コマンド

    • 実行: すべての反復で実行されるコマンドのスクリプト本体

    • 終了: 最後の反復で1回のみ実行されるスクリプト・コマンド

    各セクションには、スクリプトの記録中に自動で、またはツリー・ビュー・ユーザー・インタフェースを使用して手動で、「ステップ」および「ナビゲーション」スクリプト・ノードを生成できます。追加のスクリプト・コマンドも、テスト・ケース、データ入力、ログ・メッセージなどを含み、ツリー・ビューにノードとして表示されます。各ツリー・ビュー・ノードには、Javaコード・ビューに対応する表現があります。

  • プログラミング/コード・ビュー・スクリプティング・インタフェース: OpenScriptのJavaコード・ビュー・スクリプティング・インタフェースは、テスト・スクリプトをJavaで表現したものです。このビューでは、スクリプト・コードを作成、編集およびデバッグするために、Eclipse IDEの全機能にアクセスできます。Javaのスクリプト・コマンドは、ツリー・ビューの対応する表現にマップされています。ユーザーがスクリプトをコードまたはツリー・ビューで編集すると、変更が自動的に両方のビューに反映されます。

  • プロパティ・ビューと結果ビュー: OpenScriptプロパティ・ビューを使用すると、ユーザーはツリー・ビューで選択したスクリプト・ノードの詳細なプロパティを表示できます。結果ビューには、スクリプト再生のステップごとの詳細な結果が表示されます。この結果は、OpenScriptの表示ウィンドウにリンクされています。

  • データ・バンキング: OpenScriptでは、データ・バンキングを使用して、スクリプト・データ入力をパラメータ化し、データ駆動型テスティングを実行できます。ユーザーは、スクリプトに対するデータ入力を選択し、再生中に変数を置換して外部ファイルから入力を取り込むことができます。複数のデータ・バンク・ファイルを1つのスクリプトに結合することができ、ユーザーは、スクリプト再生中にOpenScriptでデータを割り当てる方法を指定できます。

  • 相関: OpenScriptの相関インタフェースを使用すると、ユーザーは相関ライブラリを作成して、再生中の動的リクエストを自動的にパラメータ化できます。相関ライブラリには、URL、問合せ文字列および負荷テスト・モジュールのポスト・データなどの動的要求パラメータを自動処理するためのルールが含まれます。

  • OpenScriptプリファレンス: OpenScriptのプリファレンス・インタフェースで、スクリプトの記録、スクリプトの再生、相関およびOpenScriptワークベンチの一般的なプリファレンスを制御するための設定を指定します。

  • 複数ユーザーによる実行: 別々の指定されたWindowsユーザー・アカウントにより、複数のOpenScriptインスタンスを起動できます。次のいずれかを使用した複数スクリプトの再生がサポートされます。

    • OpenScriptの「再生」ボタン

    • コマンドライン・インタフェース

    • Oracle Load Testing

    • Oracle Test Manager

1.3 Oracle Load Testingについて

Oracle Load Testingでは、e-Businessアプリケーションのスケーラビリティを簡単に、かつ正確にテストすることができます。Oracle Load Testingでは、数千もの仮想ユーザーによるサイトへの同時アクセスをエミュレートし、この負荷がアプリケーション・パフォーマンスに与える影響を測定できます。

図1-3 Oracle Load Testing仮想ユーザー・ビュー

Load Testing仮想ユーザー・ビューのイメージ。
「図1-3 Oracle Load Testing仮想ユーザー・ビュー」の説明

Oracle Application Testing SuiteのTrueLoadテクノロジは、実際のユーザー負荷と高度な相関性を持つテスト結果を確実に提供するため、Oracle Load Testingの結果を使用して、システムのアーキテクチャ、チューニングおよびホストに関し、自信を持って主要な決定を下すことができます。

図1-4 同時オブジェクト・リクエストと逐次オブジェクト・リクエスト

同時オブジェクト・リクエストと逐次オブジェクト・リクエスト。
「図1-4 同時オブジェクト・リクエストと逐次オブジェクト・リクエスト」の説明

1.3.1 Oracle Load Testingの主要機能

Oracle Load Testingには、Webベース・アプリケーションの負荷テストについて次のような利点があります。

  • Trueloadテクノロジ: マルチスレッドのブラウザ・リクエストを正確にエミュレートし、サーバー・レスポンスを自動的に検証します。これにより、実際のユーザー・テストに非常に高い相関性のあるテスト結果が得られます。

  • 再利用可能なスクリプト: Oracle OpenScriptで作成されたスクリプトを使用して、数百から数千もの仮想ユーザーをエミュレートします。

  • 対話式What-if分析と仮想ユーザーの表示: ユーザーの数とタイプはオンザフライ方式で変更できるので、負荷条件やアプリケーション設定を変更しながらWhat-ifシナリオを試行できます。また、仮想ユーザーに表示される実際のページを表示してデバッグに活用できます。

  • リアルタイムのグラフとレポート: レスポンス時間、エラー率、ユーザー数のほか、1秒当たりのヒット数や1秒当たりのページ数などの統計が含まれるグラフとレポートリアルタイムで表示できます。

