Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalインストレーション・ガイド 11gリリース1 (11.1.1.7.0) B55910-05 |
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この章では、Oracle WebCenter Portalの概要と、単純な非クラスタ・トポロジにOracle WebCenterをインストールおよび構成するタスクの概要を説明します。内容は次のとおりです。
Oracle WebCenter Portal (Oracle Fusion Middlewareの1製品)は、ポータル、Webサイトおよびコンポジット・アプリケーションの作成用に設計されたコンポーネントの統合スイートです。WebCenter Portalは、Java Server Faces (JSF)の標準ベースの宣言型開発、ポータルの柔軟性とパワー、および統合された一連のWebCenter Web Portalサービスを組み合せて、エンドユーザーの生産性を高めます。WebCenter Portalを介して提供されるコンポーネントのセットを使用して、ソーシャル・アプリケーション、エンタープライズ・ポータル、コンポジット・アプリケーションおよびインターネット、イントラネットWebサイトを作成できます。
WebCenter Portalは、ユーザーがポータルまたはアプリケーションのコンテキストから、インスタント・メッセージング、ドキュメント、コンテンツ管理、ディスカッション・フォーラム、Wiki、ブログ、タグなどのサービスを直接通信することが可能なオープンで拡張可能なソリューションです。このツールおよびサービスによって、ユーザーおよびITが、次世代のコラボレーションが可能なアプリケーションおよびポータルを構築およびデプロイするのが可能になります。
このガイドでは、単純な非クラスタ・トポロジに、Oracle WebCenter Portalをインストールおよび構成する方法について説明します。
現在の環境に最適な開始ポイントから、WebCenter Portalをインストール、アップグレードおよびパッチ適用する手順の詳細は、『Oracle WebCenter Portalインストレーションおよび構成ロードマップ』を参照してください。
WebCenter Portalを他のFusion Middlewareまたはサード・パーティ製品を含む環境にインストールし、WebCenter Portalコンポーネントをこれらの他の製品と連携させて使用するように構成する場合は、『Oracle Fusion Middleware相互運用および互換性ガイド』を参照して、互換性と相互運用性を確認してください。
WebCenterには、インターネットWebサイト、イントラネット、エクストラネットおよびソーシャル・ネットワーキング・アプリケーションを利用している顧客を開拓するための完全な機能を提供するコンポーネントが含まれます。
WebCenter Portalには、ユーザーが迅速にポータル、コミュニティ、ソーシャル・ネットワーキング・サイトを作成することを可能にするツールを備えたOracle WebCenter Portal: SpacesというSpacesアプリケーションがあります。また、WebCenter Portalでは、アプリケーション開発者は、Oracle JDeveloperなどのIDEを使用してWebCenter Portal: Framework アプリケーションやポートレット・プロデューサ・アプリケーションを構築できいます。
WebCenter Portalアプリケーションでは、ユーザーはポートレットや様々なWebCenter Portalサービスを含める選択をすることが可能です。WebCenter Portalアプリケーションで必要な機能に応じ、インストールするWebCenter Portalコンポーネントを選択できます。図1-1では、WebCenter Portalのコンポーネントをハイライト表示しています。
次のWebCenter Portalコンポーネントは、ドメインの作成または拡張中のいずれかにインストールできます。これらのコンポーネントのインストールはオプションです。
Oracle WebCenter Portal: Spacesは、一連の強力なサービスとアプリケーションによって、ソーシャル・ネットーワーク、通信および個人の生産性向上を実現する、統合された単一のWebベース環境を提供します。
Oracle WebCenterサービス・ポートレット
Oracle WebCenterサービス・ポートレットには、事前定義されたすぐに使用できるプロデューサが用意されており、アプリケーション開発者はこれを利用し、WebCenter Portalサービス・タスク・フローをWSRPポートレットまたはページレットとしてOracle Portal、Oracle WebLogic PortalおよびOracle WebCenter Interactionで公開できます。これらのポートレットはWebCenter Portalアプリケーションで使用することは意図していません。
Oracle WebCenterページレット・プロデューサ
Oracle WebCenter Portalのページレット・プロデューサでは、Webリソース(アプリケーション、コンポーネントおよびプログラム可能な機能)の様々なセットを作成および管理し、これらのリソースを既存のWebアプリケーションまたは新しい開発者によるマッシュアップと組み合せる機能を提供します。これによって、多種多様なWebテクノロジ(AJAX、REST、JavaScriptなど)使用してページレットを構築可能になります。
Oracle WebCenter Portalポートレット・プロデューサでは、標準ベースのポートレット(JSR 286、WSRP 1.0および2.0)と、従来のOracle PDK-Javaベースのポートレットの両方のデプロイメントと実行をサポートしています。これには、OmniPortlet、Webクリッピング、WSRPパラメータ・フォーム・ポートレット、サンプルWSRPポートレット・プロデューサおよびサンプルPDK-Javaポートレット・プロデューサという複数の事前構成済ポートレット・プロデューサが含まれています。
Oracle WebCenter Portalディスカッション・サーバーでは、SpacesアプリケーションおよびFrameworkアプリケーションへのディスカッション・フォーラムとお知らせの統合をサポートしています。
