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Oracle® Enterprise Manager Ops Center管理ガイド
12c リリース1 (12.1.3.0.0)
B71914-02
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9 高可用性

Oracle Enterprise Manager Ops Centerには、エンタープライズ・コントローラ・システムまたはプロキシ・コントローラ・システムで障害が発生した場合に、データをリカバリして稼働を再開するために使用できる機能がいくつかあります。

インストールと構成のプロセスで高可用性構成を設定すると、アクティブなエンタープライズ・コントローラで障害が発生した場合にスタンバイ・エンタープライズ・コントローラにフェイルオーバーできます。

この章では次の機能とトピックについて説明します。

9.1 高可用性の概要

Oracle Enterprise Manager Ops Centerには、障害回復に使用できるいくつかのツールがあります。これらのツールを使用すると、エンタープライズ・コントローラまたはプロキシ・コントローラのシステムで障害が発生した場合に、Oracle Enterprise Manager Ops Centerのデータと機能を維持することができます。

この項で説明する手順の一部では、ecadmコマンドが使用されます。このコマンドの詳細は、『Oracle Enterprise Manager Ops Center機能リファレンス・ガイド』を参照してください。

9.1.1 エンタープライズ・コントローラの高可用性

高可用性とは、Oracle Clusterwareとリモート・データベースを使用した、複数のエンタープライズ・コントローラを含む設定です。アクティブ・エンタープライズ・コントローラがすべてのOracle Enterprise Manager Ops Center操作で使用されます。スタンバイ・エンタープライズ・コントローラはバックアップとして構成されます。ユーザー・インタフェースでは、常にアクティブ・エンタープライズ・コントローラに接続する仮想IPアドレス(VIP)が使用されます。

アクティブ・エンタープライズ・コントローラをオフラインにする必要がある場合、もう1つのエンタープライズ・コントローラをアクティブにできます。アクティブ・エンタープライズ・コントローラで障害が発生した場合にも、スタンバイ・エンタープライズ・コントローラの1つがアクティブになります。

図9-1「エンタープライズ・コントローラの高可用性構成」に、エンタープライズ・コントローラの高可用性構成の例を示します。

図9-1 エンタープライズ・コントローラの高可用性構成

図9-1の説明が続きます
「図9-1 エンタープライズ・コントローラの高可用性構成」の説明

要件

  • 次の項目を同じように構成した同一モデルのシステムを複数使用します。

    • プロセッサ・クラス

    • オペレーティング・システム

    • Oracle Enterprise Manager Ops Centerソフトウェア・バージョン(更新も含む)

    • ネットワーク・インタフェース(同じサブネットに同様に接続)

  • アセット・タグを追加して、アクティブ・エンタープライズ・コントローラを示し、スタンバイ・エンタープライズ・コントローラと区別します。タグを追加するには「Edit Asset」アクションを使用します。

  • スタンバイ・エンタープライズ・コントローラ・システムはアクティブ・エンタープライズ・コントローラと同じ方法で管理します。アクティブおよびスタンバイ・エンタープライズ・コントローラは同じバージョンのOracle Enterprise Manager Ops Centerソフトウェアを使用する必要があります。機能をスタンバイ・システムに移行する必要があるときに、インストールされたソフトウェア・バージョンを確認するためにユーザー・インタフェースを使用できない場合は、/n1gc-setup/.version.propertiesファイルの内容を確認します。product.versionプロパティに、インストールされたソフトウェアの具体的なリビジョン・レベルが示されます。次に例を示します。

    cat /n1gc-setup/.version.properties
    #Note: This file is created at build time.
    #Sat Nov 03 23:48:37 MDT 2012
    jar.sign=true
    date=2012/11/03 23\:48
    build.variation=xvmopscenter
    oc.build.type=dev-ga
    product.version=12.1.2.2161
    product.installLocation=/var/opt/sun/xvm/EnterpriseController_installer_12.1.2.2161
    #
    

    product.versionプロパティに示されるバージョンが、アクティブとスタンバイのエンタープライズ・コントローラで同じことを確認してから、移行の手順を実行します。

制限事項

  • Oracle Enterprise Manager Ops Centerに関連付けられていないユーザー・アカウントとデータは、移行プロセスには含まれません。Oracle Enterprise Manager Ops Centerのデータのみが、アクティブとスタンバイのエンタープライズ・コントローラ間で移動されます。

