コネクタをデプロイする手順は、インストール前、インストール、およびインストール後の3つのステージに分けることができます。
Oracle Identity Cloud Serviceコネクタのインストール前の作業には、コネクタがOracle Identity Cloud Service Graph APIにアクセスできるようにクライアント・アプリケーション(Oracle Identity Cloud Serviceコネクタ)をターゲット・システムに登録して生成することが含まれます。また、コネクタ操作用のターゲット・システム・アカウントを作成することも含まれます。
インストール前の作業では、ターゲット・システムで次の手順を実行します。
Oracle Identity ManagerにOracle Identity Cloud Serviceコネクタをインストールする必要があるほか、必要に応じてコネクタ・サーバーにコネクタ・コード・バンドルを配置する必要があります。
次のトピックでは、Oracle Identity Cloud Serviceコネクタのインストールについて説明します。
このコネクタ・コードは、Oracle Identity Managerでローカルに実行することも、コネクタ・サーバーでリモートで実行することもできます
生成されたコネクタを実行する場所に応じて、コネクタのインストール・オプションは次のようになります。
Oracle Identity Managerでコネクタ・コードをローカルに実行します。コネクタ・コードをOracle Identity Managerでローカルに実行するには、「Oracle Identity Managerへのコネクタのインストール」の手順を実行します。このシナリオでは、Oracle Identity Managerにコネクタをデプロイします。
コネクタ・サーバーでコネクタ・コードをリモートに実行します。コネクタ・コードをリモートのコネクタ・サーバーで実行するには、「Oracle Identity Managerへのコネクタのインストール」および「コネクタ・サーバーへのコネクタのデプロイ」に記載された手順を実行します。このシナリオでは、Oracle Identity Managerにコネクタをデプロイしてから、コネクタ・サーバーにコネクタ・バンドルをデプロイします。コネクタ・サーバーのインストール、構成および実行、ならびにコネクタ・サーバーへのコネクタのインストールの詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managerのためのアプリケーションの開発とカスタマイズのアイデンティティ・コネクタ・サーバーの使用に関する項を参照してください。
Oracle Identity Managerでのインストール時の作業では、次の手順を実行します。
コネクタ・インストーラを実行すると、コネクタ・ファイルがOracle Identity Managerのディレクトリに自動的にコピーされ、コネクタXMLファイルがインポートされ、プロビジョニングに使用されるアダプタがコンパイルされます。
コネクタ・インストーラを実行するには、次のようにします。
ターゲット・システムのITリソースは、コネクタのインストール後に作成されます。このITリソースを構成することで、コネクタによりOracle Identity Managerをターゲット・システムと接続できます。
この項では、次の項目について説明します。
ITリソースは、ターゲット・システムに関する接続やその他の汎用情報を格納するパラメータで構成されます。Oracle Identity Managerはこの情報を使用して、ターゲット・システムの特定のインストールまたはインスタンスに接続します。
このコネクタのITリソース・パラメータのリストは、次のカテゴリに分けることができます。
接続関連のパラメータ
認証パラメータ
接続パラメータ
表2-1に、接続関連のパラメータを示します。
表2-1 接続のITリソース・パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
host |
ターゲット・システムのホストであるコンピュータのホスト名またはIPアドレス。 サンプル値: |
port |
ターゲット・システムがリスニングしているポート番号。 サンプル値: |
baseURI |
ベースURIは、Oracle Identity Cloud Serviceターゲット・システムのベース相対URLです。 サンプル値: http://host:port/admin/v1, then baseURI is /admin/v1 |
Configuration Lookup |
リコンシリエーションおよびプロビジョニング時に使用される構成情報を格納する参照定義の名前。 Oracle Identity Cloud Serviceのデフォルト値: |
Connector Server Name |
Javaコネクタ・サーバーにOracle Identity Cloud Serviceコネクタをデプロイしている場合、コネクタ・サーバーのITリソースの名前を入力します。 |
acceptType |
ヘッダーの受入タイプは、リクエスト本文をどのように解析する必要があるかを示します。コンテンツ・タイプ・ヘッダーがapplication/jsonの場合、リクエスト本文はJSONとしてのみ解析されます。 |
sslEnabled |
ターゲット・システムでSSL接続が必要な場合、このパラメータの値をtrueに設定します。そうではない場合、値をfalseに設定します。 |
