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Oracle Solaris Cluster システム管理     Oracle Solaris Cluster 3.3 3/13 (日本語)
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ドキュメントの情報

はじめに

1.  Oracle Solaris Cluster の管理の概要

2.  Oracle Solaris Cluster と RBAC

3.  クラスタの停止とブート

4.  データ複製のアプローチ

5.  グローバルデバイス、ディスクパス監視、およびクラスタファイルシステムの管理

6.  定足数の管理

定足数デバイスの管理

定足数デバイスへの動的再構成

定足数デバイスの追加

共有ディスク定足数デバイスを追加する方法

Sun NAS または Sun ZFS Storage Appliance NAS の定足数デバイスを追加する方法

定足数サーバー定足数をデバイスとして追加する方法

定足数デバイスの削除または交換

定足数デバイスを削除する方法

クラスタから最後の定足数デバイスを削除する方法

定足数デバイスを交換する方法

定足数デバイスの保守

定足数デバイスのノードリストを変更する方法

定足数デバイスを保守状態にする方法

定足数デバイスを保守状態から戻す

クラスタ構成を一覧表示する方法

定足数デバイスを修復する方法

定足数のデフォルトのタイムアウトの変更

Oracle Solaris Cluster 定足数サーバーの管理

Quorum Server Software の起動および停止

定足数サーバーを起動する方法

定足数サーバーを停止する方法

定足数サーバーに関する情報の表示

定足数サーバーに関する方法情報を表示する方法

期限切れの定足数サーバークラスタ情報のクリーンアップ

定足数サーバーの構成情報をクリーンアップする方法

7.  クラスタインターコネクトとパブリックネットワークの管理

8.  ノードの追加と削除

9.  クラスタの管理

10.  CPU 使用率の制御の構成

11.  Oracle Solaris Cluster ソフトウェアおよびファームウェアのパッチ適用

12.  クラスタのバックアップと復元

13.  グラフィカルユーザーインタフェースによる Oracle Solaris Cluster の管理

A.  例

索引

定足数デバイスの管理

定足数デバイスとは、複数のノードによって共有される共有ストレージデバイスまたは定足数サーバーで、定足数を確立するために使用される票を構成します。このセクションでは、定足数デバイスを管理するための手順について説明します。

clquorum(1CL) コマンドを使用すると、定足数デバイスの管理手順をすべて実行できます。また、clsetup(1CL) 対話型ユーティリティーまたは Oracle Solaris Cluster Manager GUI を使用して、いくつかの手順を行えます。このセクションの管理手順は、可能なかぎり clsetup ユーティリティーを使用して説明してあります。Oracle Solaris Cluster Manager オンラインヘルプでは、GUI を使用して定足数の手順を実行する方法を説明しています。定足数デバイスを使用して作業する際は、次のガイドラインに注意してください。


注 - clsetup コマンドは、ほかの Oracle Solaris Cluster コマンドに対する対話型インタフェースです。clsetup の実行時、このコマンドは適切な固有のコマンドを生成します。今回の場合は、clquorum コマンドです。これらのコマンドは、各説明の後にある例の中で示しています。


定足数構成を表示するには、clquorum show を使用します。clquorum list コマンドは、クラスタ内の定足数デバイスの名前を表示します。clquorum status コマンドは、ステータスと投票数の情報を提供します。

このセクションで示す例は、主に 3 ノードクラスタです。

表 6-1 タスクリスト : 定足数の管理

タスク
説明
clsetup ユーティリティーを使用して、クラスタに定足数デバイスを追加する
clsetup を使用して (clquorum を生成)、クラスタから定足数デバイスを削除する
clsetup を使用して (clquorum を生成)、クラスタから最後の定足数デバイスを削除する
追加と削除の手順を使用することで、クラスタ内の定足数デバイスを交換する
追加と削除の手順を使用することで、定足数デバイスのリストを変更する
clsetup を使用して (clquorum を生成)、定足数デバイスを保守状態にする

(保守状態にある場合、定足数デバイスは定足数確立の投票に参加しません。)

clsetup ユーティリティーを使用して (clquorum を生成)、定足数構成をデフォルト状態にリセットする
clquorum コマンドを使用して、定足数デバイスと投票数を一覧表示する

定足数デバイスへの動的再構成

クラスタ内の定足数デバイス上で動的再構成 (DR) を実行するときには、いくつかの問題を考慮する必要があります。

定足数デバイスを削除するには、次の手順をその順番どおりに行います。

表 6-2 タスクマップ: 定足数デバイスへの動的再構成

タスク
説明
1. 削除する定足数デバイスと交換する、新しい定足数デバイスを有効に設定
2. 削除する定足数デバイスを無効に設定
3. 削除する定足数デバイス上で DR 削除操作を実行

