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Oracle® Fusion Middleware Oracle Coherence*WebでのHTTPセッション・マネージメントの管理
12c (12.1.2)
B70746-02
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2 WebLogic ServerでのCoherence*Webの使用方法

この章では、WebLogic Serverで使用するために、Coherence*Web、セッション状態の永続性および管理モジュールを構成してデプロイする方法について説明します。Coherence*Webをこのアプリケーション・サーバーで使用可能にする機能は、Coherence*Webに含まれています。

この章では、Coherenceアプリケーションをグリッド用にパッケージ化するためのCoherence ContainerおよびGrid Archive (GAR)形式についても概説します。Coherence ContainerおよびGAR形式の詳細な説明はこのドキュメントの範囲外です。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server用Oracle Coherenceアプリケーションの開発』を参照してください。

この章には次の項が含まれます:

Coherence*Webでは、セッション状態の持続および管理が実現されます。セッション・データの格納および管理にCoherenceキャッシュを使用するのは、セッション管理モジュールです。Coherence*Webは、WebLogic Serverのメモリー内HTTP状態レプリケーション・サービスにかわるものです。次のいずれかの状況に該当する場合は、Coherence*Webの使用を検討してください。

2.1 Coherence*Webの概要

Coherence*Webを定義するクラスは、coherence-web.jarファイルに含まれています。Coherence*Webで提供される機能を使用するには、Webアプリケーションに対してcoherence.jarクラスも使用可能にする必要があります。どちらのファイルもcoherence\libディレクトリにあります。


注意:

Coherence 12c (12.1.2)ディストリビューションでは、coherence-web-spi.warファイルもcoherence\libディレクトリに含まれます。このファイルは、以前のバージョンのWebLogic Serverとの後方互換性のためにのみ提供されています。WebLogic Server 12c (12.1.2)以降を使用している場合は、このファイルを操作または参照する必要はありません。coherence-web-spi.warファイルをWebLogic Server 12c (12.1.2)以降にデプロイしようとしても無視されます。


WebLogic Server 12c (12.1.2)以降では、coherence-web.jarおよびcoherence.jarファイルはWebLogic Serverシステム・クラスパスに表示されます。coherence-web.jarは、適切なクラス・ローダーでアプリケーション・クラスをWebLogic Serverにロードします。つまり、coherence.jarまたはcoherence-web.jarファイルをWebアプリケーションのクラスパスに含める必要はありません。

Coherence*Webで使用されるCoherenceキャッシュ構成とサービスは、default-session-cache-config.xmlファイルで定義され、このファイルはcoherence-web.jarファイル内にあります。default-session-cache-config.xmlファイルで定義されているデフォルト・キャッシュ構成とサービス構成は、ほとんどすべてのWebアプリケーションに対応可能です。

session-cache-config.xmlという名前のファイルをWebアプリケーションにパッケージ化することにより、自分専用のカスタム・セッション・キャッシュ構成を作成できます。詳細は、「カスタム・セッション・キャッシュ構成ファイルの使用方法」を参照してください。

Coherence*WebはWebLogic Serverで起動されると、最初にsession-cache-config.xmlという名前のファイルを探します。たとえば、このファイルはWARファイルのWEB-INF/classesディレクトリに置いてあるか、JARファイルにパッケージ化されてEARファイルのAPP-INF/libディレクトリに置いてある可能性があります。カスタム・セッション・キャッシュ構成XMLリソースが見つからない場合は、coherence-web.jarにパッケージ化されているdefault-session-cache-config.xmlファイルが使用されます。

Coherence*Webでは、次のデフォルト・キャッシュ構成が定義されています。

WebLogic Serverの12c (12.1.2)リリースで実行されているすべてのCoherence*Web対応アプリケーションは、アプリケーション・サーバー・スコープを持ちます。この構成では、デプロイされたすべてのアプリケーションが1つのCoherenceノードに含まれます。クラスタ・ノードのスコープの詳細は、「クラスタ・ノード分離」を参照してください。

Coherence*Webには、セッションの同時アクセスを制御するためのセッション・ロック・モードがいくつかあります。両方のCoherence*Webに、最後の書込みを優先するロックがデフォルトで採用されています。ロック・モードの詳細は、「セッション・ロック・モード」を参照してください。

Coherence*Webは、単独ではロード・バランサをWebLogic Server層の前で実行する必要はありません。ただし、ロード・バランサによりパフォーマンスが向上します。同じセッションが同時に使用されロックが有効でない場合に必要です。デフォルトのロード・バランサでは、HTTPセッションのJVMアフィニティを適用しますが、他のロード・バランシング方法も使用できます。WebLogic Serverには、JVMセッションの持続性を維持するための様々なプロキシ・プラグインが付属しています。WebLogic Serverプロキシ・プラグインの構成に関するドキュメントは次のURLから入手できます。

http://download.oracle.com/docs/cd/E17904_01/web.1111/e13709/load_balancing.htm

2.2 Coherence Containerの概要

Oracle WebLogic ServerとCoherenceには、WebLogic Server上でホストされている他のJava EEアプリケーションと同様の利点をCoherenceアプリケーションに提供するCoherenceコンテナが定義されています。次のような利点があります。

Coherenceコンテナの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server用Oracle Coherenceアプリケーションの開発』のWebLogic Server用のCoherenceアプリケーションの作成に関する項を参照してください。

2.3 Coherence*Webの構成とデプロイ: 主な手順

次の手順は、WebLogic Server上で実行しているアプリケーションでCoherence*Webを使用するためにデプロイメントを準備する方法を示しています。

  1. WebLogic ServerとOracle Coherenceをインストールします。「WebLogic ServerとOracle Coherenceのインストール」を参照してください。

  2. (オプション) アプリケーションにCoherence*Web用の高度な構成が必要な場合は、デプロイメントのweb.xmlファイルを変更します。Webアプリケーションに対して構成可能なパラメータについては、「Coherence*Webの構成」で説明します。すべてのCoherence*Webパラメータの詳細は、付録A「Coherence*Webコンテキスト・パラメータ」を参照してください。

