ナビゲーションリンクをスキップ | |
印刷ビューの終了 | |
![]() |
Oracle Solaris の管理: デバイスとファイルシステム Oracle Solaris 10 1/13 Information Library (日本語) |
6. InfiniBand デバイスの使用 (概要/タスク)
12. Oracle Solaris iSCSI ターゲットの構成 (タスク)
19. UFS ファイルシステムのバックアップと復元 (概要/タスク)
UFS ファイルとファイルシステムのバックアップ (タスクマップ)
UFS ファイルシステムのバックアップをテープに作成する方法
UFS ファイルおよびファイルシステムのバックアップを復元する (タスクマップ)
UFS ルート (/) および /usr ファイルシステムを復元する方法
このタスクマップを使用して、ファイルシステムのバックアップおよび復元タスクをすべて確認できます。各タスクは、実行するバックアップタイプの判別などの一連の追加タスクを指し示します。
|
「バックアップスケジュール」とは、ufsdump コマンドを実行するように設定するスケジュールです。このセクションでは、バックアップスケジュールの作成時に考慮するべき点について説明します。また、バックアップスケジュールの例もいくつか紹介します。
バックアップスケジュールは、次の点を考慮に入れて作成します。
バックアップに使用するテープの数を最小限に抑える
バックアップの実行に使用できる時間
損傷したファイルシステムの完全復元に使用できる時間
不注意に削除した個々のファイルの検索に使用できる時間
バックアップに費やす時間とメディアの数を最小限度に抑える必要がない場合は、完全バックアップを毎日実行してもかまいません。しかし、多くのサイトの場合、このようなバックアップ方法は現実的ではないので、ほとんどの場合は増分バックアップが使用されます。その場合は、サイトが過去 4 週間分のバックアップからファイルを十分復元できるようにしてください。そのためには、少なくとも 1 週分ごとに 1 組ずつ、合計 4 組のテープが必要です。各組のテープを毎月使い回すことになります。また、少なくとも 1 年分の月別のバックアップを保存する必要があります。そして、数年分の年度別バックアップを保管しておく必要があります。
次の表に、バックアップ間隔の用語および定義を示します。
|
次の表に、バックアップスケジュールのガイドラインを示します。バックアップスケジュールに関するその他の注意事項については、「バックアップスケジュールに関するその他の注意事項」を参照してください。
表 19-6 バックアップスケジュールのガイドライン
|
ufsdump コマンドで指定するダンプレベル (0 - 9) により、バックアップするファイルを決定できます。ダンプレベル 0 を指定すると、完全バックアップが作成されます。増分バックアップのスケジュール設定にレベル 1 から 9 までの番号が使用されますが、意味は定義されていません。レベル 1 から 9 は、累積バックアップまたは個別バックアップのスケジュール設定に使用する番号の範囲にすぎません。レベル 1 から 9 までが意味するのは、大小による相互関係だけです。下位ダンプレベル番号を使用した場合は、常に完全バックアップまたは累積バックアップが再開されます。次の例で、1 から 9 までのレベルを使用する増分ダンプの手順を示します。
日単位の累積増分バックアップを実行するのが、もっとも一般に使用されるバックアップスケジュールで、ほとんどの場合に推奨できます。次の例で、月曜日から木曜日までレベル 9 のダンプを使用し、金曜日にはレベル 5 のダンプを使用してプロセスを再開するスケジュールを示します。
図 19-1 増分バックアップ: 日単位累積
前の例では、1 から 9 までの範囲内で他の番号を使用しても同じ結果が得られます。ポイントは、月曜日から木曜日まで同じ番号を使用し、金曜日にはそれより「小さい」番号を使用することです。たとえば、レベル 4、4、4、4、2 や 7、7、7、7、5 を指定してもかまいません。
次の例で、1 日分の作業内容のみを別々のテープ上で保存するスケジュールを示します。このようなバックアップは、日単位増分バックアップと呼ばれます。この場合、月曜日から木曜日までは連続するダンプレベル番号(3、4、5、6) を使用し、金曜日にはそれより小さい番号(2) を使用します。金曜日はレベル番号が小さいので、プロセスが再開されます。