定足数デバイスの追加

このセクションでは、定足数デバイスを追加する手順について説明します。 クラスタのすべてのノードがオンラインか確認してから、新しい定足数デバイスを追加します。クラスタに必要な定足数投票数の決定、推奨される定足数構成、および障害フェンシングについては、『Oracle Solaris Cluster Concepts Guide』の「Quorum and Quorum Devices」を参照してください。


注意

注意 - 現在定足数デバイスとして構成されているディスクは、Solaris ZFS ストレージプールには追加しないでください。構成済みの定足数デバイスを Solaris ZFS ストレージプールに追加すると、ディスクは EFI ディスクとしてラベルが変更され、また定足数構成情報が失われ、ディスクはクラスタへの定足数投票を提供しなくなります。ディスクがストレージプール内に入ると、そのディスクは定足数デバイスとして構成できます。ディスクの定足数デバイス構成を解除し、ディスクをストレージプールに追加したあとに、そのディスクを定足数デバイスとして再構成することもできます。


Oracle Solaris Cluster ソフトウェアは、次の種類の定足数デバイスをサポートしています。

これらのデバイスを追加する方法については、次のセクションで説明しています。

「共有ディスク定足数デバイスを追加する方法」


注 - 複製されたディスクを定足数デバイスとして構成することはできません。複製されたディスクを定足数デバイスとして追加しようとすると、次のエラーメッセージが表示され、コマンドはエラーコードとともに終了します。

Disk-name is a replicated device. Replicated devices cannot be configured as
 quorum devices.

共有ディスク定足数デバイスは、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアがサポートする任意の接続済みストレージデバイスです。 共有ディスクは、クラスタの複数のノードに接続されます。フェンシングをオンに構成すると、デュアルポートのディスクを定足数デバイスとして構成して、SCSI-2 または SCSI-3 (デフォルトは SCSI-2) を使用できます。フェンシングがオンに構成され、共有デバイスが 3 つ以上のノードに接続されている場合は、SCSI-3 プロトコル (2 ノードを超える場合のデフォルトのプロトコル) を使用する定足数デバイスとして共有ディスクを構成できます。SCSI オーバーライドフラグを使用すると、デュアルポートの共有ディスクで SCSI-3 プロトコルを使用するように Oracle Solaris Cluster ソフトウェアに対して指示できます。

共有ディスクのフェンシングをオフに構成した場合は、ソフトウェア定足数プロトコルを使用する定足数デバイスとしてディスクを構成できます。これは、そのディスクが SCSI-2 と SCSI-3 のどちらのプロトコルをサポートしている場合でも有効です。ソフトウェアの定足数は、SCSI Persistent Group Reservations (PGR) のフォームをエミュレートする、Oracle のプロトコルです。


注意

注意 - 使用するディスクが SCSI (SATA など) をサポートしていない場合は、SCSI フェンシングをオフにするようにしてください。


定足数デバイスには、ユーザーデータを格納しているディスクまたはデバイスグループのメンバーになっているディスクを使用できます。共有ディスクがある定足数サブシステムで使用されているプロトコルは、cluster show コマンドの出力の、共有ディスクの access-mode 値で確認します。

これらの手順は、Oracle Solaris Cluster Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、Oracle Solaris Cluster Manager のオンラインヘルプを参照してください。

次の手順で使用されるコマンドについては、clsetup(1CL) および clquorum(1CL) のマニュアルページを参照してください。

共有ディスク定足数デバイスを追加する方法

Oracle Solaris Cluster ソフトウェアでは、共有ディスク (SCSI と SATA の両方) デバイスを定足数デバイスとして使用できます。 SATA デバイスは SCSI 予約をサポートしていないため、その種類のディスクを定足数デバイスとして構成するには、SCSI 予約フェンシングフラグをオフに構成し、ソフトウェア定足数プロトコルを使用します。

この手順を実行するには、ノードが共有するデバイス ID (Device Identifier、DID) によりディスクドライブを確認します。cldevice show コマンドを使用して、DID 名の一覧を参照します。詳細は、cldevice(1CL) のマニュアルページを参照してください。クラスタのすべてのノードがオンラインか確認してから、新しい定足数デバイスを追加します。

次の手順を実行して、SCSI または SATA デバイスを構成します。

phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. クラスタの任意のノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
  2. clsetup ユーティリティーを起動します。
    # clsetup

    clsetup のメインメニューが表示されます。

  3. 定足数のオプションに対応する番号を入力します。

    「定足数メニュー」が表示されます。

  4. 定足数デバイスを追加するためのオプションに対応する番号を入力し、clsetup ユーティリティーから追加する定足数デバイスの確認を求められたら、yes と入力します。

