複数所有者ディスクセット内の RAID-1 (ミラー) ボリューム

複数所有者ディスクセット内に作成された RAID–1 ボリューム (またはミラー) は、Solaris Volume Manager 共有ディスクセット内の RAID-1 ボリュームと同様に機能します。ただし、複数所有者ディスクセット内の RAID-1 ボリュームには、いくつかの追加機能があります。

複数所有者ディスクセットのミラー所有権

ミラー所有権は、複数所有者ディスクセットに固有の概念です。Solaris Volume Manager 共有ディスクセット内の RAID-1 ボリュームとは異なり、複数所有者ディスクセット内の RAID-1 ボリュームには通常、所有者が関連付けられています。ミラーボリュームの所有権は、ボリュームマネージャーによって選択されます。ボリュームの所有者は、ディスクセットのノードリストで指定されているノードのいずれかです。RAID-1 ボリュームの所有者だけがそのボリュームに書き込むことができます。所有者以外のノードがボリュームに書き込もうとした場合、所有権は、書き込み操作を行なっているノードに切り替わります。metastat -s diskset-name コマンドの次の出力は、RAID-1 ボリューム d24 の所有者としての nodeone を示しています。

# metastat -s red
red/d24: Mirror
    Submirror 0: red/d20
      State: Okay
    Submirror 1: red/d21
      State: Okay
    Pass: 1
    Read option: roundrobin (default)
    Write option: parallel (default)
    Resync option: optimizedresync
    Owner: nodeone
    Size: 825930 blocks (403 MB)

データの管理と回復のプロセス

Solaris Volume Manager の RAID-1 ボリュームと同様に、Solaris Volume Manager for Sun Cluster の RAID-1 ボリュームでは、一貫性のあるデータを保証するための操作が実行されます。Solaris Volume Manager for Sun Cluster の RAID-1 ボリュームには、データの管理と回復のための 2 つのオプションが用意されています。

Solaris Volume Manager for Sun Cluster での最適化された再同期

Solaris Volume Manager for Sun Cluster での最適化された再同期は、Solaris Volume Manager での最適化された再同期と同様に機能します。ただし、複数所有者ディスクセットでは、再同期オプションが最適化された再同期に設定された RAID-1 ボリュームには、常にミラー所有者が関連付けられています。metastat -s diskset-name コマンドの次の出力は、optimizedresync (最適化された再同期) に設定された再同期オプションを示しています。

# metastat -s red
red/d24: Mirror
    Submirror 0: red/d20
      State: Okay
    Submirror 1: red/d21
      State: Okay
    Pass: 1
    Read option: roundrobin (default)
    Write option: parallel (default)
    Resync option: optimizedresync
    Owner: nodeone
    Size: 825930 blocks (403 MB)

最適化された再同期の詳細は、「最適化された再同期」を参照してください。

アプリケーションベースの回復と指定されたミラー読み取り

Solaris Volume Manager for Sun Cluster でのデータ回復を最適化するために、Oracle Real Application Clusters などのアプリケーションには、データの回復を管理および制御するための機能が必要になります。アプリケーションが回復を制御できるようにすると、回復のパフォーマンスが向上します。DKIOGETVOLCAP、DKIOSETVOLCAP、DKIODMR の各 ioctl は、クラスタ環境でのアプリケーションのデータ管理回復に対するサポートを提供します。これらの ioctl は、アプリケーションに次の機能を提供します。

アプリケーションベースの回復 (ABR) - アプリケーションがミラー化ボリューム上のデータの回復を制御できるようにします。
指定されたミラー読み取り - アプリケーションが読み取りを特定のサブミラーに指定したり、データの状態を確認したりできるようにします。

アプリケーションベースのデータ管理回復で使用される ioctlの詳細は、dkio(7I) のマニュアルページを参照してください。

再同期オプションがアプリケーションベースの回復に設定された RAID-1 ボリュームには、アプリケーションベースの回復プロセス中にのみミラー所有者が関連付けられます。metastat -s diskset-name コマンドの次の出力は、正常な状態にある RAID-1 ボリュームを示しています。再同期オプションは、アプリケーションベースの回復に設定されています。ミラー所有者は存在しません。

# metastat -s red
red/d24: Mirror
    Submirror 0: red/d20
      State: Okay
    Submirror 1: red/d21
      State: Okay
    Pass: 1
    Read option: roundrobin (default)
    Write option: parallel (default)
    Resync option: application based
    Owner: None
    Size: 825930 blocks (403 MB)

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	Solaris Volume Manager 管理ガイド Oracle Solaris 10 1/13 Information Library (日本語)