ユーザーズ・ガイド

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Oracle Tuxedo Application Runtime for IMSユーザーズ・ガイド

この章の内容は次のとおりです。

 


概要

Oracle Tuxedo Application Runtime for IMS Users (Tuxedo ART for IMS)は、オープン・プラットフォーム(たとえば、OS/390またはMVS/ESA環境上のIBM IMS/TM)上で同じ関数をエミュレートするために使用されます。

このガイドには、UNIX/Linuxプラットフォーム上でOn Line Transaction Processing (OLTP)アプリケーションを開発および実行する場合に、Tuxedo ART for IMSを構成および使用するための説明と手順が記載されています。

このガイドは、次の作業の参考になります。

z/OS上のIMSへの導入

IMSは、次の3つのコンポーネントで構成されています。

IMS Transaction Managerは、IMSの下で実行されているアプリケーションへのアクセスを提供します。同じOS/390システム、他のOS/390システム、または他の非OS/390プラットフォーム上の端末やワークステーション、または他のアプリケーション・プログラムから使用できます。IMS Database Managerコンポーネントは、IMS階層型データベース・モデルを使用するデータベースをサポートします。それは、IMS Transaction Managerの下で実行されているアプリケーションからこれらのデータベースへのアクセスを提供します。IMSには、制御リージョンと従属リージョンがあります(たとえば、メッセージ処理リージョン、メッセージのバッチ処理(BMP)リージョンなど)。

IMS制御リージョンは、IMSサブシステムの中心となるポイントを提供します。これは、Transaction Manager関数のためのSNAネットワークへのインタフェースと、非SNAネットワークにアクセスするためのTransaction Manager OTMAインタフェースを提供します。IMSサブシステムの操作のためにOS/390へのインタフェースを提供します。様々な従属リージョンで実行されているアプリケーション・プログラムを制御およびディスパッチします。IMS MPPリージョンは、IMS Transaction Managerコンポーネント(つまり、オンライン・プログラム)へのメッセージ入力を処理するために使用されます。アドレス空間では、アプリケーション・プログラムが自動的にロードされることはありませんが、作業が使用可能になるまで待機します。BMPリージョンは、2つのサブタイプで構成されています。IMSメッセージ・キューからメッセージを読み取って処理するメッセージ・ドリブンBMP(トランザクション指向BMPとも呼ばれる)と、IMSメッセージを処理しないがIMS DBへのアクセス権を持つ非メッセージBMP(バッチ指向)です。

 


z/OS上のIMSからUNIX上のOracle Tuxedo Application Runtime for IMS Usersへ

z/OS上のIMSの機能をエミュレートするために、Tuxedo ART for IMSは、Oracle Tuxedoの制御の下で実行されるサーバーのグループを提供します(必須サーバーとオプションのサーバーを含む)。必須サーバーには、ARTICTLARTIMPPおよびARTIBMPがあります。オプション・サーバーには、ARTIADMおよびARTITERMがあります。さらに、Tuxedo ART for IMSは、サーバーを支援するDLLとユーティリティのグループを提供します。z/OS上のIMSからTuxedo ART for IMSへのマッピング・リストは、次のとおりです。

Tuxedo ART for IMSのアーキテクチャ全体を図1に示します。

図1 Tuxedo ART for IMSのアーキテクチャ

Tuxedo ART for IMSのアーキテクチャ

Tuxedo ART for IMSは次のもので構成されます。

Tuxedo ART for IMSは、作業リクエストを受信します。このリクエストは、リモート端末で入力されています。これは、通常、IMSに対して、実行する作業の種類と使用するデータを特定するトランザクション・コードで構成されています。それらはすべて、ARTICTLのART MFS言語ユーティリティを介してメインフレーム上の元のファイルから解析されたMFS制御ブロック定義に従います。

ARTICTLによって、リモート端末接続が処理され、3270データ・ストリームがEBCDICからASCIIに変換されます。その後、DIFに従ってデータ・ストリームからの情報が解析され、ARTIMPPのMIDに従ってメモリーにメッセージ・セグメントが保存されます。

ARTIMPPによって特定のプログラム(COBOLのもの)が起動されて制御されます。それによって、リクエスト・データが使用されてリモート・オペレータ・リクエストが実行されます。また、作業リクエストに応じてリモート・オペレータに対するデータも準備されます(たとえば、作業の完了の確認、問合せへの応答など)。

最後に、プログラムによって準備されたデータが、最初に作業を要求した端末に送り返されます。このプロセスは前述のワーク・フローのちょうど反対です。

ARTIMPPとは異なり、ARTIBMPは、リモート端末によってではなく、ARTIBMPに固有のOracle Tuxedoクライアント(たとえば、DFSRRC00)によってアクティブ化されます。

 


Oracle Tuxedo Application Runtime for IMS Usersサーバー

Tuxedo ART for IMSサーバーは次のとおりです。

詳細は、Oracle Tuxedo Application Runtime for IMSリファレンス・ガイドのサーバー構成に関する項を参照してください。

ARTICTL

図 2は、ARTICTLが、デバイスまたはリモート・プログラムからの入力データをIMSへのプレゼンテーション用に書式設定し、アプリケーション・プログラム・データを出力デバイスまたはリモート・プログラムへのプレゼンテーション用に書式設定することで、アプリケーション・プログラムをどのようにデバイス非依存にできるのかを示しています。

図 2 デバイス非依存アプリケーション・プログラム

デバイス非依存アプリケーション・プログラム

MS/MFSは、次の3つのコンポーネントで構成されています。

各部分の機能を詳細に説明する前に、もう1つのオフライン・ユーティリティであるART MFS言語ユーティリティMFSGENについて説明する必要があります。MFSGENは、メインフレーム上の4つのタイプのMFS制御ブロックを、オープン・プラットフォーム上のバイナリ・ファイルに転送し、そのファイルをフォーマット・サービス・ライブラリによって読み取れるようにするために使用されます。MFSGENもTuxedo ART for IMSの重要な機能です。

アプリケーション・プログラムおよび端末またはリモート・プログラム用に入力および出力を書式設定するために指定する必要があるMFS制御ブロックには、4つのタイプがあります。

注意: このドキュメント全体で、用語「メッセージ・ディスクリプタ」はMIDとMODの両方を指します。「デバイス書式」とはDIFとDOFの両方を指します。MOD、DOF、DIFおよびMIDはそれぞれ、特定のメッセージを処理します。プログラムが送信する一意のメッセージごとにMODおよびDOFが、プログラマが受信する一意のメッセージごとにDIFおよびMIDが必要です。