  • UIセッションは移行時に失われます。

  • EC HA構成が適用されるのは、エンタープライズ・コントローラと同じ場所にあるプロキシ・コントローラのみです。他のスタンドアロン・プロキシ・コントローラには適用されません。

9.1.2 プロキシ・コントローラの高可用性

各アセット(サーバーまたはオペレーティング・システムなど)は特定のプロキシ・コントローラによって管理されます。プロキシ・コントローラで障害が発生したり、プロキシ・コントローラがアンインストールされたりすると、アセットを別のプロキシ・コントローラ(ある場合)に移すように求められます。

また、アセットを新しいプロキシ・コントローラに手動で移動することもできます。

9.2 エンタープライズ・コントローラの高可用性

Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusterソフトウェアを使用して、高可用性構成を作成できます。高可用性構成には、1つのアクティブ・エンタープライズ・コントローラ・ノードと1つ以上のスタンバイ・エンタープライズ・コントローラ・ノードが含まれ、これらはすべて外部データベースを使用します。アクティブ・エンタープライズ・コントローラ・ノードで障害が発生すると、スタンバイ・ノードはアクティブになり、移行が発生したことを知らせる通知がユーザーに送信されます。

図9-2「エンタープライズ・コントローラの高可用性の状態」に、エンタープライズ・コントローラの高可用性構成の様々な状態と、それぞれの状態の間を移動するために必要な手順を示します。

図9-2 エンタープライズ・コントローラの高可用性の状態

図9-2の説明が続きます
「図9-2 エンタープライズ・コントローラの高可用性の状態」の説明

9.2.1 単一エンタープライズ・コントローラから高可用性への変換

単一構成のエンタープライズ・コントローラを使用している場合、高可用性構成に切り替えることができます。

この手順では、単一のエンタープライズ・コントローラをすでにインストールして構成していると仮定されます。エンタープライズ・コントローラのインストールと構成を行っていない場合は、高可用性でのインストールの詳細に関して『Oracle Enterprise Manager Ops Centerインストレーション・ガイドfor Oracle Solaris Operating System』または『Oracle Enterprise Manager Ops Centerインストレーション・ガイドfor Linux Operating Systems』を参照してください。

9.2.1.1 Oracle Clusterwareでの高可用性の準備

Oracle Clusterwareのインストールと構成は、環境で高可用性を設定する最初の手順です。

Oracle Clusterwareのインストール

  1. Oracle Clusterwareインストレーション・ガイドfor Oracle Solaris SystemsまたはOracle Clusterwareインストレーション・ガイドfor Linux Systemsを参照して、ご使用の環境にOracle Clusterwareをインストールします。

  2. ローカル・データベースを使用している場合は、リモート・データベースに切り替えます。詳細は、第3章「データベースの管理」を参照してください。

9.2.1.2 現在のエンタープライズ・コントローラのアクティブ・ノードへの設定

環境の準備ができたら、現在のエンタープライズ・コントローラをアクティブ・ノードとして構成します。

現在のエンタープライズ・コントローラをアクティブ・ノードにする手順

  1. ecadmコマンドおよびstopサブコマンドを使用してエンタープライズ・コントローラを停止します。

  2. ecadmコマンドとha-configure-primaryサブコマンドを使用して、このシステムをアクティブ・エンタープライズ・コントローラとして構成します。

    クラスタウェアのcrsctlコマンドが/u01ディレクトリにない場合は、--crsctl_basepath <location>オプションを使用してその場所を指定します。

