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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Portal開発者ガイド
11g リリース1 (11.1.1.7.0)
B72084-02
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1 開発者向けクイック・スタート・ガイド

開発者として、初めてのWebCenter Portal: Frameworkアプリケーションの作成に向けた準備を整えるときには、出発点を示して初めての工程を案内する、適切なロードマップが必要になります。この章では、初めて開発環境を設定するFrameworkアプリケーション開発者に向けたガイダンス、ベスト・プラクティス、およびヒントを提供します。


ヒント:

開始したばかりの場合は、まず、第1.1項「WebCenter Portal開発者向けFAQ」を参照することをお薦めします。


この章には次の項が含まれます:

1.1 WebCenter Portal開発者向けFAQ

表1-1では、Frameworkアプリケーション開発を開始するときに役立つ基本的な質問についての回答を示しています。


ヒント:

Frameworkアプリケーションの設計と作成を始める前に、第8章「Frameworkアプリケーションの理解」を一読しておくことをお薦めします。この章では、Oracle WebCenter Portal: Frameworkの概要を示し、ヒントと詳細情報へのリンクを提供しています。


表1-1 WebCenter Portal開発者向けFAQ

質問 回答

開始する前にどのようなソフトウェアをインストールしておく必要がありますか。

最低限必要なものは、Oracle JDeveloperとOracle JDeveloper用のWebCenter Portal拡張機能(WebCenter Portal機能を取り込むJDeveloperアドイン)です。一般的なポータル環境には、データベース、コンテンツ・リポジトリ、および検索エンジンのインストールも含まれます。第1.2項「必要なソフトウェアのインストール」を参照してください。

チーム用のソース・コントロールは、どのように設定するのですか。

JDeveloperは、各種のソース・コントロール・システムと統合できます。第1.3項「チーム開発の準備」を参照してください。

チームの生産性を向上するために何ができますか。

チームの生産性を向上する最適な方法は、反復開発を可能にすることです。反復開発を可能にすると、ブラウザをリフレッシュするだけで、実行時に更新されたポータル・ファイルの変更内容を確認できます。第1.5項「反復開発の準備」を参照してください。

新しいFrameworkは、どのように作成するのですか。

WebCenter Portalには、事前構成済Frameworkアプリケーションを作成する、即時利用可能なテンプレートが用意されています。この基本ポータル・アプリケーションには、開始に必要なすべての機能(ページのデフォルト・セット、即時利用可能なページ・テンプレートおよびナビゲーションなど)が含まれます。第1.4項「新しいFrameworkアプリケーションの作成」を参照してください。

デフォルトのFrameworkアプリケーションには、使用する予定のないファイルや機能が含まれています。これらを削除してもかまいませんか。

はい。Frameworkアプリケーション・コンポーネントを追加および削除できます。詳細は、第6.1項「テクノロジ・スコープによるFrameworkアプリケーションの手動構成」を参照してください。

データベース接続およびコンテンツ・リポジトリ接続は、どのように作成するのですか。

JDeveloperには、このような接続を作成するための接続ウィザードが用意されています。これらの接続は、ポータルで使用する特定のコンポーネント(コンテンツ・プレゼンタ・タスク・フローなど)をシームレスに統合します。第26章「コンテンツ・リポジトリ接続の管理」を参照してください。

ポータル用に高度にカスタマイズされたナビゲーションUIを作成しようと考えています。これは可能ですか。

はい。WebCenter Portal: Frameworkで提供されるAPIを使用して、ナビゲーションUIをレンダリングする場合の状況をすべて制御できます。ナビゲーションUIのレンダリング方法をカスタマイズするには、ELを使用する方法が一般的です。たとえば、ユーザーのロールに基づいて特定のリンクを非表示にしたり、指定の基準に基づいてリンクのルック・アンド・フィールを変更できます。詳細は、第13章「ポータル・ナビゲーションの視覚化」を参照してください。

デフォルトでは、ポータルのセキュリティはどのように構成されていますか。

デフォルトでは、FrameworkアプリケーションはADFセキュリティで構成されます。デフォルトのユーザー名とパスワード(weblogic/weblogic1)が自動的に作成され、このユーザー名とパスワードの組合せをテスト用にただちに使用できます。第68章「WebCenter Portal: Frameworkアプリケーションの保護」も参照してください。