端末制御リスナー

端末制御リスナー(CTLL)プロセスは、ARTICTLサブシステムで実行される標準Oracle Tuxedoサーバーです。これは、ARTICTLが開始されたときに起動します。

CTLLは、端末リスナー・サーバーのロールを実行します。これは、3270でアプリケーションと接続するパブリック・アドレスでリスニングします。それによって、受信接続リクエストごとに、ハンドラ・プロセスの1つにこの接続が送信されます。詳細な機能は次のとおりです。

端末制御ハンドラ

端末制御ハンドラ(CTLH)プロセスは、端末I/O、ユーザー認証、およびユーザーにかわって行うリクエストされたトランザクションの呼出しなど複数の接続を管理します。ユーザーがトランザクションをリクエストするたびに、このトランザクション・リクエストをCTLHが(tpacall()を介して)メッセージ処理リージョン(ARTIMPP)に送信します。詳細な機能は次のとおりです。

端末I/O

接続リクエストが端末エミュレータから着信すると、それはCTLHプロセスの1つによって受け入れられ、処理されます。これらのプロセスによって、ARTICTLサブシステムの入力および出力が管理されます。端末がARTICTLサブシステムに接続すると、ARTCTLHが、端末のかわりにOracle Tuxedoクライアントとして機能します。端末からトランザクションIDを入力すると、ARTCTLHによってそのトランザクションIDがOracle Tuxedoサービス識別子に変換され、tpacall()が呼び出されます。その後、Oracle Tuxedoによって、そのトランザクションが端末3270データ・ストリームとともにMPPサーバーにルーティングされてトランザクションが実行されます。

セッション管理

CTLHは、セッション管理を実行します。端末を使用してARTICTLサブシステムに接続すると、CTLHによって新しいユーザー・セッションがその接続に対して確立され、その端末に対するすべての後続の画面I/Oが処理されます。パフォーマンス拡張として、各CTLHプロセスは、複数のセッションを同時に管理できます。ポートからエミュレータを切断すると、CTLHはセッションを終了します。

3270データ・ストリームの変換

CTLHは、ASCIIとEBCDICの間の変換を実行します。CTLHは、3270データ・ストリームを端末との間で送受信する前または後に、ASCIIとEBCDICの間のデータ変換を実行します。

IMSメッセージの書式設定

CTLHは、メッセージ・フォーマット・サービス・ライブラリ(LIBMFS)を呼び出すことでメッセージ書式設定を実行します。CTLHは、端末からデータを受信すると、そのデータ・ストリームを分割し、DIF制御ブロックに従って有用な情報を抽出し、MID制御ブロックに従ってアプリケーション・プログラムによって使用されるメッセージを作成します。CTLHは、アプリケーション・プログラムから返されたメッセージを受信すると、そのメッセージを分割し、MOD制御ブロックに従って有用なセグメントを抽出します。その後、それが、DOF制御ブロックに従ってデータ・ストリームを作成し、端末に送信します。

各MID/MOD MSG文で定義されているメッセージ書式設定には3つのタイプがあります(OPT=1/2/3)。メッセージ書式設定の各タイプは、ARTICTLおよびARTIMPPによって処理される様々なMSG定義を定義します(パフォーマンスのためにMSGのいくつかのフィールドまたはセグメントは削除されます)。各MSGタイプの利点と詳細は、IMS/TMのプログラミングに関する項を参照してください。

アプリケーション・プログラムでは、ARTICTLARTIMPPの間で使用されるMSGタイプに関して考慮する必要はありません。ARTIMPPによって、MSGはアプリケーション・プログラムに送信される前にそのI/O領域で調整されます。ARTICTLおよびARTIMPPは、OPTをサポートしていません。それらはアプリケーション・プログラムが認識可能な一般的なタイプ(MSGのフィールドもセグメントも削除しない)を使用してMSGを処理します。

端末タイプのサポート

ARTICTLサブシステムは、次の6つの端末タイプをサポートしています。

3270              Size(24, 80)

3270,2           Size(24, 80)

3270 - A2      Size(24, 80)

ARTICTLサブシステムがブートするときに、CTLHがTN3270Eプロトコル・ネゴシエーションを実行し、端末のタイプとIDがネゴシエーションを介して判別され("IBM-3278-2-E"など)、CTLHがその端末のタイプに対応する3270データ・ストリームを処理します。

制御ブロック・ライブラリ管理

メッセージ・フォーマット・サービス・ライブラリ(LIBMFS)は、CTLHによってリンクされているライブラリとして配布され、各CTLHプロセスで実行され、制御ブロック管理も処理します。これによって、制御ブロックがリクエストされると、適切な制御ブロックが検索されてキャッシュに読み込まれ、保持されます。リクエストが終了すると、制御ブロックはキャッシュからクリアされます。

IMSシステム・コマンドのサポート

IMSシステム・コマンド( /FORMAT/SIGN/EXITなど)も、TCPハンドラで処理されます。

IMSセキュリティのサポート

Tuxedo ART for IMSは、4つのタイプのOracle Tuxedoセキュリティ・メカニズムをサポートしています(セキュリティなし、APP_PW、ユーザーレベル認証(USER_AUTH)およびアクセス制御リスト(ACLまたは必須ACL))。

メインフレームIMSにアプリケーション・パスワードはないため、Tuxedo ART for IMSセキュリティのアプリケーション・パスワードは削除します。

注意: tmloadcfを使用している場合、アプリケーション・パスワード文字を入力しないでください。[Enter]キーを押すことでそれをNULLのままにします。

認証の場合:

ユーザー名とパスワードの最大長はメインフレームと同じ8(文字)です。

詳細は、Oracle Tuxedoユーザーズ・ガイドのATMIアプリケーションにおけるセキュリティの使用に関する項を参照してください。

ARTICTLは、TCP/IPおよびメッセージ書式サービスを介して3270端末へのアクセスを提供します。ARTICTLは、ユーザー入力に基づいて画面を書式設定し、3270端末から入力を受信し、3270端末から受信したメッセージをOracle Tuxedoリクエストに変換し、リクエストを処理のためにARTIMPPに送信し、ARTIMPPから応答を受信し、応答を書式設定し、元の端末に送り返します。