  3. (オプション)WebLogicによって生成されるHTTPセッションCookieパラメータをweblogic.xmlまたはweblogic-application.xmlのファイルで構成します。「セッションCookieの構成」を参照してください。

  4. (テストの場合はオプション、本番の場合は強く推奨)WebLogic Serverを実行しているJVMとは別のJVMでキャッシュ・サーバー層を起動します。「キャッシュ・サーバーの起動」を参照してください。

  5. Coherence*Webの記憶域モードを設定します。「Coherence*Webの記憶域モードの構成」を参照してください。

  6. アプリケーションをWebLogic Serverにデプロイします。「WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ」を参照してください。

2.3.1 WebLogic ServerとOracle Coherenceのインストール

WebLogic Serverには、次のインストール・オプションがあります。

  • wls_version.jarはフル・インストールを提供し、インストールするコンポーネント(ビット、サンプル、Javadoc)を個々に選択することが可能です。インストーラでは、Oracle Universal Installer (OUI)を使用したグラフィカル・モードとサイレント・モードの両方がサポートされています。サイレント・モードでは、グラフィカル・インタフェースを使用せずにWebLogic ServerとCoherenceをインストールでき、リモート・インストールまたはスクリプトの一部としてインストールを組み込んでいる場合に適しています。

  • wls_quick_version.jarは、ビットをサイレント・インストールします。クイック・インストールでは、オプションなしでサイレント・インストールが実行されます。

  • wls_quick_supp_version.jarは、サンプルおよびJavadocファイルをサイレント・インストールします。

次のように、javaコマンドを使用して、ターゲット・コンピュータ上でインストーラを実行します。

java -jar wls_version.jar

WebLogic Serverは常にORACLE_HOME/wlserverディレクトリにインストールされます。Coherenceは常にORACLE_HOME/coherenceディレクトリにインストールされます。

WebLogic Serverのインストール手順の詳細は、『Oracle WebLogic Serverのインストール』を参照してください。

以前のバージョンのWebLogic Serverへの必要なソフトウェア・パッチの適用

CoherenceとCoherence*Webで作業する前に、一部の旧リリースのWebLogic Serverではソフトウェア・パッチの適用が必要です。表2-1は、以前のバージョンのWebLogic Serverに適用する必要があるパッチを示しています。

表2-1 以前のバージョンのWebLogic Serverに必要なソフトウェア・パッチ


WebLogic Server 9.2 MP1 WebLogic Server 9.2 MP3 WebLogic Server 10.3 WebLogic Server 11g (10.3.1以上)

WebLogic Smart UpdateパッチID

パッチID: 616G

パッチID: LP7B

パッチID: 6W2W

パッチは不要


Smart UpdateユーティリティをWebLogic Server管理コンソールで使用するか、My Oracle Supportにアクセスすると、パッチを入手できます。

Smart Updateを使用するには、WebLogic Server管理コンソールで指示を参照してください。本番環境では、Smart Updateの本番インストールに関する注意を確認してください。

My Oracle Supportを使用するには、My Oracle Support Webサイトに移動します。

https://support.oracle.com/

「パッチ」タブを選択してから、「単純検索」リンクをクリックし、後続の画面で適切な値(「11399293」など)のパッチ番号か名前を検索します。表示された検索結果からパッチのzipファイルをダウンロードします。Coherenceパッチを適用する手順は、パッチのzipファイルに含まれるREADME.txtに記載されています。

Coherence*Webを古いリリースのWebLogic Server (WebLogic Server 11gR1以前など)にインストールする場合の詳細は、次のURLの『Oracle Coherence*Web用Coherenceユーザーズ・ガイド』に記載されているネイティブのWebLogic Server SPIベースのインストール手順を参照してください。

http://docs.oracle.com/cd/E24290_01/coh.371/e22620/toc.htm

2.3.2 Coherence*Webの構成

Coherence*Webにより、大半のWebアプリケーションに対応するデフォルト構成を実現します。表2-2で、Coherence*Webにより構成されるコンテキスト・パラメータについて説明します。表2-3で、互換性モード・コンテキスト・パラメータについて説明します。すべてのCoherence*Webパラメータの詳細は、付録A「Coherence*Webコンテキスト・パラメータ」を参照してください。

コンテキスト・パラメータは、システム・プロパティとしてコマンドラインで構成することもできます。システム・プロパティは、コンテキスト・パラメータと同じ名前を持ちますが、ダッシュ(-)がピリオド(.)に置き換えられています。たとえば、coherence-enable-sessioncontextコンテキスト・パラメータの値をコマンドラインで宣言するには、次のように入力します。

-Dcoherence.enable.sessioncontext=true

システム・プロパティと、同等のコンテキスト・パラメータの両方が構成されている場合、システム・プロパティの値が使用されます。

表2-2 Coherence*Webによって構成されるコンテキスト・パラメータ

パラメータ名 説明

coherence-application-name

Coherence*Webではこのパラメータの値を使用して、ApplicationScopeControllerインタフェースを使用して属性のスコープを設定するアプリケーションの名前を判別します。このパラメータの値は、次の形式で指定する必要があります。

アプリケーション名 + ! + Webモジュール名

application nameApplicationScopeControllerインタフェースを使用するアプリケーションの名前であり、Web module nameはそれが記述されているWebモジュールの名前です。

たとえば、test.earというEARファイルと、このEARファイル内で定義されたapp1というWebモジュールがある場合、coherence-application-nameパラメータのデフォルト値はtest!app1となります。