  • 分散エージェントの一箇所集中制御: 仮想ユーザーは、単一のサーバーでも、あるいはLANやWAN上の任意の場所にある複数のサーバー間での分散環境でもシミュレーションが可能です。

  • シナリオ・マネージャとオートパイロット: 事前に記録されたスクリプトの名前をポイント・アンド・クリックし、実行するタイプごとの仮想ユーザーの数や仮想ユーザーの起動方法を指定するだけで、カスタムの負荷シナリオをいくつでも定義できます。

  • 実行後分析: パフォーマンス・データは、プロファイル、スクリプト、ページ・グループ、個々のページ、ページ上のオブジェクトなど様々なレベルで累積されます。Oracle Load Testingにはグラフとレポートの包括的なセットがあり、Microsoft Excelなどの外部プログラムにデータをエクスポートし、さらに分析に利用することも可能です。

  • ServerStatsによるサーバー側監視: サーバーのパフォーマンスを、様々なサーバー側アプリケーション、データベース、システム、およびWebサーバー統計によって監視できます。ServerStatsの設定により、サーバーから利用可能な様々なホストおよびサービスのリアルタイム・パフォーマンス統計(CPU使用率、メモリー使用率、Webサーバー統計など)を表示することができます。

1.4 Oracle Test Managerについて

Oracle Test Managerは、簡単に使用できる、全体的なテスト・プロセスを組織立てて管理するためのツールです。チーム・メンバー間で情報を共有するための単一の統合されたプラットフォームを提供しています。

図1-5 Oracle Test Managerメイン・ウィンドウ

図1-5の説明が続きます
「図1-5 Oracle Test Managerメイン・ウィンドウ」の説明

Oracle Test Managerを使用することにより、テスト・スクリプト、テストを必要とする要件、およびテスト結果から発生する問題をグループ化して組織立てるプロジェクトを作成できます。いったん作成した後は、これらのアイテム間の関係を指定して、特定のテスト・スクリプト、要件または問題に関連のあるすべての情報をすばやく容易に見つけることができます。

1.4.1 Oracle Test Managerの主要機能

Oracle Test Managerでは、統合された要件管理と欠陥の追跡のマニュアル・テストおよび自動テストの両方について、次の機能と利点を備えています。

要件管理: 特定のプロジェクトの要件を定義および管理する機能を提供します。テスト範囲に確実に含まれるよう、各要件の詳細を指定し、各要件のステータスを追跡し、要件をテスト・ケースに関連付けられます。

テストの計画と管理: マニュアル・テスト・ケースおよび自動テスト・ケースの両方を組み込んだテスト計画を定義し、管理する機能を備えています。Oracle Application Testing Suiteのスクリプトをデータベースに保存し、Oracle OpenScriptのスクリプトをテスト計画インタフェースから自動的に実行し、テスト結果を自動的に保存できます。また、要件をテスト・ケースに関連付けて確実にテスト範囲に含めたり、テスト・ケースを問題に関連付けることにより、それらを再現して問題がどのように識別されたかを追跡できます。

欠陥の追跡: 特定のプロジェクトの欠陥(問題と呼ばれる)を作成して管理する機能を提供します。テスト・ケースを問題に関連付けることにより、それらを再現して問題がどのように識別されたかを追跡できます。

Oracle Application Testing Suiteとの統合: Oracle Application Testing Suiteテスト・ソリューションとシームレスに統合できるため、Oracle OpenScriptのスクリプトを自動的に起動して実行し、機能テストおよび回帰テストを実行し、結果を取得してアーカイブできます。サードパーティ製品も起動できます。

レポート: 全体的なテスト・プロセスを管理するためにレポートを標準HTML形式で生成します。要件、テストおよび不具合に関するレポートを作成できます。

管理: ユーザー・アカウント、プロジェクトの権限、および全般的なツールのプリファレンスの入力および管理用の管理ツールを提供しています。

カスタム・フィールド: プロジェクト固有のデータを記録するために、データベースにカスタム・フィールドを追加できます。

データベース・リポジトリ: テスト・スクリプト、結果、添付ファイル、要件、テスト計画および欠陥を含めたテスト・アセットを共通データベースに保存できます。

1.5 Oracle Application Testing Suiteデータベース構成

Oracle Application Testing Suiteデータベース構成ユーティリティを使用して、Oracle Load TestingおよびOracle Test Managerのデータベース接続を追加できます。Oracle Application Testing Suiteインストールには、デフォルトでWebLogic WebサーバーとOracle 10g Express Edition Databaseが含まれています。Oracle Application Testing Suiteデータベース構成ユーティリティを使用することにより、現在のデータベースを設定したり、デフォルト以外のデータベースに接続できます。

1.5.1 データベース構成の主要機能

データベース構成ユーティリティには次の機能があります。

  • データベース接続の追加、更新、削除: Oracle Load TestingおよびOracle Test Managerのデータベース接続の管理が容易です。

  • スキーマや表の作成: 自動的に既存のスキーマを使用するか、追加データベース用にスキーマと表を作成します。