ARTIMPP

標準モード(CLOPT-pの指定なし)のARTIMPPは、サービス・コンテナとして機能するように設計されたOracle Tuxedoサーバーです。これは、初期化中に構成ファイルに基づいて、サービスのセットを公開し、それが公開したサービスへのリクエストを受信する一方で、対応するCOBOL/Cアプリケーション・プログラムを呼び出し、応答をリクエスタ(通常はARTICTLサーバー)に送り返します。サービスは、UNIX上で、メインフレームのトランザクション・コードに相当するものです。

永続モード(CLOPT-pオプションを指定)のARTIMPPは、すべてのTPトランザクション(imsresource.descで定義されたトランザクション)の/Qを監視します。1つの永続トランザクションの1つの/Qにメッセージが発生したら、そのメッセージを/Qから取得して、対応するCOBOL/Cアプリケーション・プログラムを呼び出してから、リクエスタにレスポンスを返します。

動的サービス公開

標準モードのARTIMPPは、起動中に一連の構成ファイルに基づいてサービスのセットを動的に公開します。ARTIMPPサーバーに含められるすべてのサービス(トランザクション・コード)はimstrans.descで定義されており、その中で定義されている各トランザクション・コードは、公開される同じ名前を持つサービスに対応しています。imsapps.descには、ARTIMPPによって呼び出されるCOBOL/Cアプリケーション・プログラムがすべて定義されています。各$appname.psbは、そのアプリケーションによって必要とされる代替PCBを定義します。詳細は、「ARTIMSの構成」を参照してください。構成ファイルが変更されている場合、ARTIMPPは、再起動中に変更のみを受け入れることができます。さらに、ARTIMPPは、TPタイプのアプリケーションのみをサポートしています。

動的COBOLプログラム起動

ARTIMPPによって公開される各サービス(トランザクション・コード)には、サービスを処理する定義済COBOLアプリケーション名があります。ARTIMPPは、サービスに対するリクエストを受信する一方で、そのリクエストされたサービスに対応するCOBOLアプリケーション名を見つけ、MicroFocusライブラリのサポートを得てその関数を呼び出します。各COBOLアプリケーションは、.gntファイルにコンパイルされ、ディレクトリにCOBOL検索順序で格納されます。MicroFocus COBOL環境では、プログラム検索順序は、環境変数$COBPATHによって定義されます。

注意: COBOL-IT COBOL環境では、プログラム検索順序は、$COB_LIBRARY_PATHによって定義されます。

トランザクション・クラスの区別

ARTIMPPサーバーの各インスタンスは、トランザクション・コードのどのクラスがそれによって公開されるのかを指定できます。このメカニズムは、デプロイメントの調整に使用できます。

暗黙的なトランザクションのコミットメント

サービスのために呼び出されたCOBOLアプリケーション・プログラムが、トランザクションを明示的にコミットまたはロール・バックしない場合、ARTIMPPサーバーがトランザクションを暗黙的にコミットします。

プログラムの切替え

ARTIMPPでは、1つのリクエストが、1つのトランザクション・コードによって、別のトランザクション・コードに転送されること、つまり、プログラムの切替えがサポートされています。プログラムの切替えは、非会話型トランザクション・コードから別の非会話型トランザクション・コードへ、会話型トランザクション・コードから別の会話型トランザクション・コードまたは非会話型トランザクション・コードへの場合に実行できます。1つの会話コードと別の会話コードとの間のプログラム切替えは、遅延および即時切替えがサポートされています。遅延プログラム切替えは、元のトランザクション・コードが、SPAに含まれている別のトランザクション・コードを持つ端末(切替えターゲット)に返されることを意味し、端末がメッセージを再度送信すると、そのメッセージはその切替えターゲットにルーティングされます。即時プログラム切替えは、元のものがメッセージを別のトランザクション・コードに転送し、それが端末に応答することを意味します。非会話型トランザクション・コード間のプログラム切替えは、即時切替えのみがサポートされています。応答モード・トランザクション・コードから非応答モード・トランザクション・コードへのプログラム切替えの場合、ARTIMPPでは、それに制限を設けていませんが、ユーザーは、このようなプログラム切替えの設計には注意する必要があります。それは、応答モード・トランザクションには、応答が必要ですが、非応答モード・トランザクションでは、端末に応答しない場合があるためです。

ALT PCBによる即時のプログラム切替えでは、ターゲット・トランザクションが永続トランザクション(imsresource.descで定義されたトランザクション)の場合、そのターゲット・トランザクションに関するメッセージは/Qに格納されます。永続モードのARTIMPPがこのトランザクションを処理します。ターゲット・トランザクションが非永続トランザクションの場合、ARTIMPPがトランザクション・サービスを呼び出し、標準モードのARTIMPPがこのトランザクションを処理します。

注意: ACLが権限制御メカニズムとして有効化されている場合は、切替えチェーンのすべてのトランザクション・コードは、チェーン内で最初のトランザクション・コードを実行するエンド・ユーザーからアクセスできる必要があります。それ以外の場合、結果は予測不能であり、起こり得る結果の1つは端末が応答しない可能性があることです。

ARTIMPP_ORA

ARTIMPP_ORAは、ARTIMPPのすべての機能を備えています。外部リソース・マネージャ(RM)として使用されるOracle Databaseもサポートできます。これは、Oracle Databaseによって提供されるいくつかのライブラリを必要とします。Oracle DatabaseでARTIMPP_ORAを使用するには、RMセクションをUBBCONFIGファイルで適切に構成する必要があります。

ARTIBMP

ARTIBMPは、固定サービスARTIBMP_SVCを公開するOracle Tuxedoサーバーであり、BMPクライアントは、このサービスをリクエストして、COBOLで記述された指定されたBMPプログラムを呼び出すことができます。

動的COBOLプログラム起動

ARTIBMP_SVCは、ARTIBMPクライアントから渡されたメッセージから指定されたBMPプログラム名および関連付けられたPSB名を取得し、リクエストされたプログラムが有効なバッチ・プログラム(BATCHタイプを持ち、imsapps.descで構成されている)であり、指定されたPSBも有効であることを確認して、プログラムを呼出し、結果または完了通知を同期的にクライアントに返します。

ARTIBMPT

ARTIBMPTはトランザクション指向BMPサーバーです。INが割り当てられた状態でDFSRRC00が呼び出された場合、トランザクション・コードは他のパラメータとともにARTIBMPTに渡されます。ARTIBMPTは、COBOL/Cで記述された指定のBMPを呼び出すことでトランザクションを処理します。BATCHアプリケーションのみがサポートされています。ARTIBMPTは、トランザクション指向BMPアプリケーションのみを処理できます。トランザクション指向BMPアプリケーションは、パラメータ・リストの$MBRで定義され、imsapps.descでもTYPE=BATCHによって定義されているアプリケーションです。

