| Oracle® Fusion Middleware Identity and Access Managementパッチ適用ガイド 11g リリース2 (11.1.2.1) B71692-03 |
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パッチ・セット・アシスタントは、Oracle Fusion Middlewareコンポーネントのデータベース・スキーマを更新する場合にのみパッチ・セット・リリースで使用します。パッチ・セット・アシスタントを使用して更新するスキーマは、次のいずれかの条件を満たしている必要があります。
11gリリースでリポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用して作成されている。
アップグレード・アシスタントを使用して10gから11gにアップグレードされている。
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注意: パッチ・セット・アシスタントでは、カスタマ・データベース内のスキーマはアップグレードされません。これには、アップグレード・アシスタント(UA)、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)、またはパッチ・セット・アシスタント(PSA)を使用して更新されていないデータベースが含まれます。 |
パッチ・セット・アシスタントで更新される11gリリース2のスキーマ・バージョンは、11.1.2.0.0から11.1.2.1.0までです。個別の情報は、表4-1を参照してください。
新しいスキーマを作成する場合や既存のスキーマを破棄する場合は、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用する必要があります。情報は、『Oracle Fusion Middleware Repository Creation Utilityユーザーズ・ガイド』にあります。
この章の内容は次のとおりです。
表4-1のコンポーネント・スキーマ(デフォルト名で表示)を11gリリース2 (11.1.2.1.0)に更新するには、パッチ・セット・アシスタントで更新する必要があります。
表4-1は、最新のOracle Identity and Access Management 11gリリース2 (11.1.2.1.0)のパッチ・セットで利用可能な製品のスキーマのみをリストしています。
表4-1 最新のリリース用に更新する必要があるスキーマ
| コンポーネント名 | スキーマ | アップグレード前のスキーマ・バージョン | アップグレード後のスキーマ・バージョン | 依存関係 |
|---|---|---|---|---|
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Oracle Privileged Account Manager (OPAM) |
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11.1.2.0.0 |
11.1.2.1.0 |
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Oracle Platform Security Services (OPSS) |
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11.1.1.6.0 |
11.1.2.1.0 |
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Oracle Identity Manager (OIM) |
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11.1.2.0.0 |
11.1.2.1.0 |
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Oracle Access Manager (OAM) |
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11.1.2.0.0 |
11.1.2.1.0 |
この項では、パッチ・セット・アシスタントを実行する前に確認しておく必要がある事項について説明します。
バッチ・セット・アシスタントを実行する前に、第3.2.7項「データベースとデータベース・スキーマのバックアップ」の手順に従って既存のデータベースとデータベース・スキーマを必ずバックアップしてください。
パッチ・セット・アシスタントを実行する前に、データベースが稼動していること、およびアップグレートするスキーマのバージョンがアップグレードのサポート対象であることを確認します。これを確認するには、次のSQLコマンドを実行します。
SELECT OWNER, VERSION, STATUS, UPGRADED FROM SCHEMA_VERSION_REGISTRY;
VERSION列の数値が11.1.1.2.0以上であれば、そのスキーマはアップグレードでサポートされます。
Oracleデータベースを使用している場合は、パッチ・セット・アシスタントを実行する前にデータベース・オブジェクトを再コンパイルして、アップグレード前に無効なオブジェクトをチェックしてください。SYSとしてデータベースに接続し、SQL*Plusから次のコマンドを実行します。
/rdbms/admin/utlrp.sql
utlrp.sqlの実行後、スキーマをアップグレードする前に、次の問合せを発行して無効なデータベース・オブジェクトがないことを確認します。
SELECT owner, object_name FROM all_objects WHERE status='INVALID';
無効なオブジェクトがあった場合は、すべて書き留めます。無効なデータベース・オブジェクトが存在すると、アップグレードを正常に完了できない場合があります。
(管理対象サーバーとOracleインスタンスを含めた)Oracle Fusion Middlewareコンポーネントのうち、更新対象のスキーマを使用したコンポーネントがあれば、パッチ・セット・アシスタントの実行前に停止します。
次の各項では、Oracle Fusion Middleware 11g リリース2 (11.1.2.1.0)のパッチ・セットをインストールする際のパッチ・セット・アシスタントの実行方法について説明します。
パッチ・セット・アシスタントは、製品またはパッチ・セット・インストーラによって、Oracle共通ホーム内にあるbinディレクトリにインストールされます(第3.3.1項「パッチ適用に使用するインストーラについて」を参照)。
パッチ・セット・アシスタントを使用すると、パッチ・セット・アシスタントが起動されたMiddlewareホーム内のコンポーネント・スキーマにパッチを適用できます。
パッチ・セット・アシスタントを起動するには、Oracle共通ホームのbinディレクトリに移動して、次のコマンドを実行します。
UNIXオペレーティング・システムの場合:
cd MW_HOME/oracle_common/bin
./psa
Windowsオペレーティング・システムの場合:
CD MW_HOME\oracle_common\bin
psa.bat
パッチ・セット・アシスタントを使用してスキーマを更新するには、表4-2の手順に従います。