このパラメータが構成されていない場合、Coherence*Webでは、かわりにクラス・ローダーの名前が使用されます。また、このパラメータが構成されておらず、ApplicationScopeControllerインタフェースが構成されている場合、アプリケーション名が構成されていなかったことを示す警告が記録されます。詳細は、「セッション属性スコープ設定」を参照してください。

coherence-reaperdaemon-assume-locality

この設定により、セッション・リーパーでは、(たとえば、分散キャッシュ・サービスによって)このノードに保存されるセッションは、このノードで期限切れのチェックが必要なセッションのみであると仮定できます。

デフォルトはfalseです。

coherence-scopecontroller-class

この値は、オプションのcom.tangosol.coherence.servlet.HttpSessionCollection$AttributeScopeControllerインタフェース実装のクラス名を指定します。

有効な値は次のとおりです。

  • com.tangosol.coherence.servlet.AbstractHttpSessionCollection$ApplicationScopeController (デフォルト)

  • com.tangosol.coherence.servlet.AbstractHttpSessionCollection$GlobalScopeController

Coherence*Webで設定するデフォルトはcom.tangosol.coherence.servlet.AbstractHttpSessionCollection$ApplicationScopeControllerです。


表2-3は、Coherence*Webで具体的に渡されたcoherence-session-weblogic-compatibility-modeコンテキスト・パラメータを示しています。

表2-3 Coherence*Webによって渡されるコンテキスト・パラメータ

パラメータ名 説明

coherence-session-weblogic-compatibility-mode

このパラメータは、Coherence*Webによって渡されます。この値をtrueに設定した場合、各Webアプリケーションで、単一のセッションID (Cookieのパスを「/」に設定)が、固有のCoherence*Webセッション・インスタンスにマップされます。falseに設定した場合は、標準の動作が適用されます。つまり、単一のセッションIDが、WebLogic ServerのCoherence*Webを使用して単一のセッション・インスタンスにマップされます。WebLogicにおけるその他のすべてのセッション持続メカニズムでは、各Webアプリケーションで単一のセッションIDを使用して、様々なセッション・インスタンスを参照します。

グローバル・スコープ・コントローラが指定されていないかぎり、このパラメータではデフォルトでtrueに設定されます。コントローラが指定されていると、パラメータのデフォルト値はfalseになります。


表2-4は、coherence-factory-classコンテキスト・パラメータを示しています。デフォルト値はCoherence*Webで設定されますが、変更しないでください。

表2-4 変更してはいけないコンテキスト・パラメータ値

パラメータ名 説明

coherence-factory-class

SessionHelper.Factoryファクトリ・クラスを実装するクラスの完全修飾クラス名。Coherence*Webにより、デフォルト値はweblogic.servlet.internal.session.WebLogicSPIFactoryに設定されます。この値は変更しないでください。


2.3.3 セッションCookieの構成

Coherence*Webを使用すると、WebLogic ServerによってセッションCookieが生成および解析されます。この場合、ネイティブCoherence*WebセッションCookie構成パラメータはすべて無視されます。セッションCookieを構成するには、WebLogicによって生成されるHTTPセッションCookieパラメータをweblogic.xmlまたはweblogic-application.xmlのファイルで使用します。これらのパラメータについては、表2-5を参照してください。

この表で「更新可能?」は、サーバー実行中にパラメータ値が変更可能かどうかを示します。「該当なし」は、対応するCoherenceセッションCookieパラメータがないことを示します。

表2-5 WebLogicによって生成されるHTTPセッションのCookieパラメータ

セッションCookieパラメータ 置き換えられるCoherence*Web Cookieパラメータ 説明

cookie-comment

該当なし

Cookieファイルにあるセッション追跡Cookieを特定するコメントを指定します。

デフォルトはnullです。

更新可能?はい

cookie-domain

coherence-session-cookie-domain

Cookieを有効にするドメインを指定します。たとえば、cookie-domain.mydomain.comに設定した場合は、*.mydomain.comドメインにあるすべてのサーバーにCookieが返されます。

このドメイン名では2つ以上の要素を指定する必要があります。*.com*.netと指定した名前は無効です。

値を設定しない場合は、Cookieを発行したサーバーにデフォルトで設定されます。

詳細は、サーブレット仕様で「Cookie.setDomain()」を参照してください。

デフォルトはnullです。

更新可能?はい

cookie-max-age-secs

coherence-session-max-age

セッションCookieの存続期間(秒)を設定します。この時間が経過したクライアントではセッションCookieが期限切れになります。Cookieの詳細は、『Oracle WebLogic Server Webアプリケーション、サーブレット、JSPの開発』でセッションとセッション持続性の使用方法に関する項を参照してください。

デフォルト値は-1(無制限)です。

更新可能?はい

cookie-name

coherence-session-cookie-name

セッション・トラッキングのCookie名を定義します。設定しない場合は、デフォルトでJSESSIONIDに設定されます。これは、アプリケーションに固有の名前に設定できます。

デフォルトはJSESSIONIDです。

更新可能?はい

cookie-path

coherence-session-cookie-path

セッション・トラッキングのCookieパスを定義します。

値を指定しない場合は、デフォルトで「/」(スラッシュ)に設定され、WebLogic Serverで指定するすべてのURLにブラウザからCookieが送信されます。このパスによる対応範囲を狭くすることで、ブラウザからのCookie送信先となるリクエストURLを制限できます。

デフォルトはnullです。

更新可能?はい

cookie-secure

coherence-session-cookie-secure

HTTPS接続経由でのみCookieを返すことができることをブラウザに指示します。これによって、Cookie IDが保護されます。この設定は、HTTPSを使用するWebサイトでのみ使用してください。この機能が有効な場合、HTTP経由で送信されるセッションCookieは機能しません。

この機能を使用する場合は、url-rewriting-enabled要素を無効にしてください。

WebLogic ServerによってセッションCookieが生成されます。

デフォルトはfalseです。

更新可能?はい

cookies-enabled

coherence-session-cookies-enabled

セッションCookieの使用がデフォルトで有効になり、これをお薦めしますが、このプロパティをfalseに設定してCookieを無効にすることもできます。テスト時はこのオプションを無効にしてもかまいません。