注意: 現時点で、ARTIBMPTはクライアント端末のメッセージはサポートしていません。トランザクション指向BMPアプリケーション/トランザクションは永続トランザクションにする必要があり、そのためにはimsresources.descで定義する必要があります。

ARTIBMP_ORA

ARTIBMP_ORAは、ARTIBMPのすべての機能を備えています。外部リソース・マネージャ(RM)として使用されるOracle Databaseもサポートできます。これは、Oracle Databaseによって提供されるいくつかのライブラリを必要とします。Oracle DatabaseでARTIBMP_ORAを使用するには、RMセクションをUBBCONFIGファイルで適切に構成する必要があります。

ARTIADM

MPモードでは、ARTIADMは、選択内容に基づいてブートでき、マスターからスレーブ・ノードに構成ファイルをダウンロードします。それは、Oracle Tuxedoサーバーであり、各ノードは、最大1つのARTIADMをデプロイする必要があります。ARTIADMをブートする場合、ARTICTLより前にブートする必要があり、ART_IMS_CONFIG環境変数を各ノードに設定する必要があります。

ARTITERM

クロスドメイン・モードでは、ARTICTLおよびARTIMPPが同じドメインにない場合、ARTITERMが使用されて、ARTIMPPからARTICTLに応答が返されます。つまり、ARTITERMは、ARTIMPPからARTICTLへの仲介者として機能します。

ARTIGW

ARTIGWは、非端末クライアントとARTIMPPサーバー間のブリッジとして機能するOracle Tuxedoサーバーです。主な機能は次のとおりです。

 


Oracle Tuxedo Application Runtime for IMS Usersのデプロイメント

注意: ARTIMSは同機種マシン間のみでデプロイできます。COBOLアプリケーション・プログラムはARTIMPPサーバーとARTIBMPサーバーによって呼び出されるからです。ARTIMSサーバー間で渡されるメッセージはCOBOLプログラムによって入力されますが、ARTIMSサーバーは、メッセージのCOBOLプログラムで定義されたコピーブックを認識しません。

ARTIMSには3種類のデプロイメント環境(SHM、MPおよびDomain)があります。SHMは、すべてのARTIMSサーバーが、1つの単一マシンにデプロイされることを意味します。MPは、ARTIMSサーバーが1つのTuxedoドメインに属する複数のマシンにわたってデプロイされることを意味します。Domainは、ARTIMSサーバーが複数のTuxedoドメインにわたってデプロイされることを意味します。

SHMモードでは、ARTICTLおよびARTIMPPが必要であり、ユーザーがBATCHプログラムを実行する必要がある場合はARTIBMPも必要です。MPモードでは、(SHMモードで必要なサーバーのほかに)ARTIADMも必要です。MPモードでは、1つのマシンにARTICTLARTIMPP/ARTIBMPのどのような組合せも含めることができます。ドメインでは、MPモードで必要なサーバーのほかに、ARTITERMも、ARTICTLが配置されるすべてのドメインに必要です。ドメイン・モードのデプロイメントは特別に記述します。

注意: ドメイン・モードではMPのARTIADMは必要ありません。

ARTITERMは、ドメインのUBBCONFIGファイルで構成されているドメインIDとハードコードされた文字列"RPLYSVC"からなる名前(つまり${DOMAINID}_RPLYSVC)を持つサービスをエクスポートします。前述のサービス名は、すべてのリモート・ドメインのDMCONFIGファイルの*DM_REMOTE_SERVICESセクションで構成されている必要があります。

さらに、ARTITERMが配置されている各ドメインによって適切なサービス名がエクスポートされるようにするため、およびそのようなサービス間で競合がないようにするために、ドメインIDフィールドがすべてのドメインに対してUBBCONFIGで一意になるように構成および保持される必要があります。

たとえば、デプロイするドメインが3つあり、それらのUBBCONFIGファイルで構成されているドメインIDがそれぞれDOM1DOM2、およびDOM3であるとします。ARTITERMサーバーはDOM1DOM2に存在します。上述のデプロイメント・ルールに従うと、DOM3に対するDMCONFIGファイルではDOM1_RPLYSVCおよびDOM2_RPLYSVCを宣言し、DOM2に対するDMCONFIGファイルではDOM1_RPLYSVCを宣言し、DOM1に対するDMCONFIGファイルではDOM2_RPLYSVCを宣言する必要があります。

 


Oracle Tuxedo Application Runtime for IMS Usersの構成

一般的な制限事項

DL/I呼出しCHKPは、IMSの最後のチェック・ポイント以降に構築されたメッセージを送信し、行われた変更をコミットするために使用されます。DL/I呼出しROLBは、最後のチェック・ポイント以降に行われたすべての変更および構築されたが送信されなかったすべてのメッセージを中止します。ARTIMSでは、ARTIMPPまたはARTIBMPは、2つのチェック・ポイント間の間隔をトランザクションとして処理する必要があります。さらに、リソース・マネージャが将来追加される可能性があります。

注意: NO_XAオプションは、ARTIMPPまたはARTIBMPが常駐している各ドメインで構成できません。

環境変数

Tuxedo ART for IMSを有効化するには、サーバーを起動する前に次の環境変数を設定する必要があります。

IMSDIRをTuxedo ART for IMS製品のインストール・ルートを指すように設定し、ART_IMS_CONFIGを構成ファイルの場所を指定するように設定し、ART_IMS_FMTを制御ブロック・ファイルの場所を指定するように設定し、ART_IMS_DBをGSAMファイルの場所を指定するように設定し、COBPATHをCOBOL .gntファイルの場所を指定するように設定する必要があります。

マルチバイト・キャラクタセット(MBCS)のサポートを有効化するには、サーバーを起動する前にARTICTLの次の環境変数を設定する必要があります。

INTERCODEを、オープン・プラットフォームで使用するエンコーディング・タイプに設定し、EXTERCODEをz/OSプラットフォームで使用するEBCDICエンコーディング・タイプに設定します。

詳細は、 Oracle Tuxedo Application Runtime for IMSリファレンス・ガイドを参照してください。

構成ファイル

この項のすべての構成ファイルで、キーおよび非リテラル値について大文字小文字が区別されません。例: bool (yes|no)およびenumリテラル値とそれらの大文字小文字は保持されます。コメント行には、前に"*"を付ける必要があります。

