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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server診断フレームワークの構成と使用
11g リリース1(10.3.6)
B60994-04
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4 WLDF構成について

WebLogic診断フレームワーク(WLDF)では、WebLogic Serverインスタンスおよびサーバー・インスタンスにデプロイされたアプリケーションから診断データを生成、収集、解析、永続化できます。サーバー・スコープの診断では、一部のWLDF機能は、ドメイン内のサーバーの構成の一部として構成されます。その他の機能は、サーバー(またはクラスタ)をターゲットとするシステム・リソース記述子として構成されます。アプリケーション・スコープの診断では、診断機能は、アプリケーションのリソース記述子として構成されます。

次の項では、WLDF構成の概要について説明します。

WebLogic Serverドメイン構成の一般情報は、『Oracle WebLogic Serverドメイン構成の理解』を参照してください。

構成MBeanとXML

他のWebLogic Serverサブシステムと同様に、WLDFは構成MBean(マネージドBean)を使用して構成され、構成はXML構成ファイルに永続化されます。構成MBeanは、XMLファイルの構成設定に基づいて、起動時にインスタンス化されます。MBean属性の値を変更して構成を変更すると、それらの変更内容はXMLファイルに保存(永続化)されます。

構成MBeanの属性は構成XML要素に直接マップされます。たとえば、WLDFInstrumentationBeanのEnable属性は診断モジュールのための資源記述子ファイル(構成ファイル)で直接<instrumentation>要素の<enabled>下位要素にマップします。MBean属性の値を変更した場合、構成を保存するときにXML要素の内容も変更されます。反対に、構成ファイルのXML要素を直接編集した場合(推奨されません)、MBean値の変更は次のセッションが開始するときに有効になります。

WLDF構成MBeansの詳細は、「WLDF構成MBeanとXML要素へのマッピング」を参照してください。WebLogic ServerでどのようにMBeanが実装され、使用されるかの一般情報は、『Oracle WebLogic Server JMXによるカスタム管理ユーティリティの開発』のWebLogic Server MBeansについてに関する項を参照してください。

WLDFの構成用ツール

他のWebLogic Serverサブシステムと同様に、WLDFの構成には、以下のような複数の方法があります。

WLDF構成の区分

WLDFを使用すると、サーバー・インスタンス(とクラスタ)およびアプリケーションに対して診断タスクを実行できます。

サーバー・レベルの構成

以下のコンポーネントは、ドメインのサーバー・インスタンスの一部として構成します。構成設定はMBeanを使用して制御され、ドメインのconfig.xmlファイルに永続化されます。

  • 診断イメージ・キャプチャ

  • 診断アーカイブ

「診断イメージ・キャプチャと診断アーカイブの構成」を参照してください。

以下のWLDFコンポーネントは、1つまたは複数のサーバー・インスタンス(またはクラスタ)にデプロイできる、1つまたは複数の診断システム・モジュールまたはリソースの一部として構成します。これらの構成設定はBeanを使用して構成され、1つまたは複数のサーバー・インスタンス(またはクラスタ)に対してターゲット指定できる、1つまたは複数の診断リソース記述子ファイル(構成ファイル)に永続化されます。

  • ハーベスタ(メトリック収集用)

  • 監視および通知

  • インストゥルメンテーション

「診断システム・モジュールの構成」を参照してください。

アプリケーション・レベルの構成

WLDFインストゥルメンテーション・コンポーネントは、サーバー・レベルだけでなくアプリケーション・レベルでも使用できます。インストゥルメンテーション・コンポーネントは、アプリケーション・アーカイブ・ファイルのアプリケーションでデプロイされたリソース記述子ファイルで構成されます。「アプリケーション用の診断モジュールの構成」を参照してください。

診断イメージ・キャプチャと診断アーカイブの構成

ドメインのconfig.xmlファイルでは、<server-diagnostic-config>要素の診断イメージ・キャプチャ・コンポーネントおよび診断アーカイブ・コンポーネントを構成します。<server-diagnostic-config>要素はドメインの子要素です。例を例4-1に示します。

例4-1 ドメインのconfig.xmlファイルにあるWLDF構成情報のサンプル

<domain>
  <server>
    <name>myserver</name>
    <server-diagnostic-config>
      <image-dir>logs/diagnostic_images</image-dir>
      <image-timeout>3</image-timeout>
      <diagnostic-store-dir>data/store/diagnostics</diagnostic-store-dir>
      <diagnostic-data-archive-type>FileStoreArchive
      </diagnostic-data-archive-type>
    </server-diagnostic-config>
  </server>
  <!-- Other server elements to configure other servers in this domain -->
  <!-- Other domain-based configuration elements, including references to 
       WLDF system resources, or diagnostic system modules. 
       See Example 4-2. -->
</domain>

注意:

WebLogic ServerがOracle JRockitと構成されているとき、JRockitフライト・レコーダが有効である場合、診断イメージ・キャプチャには、WebLogic Serverイベントを含むJRockitフライト・レコーダ(JFR)ファイルを含められます。JFRファイルは「JRockit Mission Control」で表示できます。

