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Oracle® Enterprise Manager Ops Center管理ガイド
12c リリース1 (12.1.3.0.0)
B71914-02
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8 バックアップおよびリカバリ

Oracle Enterprise Manager Ops Centerには、エンタープライズ・コントローラ・システムで障害が発生した場合に、データをリカバリして稼働を再開する機能があります。

この章では次の機能とトピックについて説明します。

8.1 バックアップおよびリカバリの概要

Oracle Enterprise Manager Ops Centerには、障害回復に使用できるいくつかのツールがあります。これらのツールを使用すると、エンタープライズ・コントローラまたはプロキシ・コントローラのシステムで障害が発生した場合に、Oracle Enterprise Manager Ops Centerのデータと機能を維持することができます。

ecadm backupコマンドとecadm restoreコマンドでは、エンタープライズ・コントローラをバックアップおよびリストアします。また、特に指定のないかぎり、同じ場所にあるプロキシ・コントローラのバックアップとリストアも行います。

ecadm backupコマンドで作成されるtarファイルには、エンタープライズ・コントローラによって格納されるOracle Enterprise Manager Ops Centerのすべての情報(アセット・データ、管理データ、ジョブ履歴およびデータベース・パスワード)が含まれます。バックアップ・ファイルとログ・ファイルの名前と場所を指定できます。ソフトウェアおよびストレージ・ライブラリの内容は、ecadm backupコマンドによってバックアップされません。ecadm backupコマンドを定期的に実行して、別のシステムにバックアップ・ファイルを保存します。

エンタープライズ・コントローラ・システムで障害が発生した場合は、ecadm restoreコマンドとバックアップ・ファイルを使用して、元のシステムまたは新しいシステム上で、エンタープライズ・コントローラを以前の状態にリストアできます。新しいエンタープライズ・コントローラ・システムには、バックアップの作成時に使用されたものと同じバージョンのOracle Enterprise Manager Ops Centerがインストールされている必要があります。ecadm restoreコマンドは、バックアップ・ファイルを入力として受け入れ、エンタープライズ・コントローラをバックアップ時の状態にリストアします。新しいエンタープライズ・コントローラ・システムに新しいIPアドレスがある場合は、その新しいIPアドレスを使用するようにプロキシ・コントローラを手動で更新する必要があります。

この項で説明する手順の一部では、ecadmおよびproxyadmコマンドが使用されます。このコマンドの詳細は、『Oracle Enterprise Manager Ops Center機能リファレンス・ガイド』を参照してください。

8.2 エンタープライズ・コントローラのバックアップ

ecadmコマンドとbackupサブコマンドを使用してエンタープライズ・コントローラのバックアップを作成できます。


注意:

ecadm backupコマンドでは、/var/opt/sun/xvm/images/osディレクトリはバックアップされません。このディレクトリにある一部のOSイメージ・ファイルのサイズが非常に大きい場合があるためです。

ecadm backupコマンドを実行するだけでなく、/var/opt/sun/xvm/images/osディレクトリをバックアップし、別のサーバー、ファイル共有設備、または/var/opt/sunディレクトリ外部の場所にファイルを手動でアーカイブする必要があります。


エンタープライズ・コントローラをバックアップする手順

デフォルトでは、サーバー・データは/var/tmpディレクトリのバックアップ・ファイルに保存され、ファイル名に日付と時刻が含まれます。次の例に示すように、バックアップの際にファイル名と場所を定義できます。

埋込みデータベースを使用している場合、バックアップ・ファイルに埋込みデータベースの製品スキーマが含まれます。ユーザー管理データベースを使用している場合は、--remotedbオプションを使用してデータベース・スキーマをバックアップできます。または、データベース管理者によって実装されている既存のバックアップとリカバリのプロセスを使用できます。

  1. コマンドラインからエンタープライズ・コントローラ・システムにログインします。

  2. ecadmコマンドとbackupサブコマンドを使用して、エンタープライズ・コントローラをバックアップします。

    次のオプションをecadmコマンドと一緒に使用できます。

    • -o|--output <backup file>: バックアップ・アーカイブを生成するファイルを指定します。/opt/*xvm*ディレクトリ内のパスは指定しないでください。デフォルトの出力ファイルは/var/tmp/sat-backup-<date>-<time>.tarです。