構成ファイルは次のとおりです。

構成ファイルの一般的な形式をリスト1に示します。

リスト1 一般的な構成ファイルの形式
[section name]
Field1=value1
Field2=value2
….
[section name]
….
[section name]

詳細は、 Oracle Tuxedo Application Runtime for IMSリファレンス・ガイドを参照してください。

セキュリティ構成

Tuxedo ART for IMSは、アプリケーション・パスワード(APP_PW)、ユーザー・レベル認証(USER_AUTH)、およびACL/必須ACLの3種類のTuxedoセキュリティ・メカニズムをサポートしています。

認証構成

Oracle Tuxedoでは、セキュリティ・メカニズムのどのタイプでも、すべてのユーザーがOracle Tuxedo ATMIアプリケーションの参加のプロセスの一部としてアプリケーション・パスワードを入力することが要求されますが、Tuxedo ART for IMSでは、IMSがz/OS上に配置されている場合と同じ動作を保持するためにそれは削除されました。ユーザーはアプリケーション・パスワードをNULLとして保持する必要があります。詳細は、Oracle Tuxedoユーザーズ・ガイドのATMIアプリケーションにおけるセキュリティの使用に関する項を参照してください。

USER_AUTHおよびACL/必須ACLセキュリティ・メカニズムでは、ユーザーはTuxedo ART for IMSランタイムに参加するために有効なユーザー名とパスワードを入力することが要求されます。ユーザーごとのパスワードは、tpusrという名前のファイルに格納されたユーザー名に関連付けられているパスワードと一致する必要があります。クライアント名は、使用されません。tpusrのパスワードおよびユーザー名に対するユーザーごとのパスワードの照合は、Oracle Tuxedo認証サーバーAUTHSVRによって提供される、Oracle Tuxedo認証サービスAUTHSVCによって行われます。

詳細は、Oracle Tuxedoユーザーズ・ガイドのATMIアプリケーションにおけるセキュリティの使用に関する項を参照してください。

SIGNコマンド

Tuxedo ART for IMSは3種類のSIGNコマンドをサポートしています。

 


Oracle Tuxedo Application Runtime for IMS Usersのユーティリティ

Tuxedo ART for IMSは、次のユーティリティを使用します。

詳細は、 Oracle Tuxedo Application Runtime for IMSリファレンス・ガイドを参照してください。

MFSGEN

このユーティリティは、ART MFSの開発に使用します。ユーザーが記述した制御文をMFSバイナリ制御ブロックに変換します。

図 3は、MFSGENワークフローを示しています。詳細は、 Oracle Tuxedo Application Runtime for IMSリファレンス・ガイドを参照してください。

図 3 MFSGENユーティリティ

MFSGENユーティリティ

chgcobol.sh

chgcobol.shは、MicrofocusとCOBOL-ITの両方が存在している場合、それらの間でCOBOLランタイムを切り替えるために使用されます。また、引数を付けずに現在使用されているCOBOLランタイムも表示できます。 Oracle Tuxedo Application Runtime for IMSリファレンス・ガイド

DFSRRC00

DFSRRC00DFSRRC00からの入力を常に待機しているARTIBMPサーバーをアクティブ化するために使用されます。DFSRRC00パラメータは、ワークベンチによってJCLから変換されたスクリプトから渡された文字列です。

prepro-ims.pl

prepro-ims.plは、z/OS上のCプログラムを、Tuxedo ART for IMSによって呼び出せる適切なCプログラム形式に変換するために使用されます。詳細は、Oracle Tuxedo Application Runtime for IMSリファレンス・ガイドを参照してください。

odbastop

odbastopは、オープン・システム上のツールであり、z/OS上のODBAプロキシを停止するために使用されます。

STOPROXY

stoproxyは、z/OS上にあり、z/OS上のODBAプロキシを停止するために使用されます。

 


z/OS上のIMSからUNIX上のOracle Tuxedo Application Runtime for IMS UsersへのCOBOLアプリケーションの移行

z/OS上のIMSの制御の下に実行されているCOBOLアプリケーションを移行するには、次の手順を実行する必要があります。

  1. ART Workbenchを使用してCOBOLソース・コードを変換します。
  2. z/OS上のIMSマクロに従って、Tuxedo ART for IMSの構成ファイルをカスタマイズします。
  3. Tuxedo ART for IMSサーバーで構成されているOracle Tuxedoアプリケーションを定義および起動し、3270端末上でトランザクションを送信することで、目的のCOBOLアプリケーションを実行するか、ARTバッチ・ランタイムによってJOBを実行します。

COBOLプログラムの変換

z/OS上のIMSからのCOBOLソース・プログラムは、最初にART Workbenchによって変換する必要があります。変換後、変換されたソース・プログラムはMicroFocusまたはCOBOL-ITコンパイラで.gntファイルにコンパイルできます。COBOLソース・プログラムの変換の詳細は、ART Workbenchのドキュメントを参照してください。COBOLソース・プログラムのコンパイルの詳細は、MicroFocusまたはCOBOL-ITのドキュメントを参照してください。

たとえば、2つのCOBOLソース・プログラムが変換され、コンパイルされます。

DFSIVAP1.cbl ( DFSIVAP1.gntにコンパイル)は、MPPプログラムです。

DFSIVAP2.cbl ( DFSIVAP2.gntにコンパイル)は、BMPプログラムです。

.gntファイルは、$COBPATH (MicroFocus)または$COB_LIBRARY_PATH (COBOL-IT)の下に配置する必要があります。

構成ファイルのカスタマイズ

Tuxedo ART for IMSでz/OS上のIMSから移行されたCOBOLアプリケーションを実行するには、いくつかの重要な構成ファイルを、そのCOBOLアプリケーションに関連するIMSマクロに基づいてカスタマイズする必要があります。

MPPプログラムを実行するには、リスト1に示すプログラムに対応するトランザクション・コードが必要です。

リスト1 imstrans.descの例
[imstran]
name=TRAN1
response=no
edit=ULC
appname=DFSIVAP1
class=2P

トランザクション・コードTRAN1は、アプリケーションDFSIVAP1に対応しています。

各COBOLアプリケーションは、それがMPPとBMP (BMPT)のどちらのプログラム(TPまたはBATCH)であるかを識別するそれ自体の定義を持っている必要があります。リスト2は、2つのアプリケーションを定義するimsapps.descの例を示しています。

