ACSLS 8.3 では、多様なプラットフォームおよびファイルシステムの設定により、カスタマにより高い柔軟性が提供されます。ACSLS パッケージは、最新の Solaris 10、Solaris 11、または Oracle Linux 6 プラットフォーム上の任意のファイルシステムにインストールされます。
このセクションでは、プラットフォーム、オペレーティングシステム、システム、ブラウザ、および共同ホスティングの要件について説明します。
ACSLS 8.3 は、最新の SPARC または X86 サーバープラットフォーム上で正常に動作します。
ACSLS 8.3 を使用するには 2G バイト以上のメモリーが必要です。マウントおよびマウント解除操作時に同時に複数の要求が処理されるような高ボリュームライブラリ環境では、メモリーの追加 (最大 16G バイト) が望ましい場合があります。
ACSLS 8.3 がインストールされるファイルシステムでは、40G バイト以上の容量を使用できるようにしてください。これにより、ACSLS および WebLogic バイナリが格納され、進行中のロギングおよびデータベースバックアップのアクティビティーに対応するのに十分なストレージが確保されます。
ACSLS 8.3 は次のプラットフォーム上でテストされ、認定を取得しました。
Solaris 10 Update 10 for SPARC および Solaris 10 Update 11 for SPARC
Solaris 10 Update 10 for X86 および Solaris 10 Update 11 for X86
Solaris 11 Update 1 for SPARC
Solaris 11 Update 1 for X86
Oracle Linux 6.3 for X86
注: ACSLS 8.3 は Oracle Linux 6.3 でテストされました。ACSLS 8.3 は、Oracle Linux のその他のリリースおよび Linux のその他のバージョンではテストされていません。 |
ACSLS では、ライブラリ制御用のデータベースサービスを管理する際に PostgreSQL が使用されます。
PostgreSQL 8.3 は、Solaris 10 に標準で付属されています。Solaris 11 の場合、PostgreSQL 8.3 パッケージは、Oracle E-Delivery サイトから ACSLS 8.3 パッケージとともに提供されています。インストール手順は、ACSLS 8.3 のインストールガイドに記載されています。Linux の場合、PostgreSQL 8.4 は Oracle の yum リポジトリから簡単にインストールできます。手順は ACSLS 8.3 インストールガイドに記載されています。
WebLogic 10.3.5 は ACSLS 8.3 にバンドルされています。
ACSLS GUI、論理ライブラリサービス、lib_cmd
を使用するには、Java 1.6 または Java 1.7 が必要です。必要な Java ランタイム環境は、Solaris 10、Solaris 11、および Linux 6 に付属する標準パッケージです。
ACSLS 8.3 には、(オプションの) デバイスドライバが含まれています。
mchanger ドライバは、SL500 や SL150 などのファイバ接続されたライブラリを制御する際に使用されます。
qlt および stmf ドライバは、ファイバチャネルクライアントアプリケーションに論理ライブラリを提供する際に使用されます。
これらのドライバのいずれかが使用される場合は、ACSLS 8.3 はすぐにカーネルレベルの機能にアクセスできる必要があります。このような場合は、ACSLS を Solaris ゾーン環境にインストールできません。
ACSLS 8.3 のグラフィカルユーザーインタフェースは、次のブラウザを使用してテストされました。
FireFox 22.0
Chrome 28.0
Internet Explorer バージョン 8、9、および 10 の場合、特定の ACSLS サーバーのインストールで一意の公開鍵と非公開鍵のペアを使用して SSL 証明書を作成する必要があります。このような SSL 証明書の作成の詳細については、ACSLS 8.3 インストールガイドを参照してください。
中断なしのライブラリサービスを保証し、リソースの競合による予期しない問題を回避するために、一般に、ACSLS を専用サーバー上のスタンドアロン環境で実行することが推奨されています。ただし、一部のシステムは、複数のアプリケーションが相互に完全に分離されているように共同ホストされた方法で実行できるように特別に設計されています。具体的には、Solaris Containers および Oracle Solaris VM Server for SPARC では、ACSLS とともに使用するために条件付きの共同ホスティングが可能になっています。
次のセクションでは、ACSLS アプリケーションのさまざまな共同ホスティングオプションに関連する条件および制限について説明します。
次では、ACSLS アプリケーション用のさまざまな共同ホスティングオプションと関連する条件および制限について説明します。
Solaris Containers (ゾーン)
