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Oracle® Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド
11g リリース1 (11.1.1)
B62260-04
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19 バージョン管理の使用

この章では、Oracle Data Integratorでのバージョン管理の使用方法について説明します。

Oracle Data Integratorは、変更を管理および保護するための包括的なシステムを提供します。バージョン管理システムでは、開発されたオブジェクト(プロジェクト、モデルなど)のフラグが自動設定され、「新規」または「変更」といったこれらのオブジェクトのステータスが示されます。また、これらのオブジェクトを固定のチェックポイントの時点でバックアップし、後でこれらのチェックポイントからリストアできます。これらのチェックポイントは、個別のオブジェクトについてはバージョンの形式で、またオブジェクトの一貫性グループについてはソリューションの形式で作成されます。


注意:

Oracle、Hypersonic SQLおよびMicrosoft SQL Serverなどのデータベース・エンジンにインストールされたマスター・リポジトリについては、バージョン管理がサポートされています。バージョン管理をサポートしている認証済データベース・エンジンの全リストについては、次の場所にあるOTNのプラットフォーム認証ドキュメントを参照してください: http://www.oracle.com/technology/products/oracle-data-integrator/index.html


この章では、次の項目について説明します。

19.1 オブジェクト・フラグの使用

デザイナ・ナビゲータでオブジェクトが作成または変更されると、ツリーの中のオブジェクト・アイコン上にオブジェクトのステータスを示すフラグが表示されます。表19-1ではこれらのフラグをリストしています。

表19-1 オブジェクト・フラグ

フラグ 説明

挿入済アイコン


オブジェクト・ステータスは挿入済です。

「更新済」アイコン


オブジェクト・ステータスは「更新済」です。


オブジェクトが挿入、更新または削除されると、その親オブジェクトは再帰的に「更新済」としてフラグが指定されます。たとえば、パッケージにステップが挿入された場合、このステップは挿入済としてフラグが指定され、このステップが含まれるパッケージ、フォルダおよびプロジェクトは、「更新済」としてフラグが指定されます。

オブジェクト・バージョンがチェック・インされると(詳細は19.2項「バージョンの使用」を参照)、このオブジェクトのフラグはリセットされます。

19.2 バージョンの使用

バージョンとは、オブジェクトのバックアップ・コピーです。バージョンは指定の時間にチェック・インされ、後でリストアできます。バージョンはマスター・リポジトリに保存され、「オブジェクト」ウィンドウの「バージョン」タブに表示されます。

次のオブジェクトはバージョンとしてチェック・インできます。

バージョンのチェック・イン

バージョンをチェック・インするには:

  1. バージョンをチェック・インするオブジェクトを選択します。

  2. 右クリックして、「バージョン」「作成」の順に選択します。

  3. 「作成」ダイアログで、「前のバージョン」(>>)をクリックし、すでにチェック・インされているバージョンのリストを開きます。

  4. 「バージョン」フィールドでバージョン番号が自動生成されます。必要に応じてこのバージョン番号を変更します。

  5. 「説明」フィールドにこのバージョンの詳細を入力します。

  6. 「OK」をクリックします。

バージョンがチェック・インされると、オブジェクトのフラグがリセットされます。

オブジェクトの前のバージョンの表示

オブジェクトの前のバージョンを表示するには:

オブジェクトの編集時、「バージョン」タブには、チェック・イン済バージョン、チェック・イン日およびチェック・イン操作を実行したユーザーの名前のリストが表示されます。

バージョンのリストア

バージョンをリストアするには:

  1. バージョンをリストアするオブジェクトを選択します。

  2. 右クリックして、「バージョン」「リストア」の順に選択します。

  3. 「リストア」ダイアログに、既存のバージョンのリストが表示されます。

  4. リストアするバージョンを選択し、「OK」をクリックします。

  5. 「OK」をクリックしてリストア操作を確認します。


警告:

バージョンのリストアは元に戻せません。現在のオブジェクトは完全に消去され、選択したバージョンで置き換えられます。


バージョンの参照

バージョンを参照するには:

