RAID-5 ボリュームのステータスのチェックの概要

RAID-5 ボリュームのステータスをチェックするには、ボリュームの状態とボリュームのスライスの状態を調べます。スライスの状態は、RAID-5 ボリュームのエラーのトラブルシューティングを行なう場合に、もっとも具体的な情報を提供します。RAID-5 ボリュームの状態は、「正常」や「保守」などの一般的なステータス情報しか提供しません。

RAID-5 ボリュームの状態で、「保守」状態が報告された場合は、スライスの状態を参照してください。スライスの状態は、スライスが「保守」状態か「最後にエラー」状態かを具体的に報告します。スライスが「保守」状態にあるか、「最後にエラー」状態にあるかによって、異なる復元作業を実行します。「保守」状態のスライスしかない場合は、データの損失なく修復できます。「保守」状態のスライスと「最後にエラー」状態のスライスがある場合は、データが破損している可能性があります。まず「保守」状態のスライスを修正してから、「最後にエラー」状態のスライスを修正する必要があります。

次の表に、RAID-5 ボリュームの状態を説明します。

表 14-1 RAID-5 ボリュームの状態

状態	意味
初期化中	スライスはすべてのディスクブロックをゼロにしています。このプロセスは、RAID 5 ボリュームの性質上、データとパリティのインタレースストライプ化に関して必要です。状態が「正常」に変わったら、初期化プロセスが完了しており、デバイスを開くことができます。それまで、アプリケーションはエラーメッセージを受け取ります。
正常	デバイスは使用する準備が整っており、現在エラーはありません。
保守	I/O エラーかオープンエラーのため、スライスが障害としてマークされています。これらのエラーは、読み取り/書き込み処理中に発生しました。

次の表に、RAID-5 ボリュームのスライスの状態と、可能な対策を説明します。

表 14-2 RAID-5 スライスの状態

状態	意味	アクション
初期化中	スライスはすべてのディスクブロックをゼロにしています。このプロセスは、RAID 5 ボリュームの性質上、データとパリティのインタレースストライプ化に関して必要です。	通常、ありません。このプロセス中に I/O エラーが発生すると、デバイスは「保守」状態になります。初期化に失敗すると、このボリュームは「初期化失敗」状態になり、スライスは「保守」状態になります。この場合は、ボリュームをクリアしてから再作成してください。
正常	デバイスは使用する準備が整っており、現在エラーはありません。	なし。必要に応じて、スライスを追加または交換できます。
再同期中	スライスは再同期中です。エラーが発生しましたが、修正されており、スライスが有効になっているか、スライスが追加されています。	必要であれば、再同期が終了するまで RAID 5 ボリュームのステータスをモニターします。
保守	I/O エラーかオープンエラーのため、1 つのスライスが障害としてマークされています。これらのエラーは、読み取り/書き込み処理中に発生しました。	障害の発生したスライスを有効にするか、交換します。「RAID-5 ボリューム内のコンポーネントを有効にする方法」または「RAID-5 ボリューム内のコンポーネントを置き換える方法」を参照してください。`metastat` コマンドは、`invoke` 復元メッセージと `metareplace` コマンドによって実行する適切な対策を表示します。
保守/最後にエラー	複数のスライスでエラーが発生しました。障害が発生したスライスの状態は「保守」か「最後にエラー」です。この状態では、「保守」状態のスライスには I/O が試みられません。ただし、「最後にエラー」とマークされているスライスには I/O が試みられ、その結果が I/O リクエストの全体的なステータスになります。	障害の発生したスライスを有効にするか、交換します。「RAID-5 ボリューム内のコンポーネントを有効にする方法」または「RAID-5 ボリューム内のコンポーネントを置き換える方法」を参照してください。`metastat` コマンドは、`invoke` 復元メッセージと `metareplace` コマンドによって実行する適切な対策を表示します。このコマンドは `-f` フラグを付けて実行する必要があります。この状態は、複数のスライスの障害のため、データが改ざんされた可能性があることを示しています。

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	Solaris Volume Manager 管理ガイド Oracle Solaris 10 1/13 Information Library (日本語)