ネットワーク構成ツール

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Oracle Solaris 11 では、4 つのネットワークコマンドを使用してネットワークを構成できます。

netcfg コマンド
netadm コマンド
dladm コマンド
ipadm コマンド

netcfg および netadm コマンドは、システム上のリアクティブネットワーク構成を管理するため使用します。netcfg コマンドは、リアクティブネットワーク構成を実装するプロファイル (NCP、Location プロファイル、ENM、および WLAN) を作成および構成するために使用します。ただし、固定ネットワーク構成を持つシステムでは、DefaultFixed プロファイルを表示する場合にのみ netcfg コマンドを使用できます。netadm コマンドは、システム上のすべてのプロファイルを管理する (特に、システムのネットワークプロファイルを一覧表示したり、アクティブな NCP を別のものに置き換えたりする) ために使用します。

dladm および ipadm コマンドは、それぞれデータリンクおよび IP インタフェースを構成するために使用します。これらのコマンドは、永続的な構成を作成し、コマンドの使用時にシステム上でアクティブになっているプロファイルに適用されます。

たとえば、データリンク net0 の最大転送単位 (MTU) が 1200 に構成され、アクティブな NCP が Automatic である場合、Automatic NCP ではこの MTU 値が net0 に対して永続的になります。次に、myncp という名前の 2 つ目の NCP をアクティブにしたとします。dladm コマンドを実行して MTU を別の値に設定すると、その値が myncp に適用されます。このように、net0 は異なるプロファイルで異なる MTU 値を持つことができます。したがって、dladm および ipadm コマンドを使用して間接的にプロファイルを構成することもできます。

dladm または ipadm コマンドを使用してデータリンクおよび IP インタフェースを構成するときは、次に示すこれらの適用範囲に注意してください。

2 つのコマンドは、アクティブなプロファイルのデータリンクと IP インタフェースのみを構成します。デフォルトルートの設定など、プロファイルのほかのプロパティーを構成するには、netcfg コマンドを使用して、そのプロファイルのデフォルトルートを参照するプロパティーを構成します。または、システムのルーティングテーブルにデフォルトルートを直接設定する routeadm コマンドを使用します。後者の場合、構成はシステム上でアクティブになっている方のプロファイルに適用されます。
リアクティブプロファイルがアクティブであれば、そのプロファイルに対して dladm および ipadm コマンドを使用できます。ただし、netcfg コマンドを使用して、システムの唯一の固定プロファイルである DefaultFixed プロファイルを構成することはできません。netadm および netcfg コマンドは、DefaultFixed プロファイルのプロパティーを表示する場合にのみ使用でき、それらを構成する場合には使用できません。

dladm および ipadm コマンドは、リアクティブプロファイルか固定プロファイルかに関係なく、アクティブなプロファイルに対して有効です。したがって、これらのコマンドを使用する前に、次を確認する必要があります。

正しいターゲットプロファイルに対して変更を行えるように、システム上でどのプロファイルがアクティブであるかを確認します。
コマンド使用後に予期しない構成動作が発生しないように、ターゲットプロファイルがリアクティブ、固定のいずれであるかを確認します。リアクティブプロファイルは、固定プロファイルと異なる方法でネットワーク構成を管理します。したがって、変更実装時の 2 つのプロファイルの動作も異なります。

次のセクションでは、dladm および ipadm コマンドについて詳しく説明します。

`dladm` コマンド

dladm コマンドは、データリンクを構成するために使用します。dladm コマンドを使用してデータリンクプロパティーをカスタマイズできるのは、e1000g のように、リンクのネットワークドライバが GLDv3 ドライバ構成フレームワーク用に変換されている場合です。特定のドライバがこの機能をサポートしているか確認するには、ドライバのマニュアルページを参照してください。

GLDv3 ドライバ構成フレームワークの完全な実装により、ネットワークインタフェースカード (NIC) ドライバの構成は次のように拡張されています。

ネットワークドライバのプロパティーの構成に必要となるのは、単一のコマンドインタフェースである dladm コマンドだけです。
プロパティーにかかわらず、dladm subcommand properties datalink という一貫した構文が使用されます。
dladm コマンドの使用は、ドライバの公開プロパティーと非公開プロパティーの両方に適用されます。
特定のドライバに対して dladm コマンドを使用しても、似たタイプのほかの NIC のネットワーク接続に支障が生じることはありません。したがって、データリンクのプロパティーを動的に構成できます。
データリンク構成の値は dladm リポジトリ内に格納され、システムのリブート後も永続します。

データリンクの構成時にこれらのメリットの恩恵を受けるには、ndd コマンドのような以前のリリースの従来型ツールではなく、dladm を構成ツールとして使用するようにしてください。

dladm コマンドの詳細は、dladm(1M) のマニュアルページを参照してください。dladm コマンドで使用するサブコマンドの一覧については、次を入力します。