Oracle WebCenterアクティビティ・グラフ・エンジン
Oracle WebCenter Portalアクティビティ・グラフ・エンジンは、エンタープライズ・アプリケーションによって収集されるアクション用の中央リポジトリとなります。アクションには、接続の作成、ドキュメントのアップロード、ディスカッション・フォーラムの訪問などのタスクが含まれます。ユーザーは、WebCenter Analyticsによって収集される様々な統計を分析可能になります。WebCenterアクティビティ・グラフによる分析の出力は、オブジェクトおよびユーザーについて収集されたスコアであり、リコメンデーションを示すために使用されます。
Oracle WebCenter Personalization
Oracle WebCenter PortalのPersonalizationは、選択した基準に基づいて対象のユーザーにアプリケーション・コンテンツを配信する機能を提供します。
Oracle WebCenter Analyticsコレクタ
Oracle WebCenter Portal Analyticsコレクタでは、ポータルおよびコンポジット・アプリケーション内のアクティビティとコンテンツの使用に関する包括的なレポートを作成できます。
注意: Frameworkアプリケーションとポートレット・プロデューサ・アプリケーションをデプロイする場合、カスタム管理対象サーバーを作成する必要があります。カスタム管理対象サーバーは、必要なテンプレートを使用しWebCenterドメインを拡張して作成できます。 |
インストール時、WebCenter Portalのドメインを構成する必要があります。基本のドメイン・インフラストラクチャは、1つの管理サーバーと様々なオプションの管理対象サーバーで構成されます。WebCenter Portalでドメインを構成する場合、それが新規ドメインである場合、WebLogic管理サーバーが作成されます。インストールすることを選択したWebLogic Portalコンポーネントによって、様々なWebLogicサーバー・インスタンスが作成され、各コンポーネントは適切な管理対象サーバーにデプロイされます。管理対象サーバーは、Oracleシステム・ライブラリ(JRFライブラリ)とOracle ADFライブラリでプロビジョニングされます。
表1-1に、WebCenter Portalのインストール時に作成される可能性のあるWebLogicサーバー・インスタンスを示します。
表1-1 WebCenter Portalのインストール時に作成されるWebLogic Serverインスタンス
WebLogicサーバー・インスタンス | コンポーネント/ホストされるアプリケーション | 説明 |
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AdminServer |
これがWebLogic管理サーバーです。管理サーバーはWebLogic Serverドメインを管理するための中枢になります。 管理サーバーは、管理コンソールとOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlコンソールをホストします。 |
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Oracle WebCenter Portal: Spaces |
この管理対象サーバーは、WebCenterドメインの作成または拡張時に、Oracle WebCenter Portal: Spacesのインストールを選択すると作成されます。 |
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WebCenter Portalポートレット ページレット・プロデューサ Oracle WebCenterサービス・プロデューサ |
この管理対象サーバーは、WebCenterドメインの作成または拡張時に、Oracle WebCenter Portalページレット・プロデューサ、Oracleポートレット・プロデューサ、Oracle WebCenterサービス・プロデューサのインストールを選択すると作成されます。 |
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Oracle WebCenter Portalのディスカッション・サーバー |
この管理対象サーバーは、WebCenterドメインの作成または拡張時に、Oracle WebCenter Portalディスカッション・サーバーのインストールを選択すると作成されます。 |
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Oracle WebCenter Analyticsコレクタ Oracle WebCenterアクティビティ・グラフ・エンジン Oracle WebCenter Personalization |
この管理対象サーバーは、WebCenterドメインの作成または拡張時に、前の列のいずれかの製品のインストールを選択すると作成されます。 |
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Frameworkアプリケーション |
これは、Frameworkアプリケーションをホストするカスタム・ポータル管理対象サーバーです。Frameworkアプリケーションをデプロイする場合、 |
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ポートレット・プロデューサ・アプリケーション |
これは、ポートレット・プロデューサ・アプリケーションをホストするカスタム・サービス・プロデューサ管理対象サーバーです。ポートレット・プロデューサ・アプリケーションをデプロイする場合、 |
図1-2に、管理サーバーとホスト対象のアプリケーションをピンクで示します。WebCenter Portalのコンポーネントおよびアプリケーションは黄色で、実行される管理対象サーバーは茶色で示します。
図1-3に、単一のホスト上のWebCenter Portalインストールのディレクトリ構造を示します。
WebLogic Serverをインストールすると、インストーラによってMiddlewareホーム・ディレクトリが作成され、その下にWebLogic Serverホーム・ディレクトリが作成されます。図1-3のピンクのボックスは、作成されたディレクトリを示します。インストールしたノード・マネージャは、WebLogic Serverホーム・ディレクトリの下にインストールされます。
