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Oracle Solaris 11.1 ソフトウェアパッケージの追加および更新     Oracle Solaris 11.1 Information Library (日本語)
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ドキュメントの情報

はじめに

1.  Image Packaging System の概要

Image Packaging System

IPS の概念

IPS パッケージ

障害管理リソース識別子

発行元、リポジトリ、およびパッケージアーカイブ

リポジトリの起点とミラー

イメージとブート環境

パッケージのファセットとバリアント

インストール権限

2.  IPS のグラフィカルユーザーインタフェース

3.  ソフトウェアパッケージに関する情報の取得

4.  ソフトウェアパッケージのインストールおよび更新

5.  インストールされるイメージの構成

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IPS の概念

このセクションでは、このガイドでこれから使用する用語および概念を定義します。

IPS パッケージ

IPS パッケージマニフェストというテキストファイルで定義します。パッケージマニフェストには、キー/値のペアとおそらくデータペイロードの定義された形式でパッケージアクションが記述されます。パッケージアクションには、ファイル、ディレクトリ、リンク、ドライバ、依存関係、グループ、ユーザー、ライセンス情報が含まれます。パッケージアクションは、パッケージのインストール可能なオブジェクトを表します。set アクションと呼ばれるアクションは、分類、サマリー、説明などのパッケージメタデータを定義します。

パッケージアクションおよびアクションキーを指定して、パッケージを検索できます。パッケージアクションの説明については、pkg(5) を参照してください。

グループパッケージと incorporation パッケージは、ファイルなどの内容は提供しませんが、関連パッケージのセットをインストールするのに役立ちます。

incorporation は、指定された一連のパッケージのバージョンを制限するパッケージです。たとえば、インストールされた incorporation のパッケージがバージョン 1.4.3 である場合、1.4.3 未満または 1.4.4 以上のバージョンはインストールできません。ただし、1.4.3.7 など、単にドット形式の数列を拡張したバージョンはインストールできます。incorporation は、incorporation 対象のパッケージを強制的に同期的にアップグレードします。incorporation 対象のパッケージは削除できますが、パッケージをインストールまたは更新する場合、バージョンが制限されます。関連情報については、「incorporation によって指定されたバージョン制約の緩和」を参照してください。

entire という名前のパッケージは、ほかの incorporation パッケージのバージョンを制約する特殊な incorporation パッケージです。


注意

注意 - entire という名前のパッケージを削除しないでください。entire パッケージは、システムパッケージのバージョンを制約して、結果として得られるパッケージセットがサポート可能なイメージになるようにします。適切なシステム更新と正しいパッケージ選択は、この incorporation によって変わります。entire パッケージを削除すると、サポートされないシステムになります。


グループパッケージは、機能やツールを構成する一連のパッケージを指定します。グループパッケージに指定したパッケージは、パッケージのバージョンを指定しません。グループパッケージは、コンテンツ管理ツールであり、バージョン管理ツールではありません。

グループパッケージのマニフェストでは group 依存関係が指定されます。グループパッケージは、それらの group 依存関係に指定されているパッケージを提供します (それらのパッケージが回避リストに含まれている場合は除く)。回避リストについては、「グループパッケージに含まれる一部のパッケージのインストールの回避」を参照してください。

group/feature/amp パッケージは、たとえば、Apache Web サーバー、MySQL データベース、および PHP を提供します。group/system/solaris-desktop パッケージは、デスクトップシステムに適した一連のパッケージを提供します。group/system/solaris-large-server パッケージは、メディアツールやウィンドウ表示テーマなどのデスクトップパッケージは提供しません。グループパッケージで提供されているすべてのパッケージを一覧表示する方法の例については、「グループパッケージ内のすべてのインストール可能なパッケージの一覧表示」を参照してください。

障害管理リソース識別子

それぞれのパッケージは障害管理リソース識別子 (FMRI) によって表されます。パッケージの完全な FMRI は、次の形式のスキーム、発行元、パッケージ名、およびバージョン文字列で構成されます。スキーム、発行元、およびバージョン文字列はオプションです。 IPS コマンドを使用するときは、パッケージ名のうち、パッケージを一意に識別する最小部分を使用できます。

FMRI の形式:

scheme://publisher/package_name@version:dateTtimeZ

FMRI の例:

pkg://solaris/driver/network/ethernet/bge@0.5.11,5.11-0.175.1.0.0.21.0:20120723T161616Z
スキーム

pkg

発行元

solaris

発行元を指定する場合、発行元名の前に pkg:// または // を付ける必要があります。

パッケージ名

driver/network/ethernet/bge

パッケージ名は、スラッシュ (/) 文字で区切られた任意の数のコンポーネントから成る階層形式です。IPS コマンドでは、コマンドで使用するパッケージ名によってそのパッケージが一意に識別される場合、パッケージ名の前のコンポーネントは省略できます。完全なパッケージ名を指定するが発行元は省略する場合、完全なパッケージ名の前に、pkg:// または // ではなく、pkg:/ または / を付けることができます。短縮したパッケージ名を指定する場合は、パッケージ名の左側にほかの文字を使用しないでください。

バージョン

パッケージのバージョンには 4 つの部分があります。

コンポーネントバージョン: 0.5.11

オペレーティングシステムに緊密に結合されたコンポーネントの場合、コンポーネントバージョンは通常、そのバージョンのオペレーティングシステムでの uname -r の値を含みます。独自の開発ライフサイクルを持つコンポーネントの場合、コンポーネントバージョンはドットで区切られたリリース番号 (2.4.10 など) です。