Solaris Containers (またはゾーン) を使用すると、システム管理者が標準の低コストサーバーを 4 台の独立した Solaris システム (それぞれが独自の分離したファイルシステムと、Solaris の独自のインスタンスを持つ) にパーティション分割できます。同じプラットフォーム上のその他のゾーンにあるアプリケーションに影響を与えることなく、ネットワークリソースを各コンテナに割り当てたり、任意のローカル (非大域) ゾーンをリブートしたりできます。
ただし、複数のゾーン間でカーネルリソース (デバイスドライバなど) を共有する機能はほとんど役立ちません。カーネルドライバが必要なアプリケーションは大域ゾーン内に存在することが理想的です。ただし、アプリケーションが致命的な状態になると、その他のゾーン内で動作しているその他のすべてのアプリケーションが影響を受ける可能性があるため、一般に、大域ゾーンにアプリケーションをインストールすることは適切な運用ではありません。
ネットワークインタフェース以外のドライバが必要ない場合にかぎり、ACSLS 8.x を Solaris コンテナにインストールできます。論理ライブラリを使用するために必要なターゲットモードのファイバチャネルドライバ (qlt) を使用する予定の場合は、アプリケーションを Solaris コンテナにインストールしないでください。また、mchanger ドライバが必要なファイバ接続されたライブラリを使用する予定の場合も、アプリケーションを Solaris コンテナにインストールしないでください。
注: Solaris Containers での使用がサポートされている ACSLS-HA のバージョンは存在しません。 |
Oracle VM Server for SPARC
Oracle VM Server for SPARC (以前の Logical Domains または LDOM) は、Chip Multithreading (CMT) テクノロジを使用すれば技術的に SPARC T シリーズサーバーで使用可能です。このテクノロジには、各ドメインを独自の Solaris カーネルで制御できる範囲までは、Solaris Containers よりも大きな利点があります。
Solaris 管理者は、システム間でハードウェアリソースをパーティション分割することで、特定のリソースを特定のドメインに割り当てることができます。この仮想マシン上のネットワークリソースは、サーバー上の最大 128 個の任意の「ゲストドメイン」間で簡単に共有できます。ただし、PCIe バスから I/O デバイスへのアクセスが必要なアプリケーションは、特別な「I/O ドメイン」にインストールする必要があります。VM サーバー上に作成できる I/O ドメインの数は、SPARC プラットフォーム上にある個別の PCIe バスの数によって異なります。単一の PCIe バスが搭載されたシステムでは、2 つの I/O ドメインを持つことができます。このうち 1 つは制御ドメインにする必要があります。
ACSLS アプリケーションがライブラリ、およびクライアントアプリケーションへのネットワーク接続上にのみ依存する場合、このサーバー上のゲストドメインにインストールできます。仮想ネットワークの設定手順については、『Oracle VM Server for SPARC 2.1 管理ガイド』ドキュメントの「仮想ネットワークの使用」セクションに記載されています。
ACSLS 8.x アプリケーションで論理ライブラリを使用する予定の場合や、SL500 や L700 などのファイバチャネルライブラリに接続する予定の場合は、ACSLS を I/O ドメインにインストールする必要があります。『Oracle VM Server for SPARC 2.1 管理ガイド』の「I/O ドメインの設定」セクションを参照してください。
Solaris Cluster Software は Oracle VM Server for SPARC でサポートされているため、このプラットフォームは ACSLS-HA アプリケーションで使用できます。Oracle VM サーバー (SPARC) 向け Oracle Solaris Cluster データサービスに関するガイドを参照してください。
Solaris Containers (またはゾーン) を使用すると、システム管理者が標準の低コストサーバーを 4 台の独立した Solaris システム (それぞれが独自の分離したファイルシステムと、Solaris の独自のインスタンスを持つ) にパーティション分割できます。同じプラットフォーム上のその他のゾーンにあるアプリケーションに影響を与えることなく、ネットワークリソースを各コンテナに割り当てたり、任意のローカル (非大域) ゾーンをリブートしたりできます。
ただし、複数のゾーン間でカーネルリソース (デバイスドライバなど) を共有する機能はほとんど役立ちません。カーネルドライバが必要なアプリケーションは大域ゾーン内に存在することが理想的です。ただし、アプリケーションが致命的な状態になると、その他のゾーン内で動作しているその他のすべてのアプリケーションが影響を受ける可能性があるため、一般に、大域ゾーンにアプリケーションをインストールすることは適切な運用ではありません。
ネットワークインタフェース以外のドライバが必要ない場合にかぎり、ACSLS 8.x を Solaris コンテナにインストールできます。論理ライブラリを使用するために必要なターゲットモードのファイバチャネルドライバ (qlt) を使用する予定の場合は、アプリケーションを Solaris コンテナにインストールしないでください。また、mchanger ドライバが必要なファイバ接続されたライブラリを使用する予定の場合も、アプリケーションを Solaris コンテナにインストールしないでください。
注: Solaris Containers での使用がサポートされている ACSLS-HA のバージョンは存在しません。 |
Oracle VM Server for SPARC (以前の Logical Domains または LDOM) は、Chip Multithreading (CMT) テクノロジを使用すれば技術的に SPARC T シリーズサーバーで使用可能です。このテクノロジには、各ドメインを独自の Solaris カーネルで制御できる範囲までは、Solaris Containers よりも大きな利点があります。
Solaris 管理者は、システム間でハードウェアリソースをパーティション分割することで、特定のリソースを特定のドメインに割り当てることができます。この仮想マシン上のネットワークリソースは、サーバー上の最大 128 個の任意の「ゲストドメイン」間で簡単に共有できます。ただし、PCIe バスから I/O デバイスへのアクセスが必要なアプリケーションは、特別な「I/O ドメイン」にインストールする必要があります。VM サーバー上に作成できる I/O ドメインの数は、SPARC プラットフォーム上にある個別の PCIe バスの数によって異なります。単一の PCIe バスが搭載されたシステムでは、2 つの I/O ドメインを持つことができます。このうち 1 つは制御ドメインにする必要があります。
ACSLS アプリケーションがライブラリ、およびクライアントアプリケーションへのネットワーク接続上にのみ依存する場合、このサーバー上のゲストドメインにインストールできます。仮想ネットワークの設定手順については、『Oracle VM Server for SPARC 2.1 管理ガイド』ドキュメントの「仮想ネットワークの使用」セクションに記載されています。
ACSLS 8.x アプリケーションで論理ライブラリを使用する予定の場合や、SL500 や SL150 などのファイバチャネルライブラリに接続する予定の場合は、ACSLS を I/O ドメインにインストールする必要があります。『Oracle VM Server for SPARC 2.1 管理ガイド』の「I/O ドメインの設定」セクションを参照してください。
このセクションでは、ACSLS 8.3 の概要について説明します。
ACSLS は自動ライブラリ管理ソフトウェアです。これにより、複数のクライアントでの自動的なテープ操作が容易になり、ライブラリの使いやすさ、パフォーマンス、および可用性を強化するサービスとサポートが提供されます。1 台の ACSLS サーバーで、ライブラリ複合体、個々のライブラリ、または両方の混在に接続されているライブラリを制御できます。
ACSLS には、ACSLS 7.3.1 に存在する旧バージョンの ACSLS 製品で使用可能なライブラリ管理機能がすべて含まれています。ACSAPI クライアントでは、cmd_proc
および ACSLS ユーティリティーがサポートされています (起動と停止は変更されました)。
GUI は、WebLogic 内で動作するブラウザベースの Web アプリケーションです。このインタフェースは、ACSLS の従来の cmd_proc
インタフェースの代替となります。
Oracle の WebLogic を使用したアプリケーションとして動作します。
ライブラリの管理と操作を行う cmd_proc
の代替となります。論理ライブラリの管理に関する新しい操作とともに、旧バージョンの cmd_proc
操作の大部分を実行できます。
テープライブラリコンポーネントのリアルタイムモニターを提供します。
物理構成および論理構成をナビゲートするツリーブラウザを提供します。
各画面からリアルタイムのアラートが表示されます。
フィルタリング機能およびクエリー結果をフラットファイルにダウンロードする機能をカスタマイズできます。
ACSLS GUI または lib_cmd
を使用すると、特定の物理ライブラリ内のボリュームおよびドライブのサブセットが含まれる論理ライブラリを作成できます。これにより、物理ライブラリの論理サブセットを定義できるため、個別の論理ライブラリであるかのようにクライアントアプリケーションで管理および使用できるようになります。特定のクライアントアプリケーションで使用するように、論理ライブラリに特定の物理ライブラリ内のボリュームおよびドライブの一部 (または全部) を割り当てることができます。
論理ライブラリが複数の物理 ACS (または物理パーティション) に及ぶことはできません。
論理ライブラリは、ACSLS 8.x SCSI インタフェースを使用してクライアントにアクセスできます。旧バージョンの ACSAPI を使用するクライアントでは使用できません。
論理ライブラリに割り当てられた物理ドライブおよびカートリッジは、ACSAPI クライアントにアクセスできなくなります。物理ライブラリは、論理ライブラリに割り当てられていないドライブおよびボリュームとともに、引き続き ACSAPI クライアントにアクセスできます。
論理ライブラリに割り当てられたドライブおよびボリュームは、排他的に割り当てられます。論理ライブラリ間でのドライブまたはボリュームの共有はサポートされていません。
ACSLS 8.x 以前は、物理ライブラリで長いボリュームラベルがサポートされるかどうかは、ライブラリのファームウェアおよび構成に依存していました。
現在は、ACSLS SCSI Media Changer Interface を使用すれば ACSLS で長いボリュームラベルがサポートされます。長いボリュームラベルは、GUI、CLI (cmd_proc
)、およびユーティリティーから表示できます。
長いボリュームラベルは、SCSI Medium Changer インタフェースを使用して論理ライブラリにアクセスするクライアントによって表示されます。ACSAPI クライアントにはアクセスできません。
ACSLS 8.x では、論理ライブラリにアクセスできる SCSI Media Changer over Fibre Channel Interface が提供されています。ACSLS は、同時に複数の SCSI クライアントにサービスを提供できます。各クライアントは、割り当てられた論理ライブラリに排他的にアクセスできます。
これにより、NetBackup などのクライアントソフトウェアが個別の物理ライブラリであるかのように論理ライブラリを使用できます。各論理ライブラリは 1 つのクライアントにしか割り当てることができませんが、必要に応じて、特定のクライアントは複数の論理ライブラリにアクセスできます。ACSLS 8.x では、SCSI クライアントがバッキング物理ライブラリに直接アクセスすることは許可されていません。論理ライブラリに割り当てられたボリュームおよびドライブにのみアクセスできます。
SCSI クライアントアクセスは、論理ライブラリの作成時または変更時に確立できます。
ACSLS 8.x では、既存のクライアントアプリケーションと互換性がある ACSAPI クライアントインタフェースが提供されています。ACSAPI インタフェースは、旧バージョンの ACSLS 7.3 製品で提供されているインタフェースと同じです。
ACSLS 8.x では、ACSLS の旧バージョンの cmd_proc
形式でコマンド行インタフェースが提供されています。このインタフェースには、物理ライブラリリソースを管理する ACSLS 7.3 と同じ機能が備わっています。
cmd_proc
インタフェースは、論理ライブラリにはアクセスできません。ただし、論理ライブラリに割り当てられた物理リソースは、cmd_proc
管理 CLI 経由で引き続き完全にアクセスできます (ただし、ACSAPI クライアントにはアクセスできません)。
ACSLS では、ACSLS サーバーで動作しているシェルから実行できるユーティリティーセットが提供されています。これには、旧バージョンの ACSLS 7.3.1 製品で提供されていた従来のユーティリティーの大部分が含まれています。
これらのユーティリティーには次のものが含まれます。
データベーステーブルのバックアップおよび復元操作
データベーステーブルのインポートおよびエクスポート操作
起動および停止操作
物理ライブラリの動的構成
volrpt、moving.sh
、および ejecting.sh
新しいユーティリティー (checkGui.sh
)。ACSLS の GUI インストールには、WebLogic のステータス、ACSLS の配備、および可能なファイアウォールの設定を含む複数の依存関係があります。checkGui.sh
ユーティリティーは、このようなさまざまな依存関係をテストして、それぞれのステータスを示したサマリーレポートを提供します。詳細については、ACSLS 8.3 の管理者ガイドのトラブルシューティングに関する付録を参照してください。
新しいユーティリティー (getHba.sh
) は、ファイバチャネル (FC) ポートを管理します。ターゲットモード (FC クライアントをサポートする) またはイニシエータモード (FC 接続された物理ライブラリを管理する) で動作するようにポートを構成できます。
ACSLS には、ライブラリ管理アプリケーションの起動と停止を行う新しいコマンド (acsss
) が用意されています。このコマンドはシェルプロンプトからのみ使用可能であり、GUI からはアクセスできません。
ACSLS で使用されていた db_command
、rc.acsss、kill.acsss
、および fix_rc.sh
コマンドは、acsss
コマンドで置き換えられました。acsss
コマンドには、アプリケーションのステータスをモニターする機能も備わっています。たとえば、次のように使用します。
ACSLS を起動する場合は acsss enable
ACSLS を停止する場合は acsss disable
オプションのリストを表示する場合は acsss
StorageTek ACSLS バージョン 7.3.1 および 8.x より、StorageTek ACSLS で使用権のあるライセンスが強制されなくなり、ACSLS で有効なライセンスキーかどうかがチェックされなくなりました。システムコンソールまたは acsss_event.log
に、間もなく期限が切れるライセンスキーやライブラリ容量ライセンスに関するメッセージが表示されなくなりました。
次のユーティリティーは、その容量で有効なライセンスキーの設定およびチェックが機能しなくなりました。
licensekey.sh
get_license_info.sh
ライブラリスロットの使用状況を表示するには、free_cells.sh
ユーティリティーを使用します。