    次に例を示します。

    # ./ecadm ha-configure-primary
    INFO: HAECClusterwareAdapter/doConfigurePrimary() Stopping Ops Center ...
    INFO: HAECClusterwareAdapter/doConfigurePrimary() Ops Center stopped
    INFO: HAECClusterwareAdapter/createActionScript() created Resource Action Script='/var/opt/sun/xvm/ha/EnterpriseController'
    INFO: HAECClusterwareAdapter/doConfigurePrimary() created Clusterware Action Script='/var/opt/sun/xvm/ha/EnterpriseController'
    INFO: HAECClusterwareAdapter/doConfigurePrimary() created Clusterware Resource='EnterpriseController'
    INFO: HAECClusterwareAdapter/doHAStart() starting resource='EnterpriseController' on node='primary-system'
    INFO: HAECClusterwareAdapter/doHAStart()statusSB='CRS-2672: Attempting to start 'EnterpriseController' on 'primary-system'
    CRS-2676: Start of 'EnterpriseController' on 'primary-system' succeeded'
    INFO: HAECClusterwareAdapter/doHAStart() started resource='EnterpriseController' on node='primary-system'
    INFO: HAECClusterwareAdapter/doConfigurePrimary() Ops Center started on node='primary-system'
    ecadm:    --- Enterprise Controller successfully configured HA primary node
    # 
    

9.2.1.3 スタンバイ・ノードのインストール

1つのエンタープライズ・コントローラをアクティブ・ノードとして構成したら、スタンバイ・ノードをインストールして構成できます。

スタンバイ・ノードとしてエンタープライズ・コントローラをインストールする手順

  1. Oracle Solaris 11にインストールしているとき、システムがインターネットに接続するためにHTTPプロキシが必要な場合は、http_proxyおよびhttps_proxy環境変数を次の形式で設定します。

    • http_proxy: <protocol>://<host>:<port>: この変数はHTTPで使用されるプロキシ・サーバーを指定します。

    • https_proxy: <protocol>://<host>:<port>: この変数はHTTPSで使用されるプロキシ・サーバーを指定します。

  2. Oracle Solaris 11にインストールする場合は、次のコマンドを使用して、rootを通常のユーザーとして構成します。

    sudo rolemod -K type=normal root
    
  3. システムに一時ディレクトリを作成し、配布用メディアにあるシステムの適切なOracle Enterprise Manager Ops Centerアーカイブを、作成した一時ディレクトリにコピーまたは移動します。次に例を示します。

    # mkdir /var/tmp/OC
    # cp enterprise-controller.Solaris.i386.12.1.2.2140.tar.gz /var/tmp/OC
    

    インストール・アーカイブは約3.5 GBのディスク領域を使用します。

  4. システム上のインストール・アーカイブが配置されるディレクトリに移動します。

    # cd /var/tmp/OC
    #
    
  5. インストール・アーカイブを開いて、ディレクトリの内容をリスト表示します。

    • インストール・アーカイブの拡張子が.zipの場合は、unzipコマンドを使用してアーカイブを解凍します。次に例を示します。

      # unzip enterprise-controller.Solaris.i386.12.1.2.2140.zip
      # ls
      enterprise-controller.Solaris.i386.12.1.2.2140.zip
      xvmoc_full_bundle
      #
      
    • インストール・アーカイブの拡張子が.tar.zipの場合は、unzipコマンドとtarコマンドを使用してアーカイブを解凍し、一時ディレクトリの内容をリスト表示します。次のコマンド例では元の圧縮アーカイブ・ファイルが保持されます。アーカイブから抽出したデータは、約1GBの追加領域を消費します。次に例を示します。

      # unzip enterprise-controller.Solaris.i386.12.1.2.2140.tar.zip | tar xf -
      # ls
      enterprise-controller.Solaris.i386.12.1.2.2140.tar.zip
      xvmoc_full_bundle
      #
      
  6. エンタープライズ・コントローラ・システムにデータベースのプロパティ・ファイルを作成します。データベースのプロパティ・ファイルは、ユーザー管理データベースの場所およびデータベースにアクセスできるユーザー名とパスワードを含む必要があります。

    次に例を示します。

    # vi /var/tmp/RemoteDBProps.txt
    mgmtdb.appuser=user
    mgmtdb.password=userpass
    mgmtdb.roappuser=user
    mgmtdb.ropassword=userpass
    mgmtdb.dburl=jdbc:oracle:thin:@<database host name>:<port>/<database service name>
    
  7. ディレクトリをxvmoc_full_bundleに変更し、installスクリプトに--remoteDBprops <path to remote database properties file>オプションと--standbyECオプションを指定して実行します。次に例を示します。

    # cd xvmoc_full_bundle
    # ./install --remoteDBprops=/var/tmp/remoteDBProps.txt --standbyEC
    
  8. Oracle Configuration Managerのインストール・テキストが表示されます。My Oracle Supportのユーザー名またはOracle Enterprise Manager Ops Centerに関連付ける電子メール・アドレスを入力します。