ポータルにコンテンツを表示する方法は、どのようにカスタマイズするのですか。

一般的な技法の1つとして、コンテンツ・プレゼンタ・タスク・フローを使用する方法があります。コンテンツ・プレゼンタを使用すると、コンテンツをページに追加できるようになり、テンプレートを使用するコンテンツの表示方法をカスタマイズできるようになります。詳細は、第25章「コンテンツの統合と公開の概要」を参照してください。

ポータル内の各ページで一貫したレイアウトは、どのように作成するのですか。

ページ・テンプレート機能を使用すると、ポータル内のすべてのページで共有可能なレイアウトを作成できます。基本的なページ・レイアウトに加え、ナビゲーション・ユーザー・インタフェースなどの機能を、このテンプレートに追加することもできます。第1.7項「ポータルのレイアウトの計画」を参照してください。

大量のADFコンポーネントがあります。使用するコンポーネントは、どのように見つけるのですか。

WebCenter Portal: Frameworkには、「WebCenter Portal - Frameworkカタログ」があります。このカタログには、ポータルの作成に一般的に使用されるコンポーネントのコレクションが含まれています。詳細は、第15章「リソース・カタログの作成および管理」を参照してください。

デフォルトのスキンを変更しようと考えています。どうすればよいですか。

スキンは、ポータルの外観を定義するスタイル・シートです。WebCenter Portal: Frameworkには、JDeveloperで簡単に編集できるポータル・スキンが用意されています。詳細は、第1.8項「スキンの使用」を参照してください。

開発者は、本番環境にデプロイされているポータルに対して、新しいポータル機能の追加や変更ができますか。

WebCenter Portalは、ラウンドトリップ開発のソリューションを提供しています。第1.9項「ラウンドトリップ開発の準備」を参照してください。

ポータルを、開発環境から、テスト環境、ステージング環境、本番環境に移行する際には、どのような知識が必要ですか。

ポータルのライフ・サイクルとは、ポータルを、開発およびテスト環境から、ステージング環境、最終的には本番環境に移行する過程を表します。ライフ・サイクルの管理の詳細は、第9章「WebCenter Portalのライフ・サイクルの理解」を参照してください。

Frameworkアプリケーションの開発に関するより詳細な参考資料は、どこで入手できますか。

第8章「Frameworkアプリケーションの理解」を参照してください。この章では、Oracle WebCenter Portal: Frameworkの概要を示し、ヒントと詳細情報へのリンクを提供しています。


1.2 必要なソフトウェアのインストール

一般的な開発環境には、次のコンポーネントが含まれています。

『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalインストレーション・ガイド』も参照してください。

1.3 チーム開発の準備

全体的なチーム開発環境について検討することは重要です。チーム開発環境が有益なものになるように、開発者がデータベース、コンテンツ・リポジトリ、ソース・コードなどの共通リソースを共有できるように、この開発環境を構成する必要があります。十分に計画されたチーム環境は、短期間で整合性のあるWebCenter Portal: Frameworkアプリケーションの開発、構築および更新が可能になります。


ヒント:

一般に、開発チームのメンバーは新しいFrameworkアプリケーションを作成して、それをソース・コード・リポジトリにチェックインします。必要なデータベース接続やコンテンツ・リポジトリ接続を作成して、それらも同様にチェックインできます。


ソース・コントロールやファイル共有など、チーム開発のヒントの詳細は、第4章「チームでの効率的な作業」を参照してください。

1.4 新しいFrameworkアプリケーションの作成

WebCenter Portal: Frameworkには、新しいポータル・アプリケーションを作成するためのウィザードが用意されています。このウィザードは、即時利用可能なWebCenter Portal - Frameworkアプリケーション・テンプレートを使用するため、適切なアプリケーション・コンポーネントが確実に含まれるようになります。

Frameworkアプリケーションの作成後に、データベース接続とコンテンツ・リポジトリ接続を構成して、それらもソース・コントロール・システムにチェックインします。

必要であれば、Frameworkアプリケーションを手動で構成することもできます。たとえば、使用しないことがわかっているコンポーネントは、Frameworkアプリケーションから削除してもかまいません。