    • -c|--configdir <dir>: 代替バックアップ構成ディレクトリを指定します。

    • -l|--logfile <logfile>: コマンドの出力を<logfile>に保存します。ログ・ファイルは/var/opt/sun/xvm/logsディレクトリに格納されます。

    • -d|--description <description string>: バックアップ・アーカイブの説明として<description string>を埋め込みます。

    • -r|--remotedb: エンタープライズ・コントローラがユーザー管理データベースを使用する場合、データベース・スキーマをデータベース・サーバー上の/var/tmp/ocdumpdirディレクトリのファイルにエクスポートします。この場合、データベースの完全バックアップは実行されません。完全バックアップは、データベース管理者が個別に実行する必要があります。

    • -t|--tag <tag>: 1語のタグとして<tag>をバックアップ・アーカイブに埋め込みます。

    • -T|--tempdir <dir>: 一時ステージング・ディレクトリの場所を指定します。

    • -v|--verbose: 冗長レベルを上げます(繰り返すことができます)。

    例:

    ecadm backup -o /var/backup/EC-17December.tar
    ecadm: using logFile = /var/opt/sun/xvm/logs/sat-backup-2012-12-17-16:21:12.log
    ecadm: *** PreBackup Phase
    ecadm: *** Backup Phase
    ecadm: *** PostBackup Phase
    ecadm: *** Backup complete
    ecadm: *** Output in /var/backup/EC-12December.tar
    ecadm: *** Log in /var/opt/sun/xvm/logs/sat-backup-2012-12-17-16:21:12.log
    
  3. 最新のアップグレード・インストール・ディレクトリの内容を保存します。このディレクトリは/var/opt/sun/xvm/update-saved-state/ディレクトリの子です。バージョン番号が名前に付いています。

  4. バックアップ・ファイルを別のシステムにコピーします。

8.3 エンタープライズ・コントローラのリストア

バックアップ・ファイルを使用して、エンタープライズ・コントローラをバックアップ時の状態にリストアすることができます。

エンタープライズ・コントローラをリストアする手順

この手順では、バックアップ・ファイル(ecadm backup操作で作成されたアーカイブ)からデータをリストアします。

埋込みデータベースを使用している場合、リストア・プロセスによって埋込みデータベースから製品スキーマがリストアされます。ユーザー管理データベースを使用している場合、--remotedbオプションを使用してユーザー管理データベース上で製品スキーマをリストアできます。または、このオプションをオフにするとデータベースは変更されません。

  1. エンタープライズ・コントローラ・システムを準備します。

    • 新しいシステムにバックアップをリストアする場合は、リストアされるシステムのホスト名およびエンタープライズ・コントローラのソフトウェア・バージョンがバックアップされたシステムと一致する必要があります。

    • 同じシステムにバックアップをリストアするとき、事前にソフトウェアが破損した場合やアップグレードが失敗した場合には、エンタープライズ・コントローラ・ソフトウェアをアンインストールします。

      installスクリプトに-eおよび-kオプションを指定して実行します。-eオプションにより、エンタープライズ・コントローラと、同じ場所にあるプロキシ・コントローラがアンインストールされます。-kオプションによりOracle Configuration Managerソフトウェアが保持されます。例:

      # cd /var/tmp/OC/xvmoc_full_bundle
      # install -e -k
      
    • 同じシステムにバックアップをリストアするとき、ソフトウェアが正常に稼働している場合は、エンタープライズ・コントローラを構成解除します。

  2. エンタープライズ・コントローラがまだインストールされていない場合はインストールしますが、構成は行いません(ecadm restoreコマンドによって構成設定がリストアされるため)。

    • Oracle Solaris OS: 『Oracle Enterprise Manager Ops Centerインストレーション・ガイドfor Oracle Solaris Operating System』を参照してください。

    • Linux OS: 『Oracle Enterprise Manager Ops Centerインストレーション・ガイドfor Linux Operating Systems』.

