Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Publisherレポート・デザイナーズ・ガイド 11gリリース1 (11.1.1) B63038-04 |
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この付録では、BI PublisherをOracle BI Enterprise Editionと統合する場合に、レポートに使用可能なカスタマイズ機能の使用方法を説明します。
この付録の内容は次のとおりです。
多くのOracle製品は、BI Publisherと統合されて、その製品に必要なレポート機能を提供しています。また、多くの製品には、事前パッケージ済のレポートが用意されています。事前パッケージ済のレポートをカスタマイズするには、次の3つのオプションがあります。
元のレポートのカスタマイズ
Oracle製品で提供されている元のレポートは変更しないことを強くお薦めします。これは、元のレポートを更新するパッチをOracleで提供するときに、すべての変更が上書きされるためです。元のレポートを変更する場合は、パッチで元のレポートが更新されたときにレポートの変更を再適用する必要があります。
コピーしたレポートのカスタマイズ
カスタマイズが上書きされるリスクを回避するために、レポートのコピーを作成し、そのコピーをカスタマイズする方法もあります。このオプションでは、アプリケーションまたはプロセス(Oracle Enterprise Schedulerなど)で元のレポートをコールするかどうかも考慮する必要があります。通常、これらのプロセスはレポートのカタログ・パスでコード化されているため、カスタム・レポートを実行できるようにするには、カタログ内のレポートのカスタマイズされたコピーをポイントするように、コール元のアプリケーション・コードに追加のカスタマイズを加える必要があります。
カスタマイズ機能の使用
事前パッケージ済アプリケーション・レポートのカスタマイズを支援するために、BI Publisherでは「カスタマイズ」機能が用意されています。レポートで「カスタマイズ」オプションを選択すると、BI Publisherでは「カスタム」フォルダにレポートのコピーが作成されます。このカスタム・コピーは内部で元のレポートにリンクされます。レポートのカスタム・コピーをカスタマイズすることで、元のレポートはそのままにしておくことができます。ユーザーが元のレポートを実行するリクエストを開始すると、BI Publisherカタログから実行するか、アプリケーション・プロセスを通じて実行するかにかかわらず、BI Publisherは、カスタマイズ・バージョンを検出し、かわりとなるカスタム・バージョンを実行します。
カスタマイズ機能には次の利点があります。
インプレース・カスタマイズの利便性によく似たカスタマイズ・プロセスが可能になります。BI Publisherでは、コピーおよびマッピングが自動作成されます。
カスタム・レポートを実行するように、コール元のプロセスまたはアプリケーションを編集する必要がなくなります。コピーがカスタマイズされますが、BI Publisherは、元のレポートを実行するリクエストをすべて、代わりとなるカスタム・コピーに自動送信します。
事前パッケージ済のOracleレポートのカスタマイズをパッチで上書きするリスクがなくなります。
この機能の前提条件および制限事項を次に示します。
レポートのカスタマイズ・オプションを有効にするには、次の要件を満たす必要があります。
カタログの要件
BI Publisherでは、Oracle BI Enterprise Editionとの共有カタログを使用する必要があります。
「カスタム」という名前のフォルダを「共有フォルダ」の直下に配置する必要があります。「カスタム」フォルダがアプリケーションによって生成されていない場合は、管理者が作成できます。管理者は、「カスタム」フォルダのBI作成者ロールに書込み権限を付与する必要があります。
カスタマイズするレポートは、「共有フォルダ」の下のフォルダ階層に置く必要があります。「マイ・フォルダ」の下にあるレポートは、この機能を使用してカスタマイズすることはできません。
ユーザー要件
レポートをカスタマイズするユーザーの要件を次に示します。
ユーザーには、BI作成者ロール(またはoracle.bi.publisher.developReport権限を含むロール)を付与する必要があります。
ユーザーには、カタログ内の元のレポートに対する次の権限を付与する必要があります。
読取り
Publisherレポートの実行
ユーザーには、カタログ内の「カスタム」フォルダに対する次の権限を付与する必要があります。
読取り
書込み
ユーザーには、同じデータ・モデルが使用されている場合に、元のレポートのデータ・モデルおよびデータソースへのアクセス権を付与する必要があります。
ユーザーが「カスタム」フォルダ内のレポートを表示するための要件を次に示します。
ユーザーには、BIコンシューマ・ロールを付与する必要があります。
ユーザーには、カタログ内の元のレポートに対する次の権限を付与する必要があります。
読取り
Publisherレポートの実行
ユーザーには、カタログ内の「カスタム」レポートに対する次の権限を付与する必要があります。
読取り
Publisherレポートの実行
ユーザーには、同じデータ・モデルが使用されている場合に、元のレポートのデータ・モデルおよびデータソースへのアクセス権を付与する必要があります。
「カスタマイズ」レポート・オプションの制限事項を次に示します。
「カスタマイズ」オプションは、Oracle BI Enterprise Editionへのアクセスに使用される/analytics
URL(例: http://hostname.com:7001/analytics
)を介して使用することはできません。
/xmlpserver
URL(例: http://hostname.com:7001/xmlpserver
)を介してBI Publisherにアクセスし、「カスタマイズ」オプションを表示する必要があります。
「カスタマイズ」オプションはレポートでのみ使用できます。「カスタマイズ」オプションは、データ・モデル、スタイル・テンプレートまたはサブ・テンプレートでは使用できません。