Frameworkアプリケーションの作成方法、拡張方法および変更方法の詳細は、第5章「Frameworkおよびポートレット・プロデューサ・アプリケーションの作成」を参照してください。接続の管理の詳細は、第1.6項「アプリケーション・リソース接続の作成」を参照してください。

1.5 反復開発の準備

この項では、WebCenterの反復開発機能について説明します。

1.5.1 反復開発とは

反復開発では、統合WebLogic ServerでFrameworkアプリケーションを実行しながら、このアプリケーションに変更を加え、ブラウザの現在のページをリフレッシュするだけで、その変更の効果を確認することができます。反復開発機能は、特定の最適化機能を無効にすることにより動作します。反復開発機能により、開発者はFrameworkアプリケーションを作成する際、より迅速かつ効率的に作業できるようになります。

たとえば、反復開発では、次のコンポーネントに対する変更が、ブラウザをリフレッシュするとすぐに確認できます。

  • ページ定義

  • ナビゲーション・モデル

  • ページ階層

  • 既存のJSPXファイル

  • ページ・テンプレート

  • リソース・カタログ

  • ページへのタスク・フローの追加

  • ページへのポートレットの追加

次の種類の操作は、反復開発ではサポートされていません。これらの操作は、アプリケーションの再実行が必要になります。

  • 新しいファイルの明示的な作成(JSPX、ページ定義、ページ階層など)。

  • 新しいファイルの暗黙的な作成。たとえば、ページ階層のノードにサブページを追加すると、新しい*pages.xmlファイルが作成されます。

  • 構成ファイル(web.xmladfc-config.xmlなど)の編集。

1.5.2 反復開発のしくみ

反復開発は、特定のMDSおよび実行時レイヤーのキャッシュをオフにすることで動作します。これらのパフォーマンス最適化機能が無効になるため、開発環境でアプリケーションを実行するとパフォーマンスが低下していることに気付く場合があります。


注意:

アプリケーションを統合WebLogic Serverにデプロイすると、web.xmlファイルのorg.apache.myfaces.trinidad.CHECK_FILE_MODIFICATIONフラグが、自動的にtrueに設定されます。この設定により、サーバーはJSPファイルとスキニングCSSファイルの変更時刻を自動的にチェックして、それらに変更があるときには、保存した状態を破棄します。反復開発機能を有効化しているかどうかにかかわらず、この構成になります。


反復開発を有効にすると、アプリケーション構成に次の変更が行われます。

  • MDSキャッシュのサイズが0に設定されます。この設定により、すべてのメタデータ・ファイルがリクエストのたびにリロードされます。

  • ナビゲーション・モデルのキャッシュは、リクエストのたびに無効化されます。

スキン開発の場合、圧縮されていないスキンを使用するようにアプリケーションを設定できます。この設定はデフォルトではありません。開発環境でのみ使用してください。web.xmlを更新して、次のコンテキスト・パラメータでこの機能を有効にできます。

<context-param>
    <param-name>org.apache.myfaces.trinidadinternal.DISABLE_CONTENT_COMPRESSION</param-name>
    <param-value>true</param-value>
</context-param>

注意:

アプリケーションでOracle JSF Portlet Bridgeポートレットを利用していると、ADFはコンシューマとプロデューサ間でのスキンの共有を試行します。そのため、コンシューマ側で圧縮を無効にしているときには、プロデューサ側でも圧縮を無効にする必要があります。このようにしていないと、プロデューサは、コンシューマが生成した非圧縮IDと一致する正しいコードを生成しなくなります。第58章「Oracle JSF Portlet Bridgeを使用したJSFアプリケーションからのポートレットの作成」も参照してください。


ポータルが統合WebLogic Serverで実行しているときにリソースのベース定義(ソース)を実行時に編集する場合、反復開発が予想どおりに機能しません。つまり、JDeveloperでリソース・ファイルを編集して保存すると、実行ページをリフレッシュしても変更は表示されません。これは、統合WebLogic Serverでリソースをベース・ドキュメント・レベルで実行時に編集すると、リソースのベース・ドキュメントのコピーがMDS書込みディレクトリに作成されるためです。それ以降、このコピーされたバージョンが使用され、JDeveloperのベース・ドキュメントのバージョンは無視されます。この問題に遭遇し、ファイルに行われた変更をJDeveloperで取得する場合、次の手順を行った後にアプリケーションを再実行する必要があります。