いずれかの画面に関して追加のヘルプが必要な場合は、「ヘルプ」をクリックしてオンライン・ヘルプを参照してください。
表4-2 パッチ・セット・アシスタントの画面
| 画面 | 説明 |
|---|---|
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このページがパッチ・セット・アシスタントの最初の画面です。 |
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アップグレードする単一の最上位レベルのコンポーネントを選択します。一度にアップグレードできるコンポーネントは1つのみです。 |
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データベースの前提条件を満たしていることを確認します。 |
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データベースに接続するためのデータベース資格証明を指定して、更新するスキーマを選択します。 この画面は、「コンポーネントの選択」画面で選択したコンポーネントに応じて、更新が必要なスキーマごとに1回表示されます。 |
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このページには、各コンポーネント・スキーマを調査する際のパッチ・セット・アシスタントのステータスが表示されます。スキーマの「ステータス」列に「成功」または「アップグレード済」インジケータが表示されていることを確認します。 |
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アップグレード対象としてリストされているスキーマが、目的のものであることを確認します。 |
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この画面には、スキーマの更新の進行状況が表示されます。 |
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パッチ・セット・アシスタントの完全なコマンドライン構文は次のとおりです。
./psa (or psa.bat) -response response_file [-logLevel log_level [-help]]
これらのパラメータの説明は、表4-3を参照してください。
表4-3 パッチ・セット・アシスタントのコマンドライン・パラメータ
| パラメータ | 必須パラメータ/オプション・パラメータ | 説明 |
|---|---|---|
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必須。 |
入力レスポンス・ファイルのフルパスと名前。 |
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オプション。 |
ロギング・レベル。次のいずれかです。
デフォルトのロギング・レベルはNOTIFICATIONです。 |
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オプション。 |
すべてのコマンドライン・オプションを表示します。 |
-responseパラメータとともに使用するレスポンス・ファイルを生成するには、パッチ・セット・アシスタントGUI (第4.3.3項「パッチ・セット・アシスタントのグラフィカル・インタフェースの使用」)を実行する必要があります。「アップグレード・サマリー」画面で、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックし、情報をレスポンス・ファイルに保存します。
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注意: パッチ・セット・アシスタントを |
次のSQLコマンドを使用して、schema_version_registryのスキーマ・バージョンが正しく更新されていることを検証できます。
SQL> select owner,version,upgraded,status from schema_version_registry where owner='DEV_OPAM'; OWNER VERSION U STATUS -------------------------------------------------- DEV_OPAM 11.1.2.1.0 Y VALID
VERSION列の数値が、そのスキーマの最新のバージョン番号に一致していることを確認します。スキーマに対して更新バージョン番号が正しいかどうかを検証するには、表4-1を参照してください。
ステータスが「INVALID」と表示された場合は、ステータスの更新が失敗しています。ログ・ファイルを調べて、失敗した理由を判定する必要があります。詳細は、第4.4項「パッチ・セット・アシスタントのログ・ファイル」を参照してください。
Oracleデータベースを使用している場合は、パッチ・セット・アシスタントを実行した後、データベース・オブジェクトを再コンパイルしてください。そのためには、SYSとしてデータベースに接続し、SQL*Plusから次のコマンドを実行します。
cd $DB_HOME SQL> @rdbms/admin/utlrp.sql
この結果、パッチ・セット・アシスタントによって更新されたデータベース・オブジェクトがコンパイルされます。
その後、次の問合せを発行して、無効なデータベース・オブジェクトがなくなったことを確認します。
SELECT owner, object_name FROM all_objects WHERE status='INVALID';
この時点では、更新されたスキーマについて無効なデータベース・オブジェクトはありません。もしあった場合は、utlrp.sqlコマンドをもう一度実行して再確認します。問題が続く場合は、サービス・リクエストを提出します。
パッチ・セット・アシスタントでは、次の場所にログ・ファイルが書き込まれます。
UNIXオペレーティング・システムの場合:
MW_HOME/oracle_common/upgrade/logs/psatimestamp.log
Windowsオペレーティング・システムの場合:
MW_HOME\oracle_common\upgrade\logs\psatimestamp.log
一部のコンポーネントでは、psatimestamp.outという2番目のログ・ファイルが、同じ場所に作成されます。
timestampには、パッチ・セット・アシスタントが実行された実際の日時が反映されます。
パッチ・セット・アシスタントの実行時に障害が発生した場合、問題を診断して修正するために、これらのログ・ファイルが必要になります。そのため、ログ・ファイルは削除しないでください。ログ・ファイルの内容は、コマンドラインから別の-logLevelを指定することで変更できます。
パッチ・セット・アシスタントで実行される処理のいくつかは、他の処理より時間がかかる場合があります。時間のかかるこれらの処理の進行状況を確認するには、ログ・ファイルでこの情報を確認するか、次の問合せを使用できます。
SELECT VERSION, STATUS, UPGRADED FROM SCHEMA_VERSION_REGISTRY WHERE OWNER='schema_name';
問合せ結果のSTATUSフィールドは、スキーマへのパッチ適用処理中は「UPGRADING」または「UPGRADED」に、処理が終了すると「VALID」になります。