    追加する定足数デバイスの種類を確認するメッセージが表示されます。

  5. 共有ディスク定足数デバイスのオプションに対応する番号を入力します。

    どのグローバルデバイスを使用するかを確認するメッセージが表示されます。

  6. 使用しているグローバルデバイスを入力します。

    指定したグローバルデバイスに新しい定足数デバイスを追加するか確認を求めるメッセージが表示されます。

  7. yes」と入力し、新しい定足数デバイスの追加を続行します。

    新しい定足数デバイスが正常に追加されると、clsetup ユーティリティーではその旨のメッセージが表示されます。

  8. 定足数デバイスが追加されていることを確認します。
    # clquorum list -v

例 6-1 共有ディスク定足数デバイスの追加

次の例は、共有ディスク定足数デバイスを追加する際に clsetup によって生成される clquorum コマンドと、検証ステップを示しています。

Become superuser or assume a role that provides solaris.cluster.modify RBAC authorization on any
    cluster node.

[Start the clsetup utility:]
# clsetup
[Select Quorum>Add a quorum device]
[Answer the questions when prompted.]
[You will need the following information.]
  [Information:                       Example:]
  [Directly attached shared disk      shared_disk]
  [Global device                          d20]

[Verify that the clquorum command was completed successfully:]
 clquorum add d20
 
    Command completed successfully.
[Quit the clsetup Quorum Menu and Main Menu.]
[Verify that the quorum device is added:]
# clquorum list -v
 
Quorum         Type
-------         ----
d20              shared_disk
scphyshost-1    node
scphyshost-2    node

Sun NAS または Sun ZFS Storage Appliance NAS の定足数デバイスを追加する方法

クラスタのすべてのノードがオンラインか確認してから、新しい定足数デバイスを追加します。

phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. Sun NAS の GUI を使用して、Sun NAS ファイラで iSCSI デバイスを設定します。iSCSI デバイスのセットアップ手順については、Sun ZFS Storage Appliance に付属のインストールドキュメントまたはアプライアンスのオンラインヘルプを参照してください。

    Sun NAS デバイスがある場合は、次のコマンドを使用します。

    1. サイズが約 50M バイトのファイルボリュームを作成します。
    2. 各ノードの iSCSI アクセスリストを作成します。
      1. クラスタの名前を、iSCSI アクセスリスト名として使用します。
      2. アクセスリストに各クラスタノードのイニシエータノード名を追加します。CHAP および IQN は不要です。
    3. iSCSI LUN を構成します

      バッキングファイルボリュームの名前を LUN の名前として使用できます。各ノードのアクセスリストを LUN に追加します。

  2. 各クラスタノードで、iSCSI LUN を検出して、iSCSI アクセスリストを静的構成に設定します。
    # iscsiadm modify discovery -s enable
    
        # iscsiadm list discovery
        Discovery:
                Static: enabled
                Send Targets: disabled
                iSNS: disabled
    
        #  iscsiadm add static-config iqn.LUNName,IPAddress_of_NASDevice
    # devfsadm -i iscsi
    # cldevice refresh
  3. 1 つのクラスタノードから DID を iSCSI LUN 用に構成します。
    # /usr/cluster/bin/cldevice populate
  4. iSCSI を使用するクラスタに構成した NAS デバイス LUN を表す DID デバイスを特定します。 cldevice show コマンドを使用して、DID 名の一覧を参照します。詳細は、cldevice(1CL) のマニュアルページを参照してください。
  5. クラスタの任意のノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
  6. clquorum コマンドを使用して、手順 4 で 特定した DID デバイスを使用する定足数デバイスとして NAS デバイスを追加します。
    # clquorum add d20

    クラスタには、scsi-2、scsi-3、またはソフトウェア定足数プロトコルのどれを使用するかを判断するためのデフォルトのルールがあります。 詳細については、clquorum(1CL) を参照してください。

例 6-2 Sun NAS または Sun ZFS Storage Appliance NAS の定足数デバイスの追加

次の例は、Sun NAS 定足数デバイスを追加する際に clsetup によって生成される clquorum コマンドと、検証段階を示しています。iSCSI デバイスのセットアップ手順については、Sun ZFS Storage Appliance に付属のインストールドキュメントまたはアプライアンスのオンラインヘルプを参照してください。

Add an iSCSI device on the Sun NAS filer.
Use the Sun NAS GUI to create a file volume that is approximately 50mb in size.
File Volume Operations -> Create File Volume
For each node, create an iSCSI access list.
iSCSI Configuration -> Configure Access List
Add the initiator node name of each cluster node to the access list.
*** Need GUI or command syntax for this step. ***
Configure the iSCSI LUN
iSCSI Configuration -> Configure iSCSI LUN
On each of the cluster nodes, discover the iSCSI LUN and set the iSCSI access list to static configuration.
iscsiadm modify discovery -s enable
iscsiadm list discovery
Discovery:
   Static: enabled
   Send Targets: enabled
   iSNS: disabled
iscsiadm add static-config
iqn.1986-03.com.sun0-1:000e0c66efe8.4604DE16.thinquorum,10.11.160.20
devsadm -i iscsi
From one cluster node, configure the DID devices for the iSCSI LUN.
/usr/cluster/bin/scldevice populate
/usr/cluster/bin/scldevice populate
Become superuser or assume a role that provides solaris.cluster.modify RBAC authorization on any    
cluster node.