WebCenter Portalをインストールすると、同じMiddlewareホーム・ディレクトリの下に、次のディレクトリが作成されます(図1-3の緑のボックス)。
WebCenter Portal Oracleホーム(Oracle_WC1
) - WebCenter Portalのソフトウェア・バイナリを含みます。
Oracle共通ホーム(oracle_common
) - Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware ControlおよびJava Required Files (JRF)に必要なバイナリおよびライブラリ・ファイルを含みます。各Middlewareホームに配置できるOracle共通ホームは1つだけです。
WebCenter Portal OracleホームとOracle共通ホーム・ディレクトリは、両方とも既存のMiddlewareホーム・ディレクトリ内に存在する必要があります。
WebCenter Portalのインストール後、構成ウィザードを使用してWebLogic Serverドメインを構成します。図1-3に、ドメイン・ホームの場所にデフォルト値を使用し新しいドメインを構成すると作成される典型的なディレクトリ構造を示します。
ただし、WebCenterドメイン・ホームとアプリケーション・ホーム・ディレクトリは、システムの任意の場所に作成できます。MiddlewareホームやWebCenter Portal Oracleホームのいずれかにパッチを適用する必要がある場合でも、ドメインとアプリケーション・データの情報を変更しないよう、MiddlewareホームとWebCenter Portal Oracleホーム・ディレクトリの両方の外にこれらのディレクトリを作成することをお薦めします。
表1-2に、WebLogic ServerおよびWebCenter Portalドメインの管理で特に重要な説明とスクリプトを示します。
表1-2 WebLogic ServerおよびWebCenter Portalドメインの管理用のスクリプト
スクリプト | 説明 |
---|---|
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ノード・マネージャを起動します。 ノード・マネージャでは、管理コンソールまたはコマンドラインを使用して管理対象サーバーをリモートで起動または停止できます。 |
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ドメインのWebLogic Serverを起動するよう環境を設定します。デフォルトでは、このスクリプトは |
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ドメインのWebLogic Serverを起動します。 |
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ドメインのWebLogic Serverを停止します。 |
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ドメインの管理対象サーバーを起動します。 |
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ドメインの管理対象サーバーを停止します。 |
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WebLogic Scripting Tool (WLST)では、WebCenter Portalのコマンドを実行できます。これらのコマンドを使用すると、コマンドラインからWebCenter Portalアプリケーションを構成できます。 |
図1-4では、WebCenter Portalのインストールおよび構成における高レベルなタスクを示します。フロー・チャートで必要なタスクをクリックするとタスクの完了方法の情報が示されますが、表1-3で様々なタスクの説明を参照することも可能です。表1-3には、タスクが必須であるかオプションであるかということ、また各タスクの詳細が記載されたドキュメントへのリンクを示します。
表1-3 単純なトポロジへのOracle WebCenter Portalのインストール
タスク | 説明 | 必須/オプション | ドキュメント |
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インストール前のタスク |
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システム要件の確認 |
環境がWebCenter Portalの最小インストール要件を満たしていることを確認します。 |
必須 |
次のリンクを参照してください。
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データベースのインストールおよび構成 |
サポートされているデータベースが起動され、動作中であることを確認します。Oracle WebCenterは、サポート対象のバージョンのOracle Database、Microsoft SQL ServerおよびIBM DB2のいずれのデータベースにもインストールできます。 |
必須 |
次のリンクを参照してください。
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スキーマの作成 |
RCUを使用し、 注意: IBM DB2データベースを使用している場合、RCUを実行する前にオペレーティング・システム・ユーザーを各スキーマに1人作成していることを確認してください。 |
必須 |
次のタスクの詳細は、リンクを参照してください。
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Oracle WebLogic Serverのインストール |
WebCenter PortalではOracle WebLogic Serverが必要です。WebLogic Serverをインストールすると、Middlewareホームも作成されます。WebCenter Portalのインストール時には、このMiddlewareホームを使用します。 注意: WebLogic Serverを64ビットのJDKを使用し、64ビットのプラットフォームにインストールする場合、WebLogic Serverのインストール前に64ビットのJDKをインストールする必要があります。 |