デフォルトはtrueです。

更新可能?はい

debug-enabled

該当なし

HTTPセッションに対するデバッグ機能を有効にします。これは、HttpSessionDebugロギングおよびWebLogic Serverトレース・ロガーを有効にすることによってサポートされます。

デフォルト値は、falseです。

更新可能?はい

encode-session-id-in-query-params

該当なし

最新のサーブレット仕様でパス・パラメータのセッションIDをコンテナでエンコードする必要がある場合、trueに設定します。Webサーバーの中には、パス・パラメータを適切に処理しないものがあります。そのような場合は、encode-session-id-in-query-params要素をtrueに設定する必要があります。

WebLogic ServerによってHTTPレスポンスが生成されます。

デフォルト値は、falseです。

更新可能?はい

http-proxy-caching-of-cookies

該当なし

falseに設定すると、プロキシ・キャッシュにCookieがキャッシュされていないことを示す「Cache-control: no-cache=set-cookie」というヘッダーおよびレスポンスがWebLogic Serverによって追加されます。

WebLogic ServerによってHTTPレスポンスが生成されます。

デフォルト値はtrueです。

更新可能?はい

id-length

coherence-session-id-length

セッションIDのサイズを設定します。

最小値は8バイト、最大値はInteger.MAX_VALUEです。

Wireless Application Protocol (WAP)アプリケーションを作成している場合、WAPプロトコルではCookieがサポートされないので、URLリライティングを使用する必要があります。また、WAPデバイスの中にはURL長を128文字(属性を含む)に制限しているものがあり、その場合はURLリライティングを使用して送信できるデータの量に制限があります。属性に使用できる領域を増やすには、この属性を使用して、WebLogic Serverでランダムに生成されるセッションIDのサイズを制限します。

WAPEnabled属性を設定することで、長さを52文字固定に制限し、特殊文字の使用を禁止することもできます。詳細は、WebLogic Server用のWebアプリケーションの開発のURLリライティングとワイヤレス・アクセス・プロトコルに関する項を参照してください。

デフォルトは52です。

更新可能?いいえ

invalidation-interval-secs

該当なし

タイムアウトしたセッションおよび無効なセッションに対してチェックを実行してから古いセッションを削除してメモリーを解放するまで、Coherence*Webが待機する時間(秒単位)を設定します。この要素を使用して、トラフィックが多いサイトで最適なパフォーマンスが得られるようにWebLogic Serverを調整します。

デフォルトは60です。

更新可能?いいえ

timeout-secs

該当なし

セッションをタイムアウトするまでCoherence*Webが待機する時間(秒単位)を設定します。

アクセスが多いサイトでは、セッションのタイムアウトを適切に設定することによってアプリケーションを調整できます。ブラウザ・クライアントにセッションを終了する機会を提供するとともに、ユーザーがサイトを離れたりその他の方法でセッションを破棄した場合に、サーバーを不要に拘束しないようにします。

この要素は、web.xmlsession-timeout要素(分単位で定義)によってオーバーライドできます。

デフォルトは3600秒です。

更新可能?いいえ

tracking-enabled

該当なし

HTTPリクエスト間のセッション・トラッキングを有効にします。

WebLogic ServerによってHTTPレスポンスが生成されます。

デフォルトはtrueです。

更新可能?いいえ

url-rewriting-enabled

coherence-session-urlencode-enabled

URLリライティングを有効化します。これにより、ブラウザでCookieが無効化されている場合にセッションIDがURLにエンコードされてセッション・トラッキングが提供されます。URLを書き込むときにはencodeURLまたはencodeRedirectedURLのメソッドが使用されます。詳細は、次を参照してください。

http://www.jguru.com/faq/view.jsp?EID=1045

WebLogic ServerによってHTTPレスポンスが生成されます。

デフォルトはtrueです。

更新可能?はい


2.3.4 キャッシュ・サーバーの起動

Coherenceキャッシュ・サーバーは、すべてのキャッシュ・データを格納して管理します。Coherenceは、コンテナ・サブシステムとしてWebLogic Serverに統合されます。コンテナを使用することで、Coherenceクラスタ・メンバーのライフサイクルを、管理対象サーバーのライフサイクルに合せます。つまり、管理対象サーバーJVMの開始と終了にあわせてCoherenceクラスタ・メンバーを開始および終了することになります。クラスタ・メンバーである管理対象サーバーは、管理対象Coherenceサーバーと見なされます。

Coherenceクラスタは、WebLogic Serverクラスタとは異なります。異なるクラスタ・プロトコルを使用し、別個に構成されます。複数のWebLogic Serverクラスタを1つのCoherenceクラスタに関連付けることができ、WebLogic ServerドメインにCoherenceクラスタを1つのみ含めることができます。Coherenceクラスタ・メンバーとして構成されている管理対象サーバーは、管理対象Coherenceサーバーと見なされます。

管理対象Coherenceサーバーを明示的にCoherenceクラスタに関連付けたり、Coherenceクラスタに関連付けられているWebLogic Serverクラスタに関連付けることができます。Coherenceクラスタのメンバーであり記憶域を有効化した、WebLogic Serverによって管理されるサーバーは、キャッシュ・サーバーとして機能します。

WebLogicサーバー環境におけるCoherenceクラスタの詳細は、Oracle WebLogic Serverクラスタの管理のCoherenceクラスタの構成および管理に関する項を参照してください。WebLogic Server環境におけるCoherenceアプリケーションの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server Oracle Coherenceアプリケーションの開発』を参照してください。

次の各項で説明するように、Coherenceキャッシュ・サーバーまたはクラスタは、WebLogic Server管理コンソールまたはコマンドラインのいずれかから起動できます。