[Add the NAS device as a quorum device
 using the DID device:]
 clquorum add d20
 
    Command completed successfully.

定足数サーバー定足数をデバイスとして追加する方法

始める前に

Oracle Solaris Cluster 定足数サーバーを定足数デバイスとして追加するには、Oracle Solaris Cluster 定足数サーバーソフトウェアがホストマシンにインストールされていて、定足数サーバーが起動および実行されている必要があります。定足数サーバーのインストールについては、『Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストール』の「Quorum Server ソフトウェアをインストールおよび構成する方法」を参照してください。

phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. クラスタの任意のノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
  2. すべての Oracle Solaris Cluster ノードがオンライン状態であり、Oracle Solaris Cluster Quorum Server と通信が行えることを確認します。
    1. クラスタノードに直接接続されているネットワークスイッチが次の基準のいずれかを満たすことを確認します。
      • スイッチは RSTP (Rapid Spanning Tree Protocol) をサポートしています。

      • スイッチ上で高速ポートモードが有効になっています。

      クラスタノードと定足数サーバー間ですぐに通信できるようにするには、これらの機能の 1 つが必要です。この通信がスイッチによって大幅に遅延すると、クラスタはこの通信の中断を定足数デバイスが失われたものと解釈します。

    2. パブリックネットワークで可変長サブネット化 (CIDR (Classless Inter-Domain Routing) とも呼ばれる) を使用している場合は、各ノードで次のファイルを変更します。

      クラスフルサブネットを使用する場合は、これらの手順を実行する必要はありません。

      1. /etc/inet/netmasks ファイルにクラスタが使用する各パブリックサブネットのエントリを追加します。

        パブリックネットワークの IP アドレスとネットマスクを含むエントリの例を次に示します。

        10.11.30.0    255.255.255.0
      2. それぞれの /etc/hostname.adapter ファイルに netmask + broadcast + を追加します。
        nodename netmask + broadcast +
    3. クラスタ内の各ノード上で、定足数サーバーのホスト名を /etc/inet/hosts ファイルまたは /etc/inet/ipnodes ファイルに追加します。

      次のように、ホスト名とアドレスのマッピングをファイルに追加します。

      ipaddress qshost1
      ipaddress
      定足数サーバーが実行中であるコンピュータの IP アドレス。
      qshost1

      定足数サーバーが実行中であるコンピュータのホスト名。

    4. ネームサービスを使用する場合、定足数サーバーホストの名前とアドレスの対応付けをネームサービスデータベースに追加します。
  3. clsetup ユーティリティーを起動します。
    # clsetup

    clsetup のメインメニューが表示されます。

  4. 定足数のオプションに対応する番号を入力します。

    「定足数メニュー」が表示されます。

  5. 定足数デバイスを追加するためのオプションに対応する番号を入力します。定足数デバイスを追加することを確認するには、「yes」と入力します。

    追加する定足数デバイスの種類を確認するメッセージが表示されます。

  6. 定足数サーバー定足数デバイスのオプションに対応する番号を入力します。quorum_server 定足数デバイスを追加することを確認するには、「yes」と入力します。

    clsetup ユーティリティーにより、新しい定足数デバイスの名前の入力を求められます。

  7. 追加する定足数デバイスの名前を入力します。

    定足数デバイスの名前は任意に選択できます。この名前は、今後の管理コマンドの処理だけに使用されるものです。

    定足数サーバーのホスト名を入力するように、clsetup ユーティリティーのプロンプトが表示されます。

  8. 定足数サーバーのホストの名前を入力します。

    この名前で、定足数サーバーが動作するマシンの IP アドレス、またはネットワーク上のマシンのホスト名を指定します。

    ホストの IPv4 または IPv6 構成に応じて、マシンの IP アドレスを /etc/hosts ファイル、/etc/inet/ipnodes ファイル、またはその両方で指定します。


