2 既存の11gリリース1または7.x zip配布によるインストールのアップグレード

この章では、zipの配布を使用して当初インストールした既存の11gリリース1または7.xのインストールをアップグレードする方法を説明します。この章の内容は次のとおりです。

「アップブレードの準備」
「管理(DSCC)ホストのアップグレード」
「Directory ServerおよびDirectory Proxy Serverホストのアップグレード」

アップグレード時に発生する事柄、および様々なアップグレードおよび移行オプションの詳細は、第1章「既存のインストールをアップグレードするか移行するかの決定」を参照してください。

2.1 アップグレードの準備

第1.3「アップグレード前および移行前タスクの完了」で説明した問題をすべて解決します。
以降の手順ではprepare-patchおよびcomplete-patchという名前のコマンドを実行しますが、実際はパッチを適用するのではなく、ソフトウェアをアップグレードします。
Directory Server Enterprise Editionのインストールを所有するユーザー・アカウントからアップグレードを実行します。
Directory Service Control Centerをホストしているサーバーを特定します。必ず管理(DSCC)ホストをアップグレードしてから、任意のDirectory ServerホストまたはDirectory Proxy Serverホストをアップグレードします。
アップグレードを行うには、大きく分けて次の2つの手順を実行する必要があります。
1. 管理(DSCC)ホストのアップグレード
2. Directory ServerおよびDirectory Proxy Serverホストのアップグレード

2.2 管理(DSCC)ホストのアップグレード

Directory Service Contol Center (DSCC)を使用し、Directory Server Enterprise Edition 11gリリース1 (11.1.1.7.0)のインスタンスの管理を開始する前に、最初にいくつかの準備手順を行い、Directory DSCC WARファイルを再デプロイする必要があります。DSCC WARファイルを再デプロイしたら、Directory Service Control Center 11gリリース1 (11.1.1.7.0)の使用を開始し、既存のバージョン6x、7.0および11gリリース1 (11.1.1.5.0 or 11.1.1.3.0)インスタンスにアクセスを開始できます。

2.2.1 DSCC WARファイルの再デプロイの準備

Cacaoモジュールを停止します。次に例を示します。
バージョン6.xのzip配布の場合

# INSTALL_PATH/dsee6/cacao_2/usr/sbin/cacaoadm stop

バージョン11.1.1.3、11.1.1.5または7.xのzip配布の場合
```
# INSTALL_PATH/dsee7/bin/cacaoadm stop
```
# INSTALL_PATH/dsee7/bin/cacaoadm stop
ネイティブ・パッケージのインストールの場合

# /usr/sbin/cacaoadm stop

次のコマンドを実行します。

# install-path/bin/dsccsetup prepare-patch

既存のインストールを上書きし、ODSEE 11g R1 (11.1.1.7.0)をインストールします。

『Oracle Directory Server Enterprise Editionインストレーション・ガイド』の第2章のDirectory Server Enterprise Editionのインストールに関する説明を参照してください。

次のコマンドを実行します。

# install-path/bin/dsccsetup complete-patch

2.2.2 DSCC WARファイルの再デプロイ

DSCC用にWARファイルを作成します。
```
# install-path/bin/dsccsetup war-file-create
Created install-path/var/dscc7.war
```
WARファイルの場所のメモを取ります。
アプリケーション・サーバーにdscc7.warをデプロイします。

詳細な手順は、次を両方参照してください。

『Oracle Directory Server Enterprise Editionインストレーション・ガイド』のDirectory Server Enterprise Editionのインストールの事前構成に関する説明
『Oracle Directory Server Enterprise Editionインストレーション・ガイド』の付録AのDSCC WARファイルのデプロイに関する説明

2.3 Directory ServerおよびDirectory Proxy Serverホストのアップグレード

Directory Server Enterprise Editionの各インストールで次のアップグレード手順を実行します。ただし、Directory Service Control Centerをホストするサーバーを最初に特定してアップグレードてから、他の任意のサーバーをアップグレードします。第2.2項「管理(DSCC)ホストのアップグレード」を参照してください。

注意:

Directory Serverのアップグレードは、Directory Server Enterprise Editionのインストールを所有するユーザー・アカウントから実行する必要があります。

Cacaoモジュールを停止します。次に例を示します。
バージョン6.xのzip配布の場合

# INSTALL_PATH/dsee6/cacao_2/usr/sbin/cacaoadm stop

バージョン11.1.1.3、11.1.1.5または7.xのzip配布の場合
```
# INSTALL_PATH/dsee7/bin/cacaoadm stop
```
# INSTALL_PATH/dsee7/bin/cacaoadm stop
ネイティブ・パッケージのインストールの場合

# /usr/sbin/cacaoadm stop
次のコマンドを実行します。
```
# install-path/bin/dsccsetup prepare-patch
```
dsccsetup prepare-patchコマンドでは、実行中のすべてのDirectory ServerおよびDirectory Proxy Serverインスタンスの停止が試行されます。
- 次のメッセージが表示された場合、手順3に進みます。
```
You can now safely patch your installation.
```
- dsccsetup prepare-patchコマンドにサーバー・インスタンスを停止する権限がない場合、それが失敗したことを示すメッセージが表示され、続行する前にサーバーを手動で停止する必要があります。手順2に進みます。
prepare-patchコマンドによってサーバーを停止できなかった場合(第2.2.1項「DSCC WARファイルの再デプロイの準備」を参照)、次のいずれかのコマンドを実行し、サーバーが停止されたことを確認します。

Directory Serverを停止するには、次のコマンドを実行します。
```
# install-path/bin/dsadm stop instance-path
```
プロキシ・サーバーを停止するには、次のコマンドを実行します。
```
# install-path/bin/dpadm stop instance-path
```
一時ディレクトリTEMP_DIRECTORYを作成し、この中にインストール・ファイルのコピーを保存します。
次のコマンドを入力し、Directory Server Enterprise Editionソフトウェアをインストールします。
```
# cd TEMP_DIRECTORY
# unzip -q ODSEE11_1_1_5_0_xxx.zip
# cd ODSEE_ZIP_Distribution
# unzip -q sun-dsee7.zip -d install-path
# cd install-path/dsee7
```
この手順は実質的に既存のインストールを上書きするので、install-pathは手順1で使用したインストール・パスを意味します。既存のファイルはすべて上書きする必要があります。
次のコマンドを実行します。
```
# install-path/bin/dsccsetup complete-patch
```
dsccsetup complete-pathの出力は、手順8で実行するパスおよびコマンドを実際に指定します。パスとコマンドのメモを取ります。
前述の手順2でサーバーを手動で停止した場合、手順5ではDirectory Serverインスタンスは自動的にアップグレードされません。次のコマンドを実行し、ここで手動でDirectory Serviceインスタンスをアップグレードする必要があります。
```
# install-path/bin/dsadm upgrade [-i] instance-path
```
新しいDSCCエージェントを作成し、エージェントをDSCCレジストリに追加します。
1. 手順5で指定した正確なパスおよびコマンドを使用してDSCCエージェントを作成します。次に例を示します。
```
# install-path/bin/dsccagent create
Enter DSCC agent password: ***
Confirm the password: ***
Agent instance install-path/var/dcc/agent has been created successfully
Run the following command to register the agent in the registry: install-path/bin/dsccreg add-agent install-path/var/dcc/agent 
```
2. 新しいDSCCエージェントをDSCCレジストリに登録します。
  
  前の手順の完了時に表示されたコマンドを使用します。次に例を示します。
```
# install-path/bin/dsccreg add-agent install-path/var/dcc/agent
```
3. DSCCエージェントを起動します。
```
# install-path/bin/dsccagent start
```

SNMPエージェントを作成し、SNMPエージェントを使用するためにDirectory Serverインスタンスを構成します。

SNMPエージェントを作成します。

# install-path/bin/dsccagent enable-snmp

SNMPを介して管理するすべてのDirectory Serverインスタンスを構成します。

次のコマンドを実行し、SNMPを介して管理するインスタンス用のDSポートの番号を取得します。

install-path/bin/dsconf set-plugin-prop dssnmp argument:on argument:3995 
Instance Path         :   install-dir/dsee7/var/dcc/agent
Owner                 :   root
JMX port              :   3997
SNMP port             :   3996
DS port               :   3995
State                 :   Stopped
PID                   :   -
DSCC hostname         :   host2
DSCC non-secure port  :   3998
DSCC secure port      :   3999
SNMP v3               :   Disabled
Instance version      :   A-A00

前の手順で取得したDSポート番号を使用し次のコマンドを実行し、ポート番号の引数を設定します。

# install-patch/bin/dsconf set-plugin-prop dssnmp argument:on argument:3995

アップグレードが完了すると、DSCCを起動する際、新しいDSCCエージェントが使用されます。