    Provide your email address to be informed of security issues, install and
    initiate Oracle Configuration Manager. Easier for you if you use your My
    Oracle Support Email address/User Name.
    Visit http://www.oracle.com/support/policies.html for details.
    Email address/User Name:
    
  9. セキュリティ更新をMy Oracle Supportページに表示するには、My Oracle Supportのパスワードを入力します。

    Provide your My Oracle Support password to receive security updates via your My Oracle Support account.
    Password (optional):
    

    画面が消去されると、インストール・スクリプトによってインストール・タスクのリストが表示されます。これはインストールが進むにつれて自動的に更新されます。次に例を示します。

    Ops Center Enterprise Controller Installer
     
    1. Check for installation prerequisites.                       [Not Completed]
    2. Configure file systems.                                     [Not Completed]
    3. Install prerequisite packages.                              [Not Completed]
    4. Install Agent components.                                   [Not Completed]
    5. Create Deployable Proxy Bundles.                            [Not Completed]
    6. Install application packages.                               [Not Completed]
    7. Run postinstall tasks.                                      [Not Completed]
    8. Install Expect.                                             [Not Completed]
    9. Install IPMI tool.                                          [Not Completed]
    10. Set database credentials.                                  [Not Completed]
    11. Install and Configure Oracle Database.                     [Not Completed]
    12. Seed Ops Center Database Schema                            [Not Completed]
    13. Install Service container components.                      [Not Completed]
    14. Install Core Channel components.                           [Not Completed]
    15. Install Proxy Core components.                             [Not Completed]
    16. Set Proxy database credentials.                            [Not Completed]
    17. Install Enterprise Controller components.                  [Not Completed]
    18. Install Update Connection - Enterprise.                    [Not Completed]
    19. Install Ops Center BUI components.                         [Not Completed]
    20. Install OS provisioning components.                        [Not Completed]
    21. Initialize and start services.                             [Not Completed]
    Executing current step:  Check for installation prerequisites...
    
  10. installスクリプトでインストールの前提条件をチェックし、満たされない条件があった場合は、問題を確認して修正します。たとえば、次のinstallスクリプトではディスク領域の不足が検出されました。

    Warning for Step: Check for installation prerequisites.
    The following is a portion of the installer
    log which may indicate the cause of the warning.
    If this does not indicate the cause of the
    warning, you will need to view the full log
    file. More information on how to do that is
    available below.
    You may choose to ignore this warning by selecting to continue.
    * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
    
    Ignoring job: 01checkRPMs.pl
    Ignoring job: 03removeEmptyDirs.pl
    
    
    Executing job: jobs/00checkPrereqs.pl --install
    
    WARNING: Installation prerequisites not met:
    Disk: / 72G needed, 24G available.
    * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
    Please fix the problem and then try this step again.
    For a full log of the failed install see the file: /var/tmp/installer.log.9361.
    
    t. Try this step again (correct the failure before proceeding)
    c. Continue (ignore the warning)
    x. Exit
    Enter selection: (t/c/x)
    

    再試行するにはt、続行して警告を無視するにはc、またはインストール・スクリプトを終了するにはxを入力します。インストール・スクリプトを終了し、問題を解決してからインストール・スクリプトを再実行します(停止したところから再開します)。エラー条件がインストールに与える影響を受け入れる場合のみ、続行して警告を無視します。通常、再試行の前に問題を解決できなければ、tを入力すると同じエラーが生成されます。インストール・スクリプトがすべての前提条件が満たされていることを確認した場合、または警告にかかわらず続行を選択した場合、インストール・スクリプトは続行し、すべてのエンタープライズ・コントローラおよびプロキシ・コントローラ・コンポーネントをインストールします。

    インストール・スクリプトが完了すると、すべてのコンポーネントがインストールされたことを表示します。/var/tmp/installer.log.latestファイルにインストールのログが含まれます。

  11. アクティブ・エンタープライズ・コントローラのrootユーザー名とパスワードを含むパスワード・ファイルを作成します。次に例を示します。

    # touch /tmp/creds.props
    # chmod 400 /tmp/creds.props
    # vi /tmp/creds.props
    # cat /tmp/creds.props
    username:root
    password:XXXXX
    