リスト2 imsapps.desc 2つのアプリケーションの定義
[imsapp]
name=DFSIVAP1
type=TP

[imsapp]
name=DFSIVAP2
type=BATCH

IMSでアプリケーションを実行するには、1つのPSBが必要です。Tuxedo ART for IMSでは、アプリケーションのPSBマクロは.psb構成ファイルにマップされます。MPPプログラムの場合、その.psbファイルの接頭辞はアプリケーション名、つまり、$appname.psbである必要があります。BMPおよびBMPTプログラムの場合、その.psbファイルの接頭辞はIMSアプリケーションのネーミング・ルールに従った任意の名前にすることができます。DFSIVAP1およびDFSIVAP2.psbファイルを、次に示します。1つのI/O PCBおよび.psbに定義されているPCBは、COBOLプログラムが起動されたときにそのパラメータとしてそのプログラムに渡されます。

リスト3 DFSIVAP1およびDFSIVAP2 .psbの例
DFSIVAP1.psb
[imspcb]
modify=yes
express=no

[imspcb]
modify=yes
express=no

DFSIVAP1.psbから、アプリケーションDFSIVAP1には、1つのI/O PCBと2つの代替PCBがその引数として必要であることがわかります。

リスト4 2つの代替PCBを持つDFSIVAP1
DFSIVAPX.psb
[imspcb]
type=GSAM
name=DFSIVD5I
procopt=G

[imspcb]
type=GSAM
name=DFSIVD5O
procopt=LS

[imspcb]
type=GSAM
name=TSTIVD5O
procopt=LS

DFSIVAPX.psbから、アプリケーションDFSIVAP2には、1つのI/O PCBと3つのGSAM PCBが必要であることがわかります。

詳細は、 Oracle Tuxedo Application Runtime for IMSリファレンス・ガイドを参照してください。

Oracle Tuxedoアプリケーションの定義

Tuxedo ART for IMSでIMS COBOLアプリケーションを実行するには、次のサーバーをTuxedoアプリケーションで起動する必要があります。

ARTICTL: 3270端末との接続を担当するサーバー

ARTIMPP: MPPアプリケーションの実行を担当するサーバー

ARTIBMP: BMPアプリケーションの実行を担当するサーバー

詳細は、Oracle Tuxedoドキュメントのファイル形式、データ記述方法、MIBおよびシステム・プロセスのリファレンスのUBBCONFIG(5)に関する項およびOracle Tuxedo Application Runtime for IMSリファレンス・ガイドのTuxedo ART for IMSサーバー・パラメータに関する項を参照してください。

MPP COBOLプログラムの実行

MPPプログラムDFSIVAP1を実行するには、3270端末を開き、UBBCONFIGファイルで定義されているホスト名およびポートを使用してARTICTLサーバーに接続し、画面を書式設定して、トランザクション・コードTRAN1を入力します。DFSIVAP1.gntがARTIMPPサーバーによって起動されます。

BMP COBOLプログラムの実行

BMPプログラムDFSIVAP2を実行するには、ユーザーは、ART Workbenchによってz/OS上の対応するJCLをシェル・スクリプトに変換し、それをJOBとしてART Batchランタイムによって実行できるようにする必要があります。そのJOBによって、ユーティリティDFSRRC00が起動され、ARTIBMPサーバーによって公開されている特定のサーバーが起動され、それによってリクエストされたCOBOLアプリケーションが起動されます。詳細は、ART Workbenchのドキュメントを参照してください。

 


z/OS上のIMSからUNIX上のOracle Tuxedo Application Runtime for IMS UsersへのCアプリケーションの移行

z/OS上のIMSの制御の下に実行されているCアプリケーションを移行するには、次の手順を実行する必要があります。

  1. prepro-ims.plを使用してCソース・コードを変換します。
  2. z/OS上のIMSマクロに従って、Tuxedo ART for IMSの構成ファイルをカスタマイズします。
  3. Tuxedo ART for IMSサーバーで構成されているOracle Tuxedoアプリケーションを定義および起動し、3270端末上でトランザクション・コードを送信することで、目的のCアプリケーションを実行するか、ARTバッチ・ランタイムによってJOBを実行します。
    1. Cソース・ファイルおよび依存関係ヘッダーファイルをUnix上のローカル・ディレクトリにダウンロードします。
    2. たとえば、2つのCソース・プログラムおよびims.hがダウンロードされます。

      testmpp1.cはMPPプログラムです。

      testbmp1.cはBMPプログラムです。

      ims.hは、IBM IMSでサポートされているヘッダー・ファイルです。

    3. ソース・コードを変換します。
    4. prepro-ims.pl -i source-file -o dest-file [-m yourmakefile]

      メインフレームのims.hも、prepro-ims.plで処理できます。"??="または"#pragma"で始まる行はコメントアウトされます。

    5. 構成ファイルを設定します。
    6. MPPプログラムを実行するには、リスト5に示すプログラムに対応するトランザクション・コードが必要です。

      リスト5 imstrans.descの例
      [imstran]
      name=TRAN3
      response=no
      edit=ULC
      appname=TESTMPP1
      class=2P

      ファイルimsapps.descでLANGを構成します。LANGは、次のように、実行するプログラムがCOBOLまたはCタイプであることを示します。

      リスト6 imsapps.desc 2つのアプリケーションの定義
      [imsapp]
      name=TESTMPP1
      type=TP
      LANG=C

      [imsapp]
      name=TESTBMP1
      type=BATCH
      LANG=C

      IMSでアプリケーションを実行するには、1つのPSBが必要です。Tuxedo ART for IMSでは、アプリケーションのPSBマクロは.psb構成ファイルにマップされます。MPPプログラムの場合、その.psbファイルの接頭辞はアプリケーション名、つまり、$appname.psbである必要があります。BMPプログラムの場合、その.psbファイルの接頭辞はIMSアプリケーションのネーミング・ルールに従った任意の名前にすることができます。TESTMPP1およびTESTBMP1.psbファイルは、次のとおりです。1つのI/O PCBおよび.psbに定義されているPCBは、Cプログラムが起動されたときにそのパラメータとしてそのプログラムに渡されます。

      リスト7 TESTMPP1.psbの例
      TESTMPP1.psb
      [imspcb]
      modify=yes
      express=no

