RAID-0 ボリュームの概要

RAID-0 ボリュームは、スライスまたはソフトパーティションから構成されています。これらのボリュームでは、ディスクのストレージ容量を拡張できます。それらは直接使用することも、または RAID-1 (ミラー) ボリュームやソフトパーティションの構成要素としても使用できます。RAID-0 ボリュームは 3 種類あります。

• ストライプボリューム

• 連結ボリューム

• 連結ストライプボリューム

ストライプボリュームは、ボリューム内のすべてのコンポーネントに均一にデータを分散し、連結ボリュームは、最初に使用可能なコンポーネントに、それがいっぱいになるまでデータを書き込んでから、次の使用可能なコンポーネントに移動します。連結ストライプボリュームは単に、コンポーネントを追加して、その元の構成から拡張されたストライプボリュームです。

RAID-0 ボリュームでは、ディスクのストレージ容量を迅速かつ簡単に拡張できます。欠点は、これらのボリュームは RAID-1 や RAID-5 ボリュームと異なり、データ冗長性を提供しないことです。RAID-0 ボリュームの 1 つのコンポーネントで障害が発生すると、データが失われます。

ストライプボリュームへの順次 I/O 操作の場合、Solaris Volume Manager は、最初のコンポーネントのすべてのブロックをブロックのセグメント (「インターレース」と呼ばれる) で読み取り、次に 2 番目のコンポーネントのすべてのブロックをブロックのセグメントで読み取るというように繰り返します。

連結ボリュームへの順次 I/O 操作の場合、Solaris Volume Manager は、最初のコンポーネントのすべてのブロックを読み取り、次に 2 番目のコンポーネントのすべてのブロックを読み取るというように繰り返します。

連結ボリュームでもストライプボリュームでも、すべての I/O 操作が並列で行なわれます。

1 つのスライスを含む RAID-0 ボリュームは、任意のファイルシステムに使用できます。

複数のコンポーネントを含む RAID-0 ボリュームは、次を除く任意のファイルシステムに使用できます。

• ルート (/)

• /usr

• swap

• /var

• /opt

• オペレーティングシステムのアップグレードまたはインストール時にアクセスされる任意のファイルシステム

RAID-0 (ストライプ) ボリューム

RAID-0 (ストライプ) ボリュームは、データを 1 つまたは複数のコンポーネントに配置するボリュームです。ストライプでは、同じサイズのデータのセグメントが 2 つ以上のコンポーネントに交互に配置され、1 つの論理ストレージユニットが形成されます。これらのセグメントは、ラウンドロビン方式でインターリーブされるため、各コンポーネントから交互に組み合わされた領域が作成され、事実上、トランプのようにシャッフルされます。

ストライプにより、複数のコントローラが同時にデータにアクセスできますが、これは「並列アクセス」とも呼ばれます。並列アクセスでは、ボリューム内のすべてのディスクでほとんどの時間が I/O リクエストの処理でビジーになるため、I/O スループットを向上させることができます。

既存のファイルシステムをストライプに直接変換することはできません。ストライプボリュームに既存のファイルシステムを配置するには、ファイルシステムをバックアップし、ボリュームを作成してから、ストライプボリュームにファイルシステムを復元する必要があります。

RAID–0 (ストライプ) ボリュームのインターレース値

インターレースは、ストライプボリューム上の論理データセグメントの K バイト、M バイト、またはブロック単位のサイズです。アプリケーションによって、構成のパフォーマンスを向上させるインターレース値が異なることがあります。パフォーマンスの向上は、I/O リクエストを管理する複数のディスクアームを使用することによって達成されます。I/O リクエストがインターレースのサイズより大きい場合、パフォーマンスが向上する可能性があります。

ストライプボリュームを作成する場合、インターレース値を設定するか、Solaris Volume Manager の 16K バイトのデフォルトのインターレース値を使用します。ストライプボリュームを作成したら、インターレース値は変更できません。ただし、ボリューム上のデータをバックアップし、ストライプボリュームを削除して、新しいインターレース値で新しいストライプボリュームを作成してから、データを復元することができます。

シナリオ - RAID-0 (ストライプ) ボリューム

図 8-1 に、3 つのコンポーネント (スライス) から構築されたストライプボリュームを示します。さらに、インターレースサイズに従い、ラウンドロビン手法を使用して、データがボリュームコンポーネントに書き込まれるしくみも示しています。