  12. ecadmコマンド、ha-configure-standbyおよび-p <password file>サブコマンドを使用して、ノードをスタンバイ・ノードとして構成します。

    クラスタウェアのcrsctlコマンドが/u01ディレクトリにない場合は、--crsctl_basepath <location>オプションを使用してその場所を指定します。

    次に例を示します。

    # ecadm ha-configure-standby -p /tmp/creds.props
    INFO: HAECClusterwareAdapter/doConfigureStandby() Stopping Ops Center ...
    INFO: HAECClusterwareAdapter/doConfigureStandby() Ops Center stopped
    INFO: remoteFileCopy() copied '/etc/passwd' from remoteHostname='primary-system' to local file='/tmp/activeNodepw'
    <output omitted>
    ecadm:    --- Enterprise Controller successfully configured HA standby node
    
  13. ecadmコマンドとha-status -dオプションを使用して、スタンバイ・エンタープライズ・コントローラのステータスをチェックします。

    次に例を示します。

    # ecadm ha-status -d
    INFO: HAECClusterwareAdapter/doHAStatus() Status:
    # HAEC Cluster Info: Thu Sep 29 15:49:09 MDT 2011
    haec.cluster.active.node=primary
    haec.cluster.nodes=standby, primary
    haec.ec.public.nics=nge1
    haec.ec.status=ONLINE
    <output omitted>
    haec.cluster.script=/var/opt/sun/xvm/ha/EnterpriseController
    haec.cluster.crsctl=/u01/app/11.2.0/grid/bin/crsctl
    # End of Cluster Info
    ecadm:    --- Enterprise Controller ha-status command succeeded
    Status stored in file: /var/opt/sun/xvm/ha/HAECStatus
    # 
    

9.2.2 高可用性構成から単一エンタープライズ・コントローラへの変換

高可用性構成を単一エンタープライズ・コントローラに変換できます。

高可用性構成を単一エンタープライズ・コントローラに変換する手順

  1. rootとして各スタンバイ・エンタープライズ・コントローラ・ノードにログオンします。

  2. 各スタンバイ・エンタープライズ・コントローラ・ノードで、ecadmコマンドとha-unconfigure-standbyサブコマンドを使用して、高可用性構成からノードを削除します。

    ノードがクラスタから削除されます。

  3. rootとしてアクティブ・エンタープライズ・コントローラ・ノードにログオンします。

  4. ecadmコマンドとstop-no-relocateサブコマンドを使用して、新しいノードを起動せずにアクティブ・ノードを停止します。

    アクティブ・エンタープライズ・コントローラが停止します。

  5. ecadmコマンドとha-unconfigure-primaryサブコマンドを使用して、高可用性構成の一部としてのエンタープライズ・コントローラの構成を解除します。

    アクティブ・エンタープライズ・コントローラ・ノードのアクティブ・ノードとしての構成が解除されます。

  6. ecadmコマンドとstartサブコマンドを使用して、アクティブ・ノードを起動します。

    エンタープライズ・コントローラが再起動します。

9.2.3 手動移行の実行

現在のエンタープライズ・コントローラからスタンバイ・エンタープライズ・コントローラに手動で移行することができます。

手動で移行する手順

  1. rootとしてアクティブ・エンタープライズ・コントローラ・ノードにログインします。

  2. ecadmコマンドとha-relocateサブコマンドを使用して別のノードに切り替えます。

    もう1つのノードがアクティブになり、現在のノードがスタンバイ・モードになります。

9.2.4 HAネットワーク・リソースの管理

Oracle Clusterwareは、単一クライアント・アクセス名(SCAN)と呼ばれる1つのネットワーク・アドレスをサポートします。ただし、一部の配置では、SCANネットワークとは別のネットワーク上のエンタープライズ・コントローラとシステムが通信する必要があります。

Clusterwareのcrsctlコマンドを使用して高可用性構成にネットワーク・リソースを追加して管理できます。

これらのコマンドの詳細や、ネットワーク・リソースの削除、開始、停止またはステータス・チェックの詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド11gリリース2』を参照してください。