  3. エンタープライズ・コントローラが実行しているバージョンが、バックアップ時のバージョンと異なる場合は、そのバージョンにアップグレードします。コマンドラインでこのアップグレードを実行します。

  4. ecadmコマンドにrestoreサブコマンドと-i <backup directory location and file name>フラグを指定して実行します。

    次のオプションをecadmコマンドと一緒に使用できます。

    • -i|--input <backup file>: (必須)バックアップ・ファイルの場所を指定します。

    • -c|--configdir <dir>: 代替リストア構成ディレクトリを指定します。

    • -l|--logfile <logfile>: コマンドの出力を<logfile>に保存します。ログ・ファイルは/var/opt/sun/xvm/logsディレクトリに格納されます。

    • -r|--remotedb: エンタープライズ・コントローラがユーザー管理データベースを使用する場合、このオプションによって製品スキーマがそのデータベースにリストアされます。新しいデータベース・システム上でリストアする場合は、バックアップ・ファイルと一致する/var/tmp/ocdumpdirディレクトリの.dmpファイルを新しいシステムにコピーし、これを新しいシステムのoracleユーザーが所有する必要があります。

    • -e|--echa: エンタープライズ・コントローラがHAモードで構成されている場合、このオプションを使用すると、同じ場所にあるプロキシ・コントローラをリストアしないことを示します。

    • -T|--tempdir <dir>: 一時ステージング・ディレクトリの場所を指定します。

    • -v|--verbose: 冗長レベルを上げます(繰り返すことができます)。

    例:

    ecadm restore -i /var/backup/EC-17December.tar
    ecadm: using logFile = /var/opt/sun/xvm/logs/sat-restore-2012-12-17-21:37:22.log
    ecadm: *** PreRestore Phase
    ecadm: *** Restore Phase
    ecadm: *** PostRestore Phase
    ecadm: *** Log in /var/opt/sun/xvm/logs/sat-restore-2012-12-17-21:37:22.log
    
  5. 同じ場所にプロキシ・コントローラがあるエンタープライズ・コントローラの場合、proxyadmコマンドとstatusサブコマンドを使用して、プロキシ・コントローラのステータスを確認します。プロキシ・コントローラが停止している場合は、-wオプションを指定してproxyadmコマンドとstartサブコマンドを実行して再起動します。

    # proxyadm status
    offline
    # proxyadm start -w
    proxyadm: Starting Proxy Controller with SMF...
    proxyadm: Proxy Controller services have started
    #
    

注意:

エンタープライズ・コントローラをリストアした後は、アセットの詳細がユーザー・インタフェースに完全に表示されるまでに数分かかることがあります。

例: 埋込みデータベースのエンタープライズ・コントローラのリストア

この例では、ecadm restoreコマンドに含まれるオプションによって、冗長モード(-v)でのリストアが設定され、デバッグのためにリストア・ログ(-l)が作成されます。入力(-i)オプションではバックアップ・ファイルの場所が指定されます。

# /opt/SUNWxvmoc/bin/ecadm restore -v -i /var/tmp/OC/server1/EC-17December.tar -l logfile-restore-15January.log

例: ユーザー管理データベースを含むエンタープライズ・コントローラのリストア

この例では、ecadm restoreコマンドに含まれるオプション(-r)によってデータベース・スキーマがユーザー管理データベースにリストアされます。入力(-i)オプションではバックアップ・ファイルの場所が指定されます。

# /opt/SUNWxvmoc/bin/ecadm restore -i /var/tmp/OC/server1/EC-17December.tar -r

例: ユーザー管理データベースを含むエンタープライズ・コントローラのリストア(データベース・スキーマのリストアなし)

この例では、ecadm restoreコマンドに含まれるオプションによって、冗長モード(-v)でのリストアが設定され、デバッグのためにリストア・ログ(-l)が作成されます。入力(-i)オプションではバックアップ・ファイルの場所が指定されます。オプション(-r)は指定されていません。

# /opt/SUNWxvmoc/bin/ecadm restore -v -i /var/tmp/OC/server1/EC-17December.tar -l logfile-restore-15January.log