  1. アプリケーション・ナビゲータで、アプリケーション名の隣の「アプリケーション・メニュー」アイコンをクリックし、「アプリケーション・プロパティ」を選択します。

  2. 「アプリケーション・プロパティ」ダイアログで、左側のペインの「実行」ノードを開き、「MDS」を選択します。

  3. 右側のペインで「各実行の前にカスタマイズを削除」を選択します。これにより、アプリケーションが実行されるたびに、すべての実行時カスタマイズのMDSがクリアされます。

  4. 「OK」をクリックします。

1.5.3 反復開発の有効化

この項では、反復開発が無効にされている場合に有効化する方法を説明します。


注意:

反復開発機能は、新しいFrameworkアプリケーションの作成時には、デフォルトで有効になっています。


  1. 「アプリケーション」メニューから、「アプリケーション・プロパティ」を選択します。

  2. 「アプリケーション・プロパティ」ダイアログの左側で「実行」ノードを開きます。

  3. 「WebCenter Portal」を選択します。

  4. 図1-1に示すように、「反復開発の有効化」を選択します。

    図1-1 「反復開発の有効化」

    図1-1の説明が続きます
    「図1-1 「反復開発の有効化」」の説明

  5. 「OK」をクリックします。

1.5.4 反復開発の無効化

この項では、反復開発を無効にする方法を説明します。反復開発はデフォルトで有効化されていますが、アプリケーションを本稼働サーバーにデプロイする前に、テストのために反復開発をオフにすることをお薦めします。

  1. 「アプリケーション」メニューから、「アプリケーション・プロパティ」を選択します。

  2. 「アプリケーション・プロパティ」ダイアログの左側で「実行」ノードを開きます。

  3. 「WebCenter Portal」を選択します。

  4. 「反復開発の有効化」を選択解除します。

  5. 「OK」をクリックします。

1.6 アプリケーション・リソース接続の作成

接続を使用することで、Frameworkアプリケーションは、外部データおよびサービスにアクセスできるようになります。たとえば、コンテンツ・プレゼンタ・タスク・フローを使用して、Oracle WebCenter Content Serverリポジトリのコンテンツを表示する場合は、そのリポジトリへの接続を構成する必要があります。ポートレット・プロデューサのポートレットを使用する場合は、そのプロデューサを構成する必要があります。


ヒント:

接続は作成後にテストしてから、ソース・コントロール・システムにチェックインすることをお薦めします。このようにすると、チーム内の別の開発者は、その接続をチェックアウトして使用できるようになります。この技法により、接続が変更された場合でも、チームの同期が保たれるようになります。


この項では、新しい接続を作成するウィザードにアクセスするための様々な方法について説明します。第1.6.3項「接続の詳細の参照先」も参照してください。

1.6.1 接続の場所について

接続を作成するためにウィザードを起動した方法に応じて、接続は次のいずれかの場所に配置されます。

  • 「アプリケーション・ナビゲータ」の「アプリケーション・リソース」内

    ここに作成した接続は、現在のアプリケーションでのみ使用できます。これは、リポジトリ接続を作成する最も一般的な方法です。

    特定のサービスについては、「アプリケーション・リソース」から接続をドラッグして、別の種類のタスク・フロー・リージョンを作成するページにドロップできます。詳細は、個別のWebCenter Portal: Servicesの章を参照してください。

  • 「リソース・パレット」の「IDE接続」内

    ここに作成した接続は、どのFrameworkアプリケーションでも再利用できます。これに該当する接続をアプリケーションで使用する場合は、「リソース・パレット」から接続をドラッグして、そのアプリケーションの「接続」ノードにドロップします。

1.6.2 接続ウィザードにアクセスする方法

「新規ギャラリ」から接続ウィザードにアクセスするには:

  1. 「ファイル」メニューから「新規」を選択します。

  2. 「新規ギャラリ」で、「接続」を開き、作成する接続のタイプを選択してから、「OK」をクリックします。

    選択内容に応じて、<Connection_Type>接続の作成ダイアログが開きます。

  3. デフォルトでは、「接続の作成場所」オプションは「アプリケーション・リソース」に設定されます。

    「IDE接続」を選択すると、「リソース・パレット」に接続を作成できます。

「アプリケーション・ナビゲータ」から接続ウィザードにアクセスするには:

  1. 「アプリケーション・リソース」で「接続」ノードを右クリックし、「新規接続」を選択して、ポップアップ・メニューから接続のタイプを選択します。

  2. 選択内容に応じて、<Connection_Type>接続の作成ダイアログまたはウィザードが開きます。

    デフォルトでは、「接続の作成場所」オプションは「アプリケーション・リソース」に設定されます。

「リソース・パレット」から接続ウィザードにアクセスするには:

  1. 「リソース・パレット」の「新規」アイコンをクリックし、「新規接続」を選択して、ポップアップ・メニューから接続のタイプを選択します。

  2. 選択内容に応じて、<Connection_Type>接続の作成ダイアログまたはウィザードが開きます。

    デフォルトでは、「接続の作成場所」オプションは「IDE接続」に設定されます。

1.7 ポータルのレイアウトの計画

ページ・テンプレートを使用すると、ポータルのレイアウトを制御できます。ページ・テンプレートとは、ポータルのページのルック・アンド・フィールを指定するJSPXファイルのことです。このテンプレートでは、ページ内のヘッダー、フッター、コンテンツおよびナビゲーション・リージョンを定義します。このテンプレートは、任意の数のページに適用できるため、一貫性の保たれたルック・アンド・フィールを実現できます。

WebCenter Portal: Frameworkには、出発点として利用できるデフォルトのページ・テンプレートが複数用意されています。詳細は、第8章「ページ、ページ・テンプレートおよびポータルのページ階層の理解」を参照してください。

1.8 スキンの使用

スキンは、ポータルの外観全体(色スキーム、フォント、ADF Facesコンポーネントの表示特性など)を定義するCSSファイルです。WebCenter Portal: Frameworkには、JDeveloperで便利に編集できるポータル・スキン・ファイルもあります。このファイルにより、デフォルト・スキンの設定を上書きできます。ファイルを開き、変更するコンポーネントを非コメント化して、変更が完了したらファイルを保存します。詳細は、第14章「スキンの作成および管理」を参照してください。

1.9 ラウンドトリップ開発の準備

ラウンドトリップ開発とは、メンテナンスや拡張のため、デプロイされた実行時ポータルからJDeveloperにリソースを戻すことができる機能および技法です。JDeveloperでリソースを編集した後、リソース・マネージャを使用して、デプロイされたポータルにリソースをアップロードし直すことができます。WebCenter Portalのラウンドトリップ開発機能は、アプリケーション全体を再度デプロイすることなくポータル・リソースを変更する、簡単で便利な方法を提供します。

ラウンドトリップ開発の詳細は、第16.3項「ポータルの実行時管理の有効化」および第16.4項「リソースのラウンドトリップ開発の有効化」を参照してください。

1.10 知識が必要な構成ファイル

Frameworkアプリケーションを作成したときに自動生成されるいくつかの構成ファイルは、ポータル・プロジェクトのWEB-INFフォルダとPage Flowsフォルダに配置されます。

この項では、これらのファイルについて簡単に説明します。

1.10.1 Frameworkアプリケーション・テンプレートのデフォルトのweb.xmlファイル

Frameworkアプリケーション構成の一部は、J2EEアプリケーションのデプロイメント・ディスクリプタ・ファイルであるweb.xmlの内容で決まります。web.xmlファイルでは、アプリケーション・サーバーが必要とする多数のアプリケーション設定を定義します。


注意:

コンテキスト・ルート・パスは、web.xmlでは指定されていません。アプリケーションがデプロイされるときに割り当てられます。


一般的な実行時設定には、初期化パラメータ、カスタム・タグ・ライブラリの場所、セキュリティ設定などがあります。どのテクノロジを使用するかに応じて、その他の設定がweb.xmlに追加されていることがあります。


注意:

web.xmlなどの標準のJava EEファイルには、通常、これに対応するOracle固有のファイル(weblogic.xmlなど)があり、Oracle固有の追加のオプションが含まれています。


web.xmlファイルは、Frameworkアプリケーションのプロジェクトの相対ディレクトリ/public_html/WEB-INFに配置されます。

最初にFrameworkアプリケーションを作成するときに、JSFサーブレットとマッピングの構成、およびリソース・サーブレットとマッピングの構成は、自動的に初期web.xmlファイルに追加されます。