    注 - 指定したマシンはすべてのクラスタノードから到達可能で、定足数サーバーをマシン上で実行してある必要があります。


    clsetup ユーティリティーは、定足数サーバーのポート番号を入力するようメッセージを表示します。

  9. クラスタノードとやり取りする際に定足数サーバーが使用するポート番号を入力します。

    新しい定足数デバイスを追加するか確認を求めるメッセージが表示されます。

  10. yes」と入力し、新しい定足数デバイスの追加を続行します。

    新しい定足数デバイスが正常に追加されると、clsetup ユーティリティーではその旨のメッセージが表示されます。

  11. 定足数デバイスが追加されていることを確認します。
    # clquorum list -v

例 6-3 定足数サーバー定足数デバイスの追加

次の例は、定足数サーバー定足数デバイスを追加する際に clsetup によって生成される clquorum コマンドを示しています。またこの例では検証ステップも示します。

Become superuser or assume a role that provides solaris.cluster.modify RBAC authorization on any
    cluster node.

[Start the clsetup utility:]
# clsetup
[Select Quorum > Add a quorum device]
[Answer the questions when prompted.]
[You will need the following information.]
  [Information:                Example:]
  [Quorum Device               quorum_server quorum device]
  [Name:                           qd1]
  [Host Machine Name:          10.11.124.84]
  [Port Number:                9001]

[Verify that the clquorum command was completed successfully:]
 clquorum add -t quorum_server -p qshost=10.11.124.84,-p port=9001 qd1
 
    Command completed successfully.
[Quit the clsetup Quorum Menu and Main Menu.]
[Verify that the quorum device is added:]
# clquorum list -v
 
Quorum         Type
-------         ----
qd1             quorum_server
scphyshost-1    node
scphyshost-2    node

# clquorum status 

=== Cluster Quorum ===
-- Quorum Votes Summary --
 
        Needed     Present    Possible
        ------     -------    -------- 
        3          5           5
   
-- Quorum Votes by Node --
 
  Node Name        Present    Possible   Status
  ---------        -------    --------  ------
  phys-schost-1    1          1          Online
  phys-schost-2    1          1          Online
 
-- Quorum Votes by Device --
 
  Device Name       Present   Possible   Status
  -----------       -------   --------   ------
  qd1               1         1          Online
  d3s2              1         1          Online
  d4s2              1         1          Online

定足数デバイスの削除または交換

このセクションでは、定足数デバイスを削除または交換するための次の手順を説明します。

定足数デバイスを削除する方法

この手順は、Oracle Solaris Cluster Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、Oracle Solaris Cluster Manager のオンラインヘルプを参照してください。

定足数デバイスが削除されると、その定足数デバイスは定足数を確立するための投票に参加しなくなります。2 ノードクラスタでは、定足数デバイスが少なくとも 1 つは構成されている必要があります。それがクラスタの最後の定足数デバイスの場合、clquorum(1CL) で、構成からそのデバイスを削除することはできません。ノードを削除する場合は、そのノードに接続されている定足数デバイスをすべて削除してください。


注 - 削除するデバイスがクラスタの最後の定足数デバイスの場合は、「クラスタから最後の定足数デバイスを削除する方法」の手順を参照してください。


phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. クラスタの任意のノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
  2. 削除する定足数デバイスを判別します。
    # clquorum list -v
  3. clsetup(1CL) ユーティリティーを実行します。
    # clsetup

    メインメニューが表示されます。

  4. 定足数のオプションに対応する番号を入力します。
  5. 定足数デバイスを削除するためのオプションに対応する番号を入力します。

    削除プロセス中に表示される質問に答えます。

  6. clsetup を終了します。
  7. 定足数デバイスが削除されたことを確認します。
    # clquorum list -v

例 6-4 定足数デバイスの削除

次に、2 つ以上の定足数デバイスが構成されているクラスタから定足数デバイスを削除する例を示します。

Become superuser or assume a role that provides solaris.cluster.modify RBAC authorization on any
    cluster node.

[Determine the quorum device to be removed:]
# clquorum list -v
[Start the clsetup utility:]
# clsetup
[Select Quorum>Remove a quorum device]
[Answer the questions when prompted.] 
Quit the clsetup Quorum Menu and Main Menu.]
[Verify that the quorum device is removed:]
# clquorum list -v
 
 Quorum         Type
-------         ----
scphyshost-1    node
scphyshost-2    node
scphyshost-3    node

注意事項

定足数サーバー定足数デバイスの削除中に、クラスタと定足数サーバーホストの間の通信が失われた場合、定足数サーバーホストに関する無効な構成情報をクリーンアップする必要があります。このクリーンアップの実行に関する説明は、「期限切れの定足数サーバークラスタ情報のクリーンアップ」を参照してください。

