ファイルシステム環境の構成

SAM-QFS のソフトウェア環境はそれぞれ異なります。システムの要件とハードウェアは、サイトによって異なります。SAM-QFS 環境では、さまざまなテープデバイスと光磁気デバイス、自動ライブラリ、およびディスクドライブがサポートされています。各サイトのシステム管理者が、環境の構成を設定する必要があります。

マスター構成ファイル /etc/opt/SUNWsamfs/mcf は、SAM-QFS ソフトウェアが管理する装置のトポロジを定義します。このファイルでは、環境に含まれる装置、自動ライブラリ、およびファイルシステムを指定します。mcf ファイルにリストされている各装置には、一意の装置識別子を割り当てる必要があります。

mcf ファイルを次のいずれかの方法で編集します:

• SAM-QFS Manager を使用して、アーカイブデバイスとファイルシステムデバイスを構成します。SAM-QFS Manager を使用してファイルシステムを作成すると、/etc/opt/SUNWsamfs/mcf ディレクトリに mcf ファイルが作成され、1 行ごとにファイルシステム内の各デバイスとファミリセットが指定されます。

• テキストエディタを使用して、mcf ファイルを直接編集します。

mcf ファイルには、2 種類のエントリがあります。

• ディスクデバイスのファイルシステムデバイスエントリ。mcf ファイルで、エントリを 1 つまたは複数のファイルシステムに編成します。

• ファミリセットに編成可能なリムーバブルメディアデバイスエントリ。mcf ファイルには、使用するドライブを識別し、そのドライブが接続されている自動ライブラリに関連付けるための情報が含まれます。

mcf ファイルの構造と内容の詳細については、『Sun QFS File System 5.3 構成および管理ガイド』の第 2 章「マスター構成ファイルについて」を参照してください。

/opt/SUNWsamfs/examples ディレクトリには、mcf ファイルのサンプルがあります。mcf ファイル構成のほかの例については、『Sun QFS File System 5.3 構成および管理ガイド』の第 3 章「mcf ファイルの例」を参照してください。

次のセクションでは、mcf ファイルの作成と保守に関する例を示し、その作業について説明します。

/var/adm/messages ファイルを使用した周辺装置の識別

システムのブート時に、一連のメッセージが /var/adm/messages に書き込まれます。これらのメッセージは、システムの各周辺装置への Oracle Solaris のハードウェアパスを識別します。この情報を使用すると、mcf ファイルを作成できます。最後にシステムをリブートしたときの情報を表示するには、ファイルの末尾から先頭に向かって検索します。

例 7-1 /var/adm/messages ファイルの SCSI 周辺装置の行

次の例は、SCSI 周辺装置から Oracle Solaris のカーネルに報告されるベンダーと製品の情報を示しています。

# tail -200 /var/adm/messages | more
May 22 23:59:24 sam-v490a samst: [ID 902828 kern.notice] scsiclass,082: \
Vendor/Product ID = STK SL500

Sun Storage Archive Manager 環境の構成時には、シンボリックリンクを正しい周辺装置に対応付けることが重要です。周辺装置のパス名を表示するには、/dev/st、/dev/samst、および /dev/rmt の各ディレクトリで、ls -l コマンドを使用します。

「デバイス停止」通知スクリプトを構成することもできます。このスクリプトの設定については、『Sun QFS and Sun Storage Archive Manager 5.3 Reference Manual』の「dev_down.sh(1M)」で説明されており、このスクリプトはデバイスが down または off とマークされたときに root に電子メールを送信します。

マスター構成ファイルの手動作成

テキストエディタを使用して /etc/opt/SUNWsamfs/mcf ファイルを作成します。

mcf ファイルの内容の詳細については、『Sun QFS File System 5.3 構成および管理ガイド』の第 2 章「マスター構成ファイルについて」を参照してください。

mcf ファイルを作成するときは、次のガイドラインに従います:

• 行内の各フィールドは、空白文字またはタブで区切る。

• コメント行は、先頭にハッシュ記号 (#) を入力する。

• オプションのフィールドを省略するときは、ダッシュ文字 (-) を入力する。

次の例は、mcf ファイルのフィールドを示しています:

#
# Sun Storage Archive Manager file system configuration
#
# Equipment       Equip  Equip Fam   Dev    Additional
# Identifier      Ord    Type  Set   State  Parameters
# ----------      -----  ----- ----  -----  ----------

mcf ファイルには、コメントとデバイスエントリの両方を含めることができます。デバイスエントリの種類は次のとおりです:

• ファミリセットの親の識別子とファミリセットの装置

• ファミリセットのメンバー装置

• スタンドアロンデバイス

マスター構成ファイルを検証する方法

• mcf ファイルを検証します。
  • SAM-QFS Manager を使用して mcf ファイルを作成した場合は、構文を検証する必要がありません。
  • mcf ファイルを手動で作成した場合は、sam-fsd コマンドを使用してファイルを検証します。

例 7-2 sam-fsd スクリプトを使用して mcf ファイルを検証する

mcf ファイルに構文エラーがない場合は、sam-fsd の出力には、ファイルシステム、アーカイブに関する情報、およびそのほかのシステム情報が含まれます。ただし、mcf ファイルにエラーがある場合は、出力は次の例のようになります:

# sam-fsd
13: /dev/dsk/c1t1d0s0   10      md      samfs1  on      /dev/rdsk/c1t1d0s0
*** Error in line 13: Equipment name '/dev/dsk/c1t1d0s0' already in use by eq 10
72: /dev/rmt/3cbn       45      ug      l1000   on
*** Error in line 72: Equipment name '/dev/rmt/3cbn' already in use by eq 44
2 errors in '/etc/opt/SUNWsamfs/mcf'
sam-fsd: Read mcf /etc/opt/SUNWsamfs/mcf failed.

mcf ファイルにエラーがある場合は、「マスター構成ファイルの手動作成」を参照してください。このファイルの作成については、『Sun QFS and Sun Storage Archive Manager 5.3 Reference Manual』の「mcf(4)」も参照してください。『Sun QFS File System 5.3 構成および管理ガイド』の第 3 章「mcf ファイルの例」も参照してください。

マスター構成ファイルを作成する方法 (SAM-QFS Manager)

始める前に

SAM-QFS Manager を使用して QFS ファイルシステムを構成すると、そのサーバー上で適切な構成ファイルが作成または編集されます。SAM-QFS Manager またはコマンド行インタフェースを使用して、あとでこれらのファイルを編集できます。

1. SAM-QFS Manager に管理者ユーザーとしてログインします。
2. 「はじめに」セクションを展開し、「最初の構成」を選択します。
3. セクション 2 で、「ファイルシステムを作成する」をクリックします。

   「新しいファイルシステム」ウィザードが表示されます。

4. 手順に従って、新しいファイルシステムを作成します。

   この手順が終了すると、mcf ファイルが作成されます。詳細は、SAM-QFS Manager のオンラインヘルプを参照してください。