<servlet></servlet>タグ内のFaces Servletエントリでは、JSFサーブレットjavax.faces.webapp.FacesServletに関する情報が提供されます。このサーブレットは、JSFを使用してユーザー・インタフェースを作成するWebアプリケーションのリクエスト処理ライフ・サイクルを管理します。構成設定では、JSFサーブレットがシンボリック名Faces Servletにマップされています。

<servlet></servlet>タグ内のresourcesエントリでは、ADFリソース・サーブレットに関する情報が提供されます。このサーブレットは、ResourceLoaderに委任することで、Webアプリケーションのリソース(イメージ、スタイル・シート、JavaScriptライブラリ)を提供します。

<servlet-mapping></servlet-mapping>タグでは、URLパターンがサーブレットのシンボリック名にマップされます。パス接頭辞か拡張子接尾辞パターンのいずれかを使用できます。

デフォルトでは、JDeveloperはパス接頭辞/faces/*を使用します。つまり、http://localhost:8080/SRDemo/faces/index.jspなどのURLが送信されると、このURLでJSFサーブレットがアクティブ化され、faces接頭辞を除いた/SRDemo/index.jspがロードされます。


注意:

Webページの拡張子に、jspjspxではなく、jsfを使用する場合は、次に示すようにjavax.faces.DEFAULT_SUFFIXコンテキスト・パラメータをjsfに設定する必要があります。

<context-param>
  <param-name>javax.faces.DEFAULT_SUFFIX</param-name>
  <param-value>.jsf</param-value>
</context-param>

その後で、拡張子がjsfのファイルに対してJSPサーブレットを起動するサーブレット・マッピングをweb.xmlに追加します。


Oracle JDeveloperでweb.xmlを編集するには、アプリケーション・ナビゲータで「web.xml」を右クリックし、ポップアップ・メニューから「開く」を選択します。これにより、Webアプリケーション・デプロイメント・ディスクリプタ・エディタでweb.xmlが概要モードで開かれます。構成要素の名前に精通している場合は、XMLエディタを使用してweb.xmlを変更することもできます。

web.xmlファイルで使用できる構成要素の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』のOracle ADF XMLファイルに関する項を参照してください。

1.10.2 Frameworkアプリケーション・テンプレートのデフォルトのfaces-config.xmlファイル

カスタム・バリデータやマネージドBeanなどのFrameworkアプリケーションのリソースを登録して、すべてのページ間のナビゲーション・ルールを定義するには、faces-config.xmlファイルを使用します。このファイルのデフォルトの名前はfaces-config.xmlですが、このネーミング規則は必須ではありません。

リソースをパッケージ化する方法に応じて、1つのアプリケーションに1つまたは複数のfaces-config.xmlファイルを割り当てることができます。たとえば、次の項目ごとに個別のJSF構成ファイルを作成できます。

  • アプリケーションの各領域

  • カスタム・コンポーネントやレンダラを含む各ライブラリ

複数のfaces-config.xmlファイルの作成の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』を参照してください。

例1-1に、WebCenter Portal: Frameworkアプリケーション・テンプレートによって提供されるデフォルトのfaces-config.xmlファイルを示します。このファイルは、Frameworkアプリケーションのプロジェクトの相対ディレクトリ/public_html/WEB-INFに配置されます。

例1-1 Frameworkアプリケーション・テンプレートによって提供されるデフォルトのfaces-config.xmlファイル

<?xml version="1.0" encoding="US-ASCII"?>
<faces-config version="1.2" xmlns="http://java.sun.com/xml/ns/javaee">
  <application>
    <default-render-kit-id>oracle.adf.rich</default-render-kit-id>
    <view-handler>oracle.webcenter.portalframework.sitestructure.handler.CustomViewHandler
    </view-handler>
  </application>
  <managed-bean>
    <managed-bean-name>preferenceBean</managed-bean-name>
    <managed-bean-class>oracle.webcenter.portalframework.sitestructure.PreferencesBean
    </managed-bean-class>
    <managed-bean-scope>application</managed-bean-scope>
  </managed-bean>
</faces-config>

faces-config.xmlファイルを編集するには、アプリケーション・ナビゲータでこのファイルをダブルクリックします。デフォルトでは、このファイルは、「エディタ」ウィンドウの下部のアクティブ「ダイアグラム」タブによって示されるように、ダイアグラム・モードで開きます。JSFナビゲーション・ルールを作成または更新するとき、「ダイアグラム」モードを使用すると、ページ・フローを視覚的に作成および管理できます。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』を参照してください。