詳細については、次を参照してください。

JRockitフライト・レコーダ用の診断イメージ・キャプチャの構成

WebLogic ServerがOracle JRockit R28以降で構成されていて、JRockitフライト・レコーダが明示的に無効にされていない場合、JFRファイルが診断イメージ・キャプチャに自動で含まれます。JFRファイルは、有効な状態にあるすべてのイベント・プロデューサからのデータを含みます。ただし、JFRに含まれるWebLogic Serverイベント・データ量はWLDF診断ボリュームの構成により決定されます。


注意:

デフォルトでは、WLDF診断ボリュームはに設定されています。

WebLogic Serverのイベント・データをJFRファイルに含めるには:

  1. WebLogic ServerがWebLogic Serverのインストール・プログラムから使用可能であるOracle JRockit R28で構成されていることを確認してください。

    詳細は、『Oracle WebLogic Serverインストレーション・ガイド』を参照してください。

  2. JRockitでJFRフライト記録が無効になっていないことを確認します。

    Oracle JRockitのデフォルト・インストールでは、フライト・レコーダはデフォルトのデータ収集モードで動作します。JVMイベントをJFRファイルに含めるのにJRockitの設定は必要ありません。

    詳細は、『Oracle JRockitフライト・レコーダ・ラン・タイム・ガイド』を参照してください。

  3. WLDF診断ボリュームを適切に設定します。一般的な使用には、低いのデフォルト設定をお薦めします。ただし、ボリュームをまたは高いに設定することにより、生成されるWebLogic Serverイベント・データのボリュームを適切に増加できます。

    WLDF診断ボリュームの設定は、JVMなどの他のイベント・プロデューサに記録したデータには影響しません。

    詳細は、Oracle WebLogic Server管理コンソール・ヘルプのWLDF診断ボリュームの構成に関する項を参照してください。


注意:

WLDF診断ボリュームがOffに設定し、フライト・レコーダが明示的に無効にされていない場合、JFRファイルは引き続きJVMイベント・データを含み、常に診断イメージ・キャプチャに含まれます。

診断システム・モジュールの構成

インストゥルメンテーション、ハーベスタ、監視と通知の各コンポーネントをサーバー・レベルで構成して使用するには、「診断システム・モジュール」というシステム・リソースをあらかじめ作成する必要があります。診断システム・モジュールには、これらのすべてのコンポーネントの構成が含まれます。以下の点に注意してください。次の点に留意してください:

診断システム・モジュールとそのリソース記述子

診断システム・モジュールは管理コンソールまたはWebLogic Scripting Tool (WLST)を使用して作成します。診断システム・モジュールはWLDFResourceBeanとして作成され、構成はDIAG_MODULE.xmlというリソース記述子ファイル(構成ファイル)に永続化されます。DIAG_MODULEは診断モジュールの名前です。記述子ファイル名は指定できますが、必須ではありません。ファイル名を付けなかった場合、記述子ファイルの<name>要素の値を基に名前が付けられます。デフォルトでは、ファイルはDOMAIN_NAME \config\diagnostics directoryディレクトリに作成されます。DOMAIN_NAMEは、ドメインのホーム・ディレクトリ名です。ファイルには、.xml拡張子があります。


注意:

診断モジュールはdiagnostics.xsdスキーマに準拠しています。このスキーマは、http://xmlns.oracle.com/weblogic/weblogic-diagnostics/1.0/weblogic-diagnostics.xsdで参照できます。

診断システム・モジュールの作成手順は、Oracle WebLogic Server管理コンソール・ヘルプ診断システム・モジュールの作成に関する項を参照してください。

config.xmlからの診断システム・モジュールの参照

管理コンソールまたはWebLogic Scripting Tool (WLST)を使って診断システム・モジュールを作成すると、WebLogic Serverは、DOMAIN_NAME/config/diagnosticsディレクトリに診断システム・モジュールを作成します。また、ドメインのconfig.xmlファイルに、モジュールへの参照が追加されます。


注意:

XML構成ファイルを直接記述しないことをお薦めします。直接記述する必要がある場合は、まず、コンソールから診断モジュールを作成してください。それにより、コンソールが作成する有効なXMLを利用できます。詳細は、Oracle WebLogic Server管理コンソール・ヘルプ診断システム・モジュールの作成に関する項を参照してください。

config.xmlファイルでは、1つまたは複数の<wldf-system-resource>要素を使って診断モジュールへの参照を複数指定できます。<wldf-system-resource>要素には、診断モジュール・ファイル名、およびその診断モジュールのターゲットとなるサーバーとクラスタのリストが含まれます。

例4-2では、myserverサーバーをターゲットにしたmyDiagnosticModuleというモジュールに加え、ManagedServer1およびManagedServer2のサーバーをターゲットとするたnewDiagnosticModというモジュールの例を示します。