クラスタから最後の定足数デバイスを削除する方法

この手順では、clquorum force オプション、-F を使用して、2 ノードクラスタから最後の定足数デバイスを削除します。 通常、不具合が起きたデバイスをまず削除し、代わりの定足数デバイスを追加します。これが 2 ノードクラスタの最後の定足数デバイスでない場合は、「定足数デバイスを削除する方法」の手順に従ってください。

定足数デバイスを追加する処理では、ノードが再構成されるため、障害のあった定足数デバイスに影響が及び、マシンでパニックが発生します。F (強制) オプションを使用すると、マシンでパニックを発生させることなく、障害があった定足数デバイスを削除できます。clquorum コマンドでは、構成からデバイスを削除できます。 不具合が発生した定足数デバイスを削除したあと、clquorum add コマンドで新しいデバイスを追加することができます。「定足数デバイスの追加」clquorum(1CL) のマニュアルページを参照してください。

phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. クラスタの任意のノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
  2. clquorum コマンドを使用して定足数デバイスを削除します。定足数デバイスに障害が発生した場合は、-F (強制) オプションを使用して、障害が発生したデバイスを削除します。
    # clquorum remove -F qd1

    注 - また、削除するノードを保持状態とし、定足数デバイスを clquorum removequorum コマンドを使用して削除することができます。clsetup(1CL) クラスタ管理メニューオプションは、クラスタがインストールモードのときは使用できません。詳細については、「ノードを保守状態にする」を参照してください。


  3. 定足数デバイスが削除されたことを確認します。
    # clquorum list -v

例 6-5 最後の定足数デバイスの削除

この例では、クラスタを保持モードにし、クラスタ構成で最後の定足数デバイスを削除する方法を示しています。

[Become superuser or assume a role that provides solaris.cluster.modify RBAC authorization on any
    cluster node.]
[Place the cluster in install mode:]
# cluster set -p installmode=enabled
[Remove the quorum device:]
# clquorum remove d3
[Verify that the quorum device has been removed:]
# clquorum list -v
 Quorum         Type
-------         ----
scphyshost-1    node
scphyshost-2    node
scphyshost-3    node

定足数デバイスを交換する方法

この作業は、既存の定足数デバイスをほかの定足数デバイスに交換する場合に行います。定足数デバイスは、類似したデバイスタイプに交換することも (例: NAS デバイスをほかの NAS デバイスに置き換える)、あるいは類似点がないデバイスに交換することも (例: NAS デバイスを共有ディスクに置き換える) こともできます。

phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. 新しい定足数デバイスを構成します。

    最初に、古いデバイスの代わりに、新しい定足数デバイスを構成に追加する必要があります。クラスタに新しい定足数デバイスを追加する方法は、「定足数デバイスの追加」を参照してください。

  2. 定足数デバイスとして交換するデバイスを削除します。

    構成から古い定足数デバイスを削除する方法は、「定足数デバイスを削除する方法」を参照してください。

  3. 定足数デバイスが障害が発生したディスクである場合は、ディスクを取り替えます。

    『Oracle Solaris Cluster 3.3 3/13 Hardware Administration Manual 』で、ディスクエンクロージャーのハードウェア手順を参照してください。

定足数デバイスの保守

このセクションでは、定足数デバイスを保守するための次の手順を説明します。

定足数デバイスのノードリストを変更する方法

clsetup(1CL) ユーティリティーを使用すると、既存の定足数デバイスのノードリストにノードを追加したり、ノードリストからノードを削除したりできます。定足数デバイスのノードリストを変更するには、定足数デバイスを削除し、削除した定足数デバイスへのノードの物理的な接続を変更して、定足数デバイスをクラスタ構成に追加し直す必要があります。定足数デバイスが追加されると、clquorum(1CL) によって、そのディスクに接続されているすべてのノードに対して、ノードからディスクへのパスが自動的に構成されます。

phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. クラスタの任意のノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
  2. 変更したい定足数デバイスの名前を判別します。
    # clquorum list -v
  3. clsetup ユーティリティーを起動します。
    # clsetup

    メインメニューが表示されます。

  4. 定足数のオプションに対応する番号を入力します。

    「定足数メニュー」が表示されます。

  5. 定足数デバイスを削除するためのオプションに対応する番号を入力します。

    指示に従います。削除するディスクの名前を問い合わせられます。

  6. 定足数デバイスへのノード接続を 追加または削除します。
  7. 定足数デバイスを追加するためのオプションに対応する番号を入力します。

    指示に従います。定足数デバイスとして使用するディスクの名前を問い合わせられます。

  8. 定足数デバイスが追加されていることを確認します。
    # clquorum list -v

例 6-6 定足数デバイスノードリストの変更

次の例に、clsetup ユーティリティーを使用して、定足数デバイスのノードリストにノードを追加したり、ノードリストからノードを削除する方法を示します。この例では、定足数デバイスの名前は d2 であり、この手順の最終目的は別のノードを定足数デバイスのノードリストに追加することです。

[Become superuser or assume a role that provides solaris.cluster.modify RBAC authorization on 
any node in the cluster.]