Solaris Volume Manager がストライプボリュームのコンポーネントにデータを書き込む場合、インターレース幅のデータブロックをディスク A (インターレース 1)、ディスク B (インターレース 2)、およびディスク C (インターレース 3) に書き込みます。さらに、Solaris Volume Manager はこのパターンを繰り返して、ディスク A (インターレース 4)、ディスク B (インターレース 5)、ディスク C (インターレース6) というように書き込みます。

インターレース値は、毎回データがスライスに書き込まれるサイズを設定します。ストライプボリュームの総容量は、コンポーネントの数に最小のコンポーネントのサイズを掛けた値に等しくなります。(次の例の各スライスが 2G バイトの場合、ボリュームは 6G バイトになります。)

図 8-1 RAID-0 (ストライプ) ボリュームの例

RAID-0 (連結) ボリューム

RAID–0 (連結) ボリュームは、データがコンポーネント全体に連続して隣接して編成され、1 つの論理ストレージユニットを形成しているボリュームです。

連結ボリュームを使用して、複数のコンポーネントの容量を組み合わせることで、ストレージ容量を増やします。ストレージの要求の拡大に応じて、連結ボリュームにコンポーネントを追加できます。

連結ボリュームでは、ストレージ容量とファイルシステムのサイズをオンラインで動的に拡張できます。連結ボリュームでは、他のコンポーネントが現在アクティブであっても、コンポーネントを追加できます。

また、連結ボリュームでは、システムを停止する必要なく、任意のアクティブなマウントされている UFS ファイルシステムを拡張することもできます。一般に、連結ボリュームの総容量は、ボリューム内のすべてのコンポーネントの合計サイズに等しくなります。連結ボリュームに状態データベースの複製を格納するスライスが含まれている場合、ボリュームの総容量は、コンポーネントの合計から、その複製用に予約されている領域を引いた値になります。

単一のコンポーネントから連結ボリュームを作成することもできます。後で、ストレージを増やす必要があるときに、ボリュームにコンポーネントを追加できます。

シナリオ - RAID-0 (連結) ボリューム

図 8-2 に、3 つのコンポーネント (スライス) から構築された連結ボリュームを示します。さらに、インターレースサイズに従って、各スライスに順番に、データがボリュームコンポーネントに書き込まれるしくみも示しています。

データブロックは、スライス A からコンポーネント全体に順番に書き込まれます。スライス A は、論理データブロック 1 から 4 を格納するものと想定できます。ディスク B は、論理データブロック 5 から 8 を格納します。ディスク C は、論理データブロック 9 から 12 を格納します。ボリュームの総容量は、3 つのスライスを組み合わせた容量になります。各スライスが 2G バイトの場合、ボリューム全体の容量は 6G バイトになります。

図 8-2 RAID-0 (連結) ボリュームの例

RAID-0 (連結ストライプ) ボリューム

RAID–0 (連結ストライプ) ボリュームは、コンポーネント (ストライプ) を追加して拡張されたストライプです。

ストライプレベルで、連結ストライプボリュームのインターレース値を設定するには、Solaris 管理コンソール 内の拡張ストレージツール または metattach -i コマンドを使用します。連結ストライプボリューム内の各ストライプに、固有のインターレース値を指定できます。最初から連結ストライプボリュームを作成する場合、特定のストライプのインターレース値を指定しないと、前にボリュームに追加されたストライプからインターレース値が継承されます。

例 — RAID-0 (連結ストライプ) ボリューム

図 8-3 に、3 つのストライプの連結である連結ストライプボリュームを示します。

最初のストライプは、16K バイトのインターレース値で、スライス A からスライス C の 3 つのスライスから構成されています。2 番目のストライプは、スライス D とスライス E の 2 つのスライスから構成され、32K バイトのインターレース値を使用します。3 番目のストライプは、スライス F とスライス G の 2 つのスライスから構成されています。3 番目のストライプにはインターレース値が指定されていないため、以前に追加されたストライプから値が継承され、この例では 32K バイトになります。最初のストライプに空きがなくなるまで、順次データブロックが追加されます。次に、データブロックが 2 番目のストライプに追加されます。このストライプにも空きがなくなったら、3 番目のストライプにデータブロックが追加されます。各ストライプ内で、データブロックは、指定したインターレース値に従ってインターリーブされます。

図 8-3 RAID-0 (連結ストライプ) ボリュームの例