      [imspcb]
      modify=yes
      express=no
      リスト8 2つの代替PCBを持つTESTBMP1.psb
      TESTBMP1.psb
      [imspcb]
      type=GSAM
      name=DFSIVD6I
      procopt=G

      [imspcb]
      type=GSAM
      name=DFSIVD6O
      procopt=LS

      [imspcb]
      type=GSAM
      name=TSTIVD6O
      procopt=LS
  4. ソース・コードをコンパイルします。
  5. makefileを変更し、gmakeを実行します。

    ZOSINC=-I/path/containing/ims/header/from/mainframeを設定することでmakefileを変更します。

    1つのプログラムに複数のソース・ファイルが必要であるため、makefileを変更します。

    例:

    testmpp.cは、libartimstestmpp.soにコンパイルされます。

    testbmp.cは、libartimstestbmp.soにコンパイルされます。

    構成ファイルのAPPNAMEは、プリプロセッサによって変換されたアプリケーション名と同じであることが必要です。

    つまり、<filename> corresponds libartims<filename>.soとなります。

  6. ライブラリ検索パスを設定します。
  7. 環境変数LD_LIBRARY_PATHは、その元のリストの最初にこれらのライブラリ・ファイルが含まれているディレクトリを追加することで再定義する必要があります。

    ただし、LD_LIBRARY_PATHはLinuxおよびSolarisのみに対応します。AIXでは、かわりにLIBPATHが使用されます。

    例: libartimstestmpp.soおよびlibartimstestbmp.soは、LD_LIBRARY_PATH (Linux/Solaris)またはLIBPATH(AIX)の下に配置されている必要があります。

MPP Cプログラムの実行

MPPプログラムtestmppを実行するには、3270端末を開き、UBBCONFIGファイルで定義されているホスト名およびポートを使用してARTICTLサーバーに接続し、画面を書式設定して、トランザクション・コードTRAN3を入力します。testmppARTIMPPサーバーによって起動されます。

BMP Cプログラムの実行

BMPプログラムtestbmpを実行するには、ユーザーは、ART Workbenchによってz/OS上の対応するJCLをシェル・スクリプトに変換し、それをJOBとしてART Batchランタイムによって実行できるようにする必要があります。そのJOBによって、ユーティリティDFSRRC00が起動され、ARTIBMPサーバーによって公開されている特定のサーバーが起動され、それによってリクエストされたCアプリケーションが起動されます。詳細は、ART Workbenchのドキュメントを参照してください。

 


IMS/DBに対するOracleソリューション

Tuxedo ART for IMSは、IMS/TMの機能の大部分をシミュレートできますが、IMS/DBの実装を備えていません。それは、IMS/DBが、特別に設計された階層型データベースであるためです。Tuxedo ART for IMSの制御の下で実行されているCOBOL/CプログラムがIMS/DBにアクセスできるようにするために、オラクル社ではTuxedo ART for IMSでのオープン・データベース・アクセス(ODBA)のサポートを提供しています。

ODBAを使用すると、Tuxedo ART for IMSで実行されているプログラムが、z/OS上に配置されているIMS/DBに透過的に接続できます。COBOL/Cプログラムが、IMS/DBにアクセスするためのDL/I呼出しを発行するたびに、基盤となっているライブラリによってそのDL/I呼出しがリクエスト・メッセージに変換され、それがIMS/DBと同じz/OSイメージ上に配置されているプロキシに送信されます。そのプロキシは、受信リクエストに従ってデータベース処理を実行し、Tuxedo ART for IMSで実行されているプログラムにその結果を送り返します。

コンポーネント

組込みのデータベース・ソリューションの原理は、それをTuxedo ART for IMSにプラグインし、ただちに有効に動作できるプラグインとして設計および開発することです。基本的に、プラグインは共有ライブラリとして設計され、実行時にTuxedo ART for IMSサーバーによって呼び出されるAPIの必須セットをエクスポートします。プラグインの実装はすべて、その定義に従う必要があります。詳細は、Oracle Tuxedo Application Runtime for IMSリファレンス・ガイドを参照してください。

プラグイン・ライブラリ

リファレンス・ガイドのプラグイン定義として、ODBAを介したIMS/DBのサポートも定義に基づいた共有ライブラリとして実装され、単にTuxedo ART for IMSインストールにバンドルされているデフォルト・バージョンに置き換えて使用できます。

IMS/DBのOracleプラグインのサポート・リストは次のとおりです。

IMS/DB用のOracleプラグインでは、GSAMデータベース、データ・エントリ・データベース、および他の完全な機能を備えたデータベースがサポートされています。つまり、MSDB (Main Storage DB) を除くすべての種類のIMS/DBデータベースです。

この実装内では、GSAM DBは、UNIXファイル・システム上の実装であり、他のものはIMSシステムによって提供されているODBAプロトコルを介してサポートされています。

 


ODBAプロキシの使用方法

z/OS上のIMS/DBへのOracle IMS/DB接続のために、オープン・システムとz/OS上のTuxedo ART for IMS制御の下で実行されているプログラム間に通信が必要です。ODBAプロトコルによって必要とされているため、IMS/DBと同じz/OSイメージ上で実行されている別のアドレス空間が、Tuxedo ART for IMS内のプログラムと通信するように開発され、これらのプログラムのかわりにデータベース処理を実行します。

この項の内容は次のとおりです。

機能

Oracle IMS/DBでは(COBOL/Cプログラムで発行される)次のDL/I呼出しがサポートされています。

IMS/DBの構成

ARTIMPP/ARTIBMPの構成

ARTIMPP/ARTIMBPに対してIMS/DB用のOracleプラグインで必要とされるパラメータを構成する必要があります。次に例を示します。

ARTIMPP SRVGRP=GROUP1

SRVID=5

CLOPT="-A -- -l 1 -x -o zoshost:port:BEA1"

詳細は、Oracle Tuxedo Application Runtime for IMSリファレンス・ガイドを参照してください。

IMS/DBの構成

各データベースは、様々なセグメントで構成されており、各セグメントは様々なフィールドで構成されています。したがって、データベースの構成は、セグメント定義とフィールド定義の2種類のファイルで構成されます。

imsdbs.descは、 $ART_IMS_CONFIGの下にあります。imsdbs.desc構成のいくつかのフィールドは、z/OS上のIMSのいくつかのDBD文からマッピングされています。

segments.descは、データベース内のセグメントを定義し、$segname.descはセグメント内のフィールドを定義します。それらは$ART_IMS_CONFIG/db/$dbnameの下に配置されています。