2.3.4.1 WebLogic Server管理コンソールからのCoherenceキャッシュ・サーバーの起動

WebLogic Server管理コンソールを使用して、Coherenceクラスタのメンバーである各WebLogic Serverの記憶域を有効化できます。Coherenceセッション・キャッシュには、記憶域を有効化するための別個のフラグがあります。このフラグの詳細は、「WebLogic Server管理コンソールでのCoherenceセッション・キャッシュの有効化」を参照してください。


注意:

管理対象サーバーがCoherenceクラスタのメンバーでありCoherence*Webを使用している場合、セッション記憶域を有効化するには-Dtangosol.coherence.session.localstorage=trueシステム・プロパティを起動コマンドに追加します。


Coherenceセッション・キャッシュが自動的にWebLogic Serverクラスタで開始します。Coherenceキャッシュ・サーバーをWebLogic Server管理コンソールで操作する場合の例は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Coherenceチュートリアル』のCoherenceコンテナおよびWebLogic Serverによるセッションのキャッシングに関する項を参照してください。

次の手順は、CoherenceクラスタをWebLogic Server管理コンソールで起動する方法を示しています。

  1. Coherenceクラスタを構成します。

    詳細は、Oracle WebLogic Serverクラスタの管理のCoherenceクラスタの構成および管理に関する項を参照してください。

  2. Coherenceクラスタに関連付けられるWebLogic Serverおよびクラスタを構成します。

    詳細は、Oracle WebLogic Serverクラスタの管理のCoherenceクラスタの構成および管理に関する項を参照してください。

  3. 選択したWebLogic ServerまたはクラスタのCoherence*Webを有効化します。

    詳細は、WebLogic Server管理コンソールでのCoherenceセッション・キャッシュの有効化に関する項を参照してください。

2.3.4.2 コマンドラインからのCoherenceキャッシュ・サーバーの起動

WebLogic Server管理コンソールを使用するかわりに、コマンドラインからのCoherenceキャッシュ・サーバーまたはクラスタの起動が必要になる場合があります。Coherenceキャッシュ・サーバーは、コマンドラインからスタンドアロン・モードまたはWebLogic Serverインスタンスの一部として起動できます。

2.3.4.2.1 スタンドアロンCoherenceキャッシュ・サーバーの起動方法

スタンドアロンCoherenceキャッシュ・サーバーを起動するには、次の手順を実行します。

  1. Coherenceキャッシュ・サーバーを起動するためのスクリプトを作成します。記憶域が有効なキャッシュ・サーバーを作成して起動する簡単なスクリプトの例を次に示します。この例では、Sun JVMの使用を前提としています。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Coherenceでのアプリケーションの開発』JVMチューニングに関する項を参照してください。

    java -server -Xms512m -Xmx512m 
    -cp <Coherence installation dir>/lib/coherence-web.jar:<Coherence installation dir>/lib/coherence.jar -Dtangosol.coherence.management.remote=true 
    -Dtangosol.coherence.cacheconfig=session_cache_configuration_file 
    -Dtangosol.coherence.session.localstorage=true -Dtangosol.coherence.cluster=Coherence_cluster_name com.tangosol.net.DefaultCacheServer
    

    クラスパスのcoherence-web.jarcoherence.jarを含める必要があります。変数session_cache_configuration_fileは、ファイル・システムにおけるキャッシュ構成ファイルへの絶対パスを示します。Coherence*Webでは、デフォルトのセッション・キャッシュ構成ファイル名はdefault-session-cache-config.xmlです。キャッシュ・サーバーに対して定義されているキャッシュ構成は、同じCoherenceクラスタで実行されているアプリケーション・サーバーに対して定義されているキャッシュ構成と一致する必要があります。

    アプリケーションで追加のCoherenceキャッシュを使用する場合は、カスタマイズしたセッション・キャッシュ構成ファイルとキャッシュ構成情報をマージする必要があります。このカスタマイズしたセッション・キャッシュ構成ファイル(通常、名前はsession-cache-config.xml)には、default-session-cache-config.xmlファイルの内容およびアプリケーションで使用されている追加のキャッシュを含める必要があります。

    キャッシュ構成とセッション構成は、WebLogic ServerとCoherenceキャッシュ・サーバーとの間で一貫している必要があります。

    これらのファイルをマージする方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Coherence統合ガイド』のCoherenceキャッシュとセッション情報のマージに関する項を参照してください。

    変数Coherence_cluster_nameはCoherenceクラスタの名前を表します。WebLogic Serverリリース10.3.6以降に、クラスタ名のチェック機能が追加されています。クラスタ名をWebLogic Serverアプリケーションで宣言しているため、tangosol.coherence.clusterプロパティをキャッシュ・サーバーに追加する必要があります。スタンドアロン・モードで起動された場合、Coherenceサーバーはこのプロパティを渡す必要があります。そうしないと、WLSサーバーとスタンドアロン・キャッシュ・サーバー間にクラスタは形成されません。

  2. 前述の手順で説明したスクリプトを使用して、Coherenceキャッシュ・サーバーを1つ以上起動します。

2.3.4.2.2 記憶域を有効化したWebLogic Serverインスタンスまたは記憶域を無効化したWebLogic Serverインスタンスの起動方法

デフォルトでは、Coherence*Webを使用可能なWebLogic Serverインスタンスは、記憶域を無効化した状態で起動します。記憶域を有効化した状態でWebLogic Serverインスタンスを起動する手順は次のとおりです。

  1. Coherenceキャッシュ・サーバーを起動するためのスクリプトを作成します。これは、前項で説明されているスクリプトと同様にできます。

  2. -Dtangosol.coherence.session.localstorage=trueのコマンドライン・プロパティをサーバー起動コマンドに含め、ローカル記憶域を有効にしますWebLogic Serverインスタンスが、Coherence*Webが使用可能で、ローカル記憶域を有効化した状態で起動します。