grantType |
ターゲット・システムにより使用される認証のタイプ。 デフォルト値は |
scope |
スコープは、「OAuth2.0リソース所有者のパスワードまたはクライアント資格証明」認証タイプに基づくリクエストを認証するために必要です。 |
contentType |
ヘッダーのコンテンツ・タイプは、ターゲット・システムに送信されるリクエストの形式を示します。Content-TypeヘッダーがapplicationまたはJSONの場合、リクエスト本文はJSONとしてのみ解析されます。 |
表2-2に、認証パラメータを示します。
表2-2 基本認証のITリソース・パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
username |
認証タイプが“basic”または“password”の場合に使用されるユーザー名またはユーザーID。 サンプル値: |
password |
認証タイプが“basic”または“password”の場合に使用されるパスワード。 サンプル値: |
authenticationServerUrl |
認証タイプが“BASIC”の場合の認証サーバーのURL。 サンプル値: |
customAuthHeaders |
Authorization=Basic
|
ターゲット・システムのITリソースには、ターゲット・システムに関する接続情報が含まれます。Oracle Identity Managerでは、プロビジョニングおよびリコンシリエーション時にこの情報を使用します。メタデータ・ジェネレータを実行すると、このコネクタに対応するITリソースがOracle Identity Managerで自動的に作成されます。
次のようにして、このITリソースのパラメータの値を指定する必要があります。
Oracle Identity Cloud Serviceコネクタのインストール後は、OIMを構成し、ロギングを有効化してすべてのコネクタ・イベントに関する情報をトラッキングし、SSLを構成する必要があります。また、ユーザー・インタフェースのローカライズなどのオプションの構成も行います。
インストール後のステップは、次の項で説明します。
Oracle Identity Managerの構成では、次の手順を実行します。
リコンシリエーションおよびプロビジョニング操作を実行するリソースに対し、UIフォームおよびアプリケーション・インスタンスを作成する必要があります。さらに、権限およびカタログ同期化ジョブを実行する必要があります。
これらの手順について、次の各項で説明します。
カスタマイズおよびフォーム管理機能の使用を開始するには、サンドボックスを作成してアクティブにする必要があります。次に、サンドボックスを公開してそのカスタマイズを他のユーザーが使用できるようにします。
Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managerのためのアプリケーションの開発とカスタマイズのサンドボックスの作成に関する項 および サンドボックスのアクティブ化および非アクティブ化に関する項を参照してください。
Oracle Identity System Administrationのフォーム・デザイナを使用して、アプリケーション・インスタンス・フォームを作成および管理できます。Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managerの管理 の フォーム・デザイナを使用したフォームの作成に関する項を 参照してください。
UIフォームを作成するときは、必ずそのフォームを関連付けるOracle Identity Cloud Serviceコネクタに対応するリソース・オブジェクトを選択します。 また、「権限フォームの生成」チェック・ボックスを選択します。
次のようにして、アプリケーション・インスタンスを作成します。
サンドボックスは、公開後に変更を元に戻すことは困難です。そのため、サンドボックスを公開する前に、次の手順を実行してこのステージまでにサンドボックスに対して行われた変更をすべて検証します。
権限の収集とカタログ同期化を行うには、次の手順を実行します。
関連項目:
権限リストおよびカタログ同期化ジョブのスケジュール済ジョブの詳細は、Oracle Identity Managerの管理の事前定義済のスケジュール済タスクに関する項を参照してください
フォーム・デザイナで行うすべての変更に対して、新しいUIフォームを作成し、アプリケーション・インスタンスでその変更を更新する必要があります。新規フォームにより既存のアプリケーション・インスタンスを更新するには、次のようにします。
コネクタをデプロイすると、リソース・バンドルがインストール・メディアのresourcesディレクトリからOracle Identity Managerデータベースにコピーされます。connectorResourcesディレクトリに新しいリソース・バンドルを追加したり、既存のリソース・バンドルに変更を加えた場合は、コネクタ・リソース・バンドルに関連するコンテンツをその都度サーバー・キャッシュから消去する必要があります。
コネクタ・リソース・バンドルに関連するコンテンツをサーバー・キャッシュからクリアするには、次のようにします。
コマンド・ウィンドウでOIM_HOME/server/binディレクトリに切り替えます。
次のいずれかのコマンドを入力します。
ノート:
コンテンツ・カテゴリのキャッシュをパージするには、PurgeCacheユーティリティを使用できます。Microsoft WindowsではPurgeCache.bat
CATEGORY_NAME
、UNIXではPurgeCache.sh
CATEGORY_NAME
を実行します。CATEGORY_NAME
引数は、パージする必要のあるコンテンツ・カテゴリの名前を表します。たとえば、次のコマンドを実行すると、サーバー・キャッシュからメタデータ・エントリがパージされます。
PurgeCache.bat MetaData
PurgeCache.sh MetaData
Microsoft Windows: PurgeCache.bat All
UNIX: PurgeCache.sh All
プロンプトが表示されたら、SYSTEM ADMINISTRATORSグループに属するアカウントのユーザー名とパスワードを入力します。さらに、次の書式でサービスURLを入力するように求められます。
t3://OIM_HOST_NAME:OIM_PORT_NUMBER
この書式の詳細は次のとおりです。
OIM_HOST_NAMEは、Oracle Identity Managerホスト・コンピュータのホスト名またはIPアドレスで置き換えます。
OIM_PORT_NUMBERは、Oracle Identity Managerがリスニングを行うポートで置き換えます。
コンテンツ・カテゴリのキャッシュをパージするには、PurgeCacheユーティリティを使用できます。Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managerの管理のキャッシュのパージに関する項を参照してください。
Oracle Identity ManagerではOracle Diagnostic Logging (ODL)ロギング・サービスを使用して、コネクタに関連するすべてのタイプのイベントを記録します。
次のトピックでは、ロギングについて詳しく説明します。
ロギングを有効化すると、Oracle Identity Managerはプロビジョニングおよびリコンシリエーション操作の過程で発生するイベントについての情報をログ・ファイルに自動的に格納します。
ODLはOracle Identity Managerにより原則的に使用されるロギング・サービスで、java.util.Loggerに基づいています。ロギングを行うイベントのタイプを指定するには、ログ・レベルを次のいずれかに設定します。
SEVERE.intValue()+100
このレベルでは、致命的エラーに関する情報のロギングが有効化されます。
SEVERE
このレベルでは、Oracle Identity Managerの実行を続行できる可能性があるエラーに関する情報のロギングが有効化されます。
WARNING
このレベルでは、障害を引き起こす可能性のある状況に関する情報のロギングが有効化されます。
INFO
このレベルでは、アプリケーションの進行状況を示すメッセージのロギングが有効化されます。
CONFIG
このレベルでは、デバッグに役立つ詳細なイベントに関する情報のロギングが有効化されます。
FINE、FINER、FINEST
これらのレベルでは詳細なイベントに関する情報のロギングが有効化され、FINESTではすべてのイベントに関する情報が記録されます。
表2-3に示すように、これらのログ・レベルはODLのメッセージ・タイプとレベルの組合せにマップされます。
表2-3 ログ・レベルおよびODLメッセージ・タイプ: レベルの組合せ
ログ・レベル | ODLメッセージ・タイプ:レベル |
---|---|
SEVERE.intValue()+100 |
INCIDENT_ERROR:1 |
SEVERE |
ERROR:1 |
WARNING |
WARNING:1 |
INFO |
NOTIFICATION:1 |
CONFIG |
NOTIFICATION:16 |
FINE |
TRACE:1 |
FINER |
TRACE:16 |
FINEST |
TRACE:32 |
OJDLの構成ファイルはlogging.xmlで、これは次のパスにあります: DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/servers/OIM_SERVER/logging.xml
ここで、DOMAIN_HOME
とOIM_SERVER
は、Oracle Identity Managerのインストール時に指定されたドメイン名とサーバー名です。
Oracle WebLogic Serverのロギングを有効化するには、次のようにします。
次のようにしてlogging.xmlファイルを編集します。
ファイル内に次のブロックを追加します。
<log_handler name='idcs-handler' level='[LOG_LEVEL]' class='oracle.core.ojdl.logging.ODLHandlerFactory'>
<property name='logreader:' value='off'/>
<property name='path' value='/scratch/IDCS/Logs/IDCS.log'/>
<property name='format' value='ODL-Text'/>
<property name='useThreadName' value='true'/>
<property name='locale' value='en'/>