例4-2 ドメインのconfig.xmlファイルにあるWLDF構成情報のサンプル

<domain>
  <!-- Other domain-level configuration elements --> 
  <wldf-system-resource 
         xmlns="http://xmlns.oracle.com/weblogic/weblogic-diagnostics">
    <name>myDiagnosticModule</name>
    <target>myserver</target>
    <descriptor-file-name>diagnostics/MyDiagnosticModule.xml
    </descriptor-file-name>
    <description>My diagnostic module</description>
  </wldf-system-resource>
  <wldf-system-resource>
    <name>newDiagnosticMod</name>
    <target>ManagedServer1,ManagedServer2</target>
    <descriptor-file-name>diagnostics/newDiagnosticMod.xml
    </descriptor-file-name>
    <description>A diagnostic module for my managed servers</description>
  </wldf-system-resource>
<!-- Other WLDF system resource configurations -->
</domain>

config.xmlファイルとMyDiagnosticModule.xmlファイルの関係を図4-1に示します。

図4-1 config.xmlとシステム記述子ファイルとの関係

図4-1の説明が続きます
「図4-1 システム記述子ファイルへのconfig.xmlの関係」の説明

DIAG_MODULE.xmlリソース記述子の構成

診断システム・モジュールの名前とターゲットのリストは、前述のようにconfig.xmlファイルに記述されますが、それ以外の診断システム・モジュールに関する構成は、すべてリソース記述子ファイルに保存されます。例4-3 はmyDiagnosticModuleという診断システム・モジュールのための記述子ファイルの一部を示します。

例4-3 診断システム・モジュール記述子ファイルMyDiagnosticModule.xmlのサンプル構造

<wldf-resource xmlns="http://xmlns.oracle.com/weblogic/weblogic-diagnostics" 
   xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" 
   xsi:schemaLocation="http://xmlns.oracle.com/weblogic/weblogic-diagnostics/1.0/weblogic-diagnostics.xsd">
  <name>MyDiagnosticModule</name>
  <instrumentation>
    <!-- Configuration elements for zero or more diagnostic monitors -->
  </instrumentation>
  <harvester>
    <!-- Configuration elements for harvesting metrics from zero or more 
         MBean types, instances, and attributes -->
  </harvester>
  <watch-notification>
    <!-- Configuration elements for one or more watches and one or more 
         notifications-->
  </watch-notification>
</wldf-resource>

診断システム・モジュールの管理

1つのサーバーをターゲットにできるモジュールは一度に1つだけですが、診断システム・モジュールは、0個、1つ、または複数のサーバーまたはクラスタをターゲットにできます。システムの様々な側面をモニターするために、複数のモジュールを作成できます。複数のモジュールを作成した場合、その時にモニターする内容を基に、サーバーまたはクラスタをターゲットにするモジュールを選択できます。

同じモジュールで複数のサーバーまたはクラスタをターゲットにできるので、ドメイン内全体で使用する汎用モジュールを作成できます。

診断モジュールのターゲットを変更した場合でも、ターゲット指定したサーバーまたはターゲット指定を解除したサーバーを再起動する必要はありません。これにより、特定の診断目的に対応する診断モニターを柔軟に作成および使用できます。また、その際、サーバー・インスタンス自体の操作が妨げられることはありません。

アプリケーション用の診断モジュールの構成

アプリケーションの診断記述子では、インストゥルメンテーション・コンポーネントのみを構成できます。

アプリケーション・スコープのインストゥルメンテーションを、診断システム・モジュールに類似した診断モジュールとして、構成およびデプロイします。ただし、アプリケーション・モジュールはweblogic-diagnostics.xmlというXML記述子(構成)ファイルで構成されます。このファイルは、デプロイされるアプリケーションのARCHIVE_PATH/META-INFディレクトリ内で、アプリケーション・アーカイブと一緒にパッケージ化されます。たとえば、D:\bea\wlserver_10.3\samples\server\medrec\dist\standalone\exploded\medrec\META-INF\weblogic-diagnostics.xml


注意:

(システム内を通過するリクエストを追跡する方法として)診断コンテキストを構成する際に使用されるDyeInjectionモニターは、サーバー・レベルでのみ構成できます。ただし、診断コンテキストが作成されると、受信したリクエストにアタッチされた診断コンテキストは、リクエストと一緒にアプリケーション内を通過します。診断コンテキストの情報は、第12章「診断コンテキストを管理するためのDyeInjectionモニターの構成」を参照してください。

アプリケーションの診断モジュールの構成とデプロイの詳細については、次を参照してください。

WLDF構成MBeanとXML要素へのマッピング

図4-2はWebLogic ServerドメインのWLDFオブジェクトのためにWLDF構成MBeansと診断システム・モジュールBeanの階層構造を示します。

図4-2 WLDF構成Beanツリー

図4-2の説明が続きます
「図4-2 WLDF構成Beanツリー」の説明

以下のWLDF MBeanは、サーバー・レベルでWLDFを構成します。また、ドメインのconfig.xml構成ファイルのXML要素にマッピングされます。