データ・モデル、スタイル・テンプレートまたはサブ・テンプレートをカスタマイズし、それらをパッチ適用によって変更されないようにするには、前述の項で説明した第2の方法に従います。つまり、データ・モデル、スタイル・テンプレートまたはサブ・テンプレートのコピーを作成して、その名前を変更するか、またはそのコピーをカスタム・ディレクトリに配置します。どのレポートも、カスタマイズされたデータ・モデル、スタイル・テンプレートまたはサブ・テンプレートをポイントするように更新します。
元のレポートおよびフォルダ階層に適用されたセキュリティ付与は、「カスタム」フォルダに作成されたレポートにはコピーされません。「カスタム」フォルダの「カスタマイズ」機能で作成されたレポートおよびフォルダのセキュリティ設定は手動で適用する必要があります。権限の設定の詳細は、第G.3項「カスタマイズ機能の使用」を参照してください。
自身の企業において、Shared Folders/Applications/Financialsの下にあるCustomer Ordersという名前のOracleパッケージ済レポートを使用しているとします。既存のアプリケーション・プロセスでは、このレポートをカタログ内のその現在の場所でポイントしています。この組織では、会社のロゴおよび色スキームを表示する当該レポートにカスタム・レイアウトを追加する必要があります。さらに、レポートをビジネス・プロセスの一部として実行するか、別々にスケジュール化したジョブとして実行するか、またはカタログから直接実行する場合はいつでも、アプリケーション・プロセスでカスタム・レイアウトを実行する必要があります。
カスタマイズ機能を使用するには:
/xmlpserver URLを介してBI Publisher Enterpriseにログインします。カタログ内で使用しているレポートに移動して、図G-1に示すように「カスタマイズ」をクリックします。
BI Publisherは、同じフォルダ階層(Shared Folders/Custom/Applications/Financials)の下にある「カスタム」フォルダにレポートのコピーを作成し、そのレポートのコピーをレポート・エディタ内で開きます。
図G-2は、レポート・エディタ内のカスタム・レポートを示しています。レポート設計者にとってこのプロセスはシームレスです。ここでは、レポートのURLが「カスタム」フォルダ内のレポートを参照していることに注意してください。
このレポートのカスタム・レイアウトを作成して、保存します。「リスト・ビュー」を使用して、レイアウトのプロパティをカスタマイズするか、このレポートのデフォルトとしてカスタム・レイアウトを有効化するか、または元のレイアウトを非アクティブ化して表示しないようにできます。レイアウト・プロパティの設定の詳細は、第2.7.3項「リスト・ビューを使用したレイアウト設定の構成」を参照してください。
セキュリティをカスタム・レポートに適用します。
BI Publisherでは、レポートのカスタム・コピーに同一のフォルダ階層が作成されるものの、カタログ権限は元のフォルダに存在し、レポートがカスタム・レポートまたはフォルダ階層にコピーされることはありません。カタログ権限を手動で再適用し、元のレポートと同様にカスタム・レポートを保護する必要があります。
カタログ権限をレポートに適用するには:
/analytics
URL(例: http:www.example.com:7001/analytics
)を使用してOracle Business Intelligenceにログインし、Oracle Business Intelligenceインタフェースを使用します。
「カスタム」フォルダ内のオブジェクトで権限を設定するためには、適切な権限が付与される必要があります。通常、これには、「カスタム」フォルダでの「フル・コントロール」権限が付与されるロールが必要です。カタログ権限の設定の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionユーザーズ・ガイド』のBIプレゼンテーション・カタログでのオブジェクトの管理に関する項を参照してください。
「カスタマイズ」リンクをクリックすると、レポートおよびフォルダ構造が「カスタム」フォルダにコピーされます。カスタム・レポートは、依然として元のデータ・モデルを参照しています。このデータ・モデルはコピーされません。カスタム・レポートが参照するデータ・モデルは元のデータ・モデルであるため、データ構造を変更した場合に、データ・モデルを更新するOracleパッチが、カスタム・レポートの実行に影響を与える可能性があります。
元のレポートを更新するOracleパッチを適用した場合は、カスタム・レポートはどのような方法においても更新されません。
レポートのカスタム・バージョンが存在する場合は、元のレポートでタスクを実行すると、次のような結果になります。
元のレポートで実行されるタスク | カスタム・レポートが存在する場合の動作 |
---|---|
開く |
カスタム・レポートを開きます。 |
スケジュール |
カスタム・レポートのレポート・ジョブを作成します。 |
編集 |
カスタム・レポートを編集します。 |
削除 |
元のレポート(のみ)を削除します。 |
コピー |
元のレポートをコピーします。 |
カット/ペースト |
元のレポートをカット・アンド・ペーストします。 |
名前の変更 |
元のレポートの名前を変更します。カスタム・レポート名は変更されません。 |
ダウンロード |
カスタム・レポートをダウンロードします。 |
カスタマイズ |
カスタム・レポートを編集します。 |
「カスタム」フォルダ内のレポートにさらに編集を適用する場合は、次のいずれかを実行します。
元のレポートの「カスタマイズ」または「編集」オプションを選択します。このアクションにより、既存のカスタマイズ・レポートが開かれます。
「カスタム」フォルダ内のカスタム・レポートに移動して、「編集」を選択します。
「カスタム」フォルダの下にレポートへのパスと同じフォルダ・パスを手動で作成し、同じ名前のレポートを作成すると、BI Publisherは、その同じ名前のレポートをカスタマイズされたレポートとして処理し、このレポートを元のレポートのかわりに実行します。これは、「カスタマイズ」オプションを使用して作成した場合と同様の動作です。
元のレポートを削除した場合でも、カスタム・レポートは削除されません。カスタム・レポートを削除した場合でも、元のレポートは削除されません。