[Determine the quorum device name:]
# clquorum list -v
Quorum            Type
-------            -----
d2                 shared_disk
sc-phys-schost-1   node
sc-phys-schost-2   node
sc-phys-schost-3   node

[Start the clsetup utility:]
# clsetup

[Type the number that corresponds with the quorum option.]
.
[Type the number that corresponds with the option to remove a quorum device.]
.
[Answer the questions when prompted.]
[You will need the following information:]

   Information:            Example:
   Quorum Device Name:     d2

[Verify that the clquorum command completed successfully:]
 clquorum remove d2
     Command completed successfully.

[Verify that the quorum device was removed.]
# clquorum list -v
Quorum            Type
-------            -----
sc-phys-schost-1   node
sc-phys-schost-2   node
sc-phys-schost-3   node

[Type the number that corresponds with the Quorum option.]
.
[Type the number that corresponds with the option to add a quorum device.]
.
[Answer the questions when prompted.]
[You will need the following information:]

   Information            Example:
   quorum device name     d2

[Verify that the clquorum command was completed successfully:] 
clquorum add d2
     Command completed successfully.

Quit the clsetup utility.

[Verify that the correct nodes have paths to the quorum device. 
In this example, note that phys-schost-3 has been added to the 
enabled hosts list.]
# clquorum show d2 | grep Hosts
=== Quorum Devices ===

Quorum Device Name:        d2
   Hosts (enabled):        phys-schost-1, phys-schost-2, phys-schost-3

[Verify that the modified quorum device is online.]

# clquorum status d2
=== Cluster Quorum ===

--- Quorum Votes by Device ---

Device Name       Present      Possible      Status
-----------       -------      --------      ------
d2                1            1             Online

定足数デバイスを保守状態にする方法

clquorum(1CL) コマンドを使用して定足数デバイスを保守状態にします。現在、clsetup(1CL) ユーティリティーにこの機能はありません。この手順は、Oracle Solaris Cluster Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、Oracle Solaris Cluster Manager のオンラインヘルプを参照してください。

サービスから定足数デバイスを長時間はずす場合は、その定足数デバイスを保守状態にします。定足数デバイスの定足数投票数 (quorum vote count) はゼロに設定されるため、そのデバイスが稼働中でも定足数確立の投票には参加しません。保守状態でも定足数デバイスの構成情報は保持されます。


注 - 2 ノードクラスタでは、定足数デバイスが少なくとも 1 つは構成されている必要があります。構成されているデバイスが 2 ノードクラスタの最後の定足数デバイスの場合は、clquorum は失敗してデバイスは保守状態になりません。


クラスタノードを保守状態にする方法については、「ノードを保守状態にする」を参照してください。

phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. クラスタの任意のノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
  2. 定足数デバイスを保守状態にします。
    # clquorum disable device
    device

    変更するディスクデバイスの DID 名 (d4 など) を指定します。

  3. 定足数デバイスが保守状態にあることを確認します。

    保守状態にしたデバイスの出力は、定足数デバイスの投票数 (以下の例の Quorum device votes) がゼロになっていなければなりません。

    # clquorum status device

例 6-7 定足数デバイスを保守状態にする

次に、定足数デバイスを保守状態にし、結果を検証する例を示します。

# clquorum disable d20
# clquorum status d20
  
=== Cluster Quorum ===

--- Quorum Votes by Device ---

Device Name       Present      Possible      Status
-----------       -------      --------      ------
d20                1            1             Offline

参照

定足数デバイスを有効にし直す方法については、「定足数デバイスを保守状態から戻す」を参照してください。

ノードを保守状態にする方法については、「ノードを保守状態にする」を参照してください。

定足数デバイスを保守状態から戻す

この作業は、定足数デバイスが保守状態にある場合にその状態から定足数デバイスを戻して定足数投票数をデフォルトにリセットするときに実行します。


注意

注意 - globaldev または node オプションのどちらも指定しない場合、定足数投票数はクラスタ全体でリセットされます。


定足数デバイスを構成する場合、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアは定足数デバイスに投票数として N-1 を割り当てます (N は定足数デバイスに結合された投票の数)。たとえば、2 つのノードに接続された、投票数がゼロ以外の定足数デバイスの投票数は 1 (2マイナス1) になります。

phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. クラスタの任意のノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
  2. 定足数投票数をリセットします。
    # clquorum enable device
    device

    リセットする定足数デバイスの DID 名 (d4 など) を指定します。

  3. ノードが保守状態にあったために定足数投票数をリセットする場合は、このノードをリブートします。
  4. 定足数投票数を確認します。
    # clquorum show +

