このセクションでは、Oracle Application Expressとそのアーキテクチャ、およびこの製品を使用する環境について説明します。また、Oracle Application Expressの説明に使用される概念や用語についても説明します。
このガイドは、ユーザーが『Oracle Database Express Editionインストレーション・ガイドfor Microsoft Windows』または『Oracle Database Express Editionインストレーション・ガイドfor Linux』の説明に従って、Oracle Database XEをWindowsシステムまたはLinuxシステムにインストールしていることを前提としています。
トピック:
Oracle Application Expressは、Oracle Databaseのための高速Webアプリケーション開発ツールです。プログラミングの経験が少なくても、Webブラウザを使用するだけで、高速でセキュアなプロフェッショナル・レベルのアプリケーションを開発できます。Oracle Application Expressを使用すると、ユーザー・インタフェースのテーマ、ナビゲーション・コントロール、フォーム・ハンドラ、自由度が高いレポートなどの組込み機能を使用して、アプリケーション開発プロセスを短縮できます。
エンド・ユーザーにとっては、デプロイされたアプリケーションで必要となるのは、Application Expressを実行するOracle Databaseへのアクセス権とブラウザのみです。
Oracle Application Expressは、Oracle Database Express Edition (Oracle Database XE)内にインストールされるものであり、表のデータとPL/SQLコードから構成されます。
Oracle Application Express開発環境を実行する場合でも、Oracle Application Expressを使用して作成したアプリケーションを実行する場合でも、その処理は変わりません。ブラウザにより適切なOracle Application Express PL/SQLコールに翻訳されるURLリクエストが送信されます。データベースでPL/SQLが処理されたら、結果がHTMLとしてブラウザに中継されます。このサイクルは、ユーザーがページをリクエストまたは送信するたびに発生します。
アプリケーションのセッション・ステートは、Oracle Application Expressのデータベース表で管理されます。専用のデータベース接続は使用されません。かわりに、個別のデータベース・セッションで各リクエストが作成され、消費するCPUリソースが最小限に抑えられます。
トピック:
Oracle Application Expressを実行するには、埋込みPL/SQLゲートウェイ、Oracle Application Expressリスナー、またはOracle HTTP Serverとmod_plsql
へのアクセスが必要です。デフォルトでは、Oracle Database XEに付属しているOracle Application Expressのバージョンは、埋込みPL/SQLゲートウェイとともに動作するように構成されています。
埋込みPL/SQLゲートウェイは動的なアプリケーションを作成するためのOracleデータベースにWebサーバーおよび必要なインフラストラクチャを提供します。これは、Oracle DatabaseのOracle XML DB HTTP Serverで実行され、mod_plsql
のコア機能を含みます。次の図に、埋込みPL/SQLゲートウェイを使用するOracle Application Expressアーキテクチャを示します。
前述の図に示すとおり、埋込みPL/SQLゲートウェイは、WebブラウザおよびOracle Database XE (埋込みPL/SQLとOracle Application Expressを含む)で構成される単純な2層アーキテクチャです。
埋込みPL/SQLゲートウェイの利点は次のとおりです。
構成が容易
データベースに含まれている
別のサーバーをインストールする必要がない
Application Expressエンジンは、ページのレンダリングと処理を実行します。また、次のタスクも実行します。
セッション・ステート管理
認証サービス
認可サービス
ページ・フロー制御
検証処理
Oracle Application Expressでは、単一のOracle Databaseを共有ワークグループのデータベース・サービスに変更できます。このデータベース・サービスには、複数のユーザーがWebブラウザを使用してアクセスでき、追加のソフトウェアをインストールする必要もありません。
アプリケーションを開発する領域をワークスペースといいます。ワークスペースは、同じOracle Application Expressインストール内で複数のユーザーが作業できる仮想プライベート・データベースで、各ユーザーのオブジェクト、データおよびアプリケーションの機密性を保持します。
通常の開発環境で、開発者全員で共有する単一のワークスペースを作成できます。ただし、特定の開発者またはプロジェクトに専用のワークスペースを作成することもできます。専用のワークスペースを作成した場合、ワークスペース・オブジェクトへのアクセスは、そのワークスペースに関連付けられているユーザーのみに制限されます。
次の図は、ユーザーと開発者、ワークスペースおよびデータベース・スキーマ間の関係を示します。
ワークスペースを作成するときは、ワークスペースを新規または既存のスキーマに関連付けます。スキーマは、表、ビュー、ストアド・プロシージャなどのデータベース・オブジェクトの論理コンテナです。単一のスキーマは、1つ以上のワークスペースと関連付けることができます。
Application Expressユーザーを設定するときは、特定のユーザーにロールおよび権限を割り当てます。Oracle Application Expressには、次のロールが含まれています。
ワークスペース管理者: ユーザー・アカウントの管理、ワークスペース・アクティビティの監視、ログ・ファイルの表示など、ワークスペース固有の管理タスクを実行するユーザー
開発者はアプリケーションを作成および編集し、データベース・オブジェクトを修正するユーザーです。開発者は独自のワークスペースを持つこともワークスペースを共有することもできます。
エンド・ユーザーは、開発権限が付与されません。外部認証スキームを使用しないアプリケーションにアクセスできるように定義されます。
インスタンス管理者は、Application Express管理サービス・アプリケーションを使用して、ホスティングされたインスタンス全体を管理するスーパーユーザーです。
次の図は、様々なロールが付与されている複数のユーザーがOracle Application Express開発環境、Application Express管理サービスおよび公開されたアプリケーションにアクセスする様子を示しています。
このマニュアルでは、通常、インスタンス管理者、ワークスペース管理者および開発者という3つのロールに関連付けられた権限が必要になります。次の図はシングル・ユーザーのOracle Application Expressインスタンスを示します。
「アプリケーションの構築」では、架空の会社AnyCo Corpの単純な人事管理(HR)アプリケーションを作成します。このアプリケーションでは、作成した部門および従業員の表に格納されている部門および従業員の情報を管理します。チュートリアルでは、アプリケーションの構築、変更およびプレビューの方法について説明します。