図 19-2 増分バックアップ: 日単位増分
前の例では、連番 6、7、8、9 の次に 2 を使用したり、5、6、7、8 の次に 3 を使用したりすることもできます。番号自体は特定の意味を持たないことに注意してください。この例が示しているように、連続した番号を並べることによって、それらの番号に意味が生まれます。
バックアップスケジュールの例をいくつか紹介します。どのスケジュールも、完全バックアップ (ダンプレベル 0) から始めることと、-u オプションを使用して /etc/dumpdates ファイルに各バックアップを記録することを前提としています。
表 19-7 に、よく使用される増分バックアップスケジュールを示します。これは、ほとんどの場合に推奨できるスケジュールです。このスケジュールで実行される処理は次のとおりです。
前週の終わりの下位レベルのバックアップ以降に変更があったすべてのファイルが毎日保存されます。
月-金のレベル 9 のバックアップの場合は、直前のレベル 0 またはレベル 5 のバックアップがもっとも近い下位バックアップレベルになります。したがって、各週のテープには、前週の終わり (第 1 週の場合は初期レベル 0 のバックアップ) 以降に変更があったすべてのファイルが累積されます。
毎週金曜日のレベル 5 のバックアップの場合、もっとも近い下位レベルのバックアップは、月初めに実行されたレベル 0 のバックアップです。したがって、毎週金曜日のテープには、月初めからその時点までに変更があったすべてのファイルが入っています。
表 19-7 日単位累積/週単位累積バックアップスケジュール
|
次の表に、日単位累積、週単位累積スケジュールを使用して、テープの内容が 2 週間でどのように変化するかを示します。各文字はそれぞれ異なるファイルを示します。
表 19-8 日単位累積、週単位累積スケジュールのテープの内容
|
このスケジュールでは、日単位テープを再利用する場合には、6 本のテープが必要になります。ただし、曜日ごとに 4 本の日単位テープを別々に使用する場合は、次に示すように 9 本のテープが必要になります。
レベル 0 のバックアップ用に 1 本
金曜日用に 4 本
日単位テープ用に 1 本または 4 本
ファイルシステム全体を復元する必要があれば、次のテープが必要になります。
レベル 0 テープ
前週の金曜日用に 1 本
前週の金曜日以降の最新の日単位テープ 1 本
次の表に、各曜日のテープに月曜日 (第 1 週の場合は初期レベル 0 のバックアップ) 以降に変更があったすべてのファイルが累積されるスケジュールを示します。また、各金曜日のテープには、その週に変更されたすべてのファイルが入ります。
表 19-9 日単位累積、週単位増分バックアップスケジュール
|
次の表に、日単位累積、週単位増分バックアップスケジュールの場合、テープの内容が 2 週間でどのように変化するかを示します。各文字はそれぞれ異なるファイルを示します。
表 19-10 日単位累積、週単位増分バックアップスケジュールのテープの内容
|
このスケジュールでは、日単位テープを再利用する場合には、6 本のテープが必要になります。ただし、曜日ごとに 4 本の日単位テープを別々に使用する場合は、次に示すように 9 本のテープが必要になります。
レベル 0 のバックアップ用に 1 本
金曜日用に 4 本
日単位テープ用に 1 本または 4 本
ファイルシステム全体を復元する必要があれば、次のテープが必要になります。
レベル 0 テープ
すべての金曜日のテープ
前週の金曜日以降の最新の日単位テープ 1 本
次の表に、各曜日のテープには前日以降に変更があったファイルのみが入るスケジュールを示します。また、各金曜日のテープには、月初めの初期レベル 0 バックアップ以降に変更されたすべてのファイルが入ります。
表 19-11 日単位増分、週単位累積バックアップスケジュール
|
次の表に、日単位増分、週単位累積スケジュールの場合、テープの内容が 2 週間でどのように変化するかを示します。各文字はそれぞれ異なるファイルを示します。
表 19-12 日単位増分、週単位累積バックアップスケジュールのテープの内容
|