例 6-8 定足数投票数 (定足数デバイス) のリセット

次に、定足数デバイスの投票数をリセットしてデフォルト設定に戻し、結果を検証する例を示します。

# clquorum enable d20
# clquorum show +
  
=== Cluster Nodes ===                          

Node Name:                                      phys-schost-2
  Node ID:                                        1
  Quorum Vote Count:                              1
  Reservation Key:                                0x43BAC41300000001

Node Name:                                      phys-schost-3
  Node ID:                                        2
  Quorum Vote Count:                              1
  Reservation Key:                                0x43BAC41300000002


=== Quorum Devices ===                         

Quorum Device Name:                             d3
  Enabled:                                        yes
  Votes:                                          1
  Global Name:                                    /dev/did/rdsk/d20s2
  Type:                                           shared_disk
  Access Mode:                                    scsi3
  Hosts (enabled):                                phys-schost-2, phys-schost-3

クラスタ構成を一覧表示する方法

この手順は、Oracle Solaris Cluster Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、Oracle Solaris Cluster Manager のオンラインヘルプを参照してください。

定足数構成を一覧表示するには、スーパーユーザーになる必要はありません。RBAC の承認 solaris.cluster.read を提供する任意の役割になることができます。


注 - 定足数デバイスに対するノード接続の数を増減させる場合、定足数が自動的に再計算されることはありません。すべての定足数デバイスをいったん削除し、その後それらを構成に追加し直すと、正しい定足数が再構成されます。2 ノードクラスタの場合、定足数デバイスを取り外して、もとの定足数デバイスに戻す前に一時的に新しい定足数デバイスを追加します。次に一時的に追加した定足数デバイスを取り外します。


phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

例 6-9 定足数構成の一覧表示

% clquorum show +

=== Cluster Nodes ===                          

Node Name:                                      phys-schost-2
  Node ID:                                        1
  Quorum Vote Count:                              1
  Reservation Key:                                0x43BAC41300000001

Node Name:                                      phys-schost-3
  Node ID:                                        2
  Quorum Vote Count:                              1
  Reservation Key:                                0x43BAC41300000002


=== Quorum Devices ===                         

Quorum Device Name:                             d3
  Enabled:                                        yes
  Votes:                                          1
  Global Name:                                    /dev/did/rdsk/d20s2
  Type:                                           shared_disk
  Access Mode:                                    scsi3
  Hosts (enabled):                                phys-schost-2, phys-schost-3

定足数デバイスを修復する方法

この作業は、動作が不正な定足数デバイスを交換する場合に行なってください。

phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. 定足数デバイスとして交換するディスクデバイスを削除します。

    注 - 削除するデバイスが最後の定足数デバイスである場合は、必要に応じて初めにほかのディスクを新しい定足数デバイスとして追加してください。この手順により、交換作業中に障害が発生した場合も定足数デバイスが有効になります。新しい定足数デバイスを追加する方法については、 「定足数デバイスの追加」を参照してください。


    定足数デバイスとしてのディスクデバイスを削除する方法については、「定足数デバイスを削除する方法」を参照してください。

  2. ディスクデバイスを交換します。

    ディスクデバイスを交換する場合は、『Oracle Solaris Cluster 3.3 3/13 Hardware Administration Manual 』で、ディスクエンクロージャーのハードウェア手順を参照してください。

  3. 交換したディスクを新しい定足数デバイスとして追加します。

    ディスクを新しい定足数デバイスとして追加する方法については、「定足数デバイスの追加」を参照してください。


    注 - 手順 1 で定足数デバイスを別途追加した場合は、デバイスを削除しても安全です。定足数デバイスを削除する方法については、「定足数デバイスを削除する方法」を参照してください。


定足数のデフォルトのタイムアウトの変更

クラスタ再構成時の定足数の操作を完了するまでのタイムアウトは、デフォルトで 25 秒に構成されています。定足数タイムアウトの値は、『Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストール』の「定足数デバイスを構成する方法」の指示に従って増分することができます。タイムアウト値を増分する代わりに、別の定足数デバイスに切り替えるという方法もあります。

その他のトラブルシューティング情報については、『Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストール』の「定足数デバイスを構成する方法」を参照してください。


注 - Oracle RAC (Oracle Real Application Clusters) では、デフォルトの定足数タイムアウトである 25 秒を変更しないでください。一部のスプリットブレインシナリオでは、タイムアウト時間を長くすると、VIP リソースのタイムアウトが原因で Oracle RAC VIP フェイルオーバーが失敗する可能性があります。使用している定足数デバイスがデフォルトの 25 秒のタイムアウトに適合しない場合は、別の定足数デバイスを使用してください。