9.2.4.1 ネットワーク・リソースの追加

crsctlコマンドを使用してネットワーク・リソースを追加できます。

ネットワーク・リソースを追加するには、次のようにcrsctl add resourceコマンドを実行します。

/u01/app/11.2.0/grid/bin/crsctl add resource <resource name> -type application -attr ACTION_SCRIPT=/u01/app/11.2.0/grid/bin/usrvip, USR_ORA_NETMASK=<netmask>,USR_ORA_VIP=<vip IP address>,USR_ORA_START_TIMEOUT=0,USR_ORA_STOP_TIMEOUT=0,USR_ORA_STOP_MODE=immediate,USR_ORA_IF=<network interface>,USR_ORA_OPI=false,USR_ORA_CHECK_TIMEOUT=0,USR_ORA_DISCONNECT=false,USR_ORA_PRECONNECT=none,HOSTING_MEMBERS=<node1>:<node2>

この形式には次のオプションが含まれています。

  • <resource name>: リソース名を指定します。

  • -type application

  • USR_ORA_IF=<network interface>: ネットワーク・リソースのネットワーク・インタフェース(NIC)を指定します。

  • USR_ORA_VIP= <ipaddress>: ネットワーク・リソースのIPアドレスを指定します。

  • USR_ORA_NETMASK=<netmask>: ネットワーク・リソースのネットマスクを指定します。

  • USR_ORA_IF=<network interface>: ネットワーク・リソースのネットワーク・インタフェース(NIC)を指定します。

  • HOSTING_MEMBERS=<node1>:<node2>: エンタープライズ・コントローラをホストするクラスタ・ノードを指定します。

  • ACTION_SCRIPT=/u01/app/11.2.0/grid/bin/usrvip

  • PLACEMENT=favored

9.2.4.2 ネットワーク・リソースの変更

crsctlコマンドを使用して既存のネットワーク・リソースを変更できます。

ネットワーク・リソースを変更するには、次のようにcrsctl modify resourceコマンドを実行します。

./crsctl modify resource <resource name> -attr <attribute>=<new value>, <attribute>=<new value>,...

次の属性を変更できます。

  • USR_ORA_IF=<network interface>: ネットワーク・リソースのネットワーク・インタフェース(NIC)を指定します。

  • USR_ORA_VIP= <ipaddress>: ネットワーク・リソースのIPアドレスを指定します。

  • USR_ORA_NETMASK=<netmask>: ネットワーク・リソースのネットマスクを指定します。

  • USR_ORA_IF=<network interface>: ネットワーク・リソースのネットワーク・インタフェース(NIC)を指定します。

  • HOSTING_MEMBERS=<node1>:<node2>: エンタープライズ・コントローラをホストするクラスタ・ノードを指定します。

  • ACTION_SCRIPT=/u01/app/11.2.0/grid/bin/usrvip

  • PLACEMENT=favored

9.2.5 スタンバイ・エンタープライズ・コントローラ・ノードの削除

クラスタからスタンバイ・エンタープライズ・コントローラ・ノードを削除できます。

スタンバイ・エンタープライズ・コントローラ・ノードを削除する手順

  1. rootとしてスタンバイ・エンタープライズ・コントローラ・ノードにログオンします。

  2. ecadmコマンドとha-unconfigure-standbyサブコマンドを使用して、高可用性構成からノードを削除します。

    ノードがクラスタから削除されます。通常のエンタープライズ・コントローラのアンインストール手順を使用して、そのノードのエンタープライズ・コントローラをアンインストールできます。

9.2.6 エンタープライズ・コントローラ・クラスタのステータスのチェック

すべてのエンタープライズ・コントローラ・ノードのクラスタのステータスをチェックできます。

エンタープライズ・コントローラ・クラスタのステータスをチェックする手順

  1. rootとしてエンタープライズ・コントローラ・ノードにログオンします。

  2. ecadmコマンド、ha-statusサブコマンドおよび-dオプションを使用して、クラスタのステータスをチェックします。

    ノードのステータスが表示されます。

9.2.7 エンタープライズ・コントローラの一時的な停止(移行なし)

別のノードをアクティブにせずに、アクティブなノードを停止することができます。ユーザー・インタフェースとコマンドライン・インタフェースは、すべてのエンタープライズ・コントローラ・ノードが停止していると使用できません。

