Automated Cartridge System Library Software (ACSLS) は、StorageTek 自動テープライブラリを制御する Oracle の StorageTek サーバーソフトウェアです。ACS (Automated Cartridge System) は、PTP (Pass-Thru-Port) 経由で接続されたテープライブラリのグループです。ACSLS はネットワーク経由のコマンド処理を介して、1 つ以上の ACS に保存された情報にアクセスし管理します。このソフトウェアには、システム管理コンポーネント、クライアントシステムのアプリケーションへのインタフェース、およびライブラリ管理機能が備わっています。
ACSLS 8.3 はリレーショナルデータベース PosgreSQL を使用します。PostgreSQL パッケージは Solaris 10 にバンドルされています。Solaris 11 の場合、Oracle edelivery サイト内の STKacsls パッケージが置かれている場所から PostgreSQL パッケージを入手できます。このドキュメントで説明する Linux のインストール手順では、Linux 6.3 製品パックのインストール後に Oracle yum リポジトリから PostgreSQL パッケージを追加する方法を説明します。
ACSLS 8.3 は次で十分なテストおよび検証が行われています。
Solaris 10 Update 10 および 11 を実行している Oracle の Sun SPARC および X86 プラットフォーム。
Solaris 11 Update 1 を実行している Oracle の Sun SPARC および X86 プラットフォーム。
Oracle Linux 6.3 および Linux 6.4。
AIX および仮想環境を含むその他のオペレーティングシステムは、テストもサポートもされていません。
ACSLS 8.3 には WebLogic 10.3.5 がバンドルされています。
ACSLS では、論理ライブラリやファイバ接続ライブラリ (SL500 や SL150 など) で使用する特別なデバイスドライバも提供されます。このようなデバイスドライバはシステムカーネルに接続されるため、大域ゾーンへの配置が必要です。このようなドライバを使用する場合は、ACSLS をローカルゾーン環境にインストールできません。
ACSLS 8.3 HA システムは専用のプラットフォームペアにインストールする必要があります。
メモリー: 2G バイト以上
システムメモリーを表示するには、次のようにします。
Solaris
prtconf | grep Mem
Linux
grep MemTotal /proc/meminfo
スワップ: 2G バイト以上のスワップが必要です。6G バイトを超えるメモリーが構成されているシステムの場合、スワップは物理メモリーのおおよそ 30% です。
Solaris
swap -l
(512 バイトのブロックを表示します)
ブロック数を 2 で割ります。
この数字を 1024 で割ります。
これにより、M バイトでのスワップ空間を求めることができます。
Linux
free -m
(割り当てられているスワップ空間を M バイトで表します)
ファイルシステム:
ACSLS 8.3 は任意のファイルシステムにインストールできます。選択したファイルシステムに最低 5G バイトの空き容量があることを確認してください。
必須ではありませんが、ACSLS のホームディレクトリとは別のファイルシステムに ACSLS バックアップディレクトリを配置することをお勧めします。バックアップディレクトリ用にさらに 5G バイトを予約しておく必要があります。
ファイルシステムのサイズを表示するには、次のようにします。
df -h
ファイバカード (オプション): ファイバチャネル動作用に適切な HBA が必要です。
論理ライブラリ機能をサポートするターゲットモード動作については、この HBA は現世代の QLogic ファイバカード (4G バイト以上) である必要があります。
ファイバ接続ライブラリ (SL500 または SL150) をサポートするイニシエータモード動作については、ACSLS 8.3 は QLogic カードおよび Emulex HBA で十分にテストされ、認定されています。
中断なしのライブラリサービスを保証し、リソースの競合による予期しない問題を回避するために、一般に、ACSLS を専用サーバー上のスタンドアロン環境で実行することが推奨されています。ただし、一部のシステムは、複数のアプリケーションが相互に完全に分離されているように共同ホストされた方法で実行できるように特別に設計されています。具体的には、Solaris Containers および Oracle Solaris VM Server for SPARC では、ACSLS とともに使用するために条件付きの共同ホスティングが可能になっています。
次では、ACSLS アプリケーション用のさまざまな共同ホスティングオプションと関連する条件および制限について説明します。
Solaris ゾーン (コンテナ)
Solaris ゾーンを使用すると、システム管理者が標準の低コストサーバーを 4 台の独立した Solaris システム (それぞれが独自の分離したファイルシステムと、Solaris の独自のインスタンスを持つ) にパーティション分割できます。同じプラットフォーム上のその他のゾーンにあるアプリケーションに影響を与えることなく、ネットワークリソースを各ゾーンに割り当てたり、任意のローカル (非大域) ゾーンをリブートしたりできます。
ただし、複数のゾーン間でカーネルリソース (デバイスドライバなど) を共有する機能はほとんど役立ちません。カーネルドライバが必要なアプリケーションは大域ゾーン内に存在することが理想的です。ただし、アプリケーションが致命的な状態になると、その他のゾーン内で動作しているその他のすべてのアプリケーションが影響を受ける可能性があるため、一般に、大域ゾーンにアプリケーションをインストールすることは適切な運用ではありません。
ネットワークインタフェース以外のドライバが必要ない場合にかぎり、ACSLS 8.3 を Solaris ゾーンにインストールできます。論理ライブラリを使用する場合はターゲットモードファイバチャネルドライバが必要になり、SL500 または SL150 ライブラリへの接続にはイニシエータモードファイバチャネルドライバが必要になります。いずれの構成でも、ACSLS を大域ゾーンにインストールする必要があります。
Solaris ゾーンでの使用がサポートされている ACSLS-HA バージョンはありません。
Oracle VM Server for SPARC
Oracle VM Server for SPARC (以前の Logical Domains または LDOM) は、Chip Multithreading (CMT) テクノロジを使用すれば技術的に SPARC T シリーズサーバーで使用可能です。このテクノロジには、各ドメインを独自の Solaris カーネルで制御できる範囲までは、Solaris Containers よりも大きな利点があります。
Solaris 管理者は、システム間でハードウェアリソースをパーティション分割することで、特定のリソースを特定のドメインに割り当てることができます。この仮想マシン上のネットワークリソースは、サーバー上の最大 128 個の任意のゲストドメイン間で簡単に共有できます。ただし、PCIe バスから I/O デバイスへのアクセスが必要なアプリケーションは、特別な I/O ドメインにインストールする必要があります。VM サーバー上に作成できる I/O ドメインの数は、SPARC プラットフォーム上にある個別の PCIe バスの数によって異なります。単一の PCIe バスが搭載されたシステムでは、2 つの I/O ドメインを持つことができます。このうち 1 つは制御ドメインにする必要があります。
ACSLS アプリケーションがライブラリ、およびクライアントアプリケーションへのネットワーク接続にのみ依存する場合、このサーバー上のゲストドメインにインストールできます。仮想ネットワークの設定手順については、『Oracle VM Server for SPARC 2.1 管理ガイド』ドキュメントの「仮想ネットワークの使用」セクションに記載されています。
ACSLS 8.x アプリケーションで論理ライブラリを使用する予定の場合や、SL500 や L700 などのファイバチャネルライブラリに接続する予定の場合は、ACSLS を I/O ドメインにインストールする必要があります。『Oracle VM Server for SPARC 2.1 管理ガイド』の「I/O ドメインの設定」セクションを参照してください。
Solaris Cluster Software は Oracle VM Server for SPARC でサポートされているため、このプラットフォームは ACSLS-HA アプリケーションで使用できます。Oracle VM サーバー (SPARC) 向け Oracle Solaris Cluster データサービスに関するガイドを参照してください。