このスケジュールでは、少なくとも 9 本のテープが必要になります。これは日単位テープを毎週再利用することが前提となっていますが、これはお勧めできません。週単位テープを 1 か月保存する場合は、21 本のテープが必要になります。可能であれば、こちらの方法をお勧めします。内訳は、レベル 0 に 1 本、金曜日用に 4 本、日単位テープ 4 本または 16 本です。
レベル 0 のバックアップ用に 1 本
金曜日のバックアップ用に 4 本
日単位のテープを 4 本または 16 本
ファイルシステム全体を復元する必要があれば、次のテープが必要になります。
レベル 0 テープ
前週の金曜日用に 1 本
前週の金曜日以降のその週のすべての日単位テープ
次の表に、ユーザーがプログラム開発やドキュメント作成のようなファイル集約型の作業を実行する小型ネットワーク上の、使用頻度の高いファイルサーバーのバックアップ方針の例を示します。この例は、バックアップ期間が日曜日に始まり、1 週 7 日間を 4 週間行うものと想定しています。
表 19-13 例—サーバーの月単位バックアップスケジュール
|
このスケジュールでは、4n 本のテープ (ルート (/)、/usr、/export、および /export/home ファイルシステムの 4 回の完全バックアップに必要な本数) を使用します。また、/export/home ファイルシステムの増分バックアップ用に 24 本のテープを使用します。このスケジュールは、増分バックアップごとに 1 本ずつテープを使用し、それを 1 カ月は保存することを前提としています。
このスケジュールの機能を、次に示します。
日曜日ごとに、ルート (/)、/usr、/export、および /export/home ファイルシステムの完全バックアップ (レベル 0) を実行します。レベル 0 のテープを少なくとも 3 カ月は保存します。
月の第 1 月曜日に、テープ A を使用して /export/home ファイルシステムのレベル 9 のバックアップを実行します。ufsdump コマンドは、下のレベルのバックアップ以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。この場合、直前の下位レベルのバックアップは、日曜日に実行したレベル 0 のバックアップになります。
月の第 1 火曜日に、テープ B を使用して /export/home ファイルシステムのレベル 9 のバックアップを実行します。この場合も、ufsdump コマンドは、直前の下のレベルのバックアップ (日曜日のレベル 0 のバックアップ) 以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。
月の第 1 水曜日に、テープ C を使用して /export/home ファイルシステムのレベル 5 のバックアップを実行します。ufsdump コマンドは、日曜日以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。
テープ D と E 上で、/export/home ファイルシステムの木曜日と金曜日のレベル 9 バックアップを実行します。ufsdump コマンドは、直前の低レベルバックアップ (水曜日のレベル 5 バックアップ) 以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。
月の第 1 土曜日に、テープ F を使用して /export/home のレベル 5 のバックアップを実行します。ufsdump コマンドは、下のレベルのバックアップ (この場合は日曜日に実行したレベル 0 のバックアップ) 以降に変更があったすべてのファイルをコピーします。テープを再利用する場合は、テープ A から F までを次の 4 週間の第 1 月曜日までは保存しておきます。
次の 3 週間は、テープ G から L までと、日曜日のレベル 0 のバックアップ用に 4n 本のテープを使用して、手順 1 から 6 までを繰り返します。
4 週ごとに、レベル 0 のバックアップ用に新しいテープ 1 組と、増分バックアップ用のテープ A から X までを再利用して、手順 1 から 7 までを繰り返します。レベル 0 のテープは、3 カ月後に再利用できるようになります。
このスケジュールでは、各ファイルを 1 カ月間で段階別に保存できます。多数のテープが必要ですが、テープのライブラリを確実に用意できます。テープの本数を減らすには、テープ A から F までを毎週再利用します。