移行を行わずにアクティブ・エンタープライズ・コントローラを一時的に停止する手順

  1. rootとしてアクティブ・エンタープライズ・コントローラ・ノードにログオンします。

  2. ecadmコマンドとstop-no-relocateサブコマンドを使用して、新しいノードを起動せずにアクティブ・ノードを停止します。

    アクティブ・ノードが停止します。

  3. ecadmコマンドとstartサブコマンドを使用して、アクティブ・ノードを起動します。

    アクティブ・ノードが再起動します。

9.2.8 クラスタ管理UIへのアクセス

ユーザー・インタフェースでクラスタ構成を表示できます。

クラスタ管理UIにアクセスする手順

  1. 「Navigation」ペインの「Administration」セクションで「Enterprise Controller」をクリックします。

  2. 「Actions」ペインで「Manage Cluster Configuration」をクリックします。

    クラスタ管理UIが表示されます。

9.3 プロキシ・コントローラの高可用性

各アセットは特定のプロキシ・コントローラによって管理されます。プロキシ・コントローラの障害またはアンインストールが発生すると、ユーザーに通知され、障害が発生したプロキシ・コントローラのアセットを別のプロキシ・コントローラに移行することができます。また、稼働しているプロキシ・コントローラから別のプロキシ・コントローラにアセットを移すこともできます。

新しいプロキシ・コントローラにアセットを移行するには、宛先のプロキシ・コントローラは、移動するアセットのネットワークに接続している必要があります。あるいは、それらのネットワークに関連付けられており、ネットワークを有効にしている必要があります。

9.3.1 プロキシ・コントローラ間でのアセットの移行

各アセットはプロキシ・コントローラによって管理されます。ジョブの負荷を分散するため、またはプロキシ・コントローラをアンインストールしようとする場合に、稼働しているプロキシ・コントローラから別のプロキシ・コントローラにアセットを移行することができます。

プロキシ・コントローラ間でアセットを移行する手順

  1. 「Navigation」ペインの「Administration」セクションで移行元のプロキシ・コントローラを選択します。

  2. 「Managed Assets」タブをクリックします。

  3. 移動する1つ以上のアセットを選択し、「Migrate Assets」アイコンをクリックします。

    アセットを管理できる別のプロキシ・コントローラがある場合は、Asset Migrationウィザードが表示されます。

    アセットを管理できる他のプロキシ・コントローラがない場合は、エラー・メッセージが表示されます。

  4. プロキシ・コントローラのリストから移行先プロキシ・コントローラを選択するか、「Auto Balance across Proxy Controllers」を選択して移行先プロキシ・コントローラを自動的に選択します。

  5. 「Migrate」をクリックします。

    ジョブが起動され、選択したアセットが移行先プロキシ・コントローラに移行されます。移行ステータスがジョブと「Managed Assets」タブに表示されます。

9.3.2 障害が発生したプロキシ・コントローラからのアセットの移行

各アセットはプロキシ・コントローラによって管理されます。プロキシ・コントローラで障害が発生した場合、アラートがユーザーに送信され、障害が発生したプロキシ・コントローラから別のプロキシ・コントローラにアセットを移行することが可能になります。

プロキシ・コントローラがオンライン状態に戻ると予測する場合は、アセットはそのまま管理されるようにします。ただし、プロキシ・コントローラがオンライン状態に戻らないと予測する場合は、別の使用可能なプロキシ・コントローラにアセットを移行できます。このアクションではプロキシ・コントローラも削除されます。

障害が発生したプロキシ・コントローラからアセットを移行する手順

  1. プロキシ・コントローラで障害が発生したことを通知するアラートを開きます。

  2. 「Migrate Assets」をクリックします。

    アセットを管理できる別のプロキシ・コントローラがある場合は、Asset Migrationウィザードが表示されます。

    アセットを管理できる他のプロキシ・コントローラがない場合は、エラー・メッセージが表示されます。

  3. プロキシ・コントローラのリストから移行先プロキシ・コントローラを選択するか、「Auto Balance across Proxy Controllers」を選択して移行先プロキシ・コントローラを自動的に選択します。

  4. 「Migrate」をクリックします。

    ジョブが起動され、選択したアセットが移行先プロキシ・コントローラに移行されます。移行ステータスがジョブと「Managed Assets」タブに表示されます。