Oracle Data Integratorに組み込まれたバージョン・ブラウザというツールは、リポジトリに格納されたバージョンの表示に使用されます。

  1. メイン・メニューから、「ODI」「バージョン・ブラウザ」の順に選択します。

  2. オブジェクトの「タイプ」ドロップダウン・リストおよびオブジェクトの「名前」ドロップダウン・リストを使用して、バージョン・リストを表示する対象オブジェクトをフィルタリングします。

「バージョン・ブラウザ」から、バージョンのリストア、XMLファイル形式でのバージョンのエクスポートまたは既存のバージョンの削除が可能です。


注意:

バージョン・ブラウザには、バージョン・ブラウザを開いたときに存在するバージョンが表示されます。「リフレッシュ」をクリックすると、それ以降に作成された新しいバージョンがすべて表示されます。


バージョン・ブラウザによるバージョンの削除

バージョン・ブラウザによりバージョンを削除するには:

  1. バージョン・ブラウザを開きます。

  2. 削除するバージョンを選択します。

  3. 右クリックして、「削除」を選択します。

バージョンが削除されます。

バージョン・ブラウザによるバージョンのリストア

バージョン・ブラウザによりバージョンをリストアするには:

  1. バージョン・ブラウザを開きます。

  2. リストアするバージョンを選択します。

  3. 右クリックして、「リストア」を選択します。

  4. 「OK」をクリックしてリストア操作を確認します。

バージョンはリポジトリにリストアされます。

バージョン・ブラウザによるバージョンのエクスポート

バージョン・ブラウザによりバージョンをエクスポートするには:

この操作では、バージョンをリストアせずにファイルにエクスポートします。このエクスポート内容は別のリポジトリにインポートできます。


注意:

バージョンをエクスポートすると、バージョンに含まれるオブジェクトがエクスポートされ、バージョン情報はエクスポートされません。これにより、旧バージョンを実際にリポジトリにリストアせずにエクスポートできます。


  1. バージョン・ブラウザを開きます。

  2. エクスポートするバージョンを選択します。

  3. 右クリックして、「エクスポート」を選択します。

  4. 「エクスポート・ディレクトリ」を選択し、「エクスポート名」を指定します。既存のエクスポート・ファイルを確認なしで消去するには、「既存のファイルを警告なしで置換します」を選択します。

  5. 「OK」をクリックします。

バージョンは指定の場所にエクスポートされます。

19.3 バージョン比較ツールの使用

Oracle Data Integratorには、包括的なバージョン比較ツールが用意されています。このグラフィカル・ツールは、オブジェクトの2種類のバージョンを表示して比較するためのものです。

バージョン比較ツールには、次の機能が備わっています。

19.3.1 2つのバージョンの差異の表示

オブジェクトの特定の2つのバージョンにおける差異を表示するには、バージョン比較ツールを開きます。

バージョン比較ツールを開くには、次の3つの方法があります。

「プロジェクト」ツリーでオブジェクトを選択する方法

  1. デザイナ・ナビゲータの「プロジェクト」ツリーで、バージョンを比較するオブジェクトを選択します。

  2. オブジェクトを右クリックします。

  3. 「バージョン」「バージョンの比較」の順に選択します。

  4. 「バージョンの比較」エディタで、オブジェクトの現在のバージョンの比較対象となるバージョンを選択します。

  5. 「OK」をクリックします。

  6. バージョン比較ツールが開きます。

オブジェクトの「バージョン」タブを使用する方法

  1. デザイナ・ナビゲータで、バージョンを比較するオブジェクトのオブジェクト・エディタを開きます。

  2. 「バージョン」タブに移動します。

    「バージョン」タブには、このオブジェクトについて作成されたすべてのバージョンのリストが表示されます。このリストには、作成日、バージョンを作成したユーザーの名前および説明(指定した場合)も示されます。