ナビゲーション・ルール以外の構成要素を作成または変更するには、エディタの「概要」モードを使用します。エディタ・ウィンドウの「概要」タブをクリックすると、このモードになります。

JSFでは、1つのfaces-config.xmlファイルに複数の<application>要素を使用できます。JSF構成エディタを使用する場合、最初のインスタンスのみを編集できます。その他の<application>要素については、XMLエディタを使用してファイルを直接編集する必要があります。XMLエディタを使用するには、faces-config.xmlファイルを開き、エディタ・ウィンドウの「ソース」タブに移動します。

faces-config.xmlファイルで使用できる構成要素のリファレンスは、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』のADF Faces構成に関する項を参照してください。

1.10.3 Frameworkアプリケーション・テンプレートのデフォルトのtrinidad-config.xmlファイル

Frameworkアプリケーションの作成時に利用可能なデフォルトのtrinidad-config.xmlファイルには、アプリケーション・スキン・ファミリに関する情報が含まれます。さらに、これにはページ・アクセシビリティ・サポートのレベル、ページ・アニメーション、タイムゾーン、拡張デバッグ出力およびOracle Help for the Web (OHW)のURLに関する情報を含めることができます。faces-config.xml同様、trinidad-config.xmlファイルは、JSF式言語(EL)または静的値を使用して要素プロパティを定義できる単純なXML構造を持ちます。

例1-2に、WebCenter Portal: Frameworkアプリケーション・テンプレートによって提供されるデフォルトのtrinidad-config.xmlファイルを示します。このファイルは、Frameworkアプリケーションのプロジェクトの相対ディレクトリ/public_html/WEB-INFに配置されます。

例1-2 Frameworkアプリケーション・テンプレートによって提供されるデフォルトのtrinidad-config.xmlファイル

<?xml version="1.0" encoding="US-ASCII"?>
<trinidad-config xmlns="http://myfaces.apache.org/trinidad/config">
 
  <skin-family>fusion</skin-family>
 
</trinidad-config>

スキン・ファミリに加え、trinidad-config.xmlファイルでは、次のアプリケーション値を定義できます。

  • ページ・アニメーション

  • ページ・アクセシビリティ・サポートのレベル

  • タイムゾーン

  • 拡張デバッグ出力

  • Oracle Help for the Web (OHW)のURL

trinidad-config.xmlファイルのリファレンス情報は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Webユーザー・インタフェース開発者ガイド』のADF Faces構成に関する項を参照してください。

1.10.4 Frameworkアプリケーション・テンプレートのデフォルトのadfc-config.xmlファイル

adfc-config.xmlファイルは、ADFのバインドなしタスク・フローの構成ファイルです。このファイルには、バインドなしタスク・フローに含まれるアクティビティと制御フローに関するメタデータが格納されています。このファイルのデフォルトの名前はadfc-config.xmlですが、このネーミング規則は必須ではありません。

「プロジェクト・プロパティ」ダイアログの「テクノロジ・スコープ」ページで、選択済のテクノロジとして「ADFページ・フロー」が指定されている場合は、自動的に新しいadfc-config.xmlソース・ファイルがプロジェクト内に作成されます。このadfc-config.xmlファイルは、バインドなしタスク・フローのメイン・ソース・ファイルです。

adfc-config.xmlファイルは、Frameworkアプリケーションのプロジェクトの相対ディレクトリ/public_html/WEB-INFに配置されます。


注意:

Frameworkアプリケーションでタスク・フローを使用する予定がない場合は、adfc-config.xmlファイルを削除してもかまいません。


タスク・フローおよびadfc-config.xmlファイルの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』のOracle ADF XMLファイルに関する項を参照してください。

1.11 データベース・スキーマのインストール

Oracle WebCenter Portalの特定のコンポーネントでは、スキーマがサポート対象データベースにインストールされている必要があります。詳細は、第3.5項「データベース・スキーマのインストール」を参照してください。