このリリースの Oracle Solaris ゾーンについて

このセクションでは、Oracle Solaris ゾーンの新機能と変更点 (Oracle Solaris 10 リリース以降に行われた改良を含む) の概要について説明します。

このリリースのデフォルトの非大域ゾーンは solaris です。これについては、このガイドおよび solaris(5) のマニュアルページで説明されています。

単一の大域ゾーン内で実行されている非大域ゾーンは、Oracle Solaris 11.1 リリースのサポート対象プラットフォームとして定義されているすべてのアーキテクチャーでサポートされます。

Oracle Solaris リリースとマシンアーキテクチャーを確認するには、次のように入力します。

#uname -r -m

solaris ゾーンは、ブランドゾーンフレームワーク (brands(5) マニュアルページに記載) を使用して、大域ゾーンにインストールされているソフトウェアと同じソフトウェアがインストールされたゾーンを実行します。solaris 非大域ゾーンを使用している場合、システムソフトウェアは大域ゾーンとの間で同期が常に取れている必要があります。ゾーン内のシステムソフトウェアパッケージは、イメージパッケージングシステム (IPS) を使用して管理されます。IPS は Oracle Solaris 11 リリース上のパッケージングシステムで、solaris ゾーンはこのモデルを使用します。

Oracle Solaris 11 Express リリース上に作成されるデフォルトの ipkg ゾーンは、solaris ゾーンにマップされます。「ipkg ゾーンの solaris ゾーンへの変換について」を参照してください。

自動インストール (AI) のマニフェスト内に指定された各非大域ゾーンは、クライアントのインストールの一部としてインストールおよび構成されます。非大域ゾーンは、大域ゾーンのインストール後の初回リブート時にインストールされ、構成されます。システムの最初のブート時に、ゾーンの自己アセンブリ SMF サービスの svc:/system/zones-install:default は、大域ゾーンの AI マニフェスト内で定義された各非大域ゾーンを構成およびインストールします。詳細については、『Oracle Solaris 11.1 システムのインストール』を参照してください。また、インストール済みの Oracle Solaris システムでゾーンを手動で構成およびインストールすることも可能です。

パッケージ更新の場合は、--proxy オプションを使用してイメージに永続的なプロキシを設定するようにしてください。永続的なイメージプロキシ構成を使用しない場合は、http_proxy および https_proxy 環境変数を設定できます。

ゾーンは、順次ではなく並列的に更新されるように構成できます。並列更新により、システム上のすべてのゾーンを更新するのに必要な時間が大幅に短縮されます。

ゾーンは、デフォルトでは排他的 IP タイプで作成されます。ネットワーク接続構成が指定されない場合、VNIC は anet リソースによってゾーン構成内に自動的に含まれます。詳細は、「ゾーンネットワークインタフェース」を参照してください。

共有ストレージ上のゾーンには、zonecfg rootzpool リソースがあります。ゾーンは専用の zpool にカプセル化されます。共有ストレージ上のゾーンは、ゾーン用の共有ストレージリソースにアクセスし、それらを管理します。

zonecfg anet リソースでは、IP over InfiniBand (IPoIB) データリンクを指定するために使用される 2 つの新しいプロパティーが使用可能です。IPoIB は、solaris と solaris10 の両方のブランドゾーンでサポートされています。

RDS (Reliable Datagram Sockets) IPC プロトコルは、排他的 IP 非大域ゾーンと共有 IP 非大域ゾーンの両方でサポートされています。

fsstat ユーティリティーは、ゾーンをサポートするように拡張されました。fsstat ユーティリティーは、ゾーン別および集計の統計情報を提供します。

solaris ゾーンを NFS サーバーにすることができます (「ゾーンでの NFS サーバーの実行」に記載)。

試行 (「ドライラン」とも呼ばれる) の zoneadm attach -n は、zonecfg の検査を提供しますが、パッケージ内容の検査は実行しません。

ファイルを引数に取る zoneadm のすべてのオプションには、絶対パスが必要です。

Oracle Solaris 10 ゾーンは、Oracle Solaris 11 上に Oracle Solaris 10 環境を提供します。Oracle Solaris 11 システム上の solaris10 ゾーンに Oracle Solaris 10 システムまたはゾーンを移行できます。

zonep2vchk ツールは、Oracle Solaris 11 システムまたは Oracle Solaris 10 システムの Oracle Solaris 11 リリースを実行しているシステム上のゾーンへの移行に影響を与える可能性のある、ネットワークの問題を含む問題を特定します。zonep2vchk ツールは、移行が始まる前にソースシステム上で実行されます。このツールは、ターゲットシステム上で使用するための zonecfg スクリプトも出力します。このスクリプトは、ソースシステムの構成と一致するゾーンを作成します。詳細は、第 22 章ゾーンの移行と zonep2vchk ツールについてを参照してください。

Oracle Solaris 10 リリース上の solaris ゾーンと native ゾーンとの間の次の相違に注意してください。

• Oracle Solaris 11 システムでは、Oracle Solaris 10 システム上のデフォルトである native ブランドではなく、solaris ブランドが作成されます。

• solaris ゾーンは、完全ルートタイプのみです。

  Oracle Solaris 10 上で使用できるネイティブゾーンの疎ルートタイプは、SVR4 パッケージ管理システムを使用し、IPS はこのフレームワークを使用しません。疎ルートタイプと同様の読み取り専用ルートゾーン構成を使用できます。

• このリリースのゾーンには、これらの領域での Oracle Solaris 10 リリースとは異なる、次のソフトウェア管理関連の機能があります。

  • IPS パッケージと SVR4 パッケージ。

  • インストール、切り離し、接続、および Physical-To-Virtual 機能。

  • 非大域ゾーンルートが ZFS データセットである。

    大域ゾーンにインストールされたパッケージは、現在および将来のすべてのゾーンにインストールされなくなります。一般的に、IPS パッケージと SVR4 パッケージの両方において、大域ゾーンのパッケージ内容は、各ゾーンのパッケージ内容に影響しません。

• 非大域ゾーンはブート環境を使用します。ゾーンは、ZFS ブート環境 (BE) を管理するためのユーザーインタフェースコマンドである beadm と統合されています。

  beadm コマンドは、大域ゾーン内と同様に、pkg update 用にゾーンの内部でサポートされます。beadm コマンドは、ゾーンに関連付けられている、アクティブでないゾーン BE を削除できます。beadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

• 有効になっているすべての IPS パッケージリポジトリが、ゾーンのインストール中にアクセス可能である必要があります。詳細は、「構成済みのゾーンをインストールする方法」を参照してください。

• ゾーンソフトウェアは、最初は最小限に抑えられています。ゾーンが必要とするその他のパッケージは、追加する必要があります。詳細は、solaris publisher を参照してください。

ゾーンでは、次のような Oracle Solaris 11.1 の各製品と機能を使用できます。

• Oracle Solaris ZFS 暗号化

• ネットワーク仮想化および QoS

• CIFS と NFS

非大域ゾーン内では、次の機能を構成できません。

• 共有 IP ゾーンでの DHCP アドレスの割り当て

• ndmpd

• SMB サーバー

• SSL プロキシサーバー

• zpool コマンドを使用した ZFS プールの管理