  3. <CTRL>キーを押したまま、比較する2つのバージョンを選択します。

  4. 右クリックして「比較」を選択します。

  5. バージョン比較ツールが開きます。

バージョン・ブラウザを使用する方法

  1. メイン・メニューから、「ODI」「バージョン・ブラウザ」の順に選択します。

  2. 比較する2つのバージョンを選択します。比較できるのは同一オブジェクトのバージョンのみである点に注意してください。

  3. 右クリックして「比較」を選択します。

  4. バージョン比較ツールが開きます。

バージョン比較ツールでは、2つのバージョンの差異が示されます。左ペインには選択したオブジェクトの新しいバージョン、右ペインには旧バージョンが表示されます。

差異は色でハイライト表示されます。次の色コードが適用されます。

説明

白(デフォルト)

変更なし

削除済

追加済/新規

オブジェクト変更済

フィールド変更済(このフィールド内の値は変更されています)



注意:

いずれかのバージョンに1つのオブジェクトが存在しない場合(削除された場合など)、(空の値により)空のオブジェクトとして表されます。


19.3.2 比較フィルタの使用

オブジェクトのバージョンが作成された後は、バージョン比較ツールを様々な時点で使用できます。

バージョンの作成またはチェック・インについては、バージョンの使用のトピックで説明しています。

バージョン比較ツールには、比較結果をカスタマイズする2種類のフィルタが用意されています。

  • オブジェクト・フィルタ: 対応するチェック・ボックス(「新規」「削除済」「変更」または変更なし、あるいはそのすべて)を選択して、新規追加オブジェクト、削除済オブジェクト、変更済オブジェクトまたは変更なしのオブジェクトのいずれを表示するか、あるいはそのすべてを表示するかを決定できます。

  • フィールド・フィルタ: 対応するチェック・ボックス(「新規」「削除済」「変更」または変更なし、あるいはそのすべて)を選択して、新規追加フィールド、削除済フィールド、変更済フィールドまたは変更なしのフィールドのいずれを表示するか、あるいはそのすべてを表示するかを決定できます。

19.3.3 比較結果レポートの生成および印刷

デザイナ・ナビゲータで比較結果のレポートを生成するには:

  1. バージョン比較ツールで、プリンタ・アイコンをクリックします。

  2. 「レポート生成」ダイアログで、ニーズに応じて「オブジェクト」および「フィールド・フィルタ」を設定します。

  3. 「PDFファイルの場所」フィールドで、レポートの書込み先となるファイル名を指定します。パスを指定しない場合、ファイルはPDFファイルのデフォルト・ディレクトリに書き込まれます。これはユーザー・プリファレンスです。

  4. ファイルの生成後にこれを表示する場合、「ファイルを生成後に開きますか。」の横のボックスを選択します。

    生成されたレポートをAcrobat® Reader(tm)で表示するには、「ファイルを生成後に開きますか。」を選択します。


    注意:

    生成されたレポートを表示するために、ユーザー・パラメータでAcrobat® Reader(tm)の場所を指定する必要があります。詳細は、付録B「ユーザー・パラメータ」を参照してください。


  5. 「生成」をクリックします。

ステップ0で指定したファイルに、Adobe(tm) PDF形式のレポートが書き込まれます

19.4 ソリューションの使用

ソリューションは、包括的で一貫性のある、オブジェクトの相互依存したバージョンのセットです。他のオブジェクトと同様、ソリューションはバージョンとして指定の時間にチェック・インし、後日リストアできます。ソリューションはマスター・リポジトリに保存されます。1つのソリューションが、そのソリューションの要素と呼ばれるバージョンのグループを構築します。

ソリューションは相互参照を使用して自動的に構築されます。相互参照のスキャンによって、ソリューションには特定のオブジェクトに必要なすべての従属オブジェクトが自動的に組み込まれます。たとえば、ソリューションにプロジェクトを追加すると、このプロジェクトのインタフェースで使用されるすべてのモデルのバージョンが自動的にチェック・インされ、ソリューションに追加されます。ソリューションとの間で要素を手動で追加したり削除することもできます。

ソリューションは、デザイナ・ナビゲータおよびオペレータ・ナビゲータの「ソリューション」アコーディオンに表示されます。

次のオブジェクトをソリューションに追加できます。

ソリューションを作成するには:

  1. デザイナ・ナビゲータまたはオペレータ・ナビゲータの「ソリューション」ツールバー・メニューから、「新規ソリューション」を選択します。

  2. ソリューション・エディタで、ソリューションの「名前」および「説明」を入力します。

  3. 「ファイル」メニューから「保存」を選択します。

結果のソリューションは、要素を追加できる空のシェルです。

19.4.1 ソリューションにおける要素の使用

この項では、ソリューションの要素を使用する際に実行できる様々なアクションについて説明します。

要素の追加

要素を追加するには、ソリューション・エディタでツリーから「要素」リストにオブジェクトをドラッグします。Oracle Data Integratorでは相互参照がスキャンされ、この要素が正しく作用するために必要な「必須要素」が追加されます。追加対象オブジェクトが前回のバージョンのチェック・イン以降に挿入または更新されている場合、これらのオブジェクトの新規バージョンを作成するよう促されます。

要素の削除

ソリューションから要素を削除するには、「要素」リストで削除する要素を選択し、「削除」ボタンをクリックします。この要素はリストに表示されなくなります。オブジェクトの既存のチェック・イン済バージョンは影響されません。

オブジェクトのロールバック

オブジェクトをソリューションに格納されたバージョンにロールバックするには、リストアする要素を選択して「リストア」ボタンをクリックします。選択した要素はすべてソリューションのバージョンからリストアされます。

19.4.2 ソリューションの同期化

ソリューションを同期化すると、ソリューションに含まれていない必須要素が自動的に追加され、変更済の要素の新規バージョンが作成され、さらに不要な要素が自動削除されます。同期化プロセスでは、リポジトリに格納された要素(プロジェクト、モデルなど)によって、ソリューションのコンテンツが最新の状態になります。

ソリューションを同期化するには:

  1. 同期化するソリューションを開きます。

  2. 「要素」セクションのツールバー・メニューで「同期化」をクリックします。

  3. Oracle Data Integratorでは相互参照がスキャンされます。相互参照によってソリューションが最新であることが示された場合、メッセージが表示されます。最新でない場合は、ソリューションとの間で追加または削除する要素のリストが表示されます。これらの要素は、プリンシパル要素(手動で追加されます)、必須要素(プリンシパル要素によって直接的または間接的に参照されます)および未使用の要素(プリンシパル要素では参照されません)にグループ化されます。

  4. 「同意」ボックスを選択し、必須要素をバージョニングして含めるか、未使用の要素を削除します。

  5. 「OK」をクリックしてソリューションを同期化します。新規バージョンの作成を必要とする要素について、バージョン作成の各ウィンドウが表示される場合があります。

ソリューション・コンテンツを最新の状態に保つには、ソリューションを定期的に同期化する必要があります。また、これはソリューション・バージョンをチェック・インする前に行う必要があります。

19.4.3 ソリューションのリストアとチェック・イン

ソリューション・バージョンをチェック・インおよびリストアする手順は、単一要素に使用する方法に類似しています。詳細は、19.2項「バージョンの使用」を参照してください。

オペレータ・ナビゲータまたはデザイナ・ナビゲータでソリューションをリストアし、シナリオを本番にインポートすることもできます。

ソリューションからシナリオをリストアするには:

  1. ソリューションをダブルクリックし、ソリューション・エディタを開きます。

  2. 「プリンシパル要素」または「必須要素」セクションからシナリオを選択します。プロジェクトおよびインタフェースなどのその他の要素はリストアできないので注意してください。

  3. 「要素」セクションのツールバー・メニューで「リストア」をクリックします。

「シナリオ」タブでシナリオにアクセスできるようになりました。

バージョン・ブラウザを使用してシナリオをリストアすることもできます。バージョン・ブラウザによるバージョンのリストアを参照してください。


注意:

ソリューションをリストアする場合、ソリューション内の要素は自動的にリストアされません。これらの要素はソリューション・エディタから手動でリストアする必要があります。


19.4.4 ソリューションのインポートとエクスポート

ソリューションは、Oracle Data Integratorのその他のオブジェクトと同様にエクスポートおよびインポートできます。エクスポート/インポートは、マスター・リポジトリどうしのソリューションの転送に使用します。詳細は、第20章「エクスポート/インポート」を参照してください。