$segname.descは、アクセス・タイプがimsdbs.descで定義されたGSAMでもMSDBでもないデータベースに対してのみ存在します。

$appname.psbで関連するフィールドを構成することも必要です。詳細は、ARTIMSリファレンス・ガイドを参照してください。

ODBAプロキシのインストール

IMS/DBサポートは、ODBAを介して提供されます。このサポートは次の2つの部分で構成されています。

注意: ODBAプロキシ・ディレクトリは、Tuxedo ART for IMSのインストールが完了した後に$IMSDIRディレクトリの下に生成されます。

z/OS上でのOracle Tuxedo Application Runtime for IMS Users ODBAプロキシのインストール

z/OS上にTuxedo ART for IMS ODBAプロキシをインストールするには、次の手順を実行します。

  1. JCLのアップロード
    1. JCLファイル(たとえばUSER.ODBA.JCL)をアップロードするためのPDS (LRECL=80, RECFM=FB)をz/OS上に作成します。
    2. mvs/jclの下のすべてのJCLをこのPDSに別のメンバーとしてアップロードします(ftpテキスト・モード)。
  2. XMIデータセットの作成
    1. USER.ODBA.JCL(CREDS)を変更して、それをユーザーの環境に合ったものにします(特にVOL=SERパラメータ)。ユーザーは、作成するデータセット名を、たとえばUSER.ODBA.XMIなどに変更することもできます。
    2. CREDSジョブを送信し、それが正常に完了したことを確認します。結果としてUSER.ODBA.XMIが作成されます。
  3. XMIのアップロード
  4. ローカル・ファイルORACLE.ODBA.BACK.XMIを、z/OS上のデータセットUSER.ODBA.XMI にアップロードします(ftpバイナリ・モード)。

  5. XMIの受信
    1. USER.ODBA.JCL(RECEIVE)を変更し、それをユーザーの環境に合ったものにします。INDSNAMEは、このJCLの入力データセットを指定し、それはXMIデータセットと同一(つまり、手順2のUSER.ODBA.XMI)である必要があります。DSNAMEは、このJCLの出力ファイルであり、それがUSER.ODBA.BAKに変更されていると想定しています。
    2. RECEIVEジョブを送信し、それが正常に完了したことを確認します。結果としてUSER.ODBA.BAKが生成されます。
  6. 実行可能ファイルが含まれているPDSのリストア
    1. USER.ODBA.JCL(RESTORE)を変更して、それをユーザーの環境に合ったものにします。VOL=SERを、実行可能ファイルで構成されたターゲットPDSが作成されるボリュームに変更する必要があります。RENAMEUは、ソース名とターゲット名を指定します。ソース名は保持する必要があり、ユーザーはターゲット名を、たとえばUSER.ODBASERV.LOADなどに変更できます。DSNを、手順4で設定したDSNAME値に設定します(それがUSER.ODBA.BAKに設定されていると想定します)。
    2. RESTOREジョブを送信し、それが正常に完了したことを確認します。これで実行可能ファイルがUSER.ODBASERV.LOADという名前のPDSに抽出されました。

z/OS上のODBAに対するDRA構成のベスト・プラクティス

z/OS ODBAのベスト・プラクティスに関するドキュメントによると、アプリケーション・プログラムの実行中に頻繁にスレッドを作成および分解すると、タイミングに関連するエラーが発生する可能性があります。DRA起動パラメータで、MINTHREADSMAXTHREADSと同じ値に設定することをお薦めします。

Oracle Tuxedo Oracle Tuxedo Application Runtime for IMS UsersサーバーとODBAプロキシ

Tuxedo ART for IMSサーバーとともにODBAプロキシを使用するには、次の4つの手順を実行する必要があります。

  1. z/OS上のODBAプロキシの起動
    1. USER.ODBA.JCL (RUNPROXY)をユーザーの環境に合ったものに(特にSTEPLIBのDDが適切にUSER.ODBASERV.LOADおよび依存DDを指定するように)変更します。
    2. RUNPROXYジョブを送信し、プロキシを起動します。プロキシを起動する前に、IMS ODBA環境が設定されていることを確認します。
  2. Oracle Tuxedo Server上のTuxedo ART for IMSランタイムを起動します。
  3. 詳細は、Oracle Tuxedo Application Runtime for IMSリファレンス・ガイドを参照してください。

    UBBCONFIGおよびTuxedo ART for IMSリソースを定義した後、UBBCONFIGをコンパイルし、tmbootコマンドまたはOracle Enterprise Manager TSAMPlusプラグインで提供されるコントロールを使用してそのOracle Tuxedoドメインを起動することで、Tuxedo ART for IMSを実行します。

  4. Tuxedo ART for IMSランタイムを停止する手順は次のとおりです。
  5. Tuxedo ART for IMSは、z/OS上のODBAプロキシを停止する前に停止する必要があります。tmshutdownコマンド、またはOracle Enterprise Manager TSAMPlusプラグインで提供されているコントロールを使用します。

  6. ODBAプロキシを停止する手順は次のとおりです。
    1. メインフレームから、USER.ODBA.JCL(STOPROXY) JCLを変更し、それを送信してODBAプロキシを停止します。
    2. オープン・システムから、odbastopコマンドを実行します。それによってメッセージがODBAプロキシに送信され、停止がトリガーされます。

 


IMS/DBに対するOracleソリューションの使用方法

IMS/DBを使用するには、次の4つの手順を実行する必要があります。

  1. ODBAプロキシの起動
  2. Oracleプラグインを適用する前に、最初にODBAプロキシを起動し、Tuxedo ART for IMSサーバーからの接続リクエストをリスニングする必要があります。ODBAプロキシは、JCLによってバッチ・モードで起動する必要があります。ODBAプロキシの起動方法は、ODBAプロキシ・インストレーション・ガイドを参照してください。

  3. IMS/DBの構成の変更
  4. 関連する構成ファイル$appname.psbimsdbs.desc (必要に応じてsegments.desc/$segname.desc)などを変更します。

  5. 構成の変更およびARTIMPP/ARTIBMPの起動
  6. ARTIMPP/ARTIBMP構成のODBAパラメータのプット。UBBCONFIGをリロードし、ARTIMPP/ARTIBMPを起動します。

  7. プログラムの呼出し
  8. Tuxedo ART for IMSサーバーが適切に起動した後、ユーザーはトランザクション処理プログラムまたはバッチ・プログラムを実行できます。

 


関連項目


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