# dladm help
The following subcommands are supported:
Bridge          : add-bridge     create-bridge   delete-bridge
                  modify-bridge  remove-bridge   show-bridge
Etherstub       : create-etherstub delete-etherstub show-etherstub
IB              : create-part    delete-part     show-ib         show-part
IP tunnel       : create-iptun   delete-iptun    modify-iptun    show-iptun
Link Aggregation: add-aggr       create-aggr     delete-aggr
                  modify-aggr    remove-aggr     show-aggr
Link            : rename-link    reset-linkprop  set-linkprop
                  show-link      show-linkprop
Secure Object   : create-secobj  delete-secobj   show-secobj
VLAN            : create-vlan    delete-vlan     modify-vlan     show-vlan
VNIC            : create-vnic    delete-vnic     modify-vnic     show-vnic
Wifi            : connect-wifi   disconnect-wifi scan-wifi       show-wifi
Miscellaneous   : delete-phys    show-ether      show-phys       show-usage
For more info, run: dladm help <subcommand>.

データリンクに対して dladm コマンドを使用するには、第 3 章データリンクの操作を参照してください。

`ipadm` コマンド

Oracle Solaris における進歩は、ネットワーク構成のさまざまな側面を効率的に管理するための従来のツールの機能範囲を超えています。たとえば、ifconfig コマンドはこれまで、ネットワークインタフェースを構成するために慣例的に使用されるツールでした。ただし、このコマンドには永続的な構成が実装されていません。ifconfig にはこれまで、ネットワーク管理における追加機能のための拡張機能が追加されてきました。ただし、その結果、このコマンドは複雑で、使いづらくなっています。

インタフェースの構成と管理に関する別の問題として、TCP/IP のプロパティーまたはチューニング可能パラメータを管理するための簡単なツールが存在しない点があります。ndd コマンドは、この目的のための定番のカスタマイズツールでした。ただし、ifconfig コマンドと同様に、ndd には永続的な構成が実装されていません。以前は、ブートスクリプトの編集によって、ネットワークのシナリオで永続的な構成をシミュレートすることが可能でした。Oracle Solaris のサービス管理機能 (SMF) の導入により、特に、Oracle Solaris インストールへのアップグレードを考慮した場合の SMF 依存性の管理の複雑さのために、このような回避策の使用はリスクを伴うことがあります。

ipadm コマンドは、インタフェース構成のための ifconfig コマンドを最終的に置き換えるために導入されました。このコマンドはまた、プロトコルのプロパティーを構成するための ndd コマンドも置き換えます。

インタフェースを構成するためのツールとして、ipadm コマンドには次の利点があります。

インタフェース構成以外の目的にも使用される ifconfig コマンドとは異なり、IP インタフェースの管理に特化したツールであるため、IP インタフェースと IP アドレスをより効率的に管理します。
インタフェースとアドレスの永続的な構成を実装します。

ifconfig のオプションおよびそれらと同等の ipadm サブコマンドの一覧については、付録 A 比較マップ: ifconfig コマンドと ipadm コマンドを参照してください。

プロトコルのプロパティーを設定するためのツールとして、ipadm コマンドには ndd に優る次の利点があります。

IP、アドレス解決プロトコル (ARP)、SCTP (Stream Control Transmission Protocol)、ICMP (Internet Control Messaging Protocol) のほか、TCP やユーザーデータグラムプロトコル (UDP) などの上位階層プロトコルの一時的または永続的なプロパティーを設定できます。
プロパティーの現在値とデフォルト値、指定可能な値の範囲などの、各 TCP/IP プロパティーに関する情報を提供します。そのため、デバッグ情報の取得が容易になります。
また、一貫性のあるコマンド構文に従っているため、より容易に使用できます。

ndd のオプションおよびそれらと同等の ipadm サブコマンドの一覧については、付録 B 比較マップ: ndd コマンドと ipadm コマンドを参照してください。

ipadm コマンドの詳細は、ipadm(1M) のマニュアルページを参照してください。ipadm で使用するサブコマンドの一覧については、次を入力します。

# ipadm help
The following subcommands are supported:
Address                 : create-addr    delete-addr     disable-addr
                          down-addr      enable-addr     refresh-addr
                          reset-addrprop set-addrprop    show-addr
                          show-addrprop  up-addr
Interface               : disable-if     enable-if       reset-ifprop
                          set-ifprop     show-if         show-ifprop
IP interface            : create-ip      delete-ip
IPMP interface          : add-ipmp       create-ipmp     delete-ipmp
                          remove-ipmp
Protocol property       : reset-prop     set-prop        show-prop
VNI interface           : create-vni     delete-vni
For more info, run: ipadm help <subcommand>.

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	Oracle Solaris 11.1 での固定ネットワーク構成を使用したシステムの接続 Oracle Solaris 11.1 Information Library (日本語)