ビルドバージョン: 5.11

ビルドバージョンはコンマ (,) の後に続ける必要があります。ビルドバージョンは、パッケージの内容が構築されたオペレーティングシステムのバージョンを指定します。

ブランチバージョン: 0.175.1.0.0.21.0

ブランチバージョンはハイフン (-) の後に続ける必要があります。ブランチバージョンはベンダー固有の情報を提供します。

Oracle Solaris パッケージでは、パッケージ FMRI のバージョン文字列のブランチバージョン部分に次の情報が示されます。

メジャーリリース番号: 0.175

メジャーまたはマーケティング開発リリースのビルド番号。この例で、0.175 は Oracle Solaris 11 を示します。

更新リリース番号: 1

この Oracle Solaris リリースの更新リリース番号。更新の値は、Oracle Solaris リリースの最初の顧客出荷で 0、そのリリースの最初の更新で 1、そのリリースの 2 番目の更新で 2、のようになります。この例で、1 は Oracle Solaris 11.1 を示します。

SRU 番号: 0

この更新リリースのサポートリポジトリ更新 (SRU) 番号。SRU にはバグの修正だけが含まれ、新機能は含まれません。Oracle サポートリポジトリは、サポート契約を結んでいるシステムでのみ利用可能です。

予約済み: 0

このフィールドは現在 Oracle Solaris パッケージには使用されていません。

SRU ビルド番号: 21

SRU のビルド番号、またはメジャーリリースの更新番号。

ナイトリービルド番号: 0

個々のナイトリービルドのビルド番号。

タイムスタンプ: 20110921T002716Z

タイムスタンプはコロン (:) の後に続ける必要があります。タイムスタンプは、このパッケージが発行された時間を ISO-8601 基本形式 YYYYMMDDTHHMMSSZ で表しています。

発行元、リポジトリ、およびパッケージアーカイブ

発行元は、1 つ以上のパッケージを提供する人または組織を示します。発行元は、パッケージリポジトリまたはパッケージアーカイブを使用してパッケージを配布できます。発行元は、好きな検索順序で構成できます。パッケージインストールコマンドを指定し、パッケージ仕様に発行元の名前が含まれない場合、そのパッケージに対して、検索順序の先頭の発行元が検索されます。指定されたパッケージ FMRI パターンに一致するものが見つからない場合は、検索順序の 2 番目の発行元が検索されるというように、パッケージが見つかるか、すべての発行元が検索されるまで繰り返されます。

リポジトリは、パッケージが公開される場所であり、またそれらのパッケージが取得される場所です。場所は URI (Universal Resource Identifier) によって指定されます。カタログは、リポジトリ内のすべてのパッケージのリストです。

パッケージアーカイブは、発行元の情報と、その発行元によって提供された 1 つ以上のパッケージを含むファイルです。

リポジトリの起点とミラー

起点は、パッケージのメタデータ (カタログ、マニフェスト、検索インデックスなど) とパッケージの内容 (ファイル) の両方を含むパッケージリポジトリです。イメージ内の特定の発行元に対して複数の起点が構成されている場合、IPS クライアントは、パッケージデータの取得元として最適な起点を選択しようとします。

ミラーは、パッケージの内容のみを含むパッケージリポジトリです。IPS クライアントがパッケージのコンテンツをミラーからダウンロードする場合でも、クライアントは発行元のカタログを取得するために起点にアクセスします。発行元に対してミラーが構成されている場合、IPS クライアントは、パッケージの内容の取得にミラーを優先します。イメージ内の特定の発行元に対して複数のミラーが構成されている場合、IPS クライアントは、パッケージの内容の取得元として最適なミラーを選択しようとします。すべてのミラーにアクセスできない、必要な内容がない、または遅くなる場合、IPS クライアントは起点から内容を取得します。

イメージとブート環境

イメージは、IPS パッケージをインストールでき、その他の IPS 操作を実行できる場所です。

ブート環境 (BE) は、イメージのブート可能なインスタンスです。システム上に複数の BE を維持することができ、各 BE にそれぞれ異なるソフトウェアバージョンをインストールすることもできます。システムをブートするとき、システム上の任意の BE にブートすることを選択できます。パッケージ操作の結果として、新しい BE が自動的に作成されることがあります。明示的に新しい BE を作成することもできます。新しい BE が作成されるかどうかは、「ブート環境ポリシーイメージのプロパティー」で説明するように、イメージポリシーに依存します。

パッケージのファセットとバリアント

ソフトウェアには、オプションのコンポーネントや、相互に排他的なコンポーネントが含まれることがあります。オプションのコンポーネントの例には、ロケールやドキュメントがあります。相互に排他的なコンポーネントの例には、SPARC バイナリと x86 バイナリや、デバッグバイナリと非デバッグバイナリなどがあります。IPS では、オプションのコンポーネントをファセット、相互に排他的なコンポーネントをバリアントと呼びます。

ファセットとバリアントはイメージに設定される特殊なプロパティーであり、パッケージ内のアクションに設定されるタグです。ほとんどのバリアントタグは、さまざまな値を持つことができます。アクションに設定されるファセットタグは、値 true のみを持つことができます。アクションのファセットおよびバリアントタグの値とイメージに設定されたファセットおよびバリアントの値の比較により、そのパッケージアクションがインストール可能かどうかを判別します。たとえば、イメージ内で特定のロケールファセットを false に設定した場合、そのファセットを指定しているファイルアクションはどれもインストールされず、そのファセットを指定している現在インストール済みのファイルアクションはアンインストールされます。

次のアルゴリズムは、イメージに設定されたファセットとバリアントが、特定のアクションがインストールされるかどうかに影響するしくみを示しています。

イメージに設定されているファセットとバリアントの値を表示または変更するには、「オプションのコンポーネントのインストールの制御」を参照してください。