必須 |
次のタスクの詳細は、リンクを参照してください。
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インストール・タスク |
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WebCenter Portalのインストール |
WebCenter Portalソフトウェアをダウンロードします。 インストーラを使用しWebCenter Portalをインストールします。インストーラによって、すべてのWebCenter Portal製品のバイナリが配置されます。 |
必須 |
WebCenter Portalのインストール |
必要に応じたその他のFusion Middleware製品のインストール |
要件に応じ、次などのその他のOracle Fusion Middleware製品をインストールします。
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オプション |
次のタスクの詳細は、リンクを参照してください。
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WebCenter Portal用のドメインの構成 |
WebCenter Portalのドメインを作成して、インストールするコンポーネントを選択します。 |
必須 |
WebCenter Portalの構成 |
WebCenter Portalドメインの拡張 |
WebCenter Portalドメインの作成時に、1つ以上のWebCenter Portalコンポーネントを構成しない場合は、後でWebCenter Portalドメインを拡張することで追加できます。 組織でFrameworkアプリケーションとポートレット・プロデューサ・アプリケーションを使用する計画がある場合、これらのアプリケーションをデプロイするためにカスタム管理対象サーバーを作成してドメインを拡張する必要があります。 ドメインは、WebCenter Portalを初めて構築した直後でなくてもいつでも拡張できます。 |
オプション |
次のためにドメインを拡張します。
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インストール後のタスク |
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サーバーの起動 |
WebCenter Portalを起動するには、最初に管理サーバーを起動する必要があります。管理対象サーバーの共通の操作を実行するため、ノード・マネージャを構成した場合、ノード・マネージャを起動します。 WebCenter Portalコンポーネントの使用を開始するには、そのコンポーネントがデプロイされた管理対象サーバーをまず起動する必要があります。その後は、そのコンポーネントのURLにアクセスし、要件に従ってコンポーネントを構成することができます。 |
必須 |
次のタスクの詳細は、リンクを参照してください。
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セキュリティ・コンポーネントのインストールと構成 |
外部のLDAPベースの認証プロバイダをインストールし、WebCenter Portalで使用するよう構成します。WebCenter Portalはデフォルトで、本番環境には推奨されないOracle WebLogic Serverに組込みのLDAPアイデンティティ・ストアを使用します。 Oracle WebCenter Content Serverおよびディスカッションには、外部のLDAPベースのIDストアが必須です。Oracle WebCenter Content Serverとの統合には、シングル・サインオン(SSO)を構成することをお薦めします。 |
本番環境では必須 |
次のリンクを参照してください。
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Oracle WebCenter Content Serverのドメインの構成 |
Oracle WebCenter Content ServerのWebCenter Portalのコンテンツ・リポジトリとしての構成 Oracle PortalとMicrosoft SharePointのその他のコンテンツ・リポジトリの構成も選択可能です。 |
必須 (Oracle WebCenter Contentはコンテンツ・プレゼンテータでは必須、ドキュメント・サービスとSpacesアプリケーションでは推奨です)。 |
コンテンツ・リポジトリの構成の詳細は、次のリンクを参照してください。
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WebCenter Portalサービスのその他のバックエンド・コンポーネントのインストール、構成および接続 |
開発者およびアプリケーション・ユーザーは、WebCenter PortalサービスにFrameworkアプリケーションおよびSpacesアプリケーションを統合できます。特定のサービスは、メール・サービスがMicrosoft Exchange Serverなどのメール・サーバーに依存するおうに、バックエンド・コンポーネントに依存します。WebCenter Portalアプリケーションにサービスを統合できるようにするには、必要なバックエンド・コンポーネントをインストールして構成する必要があります。 Spacesには、スペース・メンバーシップ通知やスペース・サブスクリプション・リクエストなどのための、あらかじめ構築されたいくつかのワークフローが用意されています。これらを有効にするには、Business Process Execution Language(BPEL)サーバーをインストールして構成する必要があります。 |
オプション |
WebCenter Portalサービスのバックエンド・コンポーネントのインストールおよび構成については、次を参照してください。
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