<property name='maxFileSize' value='5242880'/>
<property name='maxLogSize' value='52428800'/>
<property name='encoding' value='UTF-8'/>
</log_handler>
<logger name='ORG.IDENTITYCONNECTORS.GENERICSCIM' level='TRACE:32' useParentHandlers='false'> <handler name='idcs-handler'/> <handler name='console-handler'/> </logger>
[LOG_LEVEL]
が出現したら両方を必要なODLのメッセージ・タイプとレベルの組合せに置き換えます。表2-3に、サポートされているメッセージ・タイプとレベルの組合せを示します。
同様に、[FILE_NAME]
を、記録するコネクタ操作に特有のメッセージを記録するログ・ファイルの名前とフルパスに置き換えます。
次のブロックは、[LOG_LEVEL]
および[FILE_NAME]
のサンプル値を示しています。
<log_handler name='idcs-handler' level='TRACE:32' class='oracle.core.ojdl.logging.ODLHandlerFactory'> <property name='logreader:' value='off'/> <property name='path' value='/scratch/IDCS/Logs/IDCS.log'/> <property name='format' value='ODL-Text'/> <property name='useThreadName' value='true'/> <property name='locale' value='en'/> <property name='maxFileSize' value='5242880'/> <property name='maxLogSize' value='52428800'/> <property name='encoding' value='UTF-8'/> </log_handler> </log_handlers> <logger name='ORG.IDENTITYCONNECTORS.GENERICSCIM' level='TRACE:32' useParentHandlers='false'> <handler name='idcs-handler'/> <handler name='console-handler'/> </logger>
Oracle Identity Managerをこれらのサンプル値とともに使用すると、このコネクタに対して生成された、ログ・レベルがNOTIFICATION:1
レベル以上のすべてのメッセージが、指定したファイルに記録されます。
保存してファイルを閉じます。
サーバー・ログをファイルにリダイレクトするには、次の環境変数を設定します。
set WLS_REDIRECT_LOG=FILENAME
export WLS_REDIRECT_LOG=FILENAME
FILENAMEを、出力のリダイレクト先ファイルの場所と名前に置き換えます。
アプリケーション・サーバーを再起動します。
使用する言語に対応するリソース・バンドルを使用して、UIフォーム・フィールド・ラベルをローカライズできます。リソース・バンドルはコネクタ・インストール・メディアに用意されています
UIフォームに追加されるフィールド・ラベルをローカライズするには、次のようにします。
証明書のインポート
Oracle Identity ManagerとOracle Identity Cloud Serviceの間のデータ通信を保護するためにSSLを構成します。
Oracle Identity Cloud Serviceは、クライアント・システムの日付が、SSL証明書(Oracle Identity Cloud Serviceアプリケーションにより発行された証明書)の日付と同期していることを検証します。差異がある場合、ターゲット・システムによりエラーが返される場合があります。クライアント・マシンの日付は証明書のタイムスタンプ範囲と同期されている必要があります。ターゲット・システムからSSL証明書を取得します。
keytoolコマンドを使用して、ターゲット・システムからOracle Identity Managerのアイデンティティ・キーストアにSSL証明書をインポートします。
keytool -import -alias alias -trustcacerts -file file-to-import -keystore keystore-name -storepass keystore-password
この例では、証明書ファイルsupportcert.pem
がパスワードweblogic1
を使用してアイデンティティ・キーストアclient_store.jks
にインポートされます。
keytool -import -alias serverwl -trustcacerts -file supportcert.pem -keystore client_store.jks -storepass weblogic1
ノート:
keytoolコマンドに渡すパラメータ値は、個別の要件に応じて変更してください。keytoolの引数には改行が含まれないようにしてください。