    Coherence*Webを使用可能なWebLogic Serverインスタンスを起動するには、このシステム・プロパティを省略します。ローカル記憶域はデフォルトでは無効化されています。

コマンドラインからのWebLogic Serverの操作の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverコマンド・リファレンス』のweblogic.Serverコマンドライン・リファレンスに関する項を参照してください。

2.3.5 Coherence*Webの記憶域モードの構成

weblogic.xmlセッション構成でpersistent-store-type属性の値としてcoherence-webを指定することにより、Coherence*Webセッション記憶域を有効にできます。この構成では、WebLogic ServerにデプロイされたWebアプリケーションに対して、アプリケーション・サーバー・レベルのクラスタ・ノードのスコープ設定が提供されます。共有ライブラリをデプロイする必要はなく、また共有ライブラリに依存する必要もありません。

Coherence*Webは、WebLogic Serverインスタンスでのセッション持続が必要なWebアプリケーションの起動時にのみ初期化されます。

例2-1は、persistent-store-type属性の値がcoherence-webであるサンプルweblogic.xmlファイルを示しています。

例2-1 weblogic.xmlのCoherence Webの記憶域モード

<weblogic-web-app>
  ...
<session-descriptor>   
      <persistent-store-type>coherence-web</persistent-store-type>
</session-descriptor>  
  ...
</weblogic-web-app>

2.3.6 WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ

デフォルト・セッション・キャッシュ構成ファイルをWebアプリケーションで使用している場合は、それを他のJava EEアプリケーションのようにパッケージ化してデプロイできます。ただし、カスタム・セッション・キャッシュ構成ファイルを使用している場合は、アプリケーションをGARファイルでパッケージ化してデプロイする必要があります。

GARファイルは他のあらゆるJava EEアプリケーションと同様にデプロイされますが、Coherence層とその層に属するノードを作成する点が異なります。スタンドアロンGARまたは埋込みGARを構成できます。

スタンドアロンGARファイルおよび埋込みGARの構成およびデプロイの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Coherenceの管理』のWebLogic ServerへのCoherenceアプリケーションのデプロイに関する項およびOracle WebLogic Server用Oracle Coherenceアプリケーションの開発のWebLogic Server用のCoherenceアプリケーションの作成に関する項を参照してください。

2.4 Coherence*Web用のCoherence MBean属性

WebLogic Serverは、ドメイン内のクラスタを表す、クラスタMBean (weblogic.management.configuration.ClusterMBean)を定義します。クラスタMBeanは、クラスタの管理に関連する複数の属性、操作およびMBeanを定義します。クラスタMBeanにより定義されるMBeanの例として、CoherenceMemberConfigMBeanCoherenceTierMBeanがあります。

CoherenceMemberConfigMBeanCoherenceTierMBeanはそれぞれ、クラスタまたはメンバーがCoherence*Webに対する記憶域層として機能しているかどうかを示すisCoherenceWebLocalStorageEnabled属性を定義します。この属性の定義を表2-6に示します。

表2-6 Coherence*Web用のCoherence MBean属性

属性 説明

isCoherenceWebLocalStorageEnabled

この属性がCoherenceTierMBeantrueに設定されている場合、クラスタがCoherence*Webに対する記憶域層として機能していることを示します。Coherence*Webキャッシュ・サービスは、サーバーの起動時に記憶域が有効な状態で起動します。Coherence*Web対応のアプリケーションのデプロイ時には、ドメイン内にこの属性が有効になっている稼動中のWebLogicクラスタが存在する必要があります。

この属性がCoherenceMemberConfigMBeantrueに設定されている場合、このノードがCoherence*Webに対する記憶域ノードとして機能していることを示します。Coherence*Webキャッシュ・サービスは、サーバーの起動時に記憶域が有効な状態で起動します。Coherence*Web対応のアプリケーションのデプロイ時には、ドメイン内にこの属性が有効になっている稼動中のWebLogicクラスタが存在する必要があります。

デフォルト: false


2.4.1 WebLogic Server管理コンソールでのCoherenceセッション・キャッシュの有効化

WebLogic Server管理コンソールの「Coherence Webローカル記憶域有効」チェック・ボックスは、前項で説明したisCoherenceWebLocalStorageEnabled属性に対応しています。このチェック・ボックスは、クラスタがCoherence*Webの記憶域層として機能しているかどうかを示します。このチェック・ボックスに移動する手順は次のとおりです。

  1. 「ドメイン構造」ウィンドウで、「環境」「クラスタ」を選択します。

  2. 「クラスタ」表内の定義済クラスタを選択します。

  3. 「クラスタの設定」ページで、「構成」タブ→「Coherence」タブを選択します。

図2-1に、WebLogic Server管理コンソールの「クラスタの設定」ページの「Coherence Webローカル記憶域有効」チェック・ボックスを示します。

図2-1 「Coherence Webローカル記憶域有効」チェック・ボックス

「Coherence Webローカル記憶域有効」チェック・ボックス
「図2-1「Coherence Webローカル記憶域有効」チェック・ボックス」の説明

2.5 カスタム・セッション・キャッシュ構成ファイルの使用方法

coherence-web.jarファイルにはdefault-session-cache-config.xmlキャッシュ構成ファイルが含まれ、これはほとんどのアプリケーションに対応可能です。ただし、Coherence*ExtendまたはPush Replicationなどのテクノロジを使用している場合、またはカスタム・セッション・キャッシュ構成を使用する記憶域有効キャッシュ・サーバーとして機能するWebLogic Serverノードがある場合は、カスタム・セッション・キャッシュ構成ファイルを使用する必要があります。カスタム・セッション・キャッシュ構成ファイルを、デプロイメント用のGARファイルにパッケージ化する必要があります。

カスタム・セッション・キャッシュ構成ファイルをWebLogic Serverで使用してGARファイルにパッケージ化するには、次のWebアプリケーションの手順と、キャッシュ・サーバーとして機能しているWebLogic Serverノードの手順に従ってください。

Coherence*Webを使用しているWebアプリケーションの場合

  1. カスタム・セッション・キャッシュ構成ファイル(名前はsession-cache-config.xml)を使用している場合は、Webアプリケーションでパッケージ化します。

    • WARファイルについては、セッション・キャッシュ構成ファイルをWEB-INF/classesフォルダに置きます。

    • EARファイルについては、セッション・キャッシュ構成ファイルをJARファイルにパッケージ化し、EARファイル内の共有ライブラリ(APP-INF/libフォルダ)に配置します。

    セッション・キャッシュ構成ファイル名はカスタマイズできますが、その場合は、web.xmlファイルでcoherence-cache-configuration-pathコンテキスト・パラメータの値として新しいファイル名を指定する必要があります。

  2. Coherence*Webアプリケーションで実行しているWebLogic Serverクラスタ・メンバーがキャッシュ・サーバーとして機能しないようにするには、WebLogic Server管理コンソールの「クラスタの設定」ページの「Coherence Webローカル記憶域有効」チェック・ボックスが選択されていないことを確認します。これにより、カスタム・セッション・キャッシュ構成ファイルが読み取られるようになります。

キャッシュ・サーバーとして機能しているWebLogic Serverノードの場合

  1. カスタム・セッション・キャッシュ構成ファイルを使用している場合は、このファイルとcoherence-application.xmlファイルが含まれたGARファイルを作成します。GARファイルの構造は次のとおりです。

    my.gar
    session-cache-config.xml
    META-INF 
      coherence-application.xml
      MANIFEST.MF
    

    GARファイルのパッケージ化要件の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Coherenceの管理』のWebLogic Server用のCoherenceアプリケーションのパッケージ化に関する項およびOracle WebLogic Server用Oracle Coherenceアプリケーションの開発のOracle WebLogic Server用のCoherenceアプリケーションの作成に関する項を参照してください。

    1. カスタム・セッション・キャッシュ構成ファイルを作成し、session-cache-config.xmlという名前を付けます。

      GARファイルをデプロイしている場合は、カスタムのsession-cache-config.xmlファイルの中のlocal-storageパラメータをtrueに設定して、すべてのキャッシュが記憶域を有効にした状態で起動するように構成します。次に例を示します。

      <local-storage>true</local-storage>
      

      注意:

      local-storageパラメータは、クラスタ・ノードをクラスタの記憶域として機能させるかどうかを指定します。WebLogic Serverでは、local-storageパラメータによって、GARファイルがデプロイされているWebLogic ServerメンバーのCoherence*Webの記憶域が有効にはなりません。


    2. coherence-application.xmlファイルを作成します。ファイル内で、cache-configuration-refパラメータを使用してカスタムsession-cache-config.xmlファイルを、次の例のように参照します。

      <?xml version="1.0"?>
      <coherence-application>
         xmlns="http://xmlns.oracle.com/weblogic/coherence-application">
      <cache-configuration-ref>session-cache-config.xml</cache-configuration-ref>
      </coherence-application>
      
  2. 記憶域が有効なCoherenceクラスタ・メンバーとして機能するWebLogic ServerクラスタにGARファイルをデプロイします。

    次のいずれかの方法で、記憶域を有効にする必要があることに注意してください。

    • session-cache-config.xmlファイルで記憶域を有効にする(手順1aを参照)

    • WebLogic Server管理コンソールの「Coherence Webローカル記憶域有効」チェック・ボックスを選択するか、JVM引数tangosol.coherence.session.localstoragetrueに設定して、サーバー自体で記憶域を有効にする

    GARファイルのデプロイの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Coherenceの管理』のWebLogic ServerドメインへのCoherenceアプリケーションのデプロイに関する項およびOracle WebLogic Server用Oracle Coherenceアプリケーションの開発のWebLogic ServerへのCoherenceアプリケーションのデプロイに関する項を参照してください。

2.6 セッションCookieパスのスコープ設定

WebLogic ServerとCoherence*Webでは、セッション・スコープ設定とセッション・ライフサイクルは異なる方法で処理されます。これは、アプリケーションのシングル・サインオン(SSO)戦略を実装するための意思決定に影響を与えることがあります。

デフォルトでは、WebLogic Serverは、指定クライアントに対してすべてのWebアプリケーションで同じセッションIDを使用し、セッションCookieパスを「/」(スラッシュ)に設定します。これは、WebLogic Serverのデフォルトthin SSO実装要件であり、デフォルトで有効に設定されます。「/」のパスを持つセッションCookieを生成することによって、クライアントはサーバーへのすべてのリクエストで同じセッションIDを返すようになります。WebLogic Serverでは、1つのセッションIDを複数のセッション・オブジェクトにマップできます。セッションIDが同一であっても(セッション共有が有効になっていないかぎり)、各Webアプリケーションは異なるセッション・オブジェクト・インスタンスを持つことになります。

対照的に、Coherence*Webでは、1つのセッションIDが1つのセッション・インスタンスにマップされます。したがって、アプリケーションでCoherence*Webが使用される場合、複数のセッション・インスタンスを同じIDにマップする動作は、デフォルトではレプリケートされません。セッションCookieはデフォルトでは「/」にマッブされるため、1つのCoherence*WebセッションがすべてのWebアプリケーションにわたって共有されます。Coherence*Webにおけるデフォルト構成では、すべてのセッション属性が1つのWebアプリケーションにスコープ設定されます。多くの場合、この単一セッションの方法は透過的です。すべてのWebアプリケーションにわたって1つのセッションを保持することの大きな相違はセッション無効化の影響です。Coherence*Webが有効になっているが、1つのWebアプリケーションでセッションを無効化した場合、そのセッション・インスタンスを使用するすべてのWebアプリケーションでそのセッションが無効化されます。Webアプリケーションでthin SSOが使用されていない場合、セッションCookieをWebアプリケーション・パスにスコープ設定することでこの問題を回避できます。

したがって、SSOに関しては次のオプションがあります。

Coherence*Webでthin SSOを有効化する利点は、Coherence*Webに対して同じCoherenceクラスタを使用するすべてのWebアプリケーションにわたって機能することです。CoherenceクラスタはWebLogic Serverクラスタから完全に独立しています。thin SSO機能は、WebLogic Serverセキュリティ・レイヤーでドメイン間の信頼関係を有効にすると、複数のドメインにわたって機能するようになります。

2.7 セッションIDの更新

ユーザーが保護リソースの認証に成功すると、セッションIDはセキュリティのために変更されます。

以前のリリースのWebLogic Serverでは、新しいセッションが作成されて、古いセッションのすべてのセッション属性は新しいセッションにコピーされ、その後で古いセッションは無効化されました。これによりセッション・リスナー(登録されている場合)がトリガーされて、セッション・ライフサイクルおよびセッション属性リスナーが実行されます。

現在のリリースのWebLogic Serverは、HttpServletRequest.changeSessionIdメソッドをJava Servlet 3.1仕様から実装します。changeSessionIdメソッドの実装により、実際のセッションIDの更新が可能になります。つまり、セッション・ライフサイクル・イベントはトリガーされなくなり、実行されるリスナーもありません。ほとんどのユーザーは、アプリケーションの動作の変化には気が付きません。

HttpServletRequest.changeSessionIdメソッドの詳細は、Javaサーブレット3.1仕様およびJavadocを次のURLで参照してください。

http://jcp.org/en/jsr/detail?id=340

2.8 その他のアプリケーション・サーバーとのCoherence*Webセッションの共有

1つのクラスタ内でCoherence*WebをWebLogic Serverとその他のアプリケーション・サーバーで実行している場合、WebLogic Serverで作成したセッションCookieは、他のサーバー上のCoherence*Webでは正しくデコードされません。これは、WebLogic Serverによって、Coherence*Webに格納されているセッションIDには含まれていないセッション・アフィニティ接尾辞が追加されるためです。Coherence*WebでセッションをCoherenceキャッシュから取得できるようにするには、他のアプリケーション・サーバーでは、WebLogicセッション・アフィニティ接尾辞をセッションCookie値から削除する必要があります。

WebLogicセッション・アフィニティ接尾辞をセッションCookie値から削除するには、他のアプリケーション・サーバーで使用されているweb.xmlファイルでcoherence-session-affinity-tokenコンテキスト・パラメータを追加します。例2-2に示すように、パラメータ値を感嘆符(!)に設定します。他のアプリケーション・サーバーによって処理される際、セッション・アフィニティ接尾辞がセッションCookieから削除されます。

例2-2 セッション・アフィニティ接尾辞の削除

...
<context-param>
  <param-name>coherence-session-affinity-token</param-name>
  <param-value>!</param-value>
</context-param>
...

coherence-session-affinity-tokenコンテキスト・パラメータの詳細は、付録A「Coherence*Webコンテキスト・パラメータ」を参照してください。

2.9 WebLogic ServerとCoherence: 互換性

表2-7に、スタンドアロンのWebLogic Serverの各バージョンとCoherenceとの互換性を示します。

表2-7 スタンドアロンのWebLogic Serverの各バージョンとCoherenceとの互換性

スタンドアロンのWebLogic Serverのバージョン WebLogic ServerにバンドルされているCoherenceのバージョン 一般的な使用でサポートされているCoherenceのバージョン Coherence*Webに対してサポートされているCoherenceのバージョン 依存関係インジェクションおよび管理統合に対してサポートされているCoherenceのバージョン

WebLogic Server 10.3.4

3.6

3.5以降をサポート、3.6または3.7.1をお薦めします

3.5以降をサポート、3.6または3.7.1をお薦めします

3.6, 3.7.1

WebLogic Server 10.3.5

3.6

3.5以降をサポート、3.6または3.7.1をお薦めします

3.5以降をサポート、3.6または3.7.1をお薦めします

3.6, 3.7.1

WebLogic Server 10.3.6

3.7.1

3.5以降をサポート、3.7.1をお薦めします

3.5以降をサポート、3.7.1をお薦めします

3.7.1

WebLogic Server 12.1.1

3.7.1

3.5以降をサポート、3.7.1をお薦めします

3.5以降をサポート、3.7.1をお薦めします

3.7.1

WebLogic Server 12.1.2

12.1.2

12.1.2をサポート

12.1.2をサポート

12.1.2


表2-8に、Java Required Files (JRF)とともに配布されるWebLogic Serverの各バージョンとCoherenceとの互換性を示します。

表2-8 JRFとともに配布されるWebLogic Serverの各バージョンとCoherenceとの互換性

WebLogic ServerとJRFのバージョン WebLogic ServerにバンドルされているCoherenceのバージョン 一般的な使用でサポートされているCoherenceのバージョン Coherence*Webに対してサポートされているCoherenceのバージョン

WebLogic Server 10.3.4/Fusion Middleware 11.1.1.4

3.6

JRFバージョンと一致する必要があります

JRFバージョンと一致する必要があります

WebLogic Server 10.3.5/Fusion Middleware 11.1.1.5

3.6

JRFバージョンと一致する必要があります

JRFバージョンと一致する必要があります

WebLogic Server 10.3.6/Fusion Middleware 11.1.1.6

3.7.1

JRFバージョンと一致する必要があります

JRFバージョンと一致する必要があります

WebLogic Server 12.1.1

3.7.1

JRFバージョンと一致する必要があります

JRFバージョンと一致する必要があります

WebLogic Server 12.1.2

12.1.2

JRFバージョンと一致する必要があります